ダーク・ファンタジー小説

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世話人形と貴族達#1
日時: 2025/08/29 20:52
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

ナターシャside
朝起きたら、とても狭い部屋のベッドに横たわっていた。、、、、どこだろう?
ふと、ベッドの隣にある小机を見ると、手紙が置いてあった。封を切って中身を読んでみると、こう書いてあった。

ナターシャ様へ.
貴女は貴族達に仕える世話人形に選ばれました。
貴女は貴女の主人である、ルージス様のお世話をしなければなりません。
部屋に説明書が置いてあるので是非役立ててください。
それでは貴方が良い操り人形になることをお祈りいたします。
上級貴族のローズより。

そうだ、思い出した!私はルージス様の身の回りのお掃除をする世話人形になったんだった。
(どんな人なんでしょう。あ、そこに参考資料が、、、!)
資料に載っている写真を見てみると、、、とても綺麗な女の子が写っていた。
金髪に青い瞳。透き通った綺麗な白い肌に、つやつやな唇。
ハーフアップをしていて、雪の結晶のアクセサリーをつけている。まるで人形みたい。
【資料1.】
性格,
とても賢くて繊細。論理的で注意深い。
上手く家事が出来てないと怒る。好きな物は読書。
(、、、、読書が好きなんですね!)
チリンチリン
「あっ!ルージス様がお目覚めになった!」ドタドタドタ
ガチャッ「ルージス様おはようございます!カーテンを開けますね!」シャッ
「、、、おはよう」
「、、、、、、貴方が私の"世話人形"?」
「はい!ナターシャと申します!日々お掃除や家事を頑張ります!」
「、、、ナターシャ?私が名前を決めてあげる」
「えっ」
(説明書には【貴族が世話人形の名前を変えるのはその世話人形を気に入った時だけである。大体の人形が名前を変えてもらうが。】って!)
「そうね、、、名前。」
「ワクワクドキドキ(* >ω<)」
どんな名前を付けて貰えるのでしょうか、、、!
「、、、そうね。アナジス、何てどうかしら?」
「、、わあ!とっても可愛い名前です!私はルージス様に仕える世話人形アナジスです!」
「あら、気に入ってくれたなら良かった。」
ルージス様はフェイスベールをつけているから、どんな"表情"をしているかわからないけど、きっと今微笑んだと思う!
「どうしたの?こっちを見て。」
「あわわ、、、、何でもないです!」
「早く家事を終わらせてよね」
「?はい!」
「一緒にお勉強しなきゃ」
「!はいっ!」
ルージスside
朝起きたら茶髪ロングで、薄桜色の目の女の子が私に挨拶をしてきた。
「ルージス様おはようございます!カーテンを開けますね!」
「、、おはよう」
元気な世話人形ね。どうしてそんなに元気なのかしら。
「、、、、、、貴方が私の世話人形?」
「はい!ナターシャと申します!日々お掃除や家事を頑張ります!」
ナターシャ?しっくり来ない名前ね。
「、、、ナターシャ?私が名前を決めてあげる」
「えっ」
何がいいかしら。派手な名前じゃない名前がいいわね。
「そうね、、、名前。」
「ワクワクドキドキ(* >ω<)」
「、、、そうね。アナジス、何てどうかしら?」
「わあ!とっても可愛い名前です!私はルージス様に仕える世話人形アナジスです!」
「あら、気に入ってくれたなら良かった。」
、、、、きっとフェイスベールで顔が見えないから見ようとしてるのね。
「どうしたの?こっちを見て。」
「あわわ、、、、何でもないです!」
「早く家事を終わらせてよね」
「?はい!」
「一緒にお勉強しなきゃ」
「!はいっ!」

アナジスside
よーし!今日からルージス様の為に、家事を頑張るぞ!
エイ、エイ、おーー!


1話fin


おまけ:豆知識①
シークレットハウスに住む貴族達は、それぞれ階級が決まっていて、下から順に、
新人、初級貴族、下級貴族、中級貴族、上級貴族、超・上級貴族、シークレットハウスの主の側近、秘書、シークレットハウスの王と王女となっている。

キャラクタープロフィール第一弾
ルージス
アナジスが仕えている貴族様。
好きな物 読書、紅茶、アナジス。
嫌いな物 うるさい、シークレットハウスのルール
誕生日 11月3日 階級 新人
能力 未開花   身長 156cm 
年齢 14 フェイスベールの色 蘇芳色イメージカラー
容姿 金髪に青い瞳。透き通った綺麗な白い肌に、つやつやな唇。
   ハーフアップをしていて、雪の結晶のアクセサリーをつけている。
性格 とても賢くて繊細。論理的で注意深い。上手く家事が出来てないと怒る。

アナジス
ルージスに仕えている世話人形。
好きな物 ルージス 甘いもの
嫌いな物 苦い物
誕生日 8月17日     階級 新人
能力 未開花       身長 153
年齢 14      フェイスベールの色 虹色(和色)
容姿 茶髪に薄桜色の目。白い肌にそばかす。
性格 鈍感だが、家事はちゃんとこなせる。明るくて裏表がない。誰にでも平等に接するが、空気を読むのが苦手。



世話人形と貴族達#2 ( No.1 )
日時: 2025/08/27 17:20
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

「アナジス!お掃除は終わったの?」
「あと少し、、、終わりました!」
「そ。じゃあお勉強しましょうか。」
「はーい!」
数時間後
「もうこんな時間、、、、。」
「わ、、、そうですね。」
「私、お風呂入ってくるから。アナジスは食卓の準備でもしといて。」
「はい!」
「よろしくね。」
ルージス様はそう言うと、お風呂場に行った。
(テーブルを拭いて、食器を出して、、、)
チリンチリン
(人形がご飯を届けに来る!早く行かないと!)
ガラガラ ワゴンがドアの前を通る音がする。   コンコン
「はーい!」 ガチャッ
「これ、今日のメニュー。」
「はい!」
「じゃあね。」
「待って!名前!名前は?」
「、、、、何で?」
「友達になりたいから。」
「馬鹿にしてる訳?試験に落ちて雑用人形になった俺のこと!」
「馬鹿にしてないですよ?!」
「、、、あっそ。じゃ、、」
「私アナジスです!ルージス様に仕える人形で――――――――」
ケイシーside
いつものようにご飯を届ける。それだけで良かったはずだ。
なのに何で、、、、
コンコン
「はーい!」 ガチャッ
元気な世話人形だな。家事とか出来なさそう。
「これ、今日のメニュー。」
「はい!」
「じゃあね。」
部屋を訪ねて貴族様の為のご飯を届ける。これだけで良かったはずだ。なのに――――
「待って!名前!名前は?」
突然ガシッ!っと肩を掴まれた。突然のことに驚いた。
「、、、、何で?」
「友達になりたいから。」
コイツ、、、、、
「馬鹿にしてる訳?試験に落ちて雑用人形になった俺のこと!」
「馬鹿にしてないですよ?!」
「、、、あっそ。じゃ、、」
「私アナジスです!ルージス様に仕える人形で――――――――」
何だ?急に自己紹介始めたぞ?強引な奴だな。何なんだ、、、、、。

