ダーク・ファンタジー小説

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ミシア戦争〜終わりの始まり〜 2
日時: 2025/07/02 12:36
名前: 聖 華月 (ID: gobBUkxM)

「....」

キュッキュッ

私、三瀬 セイラは、愛用の手袋を洗っていた。


セイラは、このMBS(ミシア撲滅組織)の、最強とうたわれる少女。

ただ、彼女は、武器や、魔法は使えない。いや....つかわない

……あの日。
私は、機械で珠梨を殺めた。

あれから、私は、機械を見るたびに嫌な気持ちになる。

だから、戦闘道具は、使わず、格闘でのぞむのだ。

ただ....別に機械をみて、悲しくなったり、泣いたりはしない。

わたしには、感情がないから。



一通り手袋を洗い終わり、息をついたときだった。


ぴーーーーーーーーーーー

これは、MBSの、緊急チャイム

『MBSの諸君。任務だ。今、ミシアたちが、この組織場に大量に送り込まれている。数は、10万単位にも及ぶ。すべて抹殺し、送り込んでいる人物を見つけ出し、処分しなさい』

わたしは、まだ少し濡れている手袋をはめ、立ち上がる。


そして、クローゼットの中にある、瑠璃色のペンダントを取り出した。

これは.....珠梨とお揃いで買ったペンダント。

半額セールで買ったんだけど、私達には、ダイヤの価値があった。

買った、帰り道。夕日に照らされた珠梨が、「おそろい!」と、微笑んだのを覚えている。


そして、もう一つクローゼットの中に飾られていた、写真を見た。

私。妹。父。母。

このときはたしか外国に初めて旅行に行ったんだ。

懐かしい。

そして....もう戻らない。


そして....ふと、あの日を思い出した



あの日。それは、珠梨を私の手で殺めた日。

そして、ミシアになる、すこし前の出来事。

家に行ったんだ。


「っ....」

街中の家が、崩れ、焼け、無惨な姿になっていた。

人の息も聞こえない。音のない世界


私の家も....他と同じだった。


私は、家を一つ一つどけ、家族の遺体を保護し、墓を作った。父。母。

だけど...妹だけ見つからない

他の家も、探した。

ない。ない。

頭が痛い。まだ、いきなり心臓が変わったことで、脳が動揺しているのだろう

「はぁ....はぁ.....」

手が破片で、複数箇所切れている。

でも、痛くない

でも思った。.....惨めだなって


もう疲れ果て、座りこんだ

涙は出なかった

私は、無意識に、ペンダントを触った。

不安な時は、いつも触る癖があった気がする。

変だな。不安なんて.....そんな感情ないのに

もう諦めかけていたときだった

「大丈夫?」

後ろから声が聞こえた。

でも、立ち上がる元気もなく、ただ俯いていた。

その人は、私の前にしゃがみ込んだ

「っ....あなた....」

わたしが珠梨を殺した、あの銃の....持ち主。

「ひどい怪我だね。おいで。手当するから」

そう、手を差し伸べてくる

でも、私にはそれは哀れみに思えた。

(自分は誰も失ってないくせに.....いいようなことばっか言わないでよ!それに....)

「....やめてください」

「え?」

「来ないでください!あなたが....あなたさえいなければ、あなたが銃を渡したりしたから....!」

やつあたりだ。わかってるのに

「あんたたちが...来なければ、私は.....私は、自分の手で親友を殺しちゃうことなんかなかったのに!!そうしたら、一緒に死ねたのに!!」

何度思っただろ?

あの時....あの時、私もいなくなれてたら

男の子は黙って聞いていた。

そして、微笑んだ

「.....君の親友は死にたくて死んだのかな?」

「...?」

「君の親友は、死んでしまった。望まない死。でも、君は望んで死ぬ。
....それは、もっと罪深いんだよ。」

「っ...なんで....」

「だって、君を命をかけて守った俺達も、君の幸せを願って、君を守った。お腹を痛めて君を産んだ母さんも、君の幸せを願って産んだ。君が死ぬってことは....その願いも、痛みも...全部無駄にするってこと」

「...っ...」

「わかってないよ....残された....人の気持ちなんて....ね」

そう、泣きそうな顔で笑った。

このときのネイの声には、「痛み」があった。

このとき思った。ネイは、すでに痛みを知っているんだって

「でも、まぁ、無理には止めないよ。死ぬなら死んでいい。でも、忘れないで。君を....思って死んでいった人たちを。」

「そして...生きるなら自分の願いに忠実に生きてよ」

と、セイラの頭を撫でた。

セイラは気づかぬうちに泣いていた。

自分がいったことが、どれだけ浅はかだったか

おもいしらされた

「じゃあね」

そういい、消えていった。


….願い....?

