ダーク・ファンタジー小説
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- 世話人形と貴族達#1
- 日時: 2025/10/10 22:32
- 名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)
ナターシャside
朝起きたら、とても狭い部屋のベッドに横たわっていた。、、、、どこだろう?
ふと、ベッドの隣にある小机を見ると、手紙が置いてあった。封を切って中身を読んでみると、こう書いてあった。
ナターシャ様へ.
貴女は貴族達に仕える世話人形に選ばれました。
貴女は貴女の主人である、ルージス様のお世話をしなければなりません。
部屋に説明書が置いてあるので是非役立ててください。
それでは貴方が良い世話人形になることをお祈りいたします。
上級貴族のローズより。
そうだ、思い出した!私はルージス様の身の回りのお掃除をする世話人形になったんだった。
(どんな人なんでしょう。あ、そこに参考資料が、、、!)
資料に載っている写真を見てみると、、、とても綺麗な女の子が写っていた。
金髪に青い瞳。透き通った綺麗な白い肌に、つやつやな唇。
ハーフアップをしていて、雪の結晶のアクセサリーをつけている。まるで人形みたい。
【資料1.】
性格,
とても賢くて繊細。論理的で注意深い。
上手く家事が出来てないと怒る。好きな物は読書。
(、、、、読書が好きなんですね!)
チリンチリン
「あっ!ルージス様がお目覚めになった!」ドタドタドタ
ガチャッ「ルージス様おはようございます!カーテンを開けますね!」シャッ
「、、、おはよう」
「、、、、、、貴方が私の"世話人形"?」
「はい!ナターシャと申します!日々お掃除や家事を頑張ります!」
「、、、ナターシャ?私が名前を決めてあげる」
「えっ」
(説明書には【貴族が世話人形の名前を変えるのはその世話人形を気に入った時だけである。大体の人形が名前を変えてもらうが。】って!)
「そうね、、、名前。」
「ワクワクドキドキ(* >ω<)」
どんな名前を付けて貰えるのでしょうか、、、!
「、、、そうね。アナジス、何てどうかしら?」
「、、わあ!とっても可愛い名前です!私はルージス様に仕える世話人形アナジスです!」
「あら、気に入ってくれたなら良かった。」
ルージス様はフェイスベールをつけているから、どんな"表情"をしているかわからないけど、きっと今微笑んだと思う!
「どうしたの?こっちを見て。」
「あわわ、、、、何でもないです!」
「早く家事を終わらせてよね」
「?はい!」
「一緒にお勉強しなきゃ」
「!はいっ!」
ルージスside
朝起きたら茶髪ロングで、薄桜色の目の女の子が私に挨拶をしてきた。
「ルージス様おはようございます!カーテンを開けますね!」
「、、おはよう」
元気な世話人形ね。どうしてそんなに元気なのかしら。
「、、、、、、貴方が私の世話人形?」
「はい!ナターシャと申します!日々お掃除や家事を頑張ります!」
ナターシャ?しっくり来ない名前ね。
「、、、ナターシャ?私が名前を決めてあげる」
「えっ」
何がいいかしら。派手な名前じゃない名前がいいわね。
「そうね、、、名前。」
「ワクワクドキドキ(* >ω<)」
「、、、そうね。アナジス、何てどうかしら?」
「わあ!とっても可愛い名前です!私はルージス様に仕える世話人形アナジスです!」
「あら、気に入ってくれたなら良かった。」
、、、、きっとフェイスベールで顔が見えないから見ようとしてるのね。
「どうしたの?こっちを見て。」
「あわわ、、、、何でもないです!」
「早く家事を終わらせてよね」
「?はい!」
「一緒にお勉強しなきゃ」
「!はいっ!」
アナジスside
よーし!今日からルージス様の為に、家事を頑張るぞ!
エイ、エイ、おーー!
1話fin
おまけ:豆知識①
シークレットハウスに住む貴族達は、それぞれ階級が決まっていて、下から順に、
新人、初級貴族、下級貴族、中級貴族、上級貴族、超・上級貴族、シークレットハウスの主の側近、秘書、シークレットハウスの王と王女となっている。
キャラクタープロフィール第一弾
ルージス
アナジスが仕えている貴族様。
好きな物 読書、紅茶、アナジス。
嫌いな物 うるさい、シークレットハウスのルール
誕生日 11月3日 階級 新人
能力 未開花 身長 156cm
年齢 14 フェイスベールの色 蘇芳色
容姿 金髪に青い瞳。透き通った綺麗な白い肌に、つやつやな唇。
ハーフアップをしていて、雪の結晶のアクセサリーをつけている。
性格 とても賢くて繊細。論理的で注意深い。上手く家事が出来てないと怒る。
アナジス
ルージスに仕えている世話人形。
好きな物 ルージス 甘いもの
嫌いな物 苦い物
誕生日 8月17日 階級 新人
能力 未開花 身長 153
年齢 14 フェイスベールの色 虹色(和色)
容姿 茶髪に薄桜色の目。白い肌にそばかす。
性格 鈍感だが、家事はちゃんとこなせる。明るくて裏表がない。誰にでも平等に接するが、空気を読むのが苦手。
- Re: 世話人形と貴族達#5 ( No.4 )
- 日時: 2025/09/11 22:01
- 名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)
こんにちは~!匿名×2です!『世話人形と貴族達』を読んでくれてありがとうございます!
最後に、""お知らせ""があるので見てください!
では、本編どうぞ!
―――――――――――――――――――――――――――
アナジスside
「ルージス様!戻りました~」
部屋は静かで、音がしない。、、、ルージス様は何処に行ったんだ、、。
「ルージス様!戻りましたよ~?、、、、寝てるのかな。」
こっそり寝室に入ると、、、、
「え?、、、、ちょ、、えぇ?ルージス様、、、、?」
ルージス様が倒れていた。
ぇ、、、、な、何で、、、。ど、どどうすれば、、、、
「え、え、、、、、ど、どうしましょう、、!何をすれば良いのかさっぱりわからないよぉ、、、、」
とりあえず落ち着いて、、、
あ、、、、、、、、、、、、
、、、、そう言えばクロエがこんな事を掃除中に言ってたなぁ。
『ねぇ!アナジス!』
『はい!何でしょうか?』
『噂の"医療科の織姫様と彦星様"、知ってる?』
『医療科の織姫様と彦星様、、、?』
『知らないの?』
『はい、、、。』
『教えてあげる!医療科一番の美男美女として有名なの!それに、二人に任せればどんな病気でも、一瞬で直っちゃうの!そりゃ、そうよね!陣頭だもの!当然よね!』
『すごい、、、、、!』
『あ、、そうそう!織姫様と彦星様、どうか助けてください!って言ったら、医療科の人達が駆けつけてくれるのよ!
もしかしたら、織姫様と彦星様が来てくれるかもしれない、、、!』
『そうなんですか?』
『凄いよね。私達が助けてくれと言ったらすぐに居場所を探知して駆けつけてくれるなんて。』
『私、一回助けて貰ったことあるのよ!』
『え!』
『とても綺麗な方だったわ、、、、、織姫様と彦星様、、。、、どんな人か聞きたい?』[うっとりとした表情で話す。]
『聞きたいですっ!』
『織姫様は、綺麗な黒髪を腰まで伸ばしているの。目は綺麗な翡翠色。』
『わぁ、、、!』
『彦星様は綺麗な銀髪に青い瞳。とっても美しいわ、、、。』
『会ってみたいなぁ、、、、』
『生きていて会えない、なんて事絶対無いから大丈夫よ!』
『え?』
『もう、二人のファンクラブが出来てるし、二人を呼ぶためにわざと助けてください!って言う人もいるのよ!』
『え!それは、、、』
『流石に駄目よねぇ。』[ムッとした表情で言う。]
『でも、いつか会えると良いわね!』
一か八か、、、叫んでみよう。
「、、織姫様と彦星様、どうか助けてください!」
本当に来るのかな、、?きっと来ないよぉ、、、。
「はァい、お呼びかな?お嬢さん!」
「カッコつけなくて、良いから。自己紹介だけにして。」
「良いじゃんか~!せっかく可愛い子が居るんだから!」
「フィン様に報告しなくては。」
「駄目ッ?!マジでやめて?!」
「わかったなら、、それでよし。」
黒髪の女性と、銀髪の男性が何も無いところに現れた。
あ、、、多分この人達が、『織姫様と彦星様』だ。
「フィンレーだよ!フィン様に仕えている、上級人形だ!医療科の陣頭だよ!よろしくな![パチッとウインクする]」
「アデラインよ。アデル様に仕えている、上級人形よ。医療科の陣頭なの。よろしくね。」
「あ、アナジスです!新人です!」
「お!新人か。頑張れよ~。、、多分そろそろ試験だしな!」
「、、、さて、、これはねぇ。花弁が尽きちゃったのかな。」
「だろうね。」
「で、落葉が発生していると、、、、。」
「ヤバいじゃん。」
会話がどんどん進んでいく、、、、。
「てことで、治癒させていただきます~。」
あ、、、!