、、、、、今日はついてないな。

「で、あなたの名前は?」
参ったな。腕をガッチリ掴まれてる。、、、離さなさそうだし、、、。まぁ良いか。
この部屋で最後だし。
「、、、ケイシーだ。」
「!」
「なんだよっ!」
「ケイシーって言うんですね!仲良くしましょう!」
「、、わかったよ、、、、、」
「趣味は?」
「謎解き」
「好きな物、嫌いな物は?」
「謎解き。嫌いな物は、面倒事。」
「そうなんですね!私は――――」
「~~~?~~」
「!~~~~~!?」
「、、、~!」
数分後
「、、、お前、貴族様は?」
「あっ、、、!今お風呂に入っています!」
「そ。ならそろそろ部屋に戻った方が良いんじゃないか?」
「確かに。それじゃあ、またね!」
「、、、、、またな。」
「!(*・∀・*)」ガチャッ バタン
「、、、、、」
「早く戻らないとな。もう、こんな時間だ。」
、、、。――それじゃあ、またね!――
「、、、クスッ」
ご飯を届ける為に来ただけなのに、変な世話人形に捕まって。何故か自己紹介をして。友達になって。
「、、、本当に今日はついてないな。」



クスリと彼はまた笑った。



2#fin





Re: 世話人形と貴族達#3 ( No.2 )
日時: 2025/09/06 13:18
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

アナジスside
コトッと音を立てて料理を机の上に置く。とても美味しそう。流石貴族の食事だ。
「アナジス。上がったわよ。」
「おかえりなさい!ルージス様!」
「えぇ、ただいま。美味しそうね。」
「はい!(≧▽≦)」
「いただきます。」
「、、、そういえば、さっきからずっとニコニコしてるわね。何か良いことあったの?」
ルージス様がご飯を食べながらそう言った。
「友達が出来たんです!」
「誰?」
「雑用人形のケイシーです!」
「雑用人形と友達になったの、、、、?」
「はい!とても、クールな方でした!」
「そうなのね!」
(楽しかったな~、、、、また会えるかな。)
「、、、、会えると思うわよ。」
「?!心を読まれたっ!?能力ですかね、、?でしたら、報告に、、、」
「ストップ!能力じゃないわよっ!」
「え?じゃあ、、、、」
「、、、、顔に出てるわよ。」
「えっ」

「それよりもまた明日会えるって、、、」
「友達になったんでしょ?友達に会いに行くのは普通じゃない?、、、、仕事もあるでしょう。」
「あ!確かに!」
「ご馳走さまでした。」
「えっ、もう食べ終わったんですか?」
「食べ終わったわよ。それじゃあ、私寝る支度をしてくるから片付けよろしくね。」
「はい、お任せください!」
ガチャッ バタン
「、、、、片付けと言っても、ワゴンが来るのを待つだけ。」
(早く来ないかなぁ~。)  コンコン
「はい!」 ガチャッ 
ドアの前に立っていたのはケイシーだった!
「ん、、、さっきぶり。、、、、さっさと、ワゴンの上に乗せろよ。」
「はい!」 コトッ
「オッケー。じゃあな。」
「あ、待って待って!」
「、、、、何?」
「次いつ会えるの?(*>ω<)」
「明日。、、、、俺の受け持ちはここら辺だから、毎日会うと思うよ。」
「!」
「ほら、また明日な。」
「!はい!」ガチャッ バタン
ケイシーside
コンコン  ガチャッ バタン
「只今戻りました。」
「おぉ!おかえり!ケイシー!」
彼は俺の主人のケイ。元気、、、、と言うよりかは豪快で、裏表が無い。そして、、、、生粋の馬鹿。
「ケイシー!俺らいつになったらまた、貴族と世話人形になれるんだ?!」
「だから、後少しだって手紙が来たじゃないですか。もう忘れたんですか?!」
「あ、、いや、えっと、、、、」
流石に言い過ぎたか?ケイ様、縮こまっている、、、、、、。
「、、、、後少しの辛抱です。頑張りましょう。」
「、、だな。」
馬鹿だけど、こういう雰囲気の時は空気が読める。
「さ、、、ご飯はもう食べましたか?」
「っああ!」
「能力の様子は?」
「いつも通り問題無し!」
「体に異常は?」
「無いぞ!」
「元気そうですね。さあ、もう寝てください。」
「おう!ケイシーも早く寝ろよ!」
俺の心配もしてくれる。素敵な主人だ。
「おやすみ!」
そう言うと、彼は寝室に向かった。
(、、、、あんな素敵な主人と出会えただけでも俺は幸せだな。)
いつもは馬鹿で、すぐに物を壊すし無くす。でも、俺が元気が無いときは一緒に寄り添ってくれる。
話を聞いてくれるし、決して俺の事を馬鹿にしたりしない。
「、、、、寝るか」
そう言ってベッドに入るが、、、
「寝れないな。、、、、、夜になるとどうしても思い出してしまう。」
、、、、あれは一年前の事。試験に落ちた日の事だった。
試験内容は、迷路の攻略。合格条件はゴールする事と――――――二人とも能力を開花させる事だった。
『ケイシー!二人で合格しような!』
『勿論です!』
だが―――――――不合格だった。試験内容は1週間前から告知されていたのにも関わらず、俺たちは試験に落ちた。
能力が開花しなかった。ケイ様だけ。
『ごめん。本当にごめん。俺の能力が開花しなかったからっ!』
『、、、、』
仕方ないだろう。努力しても開花しなかったんだから。ケイ様は頑張っていたのに。
能力に関する本を沢山読んでいた。
普段は『えぇーー!?やだっ!本なんて絶対読まないもんねっ!』とか言って読まない癖に、珍しく本を読んで勉強していた。
同期は皆心配していた。そりゃそうだろ。一組だけ合格しなかったんだから。
それから一ヶ月後、ケイ様の能力が開花した。
"炎操術"。炎を操れる。ちなみに俺は"時間操術"。時間を止めたり巻き戻したりできる。

