ダーク・ファンタジー小説

Re: 神が導く学園生活 ( No.3 )
日時: 2022/01/09 23:45
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: hAr.TppX)

第一章 入学式編

入学式が終わり、アインスの俺たちはクラス分けをされ各クラスに新たな学園生活の説明を受けていた。

「ではこの世界の基礎知識から授業したいと思います。この世界には魔素という全ての元になる物質で溢れています。その魔素によって私たちは魔法を使うことができます。」

すると先生が人差し指から小さな炎を生み出す。
アン・フゥル だ。炎系統の灯魔法。初級中の初級魔法だ。俺は炎系統の魔法適正は無いから初級中の初級でも使えないんだがな。

「これはアン・フゥル 炎系統の灯魔法です。」

俺が思っていたことと同じことを先生が言う。

「先生!系統ってなんですか!」

金髪に褐色肌。耳は尖っているためエルフ…だろうか?

「カタバミさん。いい質問です!」

エルフ。天使の突然変異のため、周りからエルフと言うだけでチヤホヤされるうらやめしい種族だ。

「系統というのは魔法の大まかな種類です!魔法を大きく分けると水系統 炎系統 地系統 嵐系統 雷系統 天系統 光系統の6種類があります。そこから派生して氷魔法。風魔法。気魔法があります。黒板に魔法の図を書くのでノートに書いてくださいね。」

そう言うと先生は黒板に文字を図を書き始めた。

『【魔法属性】
 
 青 赤 茶 緑 黄 白 黒

 水 炎 地 嵐 雷 天 光  
/  /   |  |  \  \  \
氷  火  土  風 電  候 闇
|  |     \   |  /
霜  灯    \  |  /
          気      』

なるほど水系統は上から水、氷、霜魔法。
炎系統は上から炎、火、灯魔法。
地系統は上から地、土魔法
嵐系統は上から嵐、風、気魔法
雷系統は上から雷、電、気魔法
天系統は上から天、候、気魔法
光系統は上から光、闇魔法。

結構多いんだな。俺は少し焦りながらノートに書き記す。するとじわっとノートに汗が滲む。
俺は闇魔法使いだから光系統は覚えられるが他の魔法。特に天系統や嵐系統が覚えづらい。

「次はこの世界のランクと、学園のランクについて説明しまひゅっ」

先生噛んだ。案外可愛いんだな。俺はクスッと笑うと周りが少しザワつく。特に女子が。
自画自賛になるけど俺って結構顔良いのかな。いや、俺が絶滅危惧種の、牙狼族のハーフだからか。さっきエルフの種族がうらやめしいとか言ってたが、俺も大概だな。

「おっほん!では世界のランクについて説明します!これもノートに書いて下さいね!
この世界にはS〜Hまでランクがあって、ランクが高ければ高いほど強くなります!」

先生が得意げにクルクルと回りながら説明をする。クルクルと回ってるのにスラスラと黒板に文字をかけることに疑問を抱く。

「センセー!Sが1番サイキョーってことですか!」

白い肌に赤髪緋色の目の少年が手を挙げて質問をする。歯がギザギザして目つきなすごく悪い。悪魔みたいだ。ー悪魔ー聞いただけでも吐きそうな存在だな。

「そ、そうですね」

先生も同じことを思ったのか少したじろぐ。

「確かにSが強くて最強ですが、Sは基本神話、伝説級のモンスターに付けられるランクですね。今から先生基準でランクを書いてみますね!」

また先生が、スラスラと黒板に文字を書いていく。

『S 伝説級レベル
 A 凶悪モンスターレベル
 B 偉人級レベル
 C 騎士級
 D 成人級
 E 学生級
 F 学生級
 G 幼稚園級
 H 老人、赤ん坊級』

ふむふむ、てことはBが人類の最強って所なんだな。俺は人生で Dまで行けたら満足だ。「アレ」をしたらB、もしくはAランクぐらいにはなりそうだ。そうならないように気をつけないと。

そう思いながら俺はノートに書き留めていく。

「皆さんかけましたかね!覚えることが沢山ですが次行きますよ!次は学園のランク、学年についてです!」

先生はチョークを手に空へ突き上げ、片方の手を腰にやってポーズを決める。可愛いけどその歳でそのポーズはちょっと気持ち悪い。ごめん。先生。

「まずは学年について。私達の学年は白色のアインスですね!」

そう言いながら先生は黒板に学年ランクを書いていく。

『1 eins アインス 白
 2 zwei ツヴァイ 黄
 3 drei ドライ   緑
 4 vier フィーア  桃
 5 fünf フゥンフ 紫
 6 sechs ゼクス  青』

先生は丁寧に学年カラーも一緒に書いていく。もしかして俺たちの制服が白なのも学年カラーが影響してるのか?
俺たちの制服は白のワイシャツに学年色のブレザーに大きなローブだ。

