ダーク・ファンタジー小説
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- 天冥裂界#6
- 日時: 2025/09/03 12:04
- 名前: will (ID: gobBUkxM)
第十二章:夜明けの決意 凛たちは荒れ果てた廃墟の中、静かに立ち尽くしていた。 空は重い雲に覆われ、遠くで雷鳴が響く。ここが、すべての始まりの場所――かつての神々が眠る聖域だった。 神谷 風雅:「この場所……何かが違う。静かすぎる」 神楽 悠真:「油断するな。何が待ち受けているか分からない」 月影 凛は深く息を吸い込み、羽根の光を確かめる。 月影 凛:「瑞羽月詠の導きがここまでだった。これからは自分たちの力で進むしかない」 三人は決意を新たに、廃墟の奥へと歩みを進めた。 彼らの背後で、空が一瞬だけ明るくなり、新たな闘いの幕が上がる。
第十三章:聖域の目覚め
廃墟の奥深く、三人は静寂の中に潜む不穏な気配を感じ取っていた。
凛の羽根がわずかに震え、風雅の雷が微かな光を放つ。
神谷 風雅:「あの闇の力は、まだ消えていない……むしろ、ここで増幅されている気がする」
神楽 悠真:「気をつけろ。罠かもしれない。油断すればすぐに狙われる」
月影 凛:「瑞羽月詠、もっと力を貸して……!」
凛が羽根を胸にあて祈ると、月詠の声が優しく響いた。
瑞羽 月詠(声だけ):「真の敵は、闇の中で眠る者。目覚めさせてはならない。力を合わせ、封印を守るのだ」
その瞬間、廃墟の地面が揺れ、中央にあった古代の石碑が光を放ち始めた。
暗闇から無数の影が湧き上がり、三人を取り囲む。
神楽 悠真:「またか! だが、俺たちは負けない!」
風雅が雷を帯びた拳を振るい、凛は羽根の炎で炎の輪を描く。
三人は闇の影を一つずつ倒していく。
しかし、影の中から巨大な黒い手が現れ、悠真を掴みかけた。
月影 凛:「悠真!」
凛が全力で羽根の光を放ち、黒い手を焼き尽くす。
神谷 風雅:「行くぞ、みんな!この封印を守りきろう!」
光と闇の激しい交錯の中、三人は最後の決戦に挑む。
運命の扉が今、開かれようとしていた——
第十四章:雷鳴と笑い声
霧深き塔の内部に足を踏み入れると、そこはまるで異界だった。
石造りの回廊には、時の止まったような静寂が満ちている。
天井からは無数の蔓が垂れ、壁には古代文字が浮かび上がっていた。
灯りのないはずの空間なのに、どこか青白い光が漂っており、まるで塔そのものが呼吸しているようだ。
月影 凛:「……ここ、空気が変。なんだろう、胸がざわざわする」
神谷 風雅:「この空間、時空の歪みの中心に近い。精神も試される」
そんな緊張感漂う中、やけに軽い声が響く。
神楽 悠真:「うわ〜〜雰囲気ありすぎ!こういうのってホラー映画だったら、俺が真っ先にやられるやつじゃん?」
月影 凛:「やめてよ、フラグ立てないで〜」
神谷 風雅:「……本当にお前はどこでもマイペースだな」
悠真は肩をすくめて剣を片手に振り回しながら、ひょいと前を歩き始める。
神楽 悠真:「だって緊張してばっかじゃ、呼吸もできなくなるだろ?怖い時こそ、笑っとけってさ」
塔の奥へ進むにつれ、音も匂いも歪んでいった。
石床を踏むたびに、金属のような音が反響し、壁の模様が微かに動いて見える。
そして、その空間の中心。
半壊した礼拝堂のような広間で、ついに“それ”が姿を現した。
暗闇から這い出るようにして現れたのは、黒く濁った“影の獣”。
その姿は獣でありながらも、人の顔のようなものがいくつも浮かんでいた。
ひとつひとつの顔が怒り、憎しみ、嘆きを表し、低く、呪うような声で呻き続けている。
月影 凛:「……これが、闇の核……?」
神谷 風雅:「いや、まだ"核"には至っていない。けど、放っておけば暴走する」
影の獣は咆哮とともに触手のような腕を広げ、三人に襲いかかる。
神楽 悠真:「よっしゃ、派手にやろうぜ!風雅、俺に雷ちょっと分けてくれ!」
神谷 風雅:「またか。……構えろ、いくぞ!」
風雅が雷の符を掌に浮かべると、そこから悠真の剣に雷光が流れ込む。
剣がビリビリと音を立てて震えた。
神楽 悠真:「っしゃああああ!雷エンチャ、俺のテンションもMAXだ!」
月影 凛:「じゃあ、私は炎でいくよ!」