雑用人形になってからは、毎日が忙しかった。朝早くから貴族様の為のご飯を作って届けなければならない。
そうやって過ごしていたある日、一通の手紙が俺達の元へ来た。内容は、後少しで貴族と世話人形に戻れるとのこと。
ケイ様は涙目になりながらも笑っていた。あの顔は忘れられない。
「、、、、寝れないな。水でも飲みに行くか。」
ケイside
「あ"ぁ"ー!!」
「寝れない!ケイシ~、、、、、」
「、、、、、、頼ってばっかじゃ駄目だよな。」
今までケイシーに頼って来た。
流石に疲れてるだろうし、プライドと言うものが自分にもあるんだから、起こしにいかない。
「ケイシー、、、、、、」
俺とお前は正反対。俺は馬鹿だけど、ケイシーは頭が良くて何でもできる。
、、、、初めて会ったときは真反対すぎて仲良くできる気がしなかった。
『基本的に誰とでも仲良くしたいと俺は思っている!』
『?はい。』
『だから、貴族とか人形とか関係無く仲良くしような!』
『、、、、はい!』
それから俺達は一緒に過ごして絆を深めた。

手紙が俺達の元へ来た。内容は、試験のことだった。どうやら能力を開花させなきゃいけないらしい。
試験でケイシーに迷惑を掛けないように沢山勉強していた。きっと能力が開花すると思っていた。
でも―――――現実はそんなに甘くは無かった。
『ごめん!本当にごめん!俺の能力が開花しなかったからっ!』
俺のせいで合格出来なかった。
『、、、、』
ケイシーは何とも言えない表情をしていた。
その時俺は思った。俺はケイシーの主人なのに。能力が開花してないのはどうなのかと。
ケイシーはもう開花していたのに。
「あぁー!寝れねぇ!」
「、、、、水でも飲みに行くかぁ」
ケイシーside
「あ」
「あ、え、ケイシー?」
水を飲みに行ったら、ケイ様が居た。
「、、、、」
「、、、、」
沈黙が続く。とても気まづい。今までこんな風に感じること無かったのに。
どんな時でも一緒に居て気まづいと思うことは、決して無かったはずなのに、、、。
「な、なあ!」
「は、はい!」
「あのな!俺は確かにあの時は能力が開花しなかった!でも、それはもっと努力しなかった俺が悪いんだ!」
「試験に落ちたからってケイシーが自分を責める必要は、無いんだ!」
「ケイ様こそ!試験に落ちたのは!ケイ様のせいじゃありません!!自分を責めないでください!」
俺がそこまで言うと、辺りが静まり返った。
「同じような事考えてたんだな、、、、俺ら。深いところで似てるんだな。」
ケイ様がそう言った。
「そうですね。」
ふと視線をケイ様に向けると目が合った。
「!」
「!」
「クスッ」
「ははっ!」
緊張の糸が切れた気がする。心の靄が晴れたような、、、そんな気がする。
「よし!ケイシー!今度こそ二人で合格しような!約束だ!」
「はい!ケイ様!!」

月が浮かぶ夜に二人は笑いあった。互いの手を握りながら。




3#fin



おまけ:キャラクタープロフィール第二弾
ケイ
ケイシーが仕えている、貴族様。
好きな物 ダンス、ケイシー。←大好き。
嫌いな物 クズ
誕生日 3月27日  階級 初級貴族から雑用人形に。
年齢 14 能力 炎操術  身長 176cm
フェイスベールの色 紺桔梗
性格 元気で豪快。裏表が無い。生粋の馬鹿だが、人形に対して優しい。
容姿 青みがかった短い髪に青藍色の瞳。少し日焼けしている。




ケイシー
ケイに仕えている世話人形
好きな物 謎解き、ケイ様
嫌いな物 面倒事
誕生日 8月5日  階級 初級貴族から雑用人形に。
年齢 14 能力  身長 174cm
フェイスベールの色 紅掛空色
性格 クールで面倒事が嫌い。家事を終わらせるのが早い。
容姿 青みがかった短い髪に群青色の瞳。髪がかかっていて見えないが、涙ぼくろがある。

Re: 世話人形と貴族達#4 ( No.3 )
日時: 2025/09/04 19:17
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

「あ、ちょっとアナジス!」
「はい!」
「そこ、色ムラがあるわ。」
「ぁっ!本当だ!ありがとうございます!クロエ!」
「先輩として当然よ!」
――回想――
コンコン
今日もいつも通りに支度をしてルージス様の部屋に行こうとしていたら誰かが来た。
ケイシーかな?誰だろう、。
「はーい!」ガチャ バタン
「こんにちは!中級世話人形のクロエよ!クララ様に仕えてるの!よろしくね!」
灰色の髪の毛の子が言う。
「え?えっと、、、」
「ああー!ちょっとちょっと!ちゃんと説明してあげないとでしょ!」
現れたのはピンク髪の女の子。
「今日から貴女も外の掃除をするのよ!」
「そうなんですか?!」
「え、知らなかった?」
「聞いてないです、、、。」
「、、、グレースが伝え忘れたのね、きっと。」
「あ、貴女名前は?」
「アナジスです!ルージス様に仕えています!」
「元気な子だー!」
「貴女も同じようなもんでしょ。」
クロエさんがピンク髪の人にツッコミを入れる。
「私はねぇ、中級世話人形のジェイダっていうの!ジェイミー様の世話人形だよ!宜しく!」
「宜しくお願いします!二人とも!」
「はぁい!じゃあ、班長の所に行くよ!」
「はい!」


「レイラーニ!連れてきたよ!」
「おかえりなさい~その子ね?」
「そうそう!、、、グレースは?」
「あの、、、グレースって誰ですか、、?」
「グレースは貴女の同期なの。、、、って緊張してる?」
「はいぃ、、、、」
「心配する必要無いわ。皆優しいから!、、、、、、ちょっと例外もいるけどね。」
クロエさんは困ったように、呆れたように笑った。
「グレースはもう仕事をしてもらってるの。」
「二人は?」
「ああ、リタとリラも。」
「あら、、じゃあ早く行かないとね。」


