ダーク・ファンタジー小説
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- あノソラ
- 日時: 2025/03/23 17:49
- 名前: 糸果 (ID: 7KmVXXOI)
一章 夕空
今日も「ソラカフェ」は人が少なかった。七海は35歳になって社会人を全うしていたが、会社の倒産と同時に、自分が本来なりたかった《カフェの店長》を始めようと思った。思い切って高い土地を買い、都市部に店を立てたが、予想していたより客足は少なく、店内のカウンターテーブルに両腕をつきながら、ドア越しに見える通り過ぎる人々をじっと眺めているのが現状であった。
七海の作りたかったカフェのコンセプトは、「あの日の空を思い出す」だ。店のルールは、もちろん既存の空を連想させる美しいメニューを提供するのは当たり前だが、客が持ってきた空の写真からそのイメージで作ったドリンクを提供するという、一風変わった、そして映えが期待できるカフェであった。
学生の頃、兄である桃にスイーツやドリンクのおしゃれな作り方を教えてもらってから、七海は「大人になったら自分のカフェを作りたい!」という漠然とした夢があったのだ。
客足の少ない店はもちろん赤字で、そろそろ店をたたむべきかとも考えていた。
「そろそろ潮時か、、、」店内でひとり呟くことが何度あっただろう。
だが転機は意外な時だった。
また一人溜息をついていた時、店のドアが開き、それと同時にドア上のベルが鳴った。
《ガランガラン》
しばらく聞いていなかったその音に驚きながらも、七海は「いらっしゃいませ」と笑顔を作った。
入店してきたのは背の高い、黒髪の、ジーンズにアディダスのジャージというどこかsuchmosのYONCEを彷彿とさせるような好青年だった。
「空の画像を出したら、それ通りのドリンクを作っていただけるんですか?」
彼はどうやら店の外に置いてあった小さな看板を呼んで入店を決意したらしい。
「はい!もちろん、」
久々の客だ、はりきらなければ。
「作ってほしい空はこれです、」
見せられた画像はいかにも田舎の畦道で、夕空がグラデーション状に空色から暖かなオレンジ色へと変わっていくのが特徴的だった。
「自分の地元の空です。きれいで、つい写真に撮ってしまったことを覚えています。」
「素敵な夕空だ、、」
つい見とれてしまう。
「この夕空には思い出があるんです――」
彼は自分と二人きりの店内で、少しずつ話し出した。
- Re: あノソラ ( No.1 )
- 日時: 2025/03/23 18:33
- 名前: ペーペー (ID: 7KmVXXOI)
これは神作者発見、、めちゃめちゃ面白い!
続きが気になる展開ですね♪
七海さんは男性ですか?女性ですか?(個人的には男性だったら嬉しい!どうしても呪術廻戦の七海で再生されてしまうので💦)
2話目、楽しみにしています!!!!
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