ダーク・ファンタジー小説

Re: 神が導く学園生活 ( No.12 )
日時: 2022/02/23 18:12
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Ga5FD7ZE)

《クロ》

「それではファミリア召喚を始める。」

白髪に黒のメッシュが入り、長いポニーテール。鋭い目に、1番目が引くのは…頭の黒い角だ。
黒い角といえば悪魔の象徴。思い描いただけでも吐き気がする。
それが先生に着いているということは…

「俺の名前はチェック・トイフェル。見ての通り悪魔だ。」

悪魔…!殺さないと。
俺を含める生徒全員は攻撃を構える。全てトイフェルに向けてへの攻撃だ。魔法を構えるものもいれば剣や槍を構えてる人もいる。しかし、構えてないのはラナとコウの約2名だけだ。
なんで悪魔がいるのに攻撃を構えないのだ?いや…ラナが構えてないのならば俺も構えないべきなのか。いや、悪魔は殺すべきだ。
俺は構えている闇魔法の威力を更に強める。

「はぁ。毎年毎年騒がしいことだ。来るならこい。」

すると俺ラナ、コウ以外の生徒全員がトイフェルに攻撃を与える。闇魔法、土魔法、風魔法。様々な魔法の他、槍や弓矢等が飛んでいく。俺は…攻撃出来なかった。悪魔よりラナをとってしまったのだ。不甲斐ない…
それよりもアインスは力が弱いもののここには1000人もの生徒がいる。流石に溜まったものじゃないだろう。

「ふん。」

するとトイフェルの周りが闇で覆われる。あれは…闇魔法最上級魔法 参・闇時?空間や時間を操る魔法であるため、空間を遮断して攻撃を防いだり、跳ね返したりできる。
そんな魔法が使えるなんて…何者だ?

「これで分かったか。これが俺の力だ。分かったら構えを外せ。無駄な事だ。」

今の出来事にぽかんとした俺らは仕方なく武器や魔法を下ろす。

「さて自己紹介しよう。国家宮廷魔導師の悪魔。チェック・トイフェルだ。チェック先生と呼ぶように。俺は特別に悪魔として国家宮廷魔導師に着いている。毎年正道光魔法学園のファミリア召喚を担当している。」

悪魔が…先生?考えたくもない。なんで悪魔なんかが国の有数の魔道士、国家宮廷魔導師についてるんだ。国は何をしている?意味がわからない。

「そして、俺に攻撃をしなかったそこの2人」

するとラナとコウにスポットライトが照らされる。これは候魔法?
そうかトイフェルは悪魔だから闇魔法と、個人の適正魔法が使えるんだ。なんで悪魔なんかが2つの属性の魔法を使えるんだ…
それよりもラナとコウは大丈夫なのか?!コウはともなく、ラナは何がなんでも守らないと…!

「な、なんですか…」

コウは僅かな抵抗として先生を睨みつける。ラナは何もせずに黙っている。もしかして緊張しているのか…?

「ほう…これはおもしろい。」

するとトイフェルがコウに近づき、顎をクイッと上げる。コウが危ないな…一応魔法は構えとくか。

「君はなんでここにいるんだい?」

「…」

トイフェルの問いかけにコウは黙っている。コウは…怯えている…?

「ふむ。じゃあ何歳だ?」

「10歳だ。」

トイフェルの問いかけに次はちゃんと答えるコウ。いや、俺らアインスだから10才しかここにいないんだが…

「そうか。俺は500歳だ。若造。」

トイフェルはコウの顎に添えていた手を振り払うとはははと笑いながら言った。

「まあ、裏切り者同士仲良くしよう」

「それってどういうことですか」

コウは威嚇とも捉えられる鋭い言葉をトイフェルにぶつける。トイフェルは鼻を鳴らすと次はラナに近づいた。
なっ…!ラナには近づかせないぞ…!

「ドゥ・オプスキュリテ!」

俺は精一杯の闇魔法をトイフェルにぶつけながらラナの前につく。

「おやおや、王子様が現れてしまったよ…いや、番犬と言うべきか?」

トイフェルは俺の魔法を軽々消した上でケラケラと笑いながら俺たちを見る。番犬って…牙狼族だということがバレたってことか?いや、そんなはずは…

「で、白髪に緋色の目の君。君は何者だい。」

トイフェルはラナに問いかける。俺が守っているためか、それともからかっているのかトイフェルはわざとラナに近づかずに問いかけた。

「私はラナンキュー・ローズ。人間です。」

ラナは動じることなく無表情で淡々と告げる。
さすがラナだ…!正体不明の悪魔なんかに怯えず堂々といるだなんて…!