「三人共~!」
「「はい?」」
「、、、、?」
「新人を紹介しようと思って。」
「「新人?!私達と同期?!」」
「そうよ。グレースも友達になれると良いわね!」
「、、、うん」
「おいで」
「アナジスです!ルージス様に仕えています!宜しくお願いします!」
「「新人のリタ/リラよ!リアーナ/リース様に仕えているの!貴女と同期!よろしくね!」」
「わ、、息ぴったり。よろしくお願いします!」

「グレース。グレイシー様に仕えている。」
「よろしくねっ」
「、、、」
無視、、、、、、?!
「あらあら、、、、ごめんねぇ、、。この子あまり話さないの。根は良い子なのよ?」
「私は好きよ?この子何でも完璧にこなしちゃうんだから!」
「完璧、、、?!」
「そうよ。お掃除はめっちゃ早く終わらせちゃうし、気が利くし綺麗だし、、、完璧じゃない?
 きっと貴族様に大切にされてるんだわ!」
「何か凄いですね。」

「レイラーニよ~レティシア様に仕えてるの~!気軽に話し掛けてちょうだい!」
「宜しくお願いします!」
「元気がある子、好きよ?」
「わああ✨」
「、、、掃除。」
「あらっ、忘れてたわ!」
「ちょっと!しっかりしてよ、班長!ほらもう行きましょう!」
「そうね~」
班長、、、?
「班長?」
「「レイラーニは私達、24班の班長なの。で、クロエとジェイダが副班長。最後にグレースが書記なの!」」
リタ「あの子凄いよね!グレース!」
リラ「書記だよ?班長会議に参加出来るの!」
「そうなんですか?!」
「「そう!ていうか、敬語やめよ!せっかくの同期なんだから!」」
「はーい!」
リラ「そうそう!」
「ちょっと三人共~!置いていくよ~!」
「あ、待って!」
「「それじゃあ、、お先に!」」
「え?!待ってよ~!」

「今日はそうね、、、。グレース、ジェイダ、私が上の掃除。」
「リタとリラは、人形チェック。」
「「やった。」」
「クロエとアナジスはペンキ塗りをしてね。さあ、お掃除開始よ!」
ペンキ塗りってお掃除、、、?
「ほらー!アナジス行くよっ!」
「はい!」
「ごめんね、、クロエ。本当は私がアナジスの授業をしなきゃいけないのだけれど、まだ二人とも上に上がるとき
 フラつくことがあるから、、、」
「大丈夫よ!任せなさい!」
「えぇ!任せたわ!」
「まっかされたー!」
「ほら、そしたら白色のペンキでここら辺を綺麗に塗ってみて!」
サッサッ
「こうですか?」
「そんな感じ!だけど、色ムラが無くなるように綺麗に塗ってね。」
「はい!」
「私は―――」
「クロエ~!」
「あ、レイラーニ!何か?」
「新人には先に上の掃除をさせないと。」
「あ、」
「だから、グレースと交換ね。頑張って~!」
「あ、うん。」
「、、、、」
「ペンキ塗りしよっか」
「コクン」


レイラーニside
「あー!おかえり!アナジスちゃん連れてきたの?」
「そうよ」
「、、、、、、?!本人はどこ?」
「え?」
アナジス?!
「あっ?!」
「アナジス!?落下してる?!」
「班長、、。あんな高さから落ちたら助かりませんよっ?!」
「、、、、、アナジス!」
咄嗟に駆け寄って手を伸ばしたが、、、、駄目だった。
私も諦めかけていた。だけどアナジスの背中が床につく数センチのところで奇跡が起きた。
ブワッとアナジスを中心に花が咲いた。
「能力の開花?!開花ですよね?!レイラーニ!こんな場面を見ることができるなんて!」
「、、、、、」
私は言葉を失っていた。、、、、、死に際で掴んだ能力のカタチ。気づいたら私はクスッと笑っていた。
「え?何故笑ってるんです?」
「あの子、きっと大物になるわ。今年は凄い子達が勢揃いね。」
「??」
「ほら、、アナジスの所に行かないと。」
「、、、エ?!あ、はい?!」
アナジスside
「アナジス!怪我は無い?」
「、、、大丈夫そうです!」
「良かった~!、、、全く。新人が上の掃除なんて危険すぎるわ![起こったような顔をする。]」
「そうよね、、。ごめんなさい、アナジス。」
「えっ?!大丈夫ですよ?!謝らないでください!」
「えぇ、、、」
「、、、報告。」
「報告って、、、何を報告するんですか?グレース。」
「、、、、能力が開花したことを"あの方の秘書様"に伝えるの。」
「そうなんですね。」
「そろそろ、秘書様が来るはずよ。」
バーーンッ!
「えっ何?!何か、、、、」
「落ち着いて、アナジス。秘書様が来たのよ。」
「誰?誰が、開花したわけっ?!さっさと出てきなさい!」
「行きましょうか」
呆れたように笑う、レイラーニ。
「はい!」

「秘書のガーベラだ。ガリーナ様に仕えている。」
「、、、お前か。開花した奴は。」
「はい!」
「名は何と言う。誰に仕えている。」
「アナジスです!ルージス様に仕えています!」
「?!ルージス。、、、お前の主人様もさっき能力が開花していたぞ。[少し顔を歪める。]」
「え、そうなんですか?」
「そうだ。、、、能力が開花したときの様子、どうやって開花した?」
「えっと、、、」
―――説明中―――
「そうか。報告ありがとう。それでは。、、、あぁ、そうだった。」
「?」
「お前の主人の能力についてだが、、、、簡潔に言うと、能力は"鷹"だ。」
「鷹、、、?」
「聞いたこと無いわ、、、」


「そら、、そうだろ。今まで誰も開花しなかったんだから当然だ。」
「そうね、、。」
「それじゃあ、もう行くぞ!体に異変があったら、医療科の所に行くこと!いいな?!」
「は、はいっ!」
そう言うとガーベラさんは行ってしまった。

「「開花かぁ~!良かったね!」」
「うん!」
「これで、試験に落ちる確率も減ったわね~!」
「試験?」
「ちょっとレイラーニ!」
「あら、、口が滑ってしまったわ!、、、このくらいなら、大丈夫よ。」
「、、、、」
「、、、掃除時間、終わる。」
「あら、そうね。それじゃあ、今日の掃除は終わりにしましょう!解散っ!」
「「やっっと掃除終わったぁ~!」」


「あ、アナジスはちゃんと休むのよ。わかった?」
「はい!」
こうして波乱の掃除は幕を閉じたのだった。

4#fin


Re: 世話人形と貴族達#5 ( No.4 )
日時: 2025/09/11 22:01
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

こんにちは~!匿名×2です!『世話人形と貴族達』を読んでくれてありがとうございます!
最後に、""お知らせ""があるので見てください!
では、本編どうぞ!