「大丈夫かな、、ルージス様、、、」
「大丈夫だって!俺達に任せといて!」
「はい、、、!」
「えー、、君はそっぽ向いときな。気持ち悪くなっちゃうかもだから、、」
言われた通りにする。
「さて、、。薬咲花衣」
手から花びらが舞い落ちる。赤、青、水色、緑、紫、、、
「さて、、ゆっくり飲み込ませないとね。」
ゴクッと飲み込む音がする。
「こっち見てもいいよ~👌」
「ルージス様、、、、」
先ほどよりも顔色が良くなっている。これがこの人の能力、、、?
「あの、、落葉とか、花弁とかって、、、」
「説明しなきゃね。任せたよ、アデライン~」
「えぇ。簡単に言うと、花弁はエネルギー。落葉は凄いエネルギー。簡単に説明するね。」
「お願いします!」
「まあ、花弁は落葉が暴走しないためのストッパーなの。」
「暴走、、、」
「花弁は落葉より力は劣るけど、ストッパーの機能が長けているの。落葉は"能力の本来の力"を引き出してくれるの。
どんなに弱い力でも、落葉を使うと強くなるのよ。けど、その分制御が効かないのよ。勿論、制御が出来て免許証を貰っているんだったら使ってもいいのよ。」
「、、、落葉は何に使うんですか?戦闘以外考えられません、、、。」
「そうね、、、。言って良いわよね?フィンレー。」
「良いでしょ!俺らもこれくらいにこっそり教えてもらったし!」
「世話人形と貴族は中級貴族になると、戦闘訓練を学ぶのよ。任務とかも与えられるし、自由に外を歩き回れるようになるの。」
「(;゚∇゚)?!」
「"光と影"。私達は"光狩り"。結構前から対立しているのよ。まあ、原因は"光"にあるけど。」
「何故対立しているんですか、、、?」
恐る恐る聞いてみる。
「簡単よ。あっちがこちらの王と女王を殺したからよ。いい人だったわ。だから、皆怒って対立し始めたわけ。」
ビクッと震えてしまう。殺した?、、、、今、、殺したって、、、、。
震えていると、いつの間にかやって来た彦星様が頭をポンポンと撫でてくれる。
「大丈夫だよ。でも、流石に怖いよね。殺しなんてさ。」
「、、、私達医療科は援護舞台に属してるの。他にも色々チームがあるけど、中級貴族になってからのお楽しみ。」
「そうですか、、、、。、、必ず"光狩り"に入隊しなければならないんですか、、、?」
「「、、、」」[悲しそうに顔を見合わせて]
「、、、えぇ。そうよ。」[悲しそうに口を開く、アデライン]
「アデライン、、、。」
「でも、必ず戦闘舞台に入らなければいけない、と言う訳じゃないのよ。
さっき言った通り他にも色々な舞台があるから。」
「あ!次の仕事入ったぞ!」
「それじゃあ、この子は預かるわ。明日には退院できると思う。」
「じゃあな!/じゃあね」
そう言うとまた何もない空間に消えていった。
「、、、どうやって消えてるのでしょうか、、、、、。」
アデラインside
「戻りました~」
フィンレーがルージスを抱えながら言う。
「戻りました。」
「おかえりなさい~!アデライン先輩、フィンレーさん!」
「アデライン先輩、フィンレー先輩おかえりなさい。」
この声は、、、
「ちょっとー!トリック!アーノルド!」
「なんですか?、、、うるさ[ボソッと言う呟く]」
「俺も先輩なんだけど!、、、あと聞こえてるからね?!アーノルド!」
「ちぇっ」
「それに比べて、トリックは可愛いんだから~!」
「先輩、、、やめてください、、。俺可愛くないですよ。」
「えー、、、可愛いじゃーん!」
助けてあげようかしら。
「ちょっと、、フィンレー!手伝って!」
「ああ!ごめん!今行くよ。」
トリックが助かったと言わんばかりに頭を下げている。それを見て少し微笑む。
「、、、さて。ちょっと説明するわね。」
「あぁ。宜しく。」
「あばら骨と腕が折れてる。で、頭も打ったみたい。でも、意識はあるわ。」
「酷いな、、、。」
「ほら、貴方の出番よ。」
「了解。さて、、、、もしもーし!聞こえてますか~?聞こえてたら一回、聞こえにくかったら二回口を閉じてね~」
患者「、、、、、、[ゆっくり口を一回閉じる。]」
「りょーかい。今から手術するけど、口の中に花(薬)を入れるから、口開けといてね~」
患者「[ゆっくり口を開ける]」
「薬咲花衣、、、。」
色とりどりの花がフィンレーの手から舞い落ちる。
「、、、慣れないわ。、、自分の血で怪我治すとか、、、、。」
「仕方ないだろ?そう言う能力なんだから。」
患者が花を飲み込んだ瞬間、瞬く間に傷が治っていく。
患者「な、なおっ、、、、、た、、、、」
「お体に異変はありませんか?」
「な、、、、い、、、、で、す」
「良かった。」
「フィンレー先輩!次めっちゃ来てますよ?!」
「おー!わかった!任せとけ!」
こういう時は頼りになるのよね。手を動かしながらフィンレーを見つめる。
「置いていかれないようにしなきゃ、、、、。」
コイツ、、、成長速度は速いんだから、、、、。
「、、、?何か言った?アデライン」
「、、、、いいえ、何でも。、、、、それより、次の患者さんが待ってるわよ。急がなきゃ。」
「あー!すみません、今いきます!」
今日も織姫と彦星は患者の傷を癒す。
#5fin
おまけ
キャラクタープロフィール第三弾
アデライン
アデル様に仕えている、人形。
能力 サーチ&ワープ
好き 紅茶
嫌い 苦いもの
身長158cm 階級上級人形 所属医療科:陣頭
フェイスベールの色 翡翠色
誕生日 7月7日
性格・その他
THE・真面目ちゃん。怒ると結構怖い。フィンレーとは同期で、仲は良い方らしい。
責任感が強く、常にプレッシャーを背負っている。
容姿
綺麗な黒髪を腰まで伸ばしている。目は綺麗な翡翠色。青緑色のリボンを頭に付けている。
フィンレー
フィン様に仕えている、人形。
能力 花薬愛血
好き 恋愛
嫌い ドキドキしない事。
身長189cm 階級上級人形 所属 医療科:陣頭
フェイスベールの色 瓶覗色
誕生日 8月19日
性格
明るい。とても明るくて、少しチャラい。普段ヘラヘラしているのにやる時はやる、と言うギャップに夢中になる人も続出している。アデラインとは同期で、仲は良い方だと思っている。
容姿
彦星様は綺麗な銀髪。青いどこまでも澄んでいる瞳が特徴的。
・織姫様=アデライン&アデル 彦星様=フィンレー&フィン
☆お知らせ☆
こんにちは~!匿名×2です!『世話人形と貴族達』を見てくださりありがとうございます!!
さて、本題ですが、話数が10を越えたら"ちょっと長めの番外編"を、"これとは別で"投稿しようと思います!
題名などは9話を越えたら発表しようと思います!
ちょっと長めの番外編、ということなので勿論普段は"登場しない"キャラクターも登場するかもしれません!
お楽しみに!これからも皆さんが楽しめるような小説を投稿していこうと思います!それでは!