珠梨に会いたい。珠梨と話したい。

でも、叶わない

なら....

珠梨のような犠牲を生まないため.....ミシアを抹殺する。

それが願い。きっと優しいあの子も、きっと望んでる。

私は涙を拭った。

そして、ミシアのこうじょうにいったんだ。

ミシアを倒せる、確実な力を手に入れるために。


思えば、あれで泣いたのは最後だったのかなぁって思う。

だって今は、あくびをしたって、涙は出ないから。





【三話】利用

ここは、MBS組織の集まり場の、屋上

遠くから何体ものミシアがきているのがわかる。

「おっ。よっセイラ」

いつの間にかきていた、ネイがいつもの笑顔で笑う

「真面目に」

「わかってるって」

私の言葉をネイはヘラっと受け流す

いつもだったら、苛つくが、今日は非常事態。

はっきり言って、すこし、緊張していた。今まで、こんなことはなかったから、

だから、笑ってもらったほうが、緊張は和らぐので、今日は良しとしよう。

「行く?」

「無理だ。この量はいくらやっても減らない。何か、大半を倒せる強い力は...」

「あ。それなら...」

「よんだ〜?」

とってもいいタイミングで紫音がくる。

紫音は、魔術師。なので、強い魔法で、たくさんのミシアをやることも可能なのだ。


「こっちは任せといて?ネイとボッコボコにいしてるから。だから、最強セイラは、こいつらを送り込んでるやつをこらしめてくれる?」

「承知」

その返事と同時に、三人は俊敏な動きで、下へ降りる。

紫音は、目の前に、魔法陣を描き

「神よ。神聖なる力をあたえたまえ。シャインべルナー!」

そうじゅもんを唱えると、眩しく、激しい光が、ミシアを包み込む

「あ、あは。やりすぎちゃったかな?」




そのころ。セイラはひたすら走っていた。

ミシアになったことで、普通の早い人の3倍ほど、早く走れる。

(ミシアの操作は、基本的にあまり遠くではできない。おそらく分析によると、ここらへんのはず....)

走っていたとき

「!みつけて....」

途中で思わず声が止まった。

渡井は勝手に、操作してるのは、研究大好きな、THE博士みたいな見た目をした人だと思っていた。

でも違った。やせ細ったからだ。細い腕。今にも倒れそうな青い顔

そんな男の子が、パソコンでミシアを操作していた

ただ、取りあえずとめなくてはと、猛スピードで走り、(0.0000001秒)男の子を取り押さえた

「!?だ、誰ですか!?」

「動くな!動けば、命の保証はない。大人しく....」

「ダメ....」

「え?」

「ダメです!!俺に近づいたら....!!」

その直後。男の子から光が溢れ.....爆発した

「かは...っ」体が宙を舞う。

そして、近くの崖にめりこんだ

「はぁっ....はぁっ....」

何....!?今の強大な力は...っ




「....あーあ。」

声が聞こえた。遠くから。

「またあなたは私の大切なものを奪おうとしたね」

大切な...もの...?

「でも無駄だよ。私の仲間たちに危害を加えようとした者には、魔力が発動するように、仕組んであるからね」

声が近くなる

「あれ?もしかして覚えてないかな?もう五年前だもんね」

その人物が目の前に来る。

「はぁ...っはぁっ....」

信じられない

「珠....梨....」

「あれ?覚えてたんだ」

「い、生きて...」

生きてたんだっ....

「珠梨...っ」

「来ないでよ」

珠梨は、邪悪な笑みを浮かべた。

まるで.....すべて見透かすような目で


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