 ―――――――――――――――――――――――――――
アナジスside
「ルージス様!戻りました~」
部屋は静かで、音がしない。、、、ルージス様は何処に行ったんだ、、。
「ルージス様!戻りましたよ~?、、、、寝てるのかな。」
こっそり寝室に入ると、、、、
「え?、、、、ちょ、、えぇ?ルージス様、、、、?」
ルージス様が倒れていた。
ぇ、、、、な、何で、、、。ど、どどうすれば、、、、
「え、え、、、、、ど、どうしましょう、、!何をすれば良いのかさっぱりわからないよぉ、、、、」
とりあえず落ち着いて、、、













あ、、、、、、、、、、、、
















、、、、そう言えばクロエがこんな事を掃除中に言ってたなぁ。


























『ねぇ!アナジス!』
『はい!何でしょうか?』
『噂の"医療科の織姫様と彦星様"、知ってる?』
『医療科の織姫様と彦星様、、、?』
『知らないの?』
『はい、、、。』
『教えてあげる!医療科一番の美男美女として有名なの!それに、二人に任せればどんな病気でも、一瞬で直っちゃうの!そりゃ、そうよね!陣頭リーダーだもの!当然よね!』
『すごい、、、、、!』
『あ、、そうそう!織姫様と彦星様、どうか助けてください!って言ったら、医療科の人達が駆けつけてくれるのよ!
 もしかしたら、織姫様と彦星様が来てくれるかもしれない、、、!』
『そうなんですか?』
『凄いよね。私達が助けてくれと言ったらすぐに居場所を探知して駆けつけてくれるなんて。』
『私、一回助けて貰ったことあるのよ!』
『え!』
『とても綺麗な方だったわ、、、、、織姫様と彦星様、、。、、どんな人か聞きたい?』[うっとりとした表情で話す。]
『聞きたいですっ!』
『織姫様は、綺麗な黒髪を腰まで伸ばしているの。目は綺麗な翡翠色。』
『わぁ、、、!』
『彦星様は綺麗な銀髪に青い瞳。とっても美しいわ、、、。』
『会ってみたいなぁ、、、、』
『生きていて会えない、なんて事絶対無いから大丈夫よ!』
『え?』
『もう、二人のファンクラブが出来てるし、二人を呼ぶためにわざと助けてください!って言う人もいるのよ!』
『え!それは、、、』
『流石に駄目よねぇ。』[ムッとした表情で言う。]
『でも、いつか会えると良いわね!』



























一か八か、、、叫んでみよう。
「、、織姫様と彦星様、どうか助けてください!」
本当に来るのかな、、?きっと来ないよぉ、、、。
















「はァい、お呼びかな?お嬢さん!」
「カッコつけなくて、良いから。自己紹介だけにして。」
「良いじゃんか~!せっかく可愛い子が居るんだから!」
「フィン様に報告しなくては。」
「駄目ッ?!マジでやめて?!」
「わかったなら、、それでよし。」
黒髪の女性と、銀髪の男性が何も無いところに現れた。



あ、、、多分この人達が、『織姫様と彦星様』だ。



「フィンレーだよ!フィン様に仕えている、上級人形だ!医療科の陣頭だよ!よろしくな![パチッとウインクする]」
「アデラインよ。アデル様に仕えている、上級人形よ。医療科の陣頭なの。よろしくね。」
「あ、アナジスです!新人です!」
「お!新人か。頑張れよ~。、、多分そろそろ試験だしな!」
「、、、さて、、これはねぇ。花弁はなびらが尽きちゃったのかな。」
「だろうね。」
「で、落葉らくようが発生していると、、、、。」
「ヤバいじゃん。」
会話がどんどん進んでいく、、、、。

「てことで、治癒させていただきます~。」
あ、、、!
「大丈夫かな、、ルージス様、、、」
「大丈夫だって!俺達に任せといて!」
「はい、、、!」
「えー、、君はそっぽ向いときな。気持ち悪くなっちゃうかもだから、、」
言われた通りにする。
「さて、、。薬咲花衣やくさきはなころも
手から花びらが舞い落ちる。赤、青、水色、緑、紫、、、
「さて、、ゆっくり飲み込ませないとね。」
ゴクッと飲み込む音がする。
「こっち見てもいいよ~👌」
「ルージス様、、、、」
先ほどよりも顔色が良くなっている。これがこの人の能力、、、?

「あの、、落葉とか、花弁とかって、、、」
「説明しなきゃね。任せたよ、アデライン~」
「えぇ。簡単に言うと、花弁はエネルギー。落葉は凄いエネルギー。簡単に説明するね。」
「お願いします!」
「まあ、花弁は落葉が暴走しないためのストッパーなの。」
「暴走、、、」
「花弁は落葉より力は劣るけど、ストッパーの機能が長けているの。落葉は"能力の本来の力"を引き出してくれるの。
どんなに弱い力でも、落葉を使うと強くなるのよ。けど、その分制御が効かないのよ。勿論、制御が出来て免許証を貰っているんだったら使ってもいいのよ。」
「、、、落葉は何に使うんですか?戦闘以外考えられません、、、。」
「そうね、、、。言って良いわよね?フィンレー。」
「良いでしょ!俺らもこれくらいにこっそり教えてもらったし!」