- Re: 世話人形と貴族達#6 ( No.5 )
- 日時: 2025/10/16 18:28
- 名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)
???side
白ふくろうが窓から入ってくる。そのふくろうは紫色の薔薇を髪に着けている女性の腕に止まった。
「そんで、、、、今年の新人は試験に合格出来んの?」
「知らない!そんなの。、、、まあ、今のところ合格出来そうなのは、、、、」
グレイシー アグネーゼ ジャック
「、、、、の3ペアかな?」
「少な。やっぱり最近のは駄目な不良品ばっかりだな。」[側近のクリフォード&クリス]
「えぇ?私は早く能力の授業をしたいわ!」[側近のシェリー&シェアリー]
「シェリー、いつもそればっかりだよな。」
「別にいいでしょっ?!クリフォード!」
「知らねーよ。」
「ハアッ?!」
「煩いわね、、。」[側近のメアリー&メア]
「それが二人だからな、、、、」[側近のエルヴィス&エルヴィー]
優雅に紅茶を飲むエルヴィスとメアリー。
「サイラス、、、、何やってるの、、?」
「能力についてノートにまとめてたんだよっ!」〈ズイッと近づく〉
「ぎゃっ?!ち、近づかないで?!」[側近のノア&ノアーリ]
「ごめんよ!ノア!」[側近のサイラス&サイリス]
「は、はい、、、、、、」
バーンッ!と音がして、扉が開く。
「ちょっとサイラス!今日提出の書類届いてないけど?!」
「ごめんよ!ガリーナ!ついつい、能力の研究に夢中になっちゃって!」
「そればっかり!この前もそう言って!」
「ほらほら、、、、、落ち着きなさい。もうすぐ会議の時間よ、、?」
ここで最年長のイザベラが登場する。
「ほら、落ち着いて。」
「イザベラぁ~!」
「貴方が悪いのよ、サイラス。」
「えぇ?!Σ(Д゚;/)/」
「当然でしょ!貴方以外皆提出しているの!このままだと側近から引きずり下ろされるわよ!」
「えぇ?!Σ(Д゚;/)/それは、ヤダッ!」
「じゃあ、さっさと書類書いて!私とガリーナが困るの!」[側近のイザベラ&ベラ]
鬼の形相で叱りつける。
「ハイッ!」
白ふくろうを撫でる、イザベラ。すると今度は、鷹が窓から入ってきて、エルヴィスの腕に止まった。、、手紙を持っている。
「貸して、エルヴィス。」
ガリーナが言う。
「、、、、」
無言で手紙を渡す、エルヴィス。少し空気が凍る。
手紙を読み始める、ガリーナだが、、、
「?!、、、、なッ!馬鹿な!」
「何?!」
「、、、、」
その場に座ってしまう彼女。
「エ?!どうしたの?!」
イザベラが駆け寄って、彼女の背中をさする。
「何があったの、、、?」
おそるおそると言った様子で、問いかけるイザベラ。
「、、、、、。悪化、、、、!」
「な、、何が?」
分かってるけど、聞いてしまう。
「光毒、、、、」
「光毒って、、、?!」
「何故王女様が、、、、、?!」
「薬は無いのかい、、、?」
「あっ!」
と、小さな悲鳴が上がる。全員が声のした方を振り向く。
「あ、あの、、えっと、、」
「何か?」
「私、、、、、私知ってます、、、!医療科の薬倉庫に光毒の薬があった気が、、、、」
「今すぐ確認してきなさい!」
「はい!無ければ、医療科が作ります!失礼しましたっ!」
ドタドタと慌ただしく、ドアから出ていく。
「薬があるなら何とかなりそうね、、、、会議を始めましょう。」
「そうね、、、私から良いかしら?」
「どうぞ。」
「次の側近の候補の話だけれど、、、、」
「?」
「候補にレティアを入れていたのだけれど、招待されたみたいで、、、」
「「レティアが?!」」
ガリーナが立ち上がる。少し彼女の周りで風が吹いている。
「「「?!」」」
「えぇ。報告以上。次、シェリー。」
「落葉が異常に多い子を見つけたの!この前ノアと一緒に人形と貴族の血を採取してたら、めっちゃ落葉が多い人形がいたのよ!」
「え、人形?」[イザベラが目を見開く。]
「そう!貴族だと思ったら、人形だったのよ~!リタとリラ!貴族の方は花弁が多いみたい!以上!」
「次、クリフォード。」
「三ヶ月後に来る新人の男女比率についてだが、、、俺的には女子1男子2で良いと思う。」
「そうね、、、今の新人、女子も男子も多いし。[コクンと皆が頷く。]それで決まりね。」[ガリーナが仕切っている。]
「次、メアリー。」
「そろそろ試験の話をしないといけないと思うの。今回の新人[ルージス、ニージェア、グレイシー、
リース&リアーナ、イシュメル、ジャック、アグネーゼ。]人数多いし、そこに雑用人形から上がってきたケイも
入るんでしょう?」
「そうですね。」[ガリーナが返事をする。]
「出来損ないは淘汰されて当然。だから、最低でも9人のうち7人が合格出来るようにしたい。 、、、、理不尽な試験にはしないわ。でも、今回は本当に数が多すぎる。 、、、多い方が確かに良いけど、それだけ衣服やご飯の準備が大変になるのよ。、、、それにこれだけ居たら弱い子も出てくるし。たまに開花しない子が居るでしょ?正直言ってそういう子は要らない。まぁ、今回は能力無しでも合格出来る簡単な試験にしようと思うけどね。」
「、、、貴方が思う簡単と他の人が思う簡単、って結構違うのよ。貴女、試験簡単だから大丈夫大丈夫~、、、とか言って
とても難易度高い試験出して、去年新人絶滅させたわよね。」[ガリーナが冷静に言う。]
「死者も出てたね。五人中三人死んだんだっけ?同期の子達泣いてたよね~」[サイラスがニコニコ笑いながら言う。]
「えぇ?、、、まぁ、気を取り直して、、、そう言うことだから~」
「、、、取り敢えず、試験内容決めたら報告しなさいよ。」
「了解~」
「次、サイラス。」
「はーい。今、館の能力の情報を管理してるんだけど、何か最近開花しない子がほんのすこーし?まぁ、全体の
0.000001%くらいの子が開花しなかったり、開花が遅くなったりしてるんだよな~」
「、、、詳しく。」[ガリーナの表情が少し険しくなる。]
「多分、あっちからスパイが来てるんだと思う。」
「「?!?!」」
サイラスのたった一言で側近会議室が一瞬にして荒れる。本棚は倒れ、花瓶は割れて、窓ガラスもバリンと割れる。
ガリーナの周りで風が強く吹いている。
クリフォードの手が電気でビリビリしている。
メアリーは至るところを凍らせてしまう。
シェリーは手から炎が出ている。
エルヴィスには自分が持っていた本を爆破してしまった。
サイラスは笑ってる、、、かと思いきや、数センチくらい体が浮いている。彼に関しては感情を抑えている方なのだろう。
イザベラは動揺せず冷静に倒れた本棚などを能力で直している。流石最年長と言ったところだろうか。
「、、、内通者が居ると言うの?」[重い沈黙を破ったのはやはり、イザベラであった。]
「あ、うん!そう!、、、大人になったら婚姻するだろ?」
「そうね。」[まだ落ち着かないガリーナや他の側近の変わりに会議を進める。、、、側近にとって"光"の存在は会議室が一瞬にして荒れるほどの衝撃的なワードだったのだろう。]
「多分それで光のスパイと婚姻して結婚したんだろうな。、、、光は影とは違って能力の開花が遅いし、開花しない人が多いんだよ。」
「そうなのね。」
「だから、遅くなったり開花しない子が居るんだろうな、、、。まぁ、でも医療科か研究科がどうにかして、次の側近会議までに何とかするよ!報告以上!」
「次、エルヴィスだけど、、、大丈夫?」
「あぁ。大丈夫だ。、、、俺も同じような物なんだが、最近城の外を見回ってると光軍と衝突することが多くなった。