「では次!学園のランクです!」

そろそろこの授業にも飽きてきた。何個ランクがあって覚えなければならないんだろうか。周りの生徒もうんざりしていたのだろうか。どんよりとした空気が流れる。その時、事件は起こった。

「わっコラ!スライム!」

後ろの席の少年の机からテニスボール程の大きさのスライムが飛び出してくる。きっと授業が退屈で机の中で遊んでいたのだろう。
ースライムー基本テニスボール程の大きさの魔素の塊。確かHランクで幼稚園児でも倒せるモンスターだった気がする。

「こら!授業中にスライム持ってきちゃ行けません!処理しなさい!」

先生は頬をプクーと膨らませ怒る。うん。可愛い。恋愛対象とかにはならないけど愛らしい動物を見ているようだ。俺も牙狼族なんだけどな。

「はぁい。ごめんなスライム。アン・ゥロウ」

アン・ゥロウは水魔法の初心者向け魔法だ。スライムは魔素の塊だから魔素を固めて作られた魔法をスライムにぶつけると消滅するのだ。

「あ、ダメっ!」

先生が何故か焦っている。どうしたんだ?俺は涼しく見ている。
するとスライムがみるみるうちに大きくなっていく。

「スライムは水を吸う性質なんです!大きくなったスライムはCランクにも相当するんですよ!」

Cランク...騎士に相当するってことか?!スライムが!
今そんなスライムがきたら不味い!

スライムはみるみる大きくなり、130cm程になる。これほどになると俺らを覆いかぶせるぐらいだ。
俺はこの状況はまずいと思い立ち上がる。

「闇魔法!ドゥ・オプスキュリテ!」

俺は魔法を唱えると手のひらから小さい玉が複数出てくる。それはスライム目掛けて一直線に飛んでいく。
しかし、その魔法はポヨンとスライムに当たり吸収される。

「なんっで…!」

俺は自慢の魔法が直ぐに吸収されてしまうのをみてプライドと自慢がポッキリと折れる音がする。

「スライムは…自分の魔素量より小さい魔法は…吸収する…」

俺の後ろから白銀の少女が俺の机に乗ってジャンプする。

「氷魔法弐・氷花」

少女がスライムに向かって魔法を打つ。氷魔法の弐って...!上級者の...上位の魔法だ!
スライムは花形に一瞬凍ったと思ったら、パリンっと割れ、ちりぢりになって無くなってしまった。

「凄い...」

俺はその一言しかいえなかった。その少女はふぅと一息つくと顔にかかった髪をすくう。その様子はまるで人ではないような。洗礼された動きであり、それに俺は魅力されてしまった。白銀の髪、毛先は水色に染まってこの世のものとは思えないほどキラキラしている。そこから覗かれた瞳は緋色の何もかもを見通しているかのような吸い込まれるような...
その彼女の姿に俺は一瞬にして魅力されてしまった。

「ローズさん!助かりましたありがとうございます!」

先生は両手を重ね満面の笑みで笑う。

「これぐらい。どうってことないです。」

彼女は何にも興味を示さず冷たい返事を返す。そんな所も美しい。
あれ、これ一瞬でも認めた相手に尽くす牙狼族の性質が出てしまってないか?でも見れば見るほど美しいという文字が似合う少女で...

「何?」

少女は俺に見られていたのが気に食わなかったのか機嫌を悪くして俺に聞く。

「え、いや、なんでもない。君名前は?」

俺はキョドってしまいキモイ人になってしまった。

「名前は自分から名乗るものじゃないの?」

少女は見るからに機嫌を悪くして言う。しかし名乗ったら名前は教えてくれるということに嬉しさを俺は隠せなかった。

「俺は暗狼アンロウ クロだ。」

俺はいつもの調子を整えクールにその場を乗り切ってみせる。ふんと、彼女は鼻を鳴らす。

「私はラナンキュー・ローズよ」

ラナンキューか...言い難い名前だな。俺はここで初めて彼女を卑下した。

「ラナンキュー...ラナって呼んでも良いか?」

俺はなるべく爽やかな笑顔で彼女に聞く。彼女は諦めたのかはぁとため息をつくと

「勝手にしたら」

と許可を得る。

「じゃあよろしく。ラナ。」

俺はこの学園に来てから初めて素の微笑みを彼女に向ける。しかし彼女は俺に見向きもせずにノートをとっている。さっきから1度も興味を示されたことは無い。寂しい気持ちはあるがそれよりも彼女への興味で溢れかえりそうである。

「ちょっとぉそこ!夫婦漫才は休み時間にしてください!」

席に戻った俺達に先生が茶化しながら注意してくる。俺はバツが悪い顔で「すみません」といいながら机に向かう。ラナも「すみません」といいながら机に向かった。

「では授業の続きをします!」

>>4

Re: 神が導く学園生活 ( No.4 )
日時: 2022/01/14 21:23
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Mu5Txw/v)

「では、学校のランクについて説明します!」

ついさっきのことが無かったかのように先生は授業