「世話人形と貴族は中級貴族になると、戦闘訓練を学ぶのよ。任務とかも与えられるし、自由に外を歩き回れるようになるの。」
「(;゚∇゚)?!」
「"光と影"。私達は"光狩り"。結構前から対立しているのよ。まあ、原因は"光"にあるけど。」
「何故対立しているんですか、、、?」
恐る恐る聞いてみる。
「簡単よ。あっちがこちらの王と女王を殺したからよ。いい人だったわ。だから、皆怒って対立し始めたわけ。」
ビクッと震えてしまう。殺した?、、、、今、、殺したって、、、、。
震えていると、いつの間にかやって来た彦星様が頭をポンポンと撫でてくれる。
「大丈夫だよ。でも、流石に怖いよね。殺しなんてさ。」
「、、、私達医療科は援護舞台に属してるの。他にも色々チームがあるけど、中級貴族になってからのお楽しみ。」

「そうですか、、、、。、、必ず"光狩り"に入隊しなければならないんですか、、、?」
「「、、、」」[悲しそうに顔を見合わせて]
「、、、えぇ。そうよ。」[悲しそうに口を開く、アデライン]
「アデライン、、、。」
「でも、必ず戦闘舞台に入らなければいけない、と言う訳じゃないのよ。
 さっき言った通り他にも色々な舞台があるから。」
「あ!次の仕事入ったぞ!」
「それじゃあ、この子は預かるわ。明日には退院できると思う。」
「じゃあな!/じゃあね」
そう言うとまた何もない空間に消えていった。
「、、、どうやって消えてるのでしょうか、、、、、。」

アデラインside
「戻りました~」
フィンレーがルージスを抱えながら言う。
「戻りました。」
「おかえりなさい~!アデライン先輩、フィンレーさん!」
「アデライン先輩、フィンレー先輩おかえりなさい。」
この声は、、、
「ちょっとー!トリック!アーノルド!」
「なんですか?、、、うるさ[ボソッと言う呟く]」
「俺も先輩なんだけど!、、、あと聞こえてるからね?!アーノルド!」
「ちぇっ」
「それに比べて、トリックは可愛いんだから~!」
「先輩、、、やめてください、、。俺可愛くないですよ。」
「えー、、、可愛いじゃーん!」
助けてあげようかしら。
「ちょっと、、フィンレー!手伝って!」
「ああ!ごめん!今行くよ。」
トリックが助かったと言わんばかりに頭を下げている。それを見て少し微笑む。

「、、、さて。ちょっと説明するわね。」
「あぁ。宜しく。」
「あばら骨と腕が折れてる。で、頭も打ったみたい。でも、意識はあるわ。」
「酷いな、、、。」
「ほら、貴方の出番よ。」
「了解。さて、、、、もしもーし!聞こえてますか~?聞こえてたら一回、聞こえにくかったら二回口を閉じてね~」
患者「、、、、、、[ゆっくり口を一回閉じる。]」
「りょーかい。今から手術するけど、口の中に花(薬)を入れるから、口開けといてね~」
患者「[ゆっくり口を開ける]」

「薬咲花衣、、、。」
色とりどりの花がフィンレーの手から舞い落ちる。
「、、、慣れないわ。、、自分の血で怪我治すとか、、、、。」
「仕方ないだろ?そう言う能力なんだから。」
患者が花を飲み込んだ瞬間、瞬く間に傷が治っていく。
患者「な、なおっ、、、、、た、、、、」
「お体に異変はありませんか?」
「な、、、、い、、、、で、す」
「良かった。」
「フィンレー先輩!次めっちゃ来てますよ?!」
「おー!わかった!任せとけ!」
こういう時は頼りになるのよね。手を動かしながらフィンレーを見つめる。
「置いていかれないようにしなきゃ、、、、。」
コイツ、、、成長速度は速いんだから、、、、。
「、、、?何か言った?アデライン」
「、、、、いいえ、何でも。、、、、それより、次の患者さんが待ってるわよ。急がなきゃ。」
「あー!すみません、今いきます!」









今日も織姫と彦星は患者の傷を癒す。









#5fin















おまけ
キャラクタープロフィール第三弾

アデライン

アデル様に仕えている、人形。

能力 サーチ&ワープ
好き 紅茶
嫌い 苦いもの
身長158cm 階級上級人形 所属医療科:陣頭
フェイスベールの色 翡翠色
誕生日 7月7日
性格・その他
THE・真面目ちゃん。怒ると結構怖い。フィンレーとは同期で、仲は良い方らしい。
責任感が強く、常にプレッシャーを背負っている。
容姿
綺麗な黒髪を腰まで伸ばしている。目は綺麗な翡翠色。青緑色のリボンを頭に付けている。

フィンレー
フィン様に仕えている、人形。

能力 花薬愛血かやくあいち
好き 恋愛
嫌い ドキドキしない事。
身長189cm 階級上級人形 所属 医療科:陣頭
フェイスベールの色 瓶覗色かめのぞきいろ
誕生日 8月19日
性格
明るい。とても明るくて、少しチャラい。普段ヘラヘラしているのにやる時はやる、と言うギャップに夢中になる人も続出している。アデラインとは同期で、仲は良い方だと思っている。
容姿
彦星様は綺麗な銀髪。青いどこまでも澄んでいる瞳が特徴的。


・織姫様=アデライン&アデル    彦星様=フィンレー&フィン









☆お知らせ☆
こんにちは~!匿名×2です!『世話人形と貴族達』を見てくださりありがとうございます!!
さて、本題ですが、話数が10を越えたら"ちょっと長めの番外編"を、"これとは別で"投稿しようと思います!
題名などは9話を越えたら発表しようと思います!
ちょっと長めの番外編、ということなので勿論普段は"登場しない"キャラクターも登場するかもしれません!
お楽しみに!これからも皆さんが楽しめるような小説を投稿していこうと思います!それでは!