まるで、こちらの動きが全て知らされてるかのようだった。こちらの、切り札や隊員一人一人の能力があちらに
バレている。多分内通者だろう。報告以上。」
側近達が息を飲むのがわかる。
「最後に、、ガリーナから、、良いかしら?」
「えぇ。」
「、、、ちょっと話の雰囲気が変わるけど、試験同様にダンスパーティーが近づいてるのよ。」
「あ、ほんとだ。」[シェリーがカレンダーを見る。]
「それの準備も進めなきゃと思って。大広間で行う予定だから人形達には沢山働いてもらう予定よ。
そこで例年通り、新しい側近、昇格・降格した人、"招待"された人を発表する。、、、現状維持の人は何も言わないわ。
言うことないし。飾りつけに関しては、雑用人形も手伝わせるわ。報告以上。」
「質問、意見がある者は?」
誰も手を挙げない。
「、、、それでは、第五十六回!側近会議を終わる!解散!」
人形のガーベラを連れて真っ先に会議室を後にする、ガリーナ。
「ねーえ!メアリー!お茶しましょうよ!イザベラも!ガリーナは、、、、、行っちゃったぁっ!」
「「勿論!」」
「そうと決まれば行くよー!」[ダッと廊下を走る、シェリーとシェアリー。最年少らしい、笑顔で。]
「あ、ちょっと待ってよ!」[メアリーとメアも走り出す。]
「え、私置いてけぼり?」[小走りで二人を追う、イザベラ]
一方他の側近は、
「、、、、、、何で俺たちが、、。」
「仕方ないだろ、、、。ガリーナとイザベラに言われたんだから。」
「あ、二人とも頑張ってね~じゃあ、俺も先に――――――」
サイラスの肩をギギッと掴む、クリフォードとエルヴィス。
「「お前も掃除するんだよ、馬鹿が。」」
「大体お前が合図も無しにあんなこと言うから、、、」
クリフォードがブツブツ文句を言う。
「お、俺?」
「お前以外誰がいるんだ?」
「、、、、イマセン。スミマセンデシタ。」
「さっさと片付けしろ、片付け!」
「ハ,ハイ」
すっかり縮こまってしまったサイラスであった。
ガーベラside
ガリーナの部屋にて、看病をしている、ガーベラ。
「、、、、お体の調子はどうでしょうか、、、?」
「ガーベラのおかげで良くなってきたわ。ありがとう。」
「いえ、ガリーナ様に仕えることが私の仕事なので。」
「、、、、、、」
ガリーナ様は、体が弱かった。
当然病気にかかったら、治るまで三週間かかることもある。
少し、、、看病してる時に私を苛立たせるのは、ガリーナ様が謝ってくることだった。
私は別に謝られたい訳でも、感謝されたい訳でも無い。ただ単に、彼女が自分の主人だから、看病しているのに。
、、、、、、大切だから、、大好きだから、壊れてしまわないように、看病しているのに。
、、、こんなことは、口が裂けても彼女には言えない。、、、、、、だって私は人形。
チラリとガリーナを見ると、彼女の薄緑色の目とガーベラの紅碧色が合う。
「?どうかしました?」
この気持ちは、、、、、こういう気持ちは、二年前から伝えられなくなった。
何故だかわからないけど、伝えようとすると、つっかえて口から出てこない。
そうして、はぐらかすから、結局伝えられないまま。
「いえ、何でもありません。」
ほら、また。
伝えられない。
悔しくなって、俯く。
悲しくなって、手を握りしめる。
心配そうに、自分の主人はこちらを見ている。
、、、、こう言うところが大好きで大切でたまらないんだろう。
愛おしくて、たまらないんだろう。
もっと、、もっと、、もっと、自由に、、、、、、自由に年相応の事をして欲しいと思ってしまう。
彼女はまだ、"13"歳なのに一年で側近に上り詰めて、仕事と責任に押し潰されそうになりながら生きている。
、、、、、、確かに、階級に年齢は関係無い事は知っている。分かっている。
だけど、もっと遊んで欲しい。、、、、13歳の私が言えることでは無いと思うけど、、、、、、、
でも、それでもこんなに若いのに仕事をしている所を見ると、やっぱり遊んで欲しい、自由にして欲しい、今を楽しんで欲しいと思う。
でも、側近は彼女が夢見た階級。
日々頑張って能力の工夫をして、誰よりもこの館に貢献して、同期を、、、皆を気遣って、、、、
そうしてやっと側近になったんだ。だから、、、この思いはきっと彼女の邪魔にはなってしまう。
だから今日も、、、、今日もこの思いは心の奥底に閉じ込めて、ガリーナ様に仕える。
いつか、、、この思いを伝えられたら、、、、、、とても幸せなんだろう。
とっても、、、とっても、ちっぽけだと思うけど、、この思いを伝えるのが今の私の"本当の夢"。
彼女は寝てしまったようだ。
、、、、、、ベッドの脇には私がプレゼントした青色のアスターの花が飾られている。
「、、、いつ気がづいてくれるんでしょうか。」
言葉で伝えられなくたって、他にも方法がある。
そんなこと昔から知っている。
少女は一人孤独に、自分の主人を見つめる。
外では少女の気持ちを表すように、ポツリポツリと雨が降りだしていた。
#6fin
- 世話人形と貴族達#7 ( No.6 )
- 日時: 2025/10/08 22:06
- 名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)
ガーベラside
あ、雨。
ふと、窓の外を見ると雨が降っている。
窓が開きっぱなしだ。
「ちょっと、窓を閉めてきますね。」
彼女を見る。
、、、、、、何で、こうなってしまったんだろうな。
昔はもうちょっと元気だった。
これほどに体も弱くなった。
窓の外を見る。
自分の気持ちが、、、、天気に表れている。
ガーベラの能力は天候操作。
どんな天候にもできる。ほぼほぼ常時発動型だから、今この瞬間も発動している。
何より、無意識に感情で天候を操作している時がたまにある。
悲しいとき、寂しいとき、無力感があるとき、虚しいときは雨や曇り。または、豪雨。
嬉しい、楽しい、晴れ晴れとした気持ちの時は晴れや、虹。
怒っている、絶望した、、、、などの時は雷。または、雷雨。
空っぽなとき、特に何も感じないとき、喪失感があるときは雪。
今降っているのは雨。
まるで私のドス黒い気持ちを空が表しているようだ。
「ガリーナ様、、、、、、」
寝てしまった主人を見つめる。
会議や仕事が無い日はいつもこんな感じである。
疲れているのか、、それとも、ただ単に寝たいだけなのか。それは分からない。
朝起きて、少ししたら寝ている。
能力の影響だろうか。、、、彼女は生まれつき血液の量が多い。落葉は血液に混ざっている。
つまり、彼女はもっとも落葉が多い存在として館の中では大切に扱われている。
ガリーナ様は血液を寄付しに、医療科の所に行く。
週に何回とかは特に決まっていなくて、呼ばれたときに行くそうだ。
この前心配して声を掛けたが、、、
『何馬鹿な事を言ってるのです?私のような貴族は責務を全うしなければいけないの。館が優先でしょう?』
と、返されてしまった。
確かに、そうだ。
規則書にも書いてある。
『館に貢献する事』、、、、と。
「、、、、、、、」
、、、ガリーナ様の能力は天地操作。
私の能力と名前は似ているが、全く違うものである。
天候と、植物を操れる。、、、、まぁ、天候に関しては私と同じようなものだ。
植物は有毒性のものしか操れない。
ガリーナside
いつも迷惑ばかり掛けてしまう。そんな自分が嫌いだ。
ガーベラの時間を奪ってまで世話して貰っている。
、、、、、、何でだろう。
本当なら、、、、、、本当なら、、、、
今頃私はイザベラや、シェリー、メアリーと遊んでいたのかな、、。
