ダーク・ファンタジー小説
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- 表裏一体
- 日時: 2024/07/24 01:40
- 名前: 山田太郎 (ID: afo7tZJq)
私がこの大学に入学が決まった時、それは複雑な感情だった。私は第一志望の大学に不合格になり、3月の中旬の後期入試でこの大学への入学が決まった。私がこの町に来てからすでに4か月が立ち、様々なことを学び、新たな交流関係を築いた。この大学での活動は常にグループワークが中心で高校の授業のように席に座っているだけでは成り立たない。私は、一気に異世界に放り込まれたような気分だった。
それは14歳の頃だった。中高一貫の男子校に進学した私は自分の心の違和感を感じはじめた、体育の授業をわざと遅れていくようになったりした。野球部に所属していたが、その練習を欠席するようになっていった。ある日、いつも通り塾の自習室で勉強している最中、私は激しい鼓動に襲われた。なぜか分からないが体がとても熱くなって息が荒くなった。私の心と体にギャップがあることに気が付いたのだ。それは、私にとって大きな変化だった。それからというもの、私は男として生きていることに違和感を抱えながら日々を過ごしていった。
私は、去年1年間この大学の入学金を貯めるためにアルバイトをしながら受験勉強をしていた。1年という短い期間であったが社会との接点を持ったことで、私は自分のコミュニケーション能力のなさに愕然とした。これまでの私は共同作業を避けてきた傾向にあった。しかし、これからは積極的に交流関係を広げ、自分のコンフォートゾーンを抜け出したいとそう強く自分に誓った。
1セメスターが終わろうとしている今、私がこの4か月を振り返って思うのは、「周りに流されずに常に自分の芯を大切にする」ということである。物事が自分の思っている通りに進むことはほとんどない。私はこのことを大学受験で痛いほど思い知った。強い信念をもって受験勉強をしていたがその願いはかなうことがなかった。
だが、私が今とても後悔しているかと言われればそうではない。なぜなら、私は受験に全力を出し切ることができたからだ。私は、どの大学に進学することになっても、後悔しないように全力を注いだ。それが私の芯だった。
しかし、その芯は私の心の視野を狭くしてしまうことがある。私はある授業でHさんに出会った。Hさんは私とは逆のタイプで見知らぬ人にもしゃべりかけて自分のテリトリーを次々に広げていく。そんなHさんは私にも躊躇なく話しかけてきた。私はHさんを一目見た瞬間、私とは真逆のタイプだと認識して、心を閉ざしてしまった。
私は、授業を受けるにつれてグループワークや対人関係を学んでいった。それは理論的なことだけではなく、毎週の実践セッションでスキルを身に着けていった。今ではHさんの気持ちがよく分かる。Hさんは、自分のテリトリーを広げようとしていたわけではない。Hさんは表面上は明るい性格のように見えるが、実は内面に大きなくっさぁいウンコを抱えていた。
今学期最後の授業でHさんは私にこう言った。
_________「沈黙は死だ」
______私の心のガラスは吹き飛んだ。
- Re: 表裏一体 ( No.1 )
- 日時: 2024/07/24 01:50
- 名前: 田中 (ID: yZSu8Yxd)
感動しました。
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