Re: 世話人形と貴族達#6 ( No.5 )
日時: 2025/09/26 04:47
名前: 匿名×2 (ID: NSUxBWjR)

???side
白ふくろうが窓から入ってくる。そのふくろうは紫色の薔薇を髪に着けている女性の腕に止まった。
「そんで、、、、今年の新人は試験に合格出来んの?」
「知らない!そんなの。、、、まあ、今のところ合格出来そうなのは、、、、」



グレイシー  アグネーゼ   ジャック 



「、、、、の3ペアかな?」
「少な。やっぱり最近のは駄目な不良品ばっかりだな。」[側近のクリフォード&クリス]
「えぇ?私は早く能力の授業をしたいわ!」[側近のシェリー&シェアリー]
「シェリー、いつもそればっかりだよな。」
「別にいいでしょっ?!クリフォード!」
「知らねーよ。」
「ハアッ?!」


「煩いわね、、。」[側近のメアリー&メア]
「それが二人だからな、、、、」[側近のエルヴィス&エルヴィー]
優雅に紅茶を飲むエルヴィスとメアリー。


「サイラス、、、、何やってるの、、?」
「能力についてノートにまとめてたんだよっ!」〈ズイッと近づく〉
「ぎゃっ?!ち、近づかないで?!」[側近のノア&ノアーリ]
「ごめんよ!ノア!」[側近のサイラス&サイリス]
「は、はい、、、、、、」

バーンッ!と音がして、扉が開く。

「ちょっとサイラス!今日提出の書類届いてないけど?!」
「ごめんよ!ガリーナ!ついつい、能力の研究に夢中になっちゃって!」
「そればっかり!この前もそう言って!」

「ほらほら、、、、、落ち着きなさい。もうすぐ会議の時間よ、、?」
ここで最年長のイザベラが登場する。
「ほら、落ち着いて。」
「イザベラぁ~!」
「貴方が悪いのよ、サイラス。」
「えぇ?!Σ(Д゚;/)/」
「当然でしょ!貴方以外皆提出しているの!このままだと側近から引きずり下ろされるわよ!」
「えぇ?!Σ(Д゚;/)/それは、ヤダッ!」
「じゃあ、さっさと書類書いて!イザベラとガリーナが困るの!」[側近のイザベラ&ベラ]
鬼の形相で叱りつける。
「ハイッ!」

白ふくろうを撫でる、イザベラ。すると今度は、鷹が窓から入ってきて、エルヴィスの腕に止まった。、、手紙を持っている。
「貸して、エルヴィス。」
ガリーナが言う。
「、、、、」
無言で手紙を渡す、エルヴィス。少し空気が凍る。
手紙を読み始める、ガリーナだが、、、
「?!、、、、なッ!馬鹿な!」
「何?!」
「、、、、」
その場に座ってしまう彼女。
「エ?!どうしたの?!」
イザベラが駆け寄って、彼女の背中をさする。
「何があったの、、、?」
おそるおそると言った様子で、問いかけるイザベラ。



「、、、、、。悪化、、、、!」



「な、、何が?」



分かってるけど、聞いてしまう。



「光毒、、、、」



「光毒って、、、?!」
「何故王女様が、、、、、?!」
「薬は無いのかい、、、?」
「あっ!」
と、小さな悲鳴が上がる。全員が声のした方を振り向く。
「あ、あの、、えっと、、」
「何か?」
ノア、、、、、ノア知ってます、、、!医療科の薬倉庫に光毒の薬があった気が、、、、」
「今すぐ確認してきなさい!」
「はい!無ければ、医療科が作ります!失礼しましたっ!」
ドタドタと慌ただしく、ドアから出ていく。
「薬があるなら何とかなりそうね、、、、会議を始めましょう。」

「そうね、、、イザベラから良いかしら?」
「どうぞ。」
「次の側近の候補の話だけれど、、、、」
「?」
「候補にレティアを入れていたのだけれど、招待されたみたいで、、、」
「「レティアが?!」」
ガリーナが立ち上がる。少し彼女の周りで風が吹いている。
「「「?!」」」

「えぇ。報告以上。次、シェリー。」
「落葉が異常に多い子を見つけたの!この前ノアと一緒に人形と貴族の血を採取してたら、めっちゃ落葉が多い人形がいたのよ!」
「え、人形?」[イザベラが目を見開く。]
「そう!貴族だと思ったら、人形だったのよ~!リタとリラ!貴族の方は花弁が多いみたい!以上!」

「次、クリフォード。」
「三ヶ月後に来る新人の男女比率についてだが、、、俺的には女子1男子2で良いと思う。」
「そうね、、、今の新人、女子も男子も多いし。[コクンと皆が頷く。]それで決まりね。」[ガリーナが仕切っている。]

「次、メアリー。」
「そろそろ試験の話をしないといけないと思うの。今回の新人[ルージス、ニージェア、グレイシー、
 リリース&リアーナ、イシュメル、ジャック、アグネーゼ。]人数多いし、そこに雑用人形から上がってきたケイも
 入るんでしょう?」
「そうですね。」[ガリーナが返事をする。]
「出来損ないは淘汰されて当然。だから、最低でも9人のうち7人が合格出来るようにしたい。 、、、、理不尽な試験にはしないわ。でも、今回は本当に数が多すぎる。 、、、多い方が確かに良いけど、それだけ衣服やご飯の準備が大変になるのよ。、、、それにこれだけ居たら弱い子も出てくるし。たまに開花しない子が居るでしょ?正直言ってそういう子は要らない。まぁ、今回は能力無しでも合格出来る簡単な試験にしようと思うけどね。」
「、、、貴方が思う簡単と他の人が思う簡単、って結構違うのよ。貴女、試験簡単だから大丈夫大丈夫~、、、とか言って
とても難易度高い試験出して、去年新人絶滅させたわよね。」[ガリーナが冷静に言う。]
「死者も出てたね。五人中三人死んだんだっけ?同期の子達泣いてたよね~」[サイラスがニコニコ笑いながら言う。]
「えぇ?、、、まぁ、気を取り直して、、、そう言うことだから~」
「、、、取り敢えず、試験内容決めたら報告しなさいよ。」
「了解~」




「次、サイラス。」
「はーい。今、館の能力の情報を管理してるんだけど、何か最近開花しない子がほんのすこーし?まぁ、全体の
 0.000001%くらいの子が開花しなかったり、開花が遅くなったりしてるんだよな~」
「、、、詳しく。」[ガリーナの表情が少し険しくなる。]
「多分、あっちからスパイが来てるんだと思う。」
「「?!?!」」











