ダーク・ファンタジー小説

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雀の胴と鷲の羽
日時: 2024/11/12 22:19
名前: 市野沢 庸佐 (ID: ir9RITF3)

空を飛んでいた。悠々と大きな翼を広げて。考えていることがスルスルと抜け落ちている奇妙な感覚。羽を動かして、前を向いていれば、皆が自分を見てくれると信じていた。信じていたんだ…
ー覚醒ー
随分と長い眠りについていた気がする。目を開けると辺りは轟々と音を立て燃えている。ゆっくりと立ち上がる。二刀をぶら下げ青年は赤い街を闊歩する。青年の年頃は二十代前半だろうか。色素の薄い髪が青年の片目を覆っている。彼は目を瞬かせ、まだ目覚めきっていない頭を無理やり働かせる。
青年、韓信は頭の中の情報を整理した。この場所は咸陽。中華統一を果たした国、秦のお膝元。なぜ、燃えているのか。答えは簡単である。滅ぼしたからだ。誰が。
その元凶は紛れもなき英雄であった。楚の項羽である。
韓信は流浪の末、項羽の元についた。項羽の部下は秦につくやいなや咸陽を略奪した。金目のものはもちろん後宮の女たちまでさらい欲望をぶつけた。韓信はその獣の群れに混じらなかった。理由は単純、韓信の欲望は別のところにあるからだ。韓信はその欲望を満たすために項羽の元についたのだ。目的が果たせないなら用はなかった。かといって何かすることもない。彼は崩壊した咸陽を眺めながら焼死体の匂いに顔をしかめていた。
(何処かに水はないだろうか)
水さえあればこの匂いを紛らわせてるのだが。
あたりを見回したとき彼は視界の端で何かが動くのを感じた。


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