ダーク・ファンタジー小説

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罪滅星
日時: 2025/11/09 15:15
名前: 昆布の優男 (ID: 57ZTMspT)

「ユキト、そろそろ行こう」
全身黒の羽毛や鱗に覆われた、目のない怪物がいう。
無垢な瞳の人の子、ユキトは嬉しそうに頷いた。
「次はどこに行くんだ!?くろー!」
目を輝かせ、つたない言葉でユキトはいう。
「…次は…大きな町だ。シューライラというところだよ。」
大きな黒鳥の怪物、クロウはいった。
怪物とは思えないほど柔らかい口調だ。
一人と一体は旅をしていた。

ーーークロウの視点ーーー
クロウとユキトの出会い

初雪の日だった。雪が喧騒を呑み込んでいくような、
そんな静かな日だった。
一人の少年とその傍らに倒れた女がいた。
きっと、その女は少年の母親なのだろう。
狼達が集っていく。
その光景はとても堪えられるものではなかった。
女はもう、死体となっていたのだ。
俺はそこに寄る。そうするだけで狼は去っていった。
それほど俺は人とは遠い存在になってしまったのか。

少年は女にすがる。可哀想だ。
今俺がこの子に近寄れば、この子は怯えるだろうか。
それでも、放っておくことが到底できる状況ではなかった。
「少年」
少年は驚いていたが、すぐに女を庇う体勢になる。
「…そう怯えないでくれ。」
大きな黒い手で北を指差す
「あの方向をずっといけば、教会が見えるはずだ。」
少年は震える声でいう
「でも、母ちゃんが」
死んでると分からないのか?
まあ、幼子ならば仕方がないだろう。
「君の母親は少し疲れてしまっただけだ。すぐに追い付くさ」
少年は少し安心したように息をつく。
怪物が目の前にいるというのに。
落ち着いていたのも束の間、少年はすぐにいう。
「でも、教会はやだよ。母ちゃんも教会は信じちゃ駄目っていってたもん!」
困ったものだ。どうしたものか。

少しならばいいだろうか。
この子を安全なとこに送り届けるまで。
怪物が少しくらい夢を見たって。
人間でありたいと願ったって。
「…そうか。ならしばらく、俺と一緒にくるか?」
「!…うん!」
少年は明るく頷く。


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