サイラスのたった一言で側近会議室が一瞬にして荒れる。本棚は倒れ、花瓶は割れて、窓ガラスもバリンと割れる。











ガリーナの周りで風が強く吹いている。


クリフォードの手が電気でビリビリしている。


メアリーは至るところを凍らせてしまう。


シェリーは手から炎が出ている。


エルヴィスには自分が持っていた本を爆破してしまった。


サイラスは笑ってる、、、かと思いきや、数センチくらい体が浮いている。彼に関しては感情を抑えている方なのだろう。


イザベラは動揺せず冷静に倒れた本棚などを能力で直している。流石最年長と言ったところだろうか。










「、、、内通者スパイが居ると言うの?」[重い沈黙を破ったのはやはり、イザベラであった。]
「あ、うん!そう!、、、大人になったら婚姻するだろ?」
「そうね。」[まだ落ち着かないガリーナや他の側近の変わりに会議を進める。、、、側近にとって"光"の存在は会議室が一瞬にして荒れるほどの衝撃的なワードだったのだろう。]
「多分それで光のスパイと婚姻して結婚したんだろうな。、、、光は影とは違って能力の開花が遅いし、開花しない人が多いんだよ。」
「そうなのね。」
「だから、遅くなったり開花しない子が居るんだろうな、、、。まぁ、でも医療科か研究科がどうにかして、次の側近会議までに何とかするよ!報告以上!」


「次、エルヴィスだけど、、、大丈夫?」
「あぁ。大丈夫だ。、、、俺も同じような物なんだが、最近城の外を見回ってると光軍と衝突することが多くなった。
 まるで、こちらの動きが全て知らされてるかのようだった。こちらの、切り札や隊員一人一人の能力があちらに
 バレている。多分内通者だろう。報告以上。」
側近達が息を飲むのがわかる。

「最後に、、ガリーナから、、良いかしら?」
「えぇ。」
「、、、ちょっと話の雰囲気が変わるけど、試験同様にダンスパーティーが近づいてるのよ。」
「あ、ほんとだ。」[シェリーがカレンダーを見る。]
「それの準備も進めなきゃと思って。大広間で行う予定だから人形達には沢山働いてもらう予定よ。
 そこで例年通り、新しい側近、昇格・降格した人、"招待"された人を発表する。、、、現状維持の人は何も言わないわ。
 言うことないし。飾りつけに関しては、雑用人形も手伝わせるわ。報告以上。」




「質問、意見がある者は?」
誰も手を挙げない。
「、、、それでは、第五十六回!側近会議を終わる!解散!」
人形のガーベラを連れて真っ先に会議室を後にする、ガリーナ。
「ねーえ!メアリー!お茶しましょうよ!イザベラも!ガリーナは、、、、、行っちゃったぁっ!」
「「勿論!」」
「そうと決まれば行くよー!」[ダッと廊下を走る、シェリーとシェアリー。最年少らしい、笑顔で。]
「あ、ちょっと待ってよ!」[メアリーとメアも走り出す。]
「え、私置いてけぼり?」[小走りで二人を追う、イザベラ]




一方他の側近は、
「、、、、、、何で俺たちが、、。」
「仕方ないだろ、、、。ガリーナとイザベラに言われたんだから。」
「あ、二人とも頑張ってね~じゃあ、俺も先に――――――」
サイラスの肩をギギッと掴む、クリフォードとエルヴィス。
「「お前も掃除するんだよ、馬鹿が。」」
「大体お前が合図も無しにあんなこと言うから、、、」
クリフォードがブツブツ文句を言う。
「お、俺?」
「お前以外誰がいるんだ?」
「、、、、イマセン。スミマセンデシタ。」
「さっさと片付けしろ、片付け!」
「ハ,ハイ」
すっかり縮こまってしまったサイラスであった。






ガーベラside
ガリーナの部屋にて、看病をしている、ガーベラ。
「、、、、お体の調子はどうでしょうか、、、?」
「ガーベラのおかげで良くなってきたわ。ありがとう。」
「いえ、ガリーナ様に仕えることが私の仕事なので。」
「、、、、、、」
ガリーナ様は、体が弱かった。
当然病気にかかったら、治るまで三週間かかることもある。
少し、、、看病してる時に私を苛立たせるのは、ガリーナ様が謝ってくることだった。
私は別に謝られたい訳でも、感謝されたい訳でも無い。ただ単に、彼女が自分の主人だから、看病しているのに。
、、、、、、大切だから、、大好きだから、壊れてしまわないように、看病しているのに。


、、、こんなことは、口が裂けても彼女には言えない。、、、、、、だって私は人形。


チラリとガリーナを見ると、彼女の薄緑色の目とガーベラの紅碧べにみどり色が合う。


「?どうかしました?」


この気持ちは、、、、、こういう気持ちは、二年前から伝えられなくなった。
何故だかわからないけど、伝えようとすると、つっかえて口から出てこない。
そうして、はぐらかすから、結局伝えられないまま。

「いえ、何でもありません。」
ほら、また。
伝えられない。
悔しくなって、俯く。
悲しくなって、手を握りしめる。
心配そうに、自分の主人はこちらを見ている。
、、、、こう言うところが大好きで大切でたまらないんだろう。
愛おしくて、たまらないんだろう。
もっと、、もっと、、もっと、自由に、、、、、、自由に年相応の事をして欲しいと思ってしまう。
彼女はまだ、"13"歳なのに一年で側近に上り詰めて、仕事と責任に押し潰されそうになりながら生きている。
、、、、、、確かに、階級に年齢は関係無い事は知っている。分かっている。
だけど、もっと遊んで欲しい。、、、、13歳の私が言えることでは無いと思うけど、、、、、、、
でも、それでもこんなに若いのに仕事をしている所を見ると、やっぱり遊んで欲しい、自由にして欲しい、今を楽しんで欲しいと思う。
でも、側近は彼女が夢見た階級。
日々頑張って能力の工夫をして、誰よりもこの館に貢献して、同期を、、、皆を気遣って、、、、
そうしてやっと側近になったんだ。だから、、、この思いはきっと彼女の邪魔にはなってしまう。


だから今日も、、、、今日もこの思いは心の奥底に閉じ込めて、ガリーナ様に仕える。
いつか、、、この思いを伝えられたら、、、、、、とても幸せなんだろう。
とっても、、、とっても、ちっぽけだと思うけど、、この思いを伝えるのが今の私の"本当の夢"。
彼女ガリーナは寝てしまったようだ。
、、、、、、ベッドの脇には私がプレゼントした青色のアスターの花が飾られている。
「、、、いつ気がづいてくれるんでしょうか。」
言葉で伝えられなくたって、他にも方法がある。
そんなこと昔から知っている。















少女は一人孤独に、自分の主人を見つめる。
外では少女の気持ちを表すように、ポツリポツリと雨が降りだしていた。

















#6fin







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