自室のベッドに囚われずに外で散歩してたのかな、、、。
「ガリーナ様、、、ガリーナ様、、、?!」
「ガリーナ様!!!いい加減にこれ、止めてください!」
驚いて、我に返る。
「あ、気づきました?!さっきから様子おかしかったですよ?!」
「え、、、」
「取り敢えず、外見てください!貴方の能力ですよっ!私じゃ止められません!」
こんなことに、、、、。
外は大嵐だ。雨と風と雷が凄い。
責任をもって止めないと。
キッと空を睨み付けると、一瞬で晴れになる。
「ハァ、、、疲れた。」
この通り、嵐を止めるのは結構疲れるのだ。
ガーベラside
「お疲れ様です。、、、、重湯でもお作りしましょうか?」
「、、、、お願いするわ。」
大抵の貴族達は雑用人形が作ったご飯を食べているが、ガリーナ様を含めた数人は違う。
ガリーナ様は体が弱い。そうなると、食べられるものも制限されてくるので、私が慎重に作らなければならない。
とにかく手際よく、安全で美味しいご飯を作るのが今の私の仕事だ。
数分後。
「出来ましたよ。」
「ありがとう。」
少し、手と声が震えている。
こういうときは大抵一人にした方が良い。
「、、ガリーナ様、この後掃除があるので失礼致します。」
「わかったわ。」
一礼して、部屋から出る。
掃除なんて無い。ガリーナ様が落ち着くまで何して待って居ようか。
部屋の前をうろうろしていると、同じ側近の仲間に会った。
「あ、ガリーナ!やっほ~!」
シェアリーだ。続いて、ベル、メアが部屋から出てくる。まるで示し合わせたように。
「ねぇ、これって偶然だよね?」
「えぇ。」
シェアリーとベルの会話を聞いてクスリと笑う、メアと私。
「ねね、皆何してたの?ていうか、何で部屋から出てきたの?貴族様は?」
シェアリーの質問にメアが最初に答える。
「メアリー様、一人で居たいんですって。それで、廊下に閉め出されちゃって。」
「あら、、、」
「でも、よくあることだから気にしないで、ベル。、、、、シェアリーは?」
「怒らせちゃった!」
「「「、、、、」」」
一同が黙る。しばらくしてから、ベルが口を開く。貴族様に似て、こう言うときは一番最初に口を開く。
「よくそんな軽々しく言えるわね、、。」
「、、、、何か、花瓶割ったら怒られちゃった。ガリーナは?」
「体調と気分が優れないようだから、一人きりになってのびのび出来るように、部屋から出てきた。」
「そっちはそっちで、大変そう、、、。最後はベルね。」
「昨日夜遅くまで仕事をやってたみたいで。疲れて寝てしまったわ。、、、、さっきの嵐はガリーナ様の、、、?」
「そう。」
「やっぱりかぁ、、、!」
「メアリー様、『またガリーナ?体調、気分が優れないのかしら、、?』って心配してたよ。」
暖かい気持ちが込み上げてくる。
ガリーナ様も、聞いたら安心するだろうか。
「戻ったら伝えておく。」
短めに返事をする。すると、ベルがクスッと笑う。
「何か?」
「いや、いつも通りツンツンしてるな~、、、、って。」
「いつも通り、って、、、、」
「ねえ!明日さ、暇だったらお茶でもしようよ!」
賛同の声が上がる。
「じゃあ、明日は何か持っていかないとね。」
「確かに。」
その時、コンコンとシェアリーの部屋のドアから音がする。
「、、、!、、戻らないと!また明日ね!」
部屋の中に入る、シェアリー。
「私もそろそろ戻るわ。」
部屋まで戻っていく、ベル。
「私温室行かないと。また明日ね、ガーベラ。ガリーナ様、よくなると良いね。」
早口で、少し赤くなりながらそう言って駆け出す、メア。
意外とツンデレ(?)なのだ。
「えぇ。また明日。」
部屋に戻る。
、、、、重湯は完食している。少し嬉しくなる、ガーベラである。
「良かった、、、。さっきよりも、顔色が良くなってる。」
寝ているが、さっきよりも顔色が良くなっていて、一安心だ。
ベッドの脇に居ると、ガリーナがうっすら目を開ける。
「、、、ガーベラ?」
「ガリーナ様、おはようございます。」
「、、、?どうしたの?何か良い事でもあった?」
少し驚く。それから、やっぱりお見通しなんだな、と思ってさっきの出来事を話す。
「じゃあ、明日が楽しみね?」
「はい、、、!後、メアが言っていたのですが、メアリー様がガリーナ様の体調を心配してくれてたらしいですよ。」
「何故、、、あ、天候ね?先程は雨が酷かったものね。」
「そうだと思います。、、、まぁ、ほぼ常時発動型なので、仕方ないと思いますよ。」
「そうかしら、、?」
「えぇ。」
数分間他愛もない会話をしていると、ガリーナが眠そうにあくびをする。
「疲れてますね、、、。さぁ、お喋りは終わりにして少し寝ましょう?」
「疲れてない、、、、」
「いえ、そんなこと無いと思います。ほら、寝てください。」[彼女を安心させる為に優しく、微笑む]
「、、、、、、わかった。」[渋々と言った様子で、返事をする。]
「それでは、おやすみなさい。」
「、、、、、、おやすみ。」
秘書や側近はそれこそ、掃除なんてしないが、他の階級と比べて仕事が多いのだ。
寝る時間なんて、あまり無い。それを知っているのに、何故皆が側近・秘書を目指すのかと言うと、
色々と利点があるからだ。
例えば、、、
・服の種類が多い。
・服を自分でデザインしに行ける。
↳今までは決まったデザインの服しか着れなかった。
・ご飯が美味しい、または豪華。
・部屋の設備が豪華。
・他の階級とは違って自由に館を回れる。
・人形と貴族達が所属する、色々な組織[偵察舞台や、戦闘舞台、援護舞台など、、、]の陣頭よりも上の地位、
"星"になれる。
・組織とは又違う、◯◯科などの"先導者"になる事が出来る。[医療科や、整備科、研究科など、、、、]
・能力の使用に関する制限が無い。
、、、、、、、などだ。
主人が眠ったのを見ると、自分の部屋に戻り、明日のスケジュールを確認する。
一通り確認し終わった後、先程の仲間達との会話を思い出して、顔が綻ぶ。
「明日、楽しみだな、、、。」
声に出して言ってみると、もっと明日が楽しみになる。
「早く明日になあれ。」
翌日、ガーベラ、メア、ベル、シェアリーは楽しくお茶をしたようだ。
晴れ渡る空の下、秋風が吹く庭でお菓子を沢山持ち寄ったんだとか。
そして、楽しそうにかけっこしたりする姿を見た下の階級の者が居たそうだ。
その様子はまるで、自由に羽ばたく鳥やふわりふわりと舞う、蝶のようだったそうだ。
#7fin
~お知らせ~
こんにちは~!匿名×2です!
『世話人形と貴族達』を読んでくださりありがとうございます!
さて、近頃番外編を本編とは別で書こうかと思います!
今回、出てこなかったガーベラ、メア、ベル、シェアリーのティータイム(お茶会)の話だったり、
アナジスや、その他の同期の話だったり、、、、
番外編も本編も沢山投稿していくので是非!読んでみてください!
それでは!
- Re: 世話人形と貴族達#8 ( No.7 )
- 日時: 2025/11/02 13:56
- 名前: 匿名×2 (ID: eR9v1L6x)
前置き
試験編スタートです!
本編ではまだ出ていないキャラ達が出てきます!
お楽しみに!
~試験前日~
「アナジスちょっと来てくれないかしら?」
「はい!何でしょうか?」
「明日、私達の初めての試験でしょう?」
「そうですね、、!」
やる気満々のアナジスを見てクスッと微笑む。
「その事で、一つ良い話があるの。」
「???」
(アナジスの心:良い話、、?明日に備えて私のご飯全部あげる、、とか、、?、、、、駄目駄目!貴族様のご飯を
食べるなんて!流石に、図々しいよ!)