「そうか。少なくとも俺はローズのような容姿の種族は知らない。」

「私は人間です」

「人類か…まあそういうことにしてやるよ」

トイフェルはやれやれとした動きをしながら定位置に戻っていく。

「いや、今年は俺に攻撃しないやつが2人もいて驚いた。例年は全員俺に攻撃してたからな。まあ、そんなことは置いといて召喚やるぞ。」

トイフェルは何かの魔法陣が複数書いてある場所に立つ。

「今からこの魔法陣でファミリアの召喚を行う。ファミリアとは、今から俺たちが奴隷として扱う妖精だ。そいつを召喚して1年契約を結ぶ。その間に使いこなせ。」

妖精…か。聞いたことはあるが会ったことはないな。なんせ温室育ちなものだから。確か人類以上に知能を持つ妖精や魔物のように知性なく暴れる妖精など様々な妖精がいるらしい。俺はどんな妖精がファミリアになるのだろうか…

「やり方は簡単だ。この魔法陣に立ってファミリアが欲しいと願え。そしたら現れるだろう。以上。クラスが書いてある魔法陣に出席番号順に並べー」

結構簡単なんだな。なんか長い呪文を詠唱しなきゃ行けないとか高難易度の魔法を唱えなければならないとレッテルを貼っていたがどうやらそうでも無いらしい。
そして複数魔法陣があるのも1000人の生徒をさばききれないためだろう。
俺は自分のクラスの最初あたりに立った。なんせ名前の頭文字が「あ」のため出席番号は前から数える方が早い。

前の人達は魔法の上で俯くと光に覆われ、気づいた時には目の前にファミリアがいる。という状況だ。俺もあんな風になるのかな…あ、俺の番が来た。
俺は魔法陣に歩みを進めようとする…前に
俺はトイフェルに気づかれないように無口頭魔法をトイフェルにぶつけた。しかしトイフェルはそれを容易く消してみせる。
やっぱり無口頭魔法は威力が低くなってしまう。

「無駄な事しないで早く行け」

トイフェルは俺に鋭い目付きをし俺を見つめる。俺は軽く舌打ちをすると素直に魔法陣の上に立つ。もし俺が襲われてもラナが守ってくれる…はず!
俺は少し恐怖を覚えつつ目をつぶり心でこう唱えた。

『ファミリアが欲しい。特にラナのような!ラナの様な!』

そう唱えた瞬間俺の周りが光で包まれる。あれ、それにしても俺の周りの光他のみんなより強くないか?
眩しすぎたため俺は目をつぶったが、まぶた越しでも明るさが俺の瞳を指す。

「ほう。おもしろい…」

トイフェルがふふっと呟く。
聞こえてるからな!いいから何とかしろよ…!
俺はそう思った瞬間どんどん光が薄れていく…
俺はうっすらと目を開けると…そこには…
何かがいた。
えと、トカゲみたいで手足と羽が生えてて角が生えている。色は緋色の目に白色で羽や手足はうっすらと水色になっている。
なんだ…この生物は…?

「ほお。これは…竜だな。それに見たことがない竜だ。犬っころよ。一体何を願ったのだ?」

いや、特にこれといったことは思って無いのだが…

「どうせラナみたいなファミリアが欲しいとでも思ってたんじゃない?」

俺の召喚で周りがシーンと静まっていた中タミの澄んだ声が響き渡る。
確かにその通りだがそれのどこがおかしい事なんだ?

「このっ、バカ!」

するとトイフェルが俺の頭を拳で殴る。

「いてっ」

俺は結構痛かったため思わずそう言ってしまった。なんで殴るかなぁ。

「ファミリアは本人の意思に左右された妖精が現れる。しかし、ローズのような得体もしれない奴が欲しいと願ってみろ!思いの強さによっては新種の生物が現れたりするんだぞ!」

「んな事聞いてねぇよトイフェル!」

「チェック先生と呼べと言ったろう!」

それにしてもさすがラナだ。俺が願っただけで新種の妖精を現すことが出来るだなんて…!

「あぁ、もういい、鑑定してみるか。」

するとトイフェルが俺の竜?に手をかざす。
するとトイフェルのてから魔法陣のようなものが浮かんできた。

「竜。名前なし。属性不明…か。お前本当飛んでもない竜を呼び出したものだ…ファミリアは本来妖精を呼び出す儀式なのだがな…」

トイフェルは俺たちの前で初めて困った顔を浮かべる。
うん!さすがラナだ!ラナのおかげだ!ラナ最高!

「お前…何考えてるんだよ…」

次はファミリアは俺に呆れた。
え、おい。俺に呆れる所なんてあったか?

トイフェルはハハッと笑うとファミリアの竜を、俺に差し出してくる。

「竜とはいえお前のファミリア。奴隷だ。好きにするといい。まあ力は未知数だがな。」

俺の…奴隷。いや、ラナのような竜を奴隷になんてできない。逆に俺が奴隷になる側だ。俺は竜の前で跪いた。

「バッ!お前何やってるんだ!」

俺はトイフェルにまた殴られた。なんかい殴れば気が済むんだ?!それに悪魔と言っても教師が殴っていいのかよ!
クソっこれで攻撃が効かないから憎たらしい!

「ラナの竜なら頭を下げるのが当たり前だ」

「これはお前の竜だ!あぁもう。なんで新種の竜を呼び出したやつがこんな変態なんだよ…」

ファミリアはそうして頭を抱える。なんで俺は変態って言われるんだよ…!

「キャウッ」

竜はそう声を鳴らすと炎を口からボワっと出す。炎系統の瞳に天系統の純白な鱗に水色の羽や足の鱗。本当ラナみたいだよな!可愛いし美しいし麗しい!
俺は思わず竜を抱きしめてしまう。

「キュウ…!キャウッ!」

竜は苦しそうな声を上げるが、いつもラナには避けられるから抱きしめられた嬉しみを噛み締めた。

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