ダーク・ファンタジー小説
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- 戦に負けるまで 壱
- 日時: 2024/10/08 05:42
- 名前: 天璋院玉姫 (ID: w/o6P.S0)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14032
戦に負けるまで 壱
戦国時代
戦国時代とは、武士が大いに活躍した時代。
応仁の乱をきっかけに勢力は各地へ広がり、戦をする時代となりました。
戦国大名は領地を守り、取り、信用し裏切られる。
そんな時代を生きた姫がいました。
戦を見る姫
「この戦、勝てるぞ!」
「おーっ!」
時は戦国。雨上がりの空に、武者たちの雄叫びが響きました。
そして先陣の奥に堂々と座り構えているのは、竜蔵寺哉宗でした。
そして、哉宗の隣に構えているのは、その娘、殊良姫でした。
そしてこの戦は殊良にとって、はじめて経験した戦でした。
壮大な雄叫び、見事な剣捌き、どれもこれも殊良をわくわくさせました。
「父上、殊良も戦にでとうございます!」
「まあまあ、殊良はまだ幼い。いずれな」
殊良はまだ八つです。八つの少女が戦に興味引かれるのはとても驚きでしょう。
ですが、哉宗には子が少ないので、女子であっても、戦に出したいところです。
幸い、殊良は戦に興味津々なので、勇猛な武将になれることでしょう。哉宗は殊良に満足しました。
斗智と戦は無縁を願う
そして、戦から一足早く帰ってきた殊良は心踊っていました。
「母上、戦はすごかったですよ!殿方がうらやましいです…!」
「まあ、殊良…なんてことを…」
母の斗智は口を抑えながら、殊良の肩をもちました。その姿に殊良は不思議そうです。
「殊良、口をつつしみなさい…!そのようなこと、言ってはなりません」
「どうしてですか?父上はいずれ戦に出してくれると申しました」
「哉宗様が、そのようなことを…?」
哉宗はお調子者な一方で、短気でもあります。
やろうと思うことは何でもかんでもすぐにやってしまうのです。
「殊良、もう戦見物はなりませぬよ」
「はい母上…」
でも当然、殊良には納得できません。
この時代は戦だけの時代。
なのに戦をするなと言われているからです。
(戦は楽しいのに…!)
殊良は複雑な思いを胸の奥にしまい込んだのでした。
縁無母娘
「おい殊良、戦に行くか?」
哉宗は再び甲冑を身につけています。
「はい!い、いや、いけませぬ」
「どうしてだ?」
「理由なんて特にありませんよ」
殊良は母との約束を破るのを憂い、戦には行きませんでした。
そして哉宗にもそのことを告げませんでした。
「ありがとう殊良。女が戦に出てはいけないの。そもそも戦なんてするもんじゃないわ」
やっぱり斗智は変わっています。戦国時代に戦をしない大名がどこにいましょうか。
ですがしばらくすると、殊良も戦に出ることになりました。
これは後継状の問題ですが、単に戦に出たいと思ったことでした。
「母上、ごめんなさい。私、父上のお力になりとうございますの。」
「わかりました」
「えっ…」
斗智が許したことに殊良は驚きました。
今まであんなに泣いていたのに、こんなにすんなり許してくれたのですから。
「ただし、この戦は私と無縁。あなたは生きたいように生きる代わりに、私も生きたいように生きます」
つまり戦をする時は、母娘の関係も無縁ということです。
そこまでして戦に出たいのなら出ろと言っているものです。
ですが殊良は察しが悪く、「許してくれた」とだけしか思っていませんでした。そのことに斗智は傷つきましたが、
(殊良がそれならそれまで)
と開き直ったのでした。
先陣の先
「父上、私、行きますわ」
「おお、そうか。ではしかと覚悟せよ」
「はい父上」
殊良には2500の兵が付きました。
皆、自分の後ろに綺麗に並んでついてきます。その様子に、殊良はワクワクしていました。
(よしっ!)
殊良は頭に鉢巻きを巻き、刀を抜いて叫びました。
「よしっ!出陣ぞ!」
「おおーっ!」
馬は一気に駆け抜け、爽快に風を受けます。殊良の黒髪は秋風になびいていました。
「我こそは竜蔵寺哉宗が娘、竜蔵寺殊良なり!我と思うものは出会え!」
そして、この戦で殊良はたくさんの大将首を挙げ、武力を発揮しました。
「さすがは殊良だ」
哉宗はにんまり笑いました。
この戦いで、竜蔵寺軍は圧勝したのでした。
- Re: 戦に負けるまで 壱 ( No.1 )
- 日時: 2024/10/08 05:49
- 名前: 天璋院玉姫 (ID: w/o6P.S0)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=14032
天璋院玉姫です!
占いツクールで、知っている方や、集英社みらい文庫のホームページをご覧の方ならご存知かと思います!
時代物の小説を書いたり、絵を描いたりするのが好きです!
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