「本棚に薄汚れた本があったんだけど、歴代の試験について書かれていて。まだ、お昼だし今から読んでも遅くないとは思うの。でも、これだけ分厚い本だったら、今回必要無い情報があると思うの。だから、アナジスに部屋の掃除をしてもらってる間に私がまとめておこうと思うんだけど、、、、どう?」
「それでいきましょう!私はルージス様ほど、頭は良くないので、、、、」
あはは、と笑うアナジス。
「わかったわ。こっちは任せて頂戴。」
ルージスside
アナジスが掃除をしている間に情報をまとめてるけど、、、情報量が多すぎる。
「~♪~♪」
鼻歌、、、。内心可愛いと思う、ルージス。
「あっ!すみません、煩かったですよね、、、」
「良いのよ。それで仕事が捗るなら。」
No said
~グレイシー&グレイスの部屋~
「グレイス!ちょっとこっちに来て!」
「はい」
ちょっと微笑みながらグレイシー(貴族)に近づく、グレース(世話人形)。
「何でしょうか、グレイシー様。」
「この服!見て!とっても可愛いでしょう?」
「そうですね~」
ニコニコしながら、グレイシーの話を聞く、グレース。
「ちょっと着てみてよ、グレース!」
「え」
「良いから!」
そう、世話人形が上等な服を着るのはよっぽどの事が無い限り、館では禁止されている。
ルールは守らないと、厳しく罰せられる。そして、罰は毎回一人一人違う物で『簡単だった』と言う人や、部屋に引きこもってしまう人もいる。
「、、、、、どうでしょう?」
「あぁ、、!とても綺麗、、!私の人形として当然!あぁ、、、本当に綺麗だわ、、、!」
「ありがとうございます。」
「ちょっとターンしてみて?後ろも見せて頂戴!」
言われた通り後ろも見せる。
「やっぱり、綺麗だわ、、、!白い肌が良いわね、、!」
ふと、何かを思い出すグレース。
「グレイシー様。」
「なぁに?」
「確か、試験が終わった後、ダンスパーティーがあった気がします。」
「あら、そうなの、、?!なら、尚更受からないとね、試験!まぁ、私とグレースなら絶対受かるわよ!」
「そうですね。」
ニッコリと微笑む、グレース。
「その表情!とっても可愛いわよ!そう!」
「いえ、グレイシー様の方が綺麗ですよ。」
「えー?!じゃあ、グレースは可愛いで、渡士は綺麗ね!」
「ですね。」
ニコニコする。
「さぁ、もっと色々な服を着てみて!!必ず合格して良い暮らしと地位と素敵な人を見つけるのよ!」
リース&リタとリアーナ&リラの部屋
「もーいいかい!」
「もう良いよ!」
現在、リースとリアーナとリタとリラでかくれんぼをしているようだ。双子なのでとても部屋が広いため、二人(四人)が良く遊ぶのは、かくれんぼとなったのである。
後、リアーナとリースが古い遊びが好きなので、よくかごめかごめや花いちもんめ、だるまさんが転んだ等をして毎日遊んでいるのである。
「どこだー?すぐに見つけるからね、、、、、!」
今の鬼はリースの世話人形、リタである。
「え、何処、、?あ!クローゼット!」
ガチャっとクローゼットを開ける。
「ぁ、、、、!」
「見つけた!リアーナ様とリラ見っけ!」
「後は、リースだけね!」
「全員で探そうよ!」
と、リラが言ったとき、寝室にあるベッドからお腹が鳴る音がした。
それを聞いたとたん、ドタドタと寝室に移動する、三人。
「「「見つけた!」」」
「み、見つかったぁ、、、、」
「それよりさ、お腹すいたの?リース。」
「あ、うん。」
「じゃあ、何かお菓子取りに行こうよ!」
「そうしよう!」
~イシュメル&イシャナの部屋~
「ギャーーー?!虫っ?!虫があっ!」
「お任せくださいっ!ここは俺が、、、、、ああぁーーーー?!やっぱ怖いぃ?!」
「お前人形なんだからどうにかしろよ!?」
「無理ですよ?!こっちに来てるうぅっ?!」
現在、虫と対峙している、イシュメルとイシャナである。
二人とも極度の虫嫌いなので直接退治するなんて到底無理なのだ。
「イシュメル様ァ!目を!目を覚まして下さぁい!」
ついに、気絶してしまった。、、、、、普通はここまでならない。虫嫌いでも。きっと二人はこの館一番の
虫嫌いだろう。虫が近づくのを感じてバッと起き上がる。
「ざ、雑用人形だ!雑用人形を呼んでこいっ!!俺のことは良いから!」
「イシュメル様ァ!行ってきます!?」
でなんだかんだ、虫を退治してもらう。
「へ、平和が訪れたぞ、イシャナ、、、、、!!」
「そうですね、、!あの雑用人形よくやりますね、、!?」
「そうだな、、、!、、もうこの話は終わりだ!」
「そうしましょう、、!」
「虫の事を考えると吐き気がする、、!」
「さて!虫のことは置いておいて、明日の、、、、、試験!!??明日!試験!ですよ!?!?」
「嘘ッ!?忘れてた?!どうするッ!」
「今から出来ることだけやっときましょうっ!?!」
「そうだな!?!」
貴族も人形も揃いも揃って間が抜けている、二人である。果たして二人は無事試験に合格出来るのだろうか。
~ニージェア&ニーシェの部屋~
ただひたすら無言で、見つめ合う二人。
しばらくすると、ニージェアが音をあげる。能力を使う練習をしていたのだ。
「もう、無理、、、、」
「難しい、ですね。」
ちょっとぎこちない二人。まだ出会って数日しかしていないからだろう。
他の同期達は大体、二週間前くらいに世話人形が来たのだが、二人の場合、色々な都合があって合流したのが六日前なのだ。なので、主人との絆を試すような試験になると、結構不利なのである。だが、二人は能力に恵まれた。
「テレパシーなんて、使うことあるのでしょうか、、、」
そう、エスパーである。体が弱いニージェアはテレパシーと浮遊が使える。ニーシェは念力、悪夢が使える。
「えっと、、」
「、、、、、」
やっぱり空気が気まずくなる。
「こ、今度は私が使ってみるので、見ててくれますか?」
「うん。」
「ね、念力、、、!」
ぎゅっと目を瞑って本に手をかざす。
すると、、5cmくらい本が動いた。
「う、動いた、、、!」
「、、、、、動いたね!」
「「やったぁ、、!」」
ピョンとジャンプしてからハイタッチする、二人。
「あ、、、すみません、、!」
「楽しかった。」
パアアとニーシェの顔が明るくなる。
そしてもう一回ハイタッチをする、二人。少しずつ距離が短くなってしている。
これなら試験も心配無いだろう。
アグネーゼ&アグネスの部屋
一方アグネーゼは優雅にダンスの練習をしていた。
「アグネス。ここはもっと優雅にのびのびと踊るんだ。」
「はい」
「そう。そんな感じだ。後は、、もう少し動きにキレがあっても良いんじゃないか?」
「はい、試してみます。」
なんだかんだで数十分後。
優雅なティータイムを始める、二人。
「さっきのダンス、良く出来ていたぞ。」
「ありがとうございます。」
「この調子でいけば、試験はきっと俺が一番で合格するだろう!」
「そうですね!」
「いいか?アグネス。ただ合格するんじゃない。一番を目指すんだ。わかったな?」
「えぇ。勿論ですよ。きっと同期も対したことない奴らでしょう。」
「あぁ、、!アグネス、、!俺達は絶対に合格するぞ、、!」
チリンチリン,,チリンチリン,,
その時に明らかに場違いな音が鳴った。
「何だ?」
「ちょっと見てきますね。」
ガチャリとドアを開けると愛くるしい顔をしたシマエナガがちょこんと廊下に立っていた。
「?なんだよ。」
返事が無いのでちょっとイラつくアグネス。
「俺は今、アグネーゼ様と試験のための準備をしているんだ!用件があるならさっさと―――」
突然ピョンと飛んだかと思うと。
不思議な音色で鳴き始める、シマエナガ。
「なんだよ、、!」
それは次第に人の声となっていき、、、
『ねぇ、貴方アグネーゼの世話人形だよね?』
「だったらなんだ!」
『足音がドタドタ煩いのよ!これじゃあ私、グレースのメイクに集中できないわ!』
「ハア?!こっちは試験のための準備をしているんだ!それに比べてお前はただのメイク!化粧ぐらい我慢しろよ!」
『あーあ。貴族様相手にそんな態度とって良いのかなー?』
「えっ?は、、え?!貴族、、?!す、すみません!!」
「アグネスー?何してるんだ?」
「あっ?!」
最終的にはアグネーゼも来てしまった。
『アグネーゼ?もしかしてっ!』
「あぁ。」
『あのねっ今、私の人形で着せ替えしてるの!とても楽しいわ!』
「良かったな。」
何か良い感じなってる、、と思ったアグネスは静かに部屋に戻ることにした。
ジャック&ジャクスの部屋
「なあ、、明日だな。準備は出来たか?」
「はぁ?逆に準備してないとかあるんですか?」
「い、いや、、、」
完全に立場が逆転してしまっている二人である。
「準備してないんだな。じゃあ今から準備しろ。明日だぞ?」
「ハイッ!」
世話人形のジャクスに指示されて、準備をするジャクス。
これではどちらが貴族なのか示しがつかない。
「はぁ、、、、、、困るんですよ。貴方、貴族ですよね?俺は世話人形なんだけど。」