凛が両手を掲げると、空中に魔法陣が現れ、そこから蒼炎が渦を巻いて放たれる。
炎と雷が交差するその瞬間、塔全体が低くうねるような振動を見せた。
影の獣が咆哮しながら迫る。
凛は一歩も退かず、羽根の光を翳した。
月影 凛:「月詠の光よ……導いて……!」
羽根がまばゆい銀光を放ち、獣の表面を焼くように照らす。
神谷 風雅:「今だ、攻めるぞ!」
三人は息を合わせて走り出す。
悠真が獣の注意を引きつけるように跳び回り、
風雅は雷の槍を次々と投げ、
凛は後方から炎と光の支援を送り続けた。
混沌とした戦場の中、悠真は軽口を叩くことを忘れなかった。
神楽 悠真:「なぁ凛、もし俺がこのままカッコよくやられても、泣くなよ?」
月影 凛:「……やられないでよね、絶対!」
神谷 風雅:「くだらない会話してる暇があったら、脚を動かせ!」
そしてついに——
凛の放った光の矢が、悠真の雷撃と交差し、獣の中心核に突き刺さる。
影の獣が叫びとともに崩れ、広間は沈黙に包まれた。
ほんの少しの静寂の後、悠真が両手を広げて言った。
神楽 悠真:「……やっぱ俺ら、最強じゃね?」
月影 凛:「うん、最強コンビだよ!」
神谷 風雅:「……こういう時だけは、否定しないでおくか」
塔の天井から、ひと筋の光が差し込んだ。
それはまるで、闇の中に差し込む夜明けのようだった。
第十三章:廃墟に響く風の歌
空はどこまでも灰色に染まり、重たい雲が鉛のように垂れ込めていた。
冷たい風が森の間を吹き抜け、枯れ枝や枯れ草を揺らす。遠くで鳴る鐘の音は、どこか寂しげで、まるでこの世界の哀しみを表現しているかのようだった。
三人はその廃墟の入り口に立ち、静かに息を吐いた。
神楽 悠真は、崩れかけた石柱を指さしてニヤリと笑う。
神楽 悠真:「ここさ、なんか廃墟マニアにはたまらないスポットなんじゃない?崩れた壁、倒れた柱、荒れ放題の庭……入場料無料だしな!」
月影 凛は小さく笑いながらも、真剣な目で羽根を握りしめた。
月影 凛:「悠真、ふざけてばかりじゃだめだよ……ここは、かつて神々が住んでいた聖域だったんだ。静かな空気の中にも、強い力が眠ってる気がする」
神谷 風雅は、厳しい表情で周囲を見回した。
神谷 風雅:「確かに、この風も普通じゃない。どこか懐かしくて、同時にざわついている。まるで何かが目を覚ますのを待っているみたいだ」
悠真は肩をすくめて、冗談めかして言った。
神楽 悠真:「風雅、お前また詩人モードかよ。そんなセンチメンタルな感じ、似合わないって」
風雅は軽く眉をひそめながらも、笑みを浮かべた。
神谷 風雅:「お前こそ、いつまでそのおちゃらけキャラ続けるつもりだ?まったく、緊張感が足りねぇよ」
凛はふたりの間に入って、静かに手を掲げた。
月影 凛:「まあまあ、ふたりとも。今はそんなことでケンカしてる場合じゃない。私たちには、まだ知らないことがいっぱいあるんだよ」
三人は、崩れた石段をゆっくりと上り始めた。
石の表面は風雨に浸食され、滑りやすくなっている。風がさらに強まり、枯れ葉が舞い散った。遠くの鐘の音が、ひときわ大きく響く。
悠真は顔をしかめて耳を澄ます。
神楽 悠真:「おっと……この鐘の音、なかなか悪くないな。俺の好きな曲調とは違うけど、雰囲気はバッチリ出てる」
凛は胸元の羽根をぎゅっと握り締め、瑞羽月詠の声を思い出していた。
月影 凛:(心の中で)「この羽根は、私たちの道を照らす光……。今こそ、その力を信じる時」
風雅は剣の柄を握り直し、前方をじっと見据えた。
神谷 風雅:「みんな、気を引き締めろ。ここから先は、何があってもおかしくない。俺たちの力が本当に試される時だ」
突然、強い風が巻き起こり、枯れ葉が渦を巻くように舞い上がった。
そして、廃墟の奥にある朽ちた大門が、ギシギシと軋みを上げてゆっくりと開いた。
悠真は肩をすくめ、笑いながら言った。
神楽 悠真:「よっしゃ、歓迎ムードは悪くないな。まあ歓迎されてなくても、俺たちは迷わず進むけどな!」
凛は力強く頷きながら、輝く羽根を高く掲げた。
月影 凛:「みんな、これからは自分たちの力で道を切り開くんだ。怖くても、進むしかないよ」
風雅も剣を抜き放ち、三人は揃ってその門をくぐり、新たな冒険へと踏み出した。
廃墟の闇が彼らを包み込み、風の歌は彼らの背中を押すように響き渡った——