「、、、、、、、ごめん。」
「愚図愚図しないでさっさと準備!」
「ハイッ!わかりました!」
数分も経たないうちに準備を終える、ジャック。
「ふーん、、やれば出来るじゃん。」
「はぁ、、、はぁ、、、」
、、、、、、、確かに準備をしたのはジャックなのだ。だが。
「やめてくれ、、能力で俺を操るのは、、」
「じゃあ、解いてあげますよ。」
パチンとジャクスが指を鳴らした途端、崩れ落ちるジャック。
「う、、、、俺は貴族、なんだぞ、、、こんなことしたら、お前は処分される、ぞ、、?」
「じゃあ、ジャック。お前が貴族らしくすれば良いだけだよな?」
「、、、、、、、」
「返事くらいしろよ。」
ズイッとジャックの顔を覗き込む。
綺麗なジャクス空色の目が、ジャックの灰青色の目を見る。
まぁ、二人とも美形なのだが、、圧倒的にジャクスの方が綺麗な顔立ちなのである。
「っ、、!」
「、、、、、、、」
まぁ、イケメンに見つめられてドキドキしない人など居ないだろう。
「ハイッ!俺、頑張ります!」
もうすっかり虜になっている。
「だから、あんたが俺に敬語使ったら意味無いだろ。」
そういうが、その間にテキパキ明日の準備をしている。
「、、、、、、、終わってなかったのか?」
「今はジャクス様のを!」
「立場が、、、」
本人は気づいてないようだが、これも彼の能力の一つなのである。
、、、、、、、本人は気づいてないようだが。
ケイ&ケイシーの部屋
「あぁ、、、!ケイシー!明日は遂に試験だ、、、、、!」
「そうですね。」
二人ともいつも通りである。
「ヤバい、、!心臓が爆発しそうだ!」
「そんなこと無いのでご安心を。」
「もー!ちょっとは俺の事心配してくれても良いんじゃないのっ?」
「十分心配してますよ。」
「嘘だ、、、!!」
「さて、明日の準備をしなくては。」
「ちょ、、、無視するなよ、、、!?さすがに傷ついたんだけど?!」
「えー、、ナイフは念のためにポケットに入れておきましょうか。」
「え?!あの、、、?!」
「そうですね、、、ケイ様はすぐにお腹を空かせるので、パンでも持っていてはどうでしょうか?」
「え、ちょ、、、、、、」
「後は、、一応薬と絆創膏。、、、一応虫眼鏡と懐中時計も持って行きましょう。」
「あの、、、、」
「はぁ、、なんですか?」
「あのね、俺一応貴族だよ?!貴方の主人だよ?!」
「、、、早く用件を言ってください。」
「、、、、、、、無視しないで、って事!」
「何だそんなことですか。もっと頭が悪くなったのかと、心配しました。」
「そんなこと?!頭は悪くないよ?!本当に心配してる?!」
まぁ、イシュメルとイシャナ並みにツッコミ所満載の会話である。
「取り敢えず、ケイ様はパンと絆創膏、包帯を持っておいてください。」
「何で、、?」
「すぐにお腹を空かせるのと、すぐに怪我するからですよ。」
ハア、、と溜め息をつくケイシー。
「え、さすがに傷ついたんだけど。」
「すみません。」
「さっきからそれ本当に謝ってる?」
「いいえ。」
「え、ええ?!即答ッ」
「さあ、早く。明日着る服を選びますよ。」
「え、ちょ、待っ!」
なんだかんだ、仲良いので心配する必要は無いだろう。
、、、、、、、今はちょっとよそよそしい、ケイシーだが。
????side
「んふふッ!明日、新人の試験ねッ!楽しみッ!」
「そうだなァ、、、、、。」
「死なないと良いねッ!」
「無理だろ。」
「確かにッ!」
楽しそうに会話する男女にまた一人男が近づいてくる。
「何故無理なんですか、、?」
「んふふッ!そういう"仕組み"なのよ!」
「仕組み、、?」
「そうだぜ。"必ず"一人は落ちるような仕組みになっているんだ。」
「え、、そうなんですか、、?」
「そうなのッ!だから、私達は時も三人死んじゃったよねッ!悲しいッ!」
悲しそうな顔をする。
「そうだなァ。、、、、、、、お前、仕事は?」
「今休憩なので会いに来たんです。」
「もうすぐ終わるだろ。」
「、、、、、、、」
明らかに悲しそうな顔をする、男の子。
「そうだッ!明日の新人の試験、一緒に三人で見ましょうよッ!」
「良いなァ。そうしよう。」
「良いんですか?」
「良いよッ!」
「勿論だ。」
「やった、、!」
「ほら、もうすぐ休憩終わるんじゃないッ?」
「ぁ、、!本当だ!それでは先輩方また明日ッ!」
「じゃあなァ」
果たして九人(十八人)のペアは試験で合格できるのだろうか。
#8fin
- Re: 世話人形と貴族達#9 ( No.8 )
- 日時: 2025/11/05 06:15
- 名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)
No side
ゴーンゴーン
時計台の鐘の音が鳴る。まるで、後少しで試験が始まることを表しているかのようだ。
今回試験に出るペア達は部屋を出て広間に向かっている。
ここで、ルージス(アナジス)とアグネーゼ(アグネス)が合流する。
互いに話したことが無いのでピリッとした空気になる。
「、、、、名前は何と言う?」
ピリッとした空気の中でアグネーゼが先に口を開く。
四人共フェイスベールを被っている為、あまり表情が見えない。
「ルージスよ。こっちはアナジス。、、、、そちらは?」
あれ、何か無愛想?だな、とアナジスは思う。
「アグネーゼだ。で、こっちがアグネス。」
「そう。宜しく。」
「あぁ、宜しくな。」
互いに宜しくとは言っているが、仲良くする気が無いことがひしひしと伝わってくる。
互いの主人の迫力にたじろぐ、人形二人。
「、、ところで、試験は何をすよと思う?」
今度はルージスから話し掛ける。
「、、実技じゃないか?ほら、ダンスとか作法とか。」
「そうね。」
「ルージス、君は何を準備したんだ?」
「私?そんなに出来てないわ。忙しくて。アグネーゼは?」
「俺もあまり、、、」
「そうなの?今日試験だけど。」
「いや、準備したが、、」
「そう。」
完全にペースを持っていかれている、アグネーゼだ。
反対にどんどん質問する、ルージス。
そんな二人を緊張した面持ちで見つめる、人形。
完全に腹の探り合いである。
と、そこにイシュメルとイシャナと、、、ケイとケイシーが合流した。
互いによそよそしい感じだ。
だが、ケイがアナジスに気づくとパッと駆け寄り声を掛ける。
「あ!ケイシー!この子?」
「ケイ様、そちらは、、!」
「宜しくな!」
ブンブン手を振って、"ルージス"と握手をする。
「そちらは、"貴族様"の方です!」
「エ?!」
どうやら、ケイシーからアナジスの事を聞いていたそうなのだが、
"アナジス"の主人である"ルージス"と勘違いしたらしい。
「別に良いのよ。」
ルージスが口を開く。
何となく気まずい空気のなか、広間に到着する。
「着いたわね。」
ガチャンと扉を開く。
「あ、これで全員揃ったんじゃない?」
グレイスが声を掛ける。
その声に、ニージェアがコクリと頷く。
二人とも、いや、全員フェイスベールを被っている為、容姿がわからない。
「あら、やっと揃ったのね。」
奥から女性の声がする。
その場に居た全員が振り返る。
「それでは、試験を始める。試験管のメアリーと、メアよ。」
試験管の登場に空気がピリッとする。
アナジスside
「さぁ、名前確認してくから名前呼ばれたら返事してね。」
ついに、、ついに、試験が始まりました!(※厳密にはまだ始まってません。)
「アグネーゼ、アグネス。あ、名前呼ばれたら取って良いからね、フェイスベール。」
「「はい」」
名前を呼ばれた男の子二人がフェイスベールを取る。
キリッとした顔立ちで、二人とも金髪だ。
だが、貴族様の方は淡い水色であるのに対し、深い緑色だ。
「次、アナジス、ルージス。」
「はい/はいっ」
ぁ、声が変になっちゃった。
取り敢えず、フェイスベールを取ろう。
チラリと横を見ると、ルージス様はもうフェイスベールを取っている。
急いでフェイスベールを取る。
「次、イシュメル、イシャナ」
「「はい」」
「次、、、、、」
という感じに、点呼が進んでいき、、、
「最後、リアーナ、リラ」
「「はーい!」」
それは突然始まる。
「はーい、それじゃあ貴族の子達、こっちおいで~」
「?」
疑問を頭の中に浮かべながらなんの抵抗も無く、メアリーの所に行く、貴族達。
次の瞬間。グワンと空間が歪んだかと思うと、、。その歪んだ空間に貴族様達が吸い込まれるようにして入ってしまった。
「えっ?」
ニーシェが小さな悲鳴のような声をあげる。
「アグネーゼ様?!」
「ケイ様?!」
残った、メアリーの世話人形、メアが言う。
「スタート。」
その場にいる全員の頭に?マークが浮かぶ。
「何突っ立ってんのよ!試験開始だって言ってんだけど。」
「え?!」
私達が驚いていると、グレイシーが歪みの中に入っていく。
「グレイシー?!」
「この場にいる全員が能力開花後だと私"達"は知らされている。武器は己の体と能力と知識のみ!
さあ!自分の主人を助けに行きな!」
メアの説明に全員(グレイシー以外)が合点のいった顔をする。
「協力してもいいし、他人の邪魔しても良い!とにかく試験に合格すること!」
「おお!絶対助けるぞ!」
イシャナが威勢良く叫ぶと、歪みの中に飛び込む。
それに続いて、ニーシェ、ケイシー、アナジス、リタ、リラ、アグネス、ジャクスが入っていく。
歪みの中は異世界、異空間、と言ったところだろうか。
アナジスの前には巨大な迷路があった。
「皆さん!協力して、、、え?」
横を見るが、誰も居ない。
「まさか、、」
『『分断された?!?!?!』』
「どうしよう、、、。」
ちょっと大変だ。
「、、、、でも、やらないと、、。今助けに行くので待っててくださいね、、!」
グレイシーside
一方、グレイシーはと言うと、、
底が見えない空間に落っこちていた。
「、、、」
(もし、このままだと地面が見えたとき、私は着地出来ずに転落死してしまう。)
下から大きな木や植物がいくつも伸びている。まるで、自分が小さくなったようだ。
「っ、、」
そこら辺の枝を掴もうとするが、中々掴めない。
「っと、、」
やっとの事で大木の枝に掴まる。
「これは、、」
これまた厄介だ。縦横無尽に広がる謎の空間。
これでは探すのに時間が掛かってしまう。
(取り敢えず、木を上ろう、、、、。、、、、あれ。)
「、、、、そう言えば、試験って制限時間あるっけ、、、」
事前に配られていた紙の内容を思い出す。
確か、、、3日だった。
「、、、、3日か。」
そう。この試験はあまりにも新人階級が受けるには、難易度が高すぎるので制限時間は3日となっている。
(※ちなみに"今日を含めずに"3日なので、結構時間があるように思える。)
(早くしないと。グレイス様が言っていた。)
『ただゴールするなんてつまらないっ!一位でゴールするよ!』
『承知いたしました。』
(と、約束してしまったし。でも、他の参加者より早く入ったから余裕はある。)
なんやかんやで、一時間後。やっと大木の頂上に着く。
「はー、、、疲れた。ちょっと休もう、、」
イシャナside
なんでっ、、!
「何でお前が居るんだあぁぁ?!」
「知らない。」
「せっかくだから協力しないか?!」
「そうさせてもらう!」
現在二人は、グレイシーと同じように落ちている。
だが、グレイシーとはちょっと違い、縦横無尽に広がる大きな建物なかを落っこちている。
建物といっても城みたいだ。
「ケイシー!お前の能力はなんだい?!俺は爆破だ!」
「俺は!時間操術!さすがにこの吹き抜けも永遠じゃ無いと思うんだ!
このままだと、俺達はグシャッと落ちて転落死!!」
「?!」
確かに?!
「どーしよう?!?!」
ジタバタ手足を動かす。何も変わらないというのに。
「落ち着け!!良い考えがある!」
「何だ?!」
「それはな、お前の爆破で着地時の痛みを和らげ、着地後俺の時間操術の巻き戻しを使い、
怪我した部分だけを巻き戻すんだ!どうだ?!」
「賛成だ!!だが、最初から着地してお前の能力を使えば良いんじゃないか?!」
「それをすると、体力が削られるから!無理だ!巻き戻しは結構体力使うんだよ!!」
「わかった!それで行こ──「地面が見えたぞ!」
「カウントダウンするから、0になったら爆破しろ!」
「了解!!」
「3!」
だんだん地面が近づいてくる。
「2!」
やっぱり怖くね?!?!
「1!」
あぁー?!?!落ちるぅーー!!??
「0!!」
BOOOOOOOOM !!!!!!!!
ボーン!!という音と共に地面から後数センチだったのが数メートルに変わる。
「え、後はこのまま落ちるの?!」
「ああ!」
「え?!痛いじゃん!!」
「大丈夫!俺が何とかするから!」
後数センチ。
「わああああああぁぁぁ?!?!」
ゼロ。
「いっ、、、たくない、、?」
いや、落ちたときほんの一瞬だけど、痛みを感じた。
だけど、それを瞬時に巻き戻した、、?!
「やったな!イシャナ!成功だ!」
「そ、そうだな!」
(この男、ヤバイ、、!!)
ソレにしても、何故か手慣れているように感じたのは気のせいだろうか。
「な、なぁ、、」
「、、、、何だ?」
「何か、、手慣れてないか?」
「あー、、、受けたことあるからな、試験。」
「え?!じゃ、じゃあ、、、先輩?!」
「あー、、いや、この前まで雑用人形だったから、、」
「そーなの?!」
エ、先輩じゃん、、!?
雑用人形だった、って事は館にいる時間が俺達よりかは多い、、ってコト?!
つまり、俺達より遥かに強い?!
それに加えて何だ?!この顔?!ビジュ良すぎだろ?!
ヤバい!俺、ケイシーの事好きになったかも?!?!(※今後恋仲に発展する予定は全くありません。)
「先輩!いや、ケイシー様!俺、一生涯着いていきます!!」
「、、?わかった、、?」
これを機にケイシーファンクラブが出来るのは、また別の話。
「ケイシー様!次は!何処に行きますか?!」
「取り敢えず、城内を探そうか。」
「はいっ!」
その頃、、、、
(怖いっ!)
ニーシェは、、ちょっと近寄りがたい、アグネスと一緒に居た。
場所はなんとアナジスも居る、巨大迷路である。
(うぅ、、よりによって何でこの人、、?せめて、、せめて、ジャクスさんとか、リタさんとか、、、。
この人怖いし、、、!雰囲気が!イラッとしたら物壊してそう、、!(偏見))
「、、、なぁ、協力して探そうぜ。」
「はいっっ?!」
(エ、協力?!協力とかいう概念がこの人にあるのっ?無さそうなのに?!(偏見))
困ったように、顔をしかめるアグネス。
「、、、怖い?」
「(*º-º)*。_。)*º-º)*。_。)」
ブンブンと首を立てにふって頷く、ニーシェ。
さらに顔をしかめるアグネス。
「そんなに怖いかよ。、、、俺、なんかしたか?」
「(>< )三( ><)(>< )三( ><)ブンブン」
今度は横に首をふる。
「そーかよ。、、、、、、良かった。」
ホッとしたような顔をする。
(意外と、、優しい顔?!、、こんな表情するの?!?!)
「ほら、行くぞ。主人が待っているんだ。」
「?!?!」
そっと手を差し出してくる、アグネス。
「いやだって、怖いんだろ?手ぇ繋いだら怖くないじゃん。それに何かあったら守れるだろ?」
(紳士的、、、だと?!)
すっと手を繋ぐ。
、、、恋仲とかいう雰囲気よりかは、兄妹に近いものを感じる。
「何処にいるんだろうな」
「(・-・ = ・-・)キョロキョロ」
アグネスside
「(・-・ = ・-・)キョロキョロ」
、、、猫みたいだな。全く喋らないし。
でも、表情は豊かだよなぁ、、、何か妹みたいだ。
「あ、、?」
「!Σ(°-°;)!」
突然開けた場所に着く。
そこには、、
「ニージェア様?!」
かろうじて枝に掴まっている、ニージェア様の姿があった。
地面から結構高さがある。枝もいつまで持つか分からない。
しかも、だ。ニージェア様の下には茨が広がっている。
「›( ›>ᯅ<)'」
ニーシェはと言うと、、涙目になっている。
「、、、泣くなって。、、、泣いても何ともならないぞ。」
「、、、うん。助けて見せます、、!( •̀ •́ゞ)キリッ」
(というか助ける!)
ちょっと心の声がうるさいニーシェだった。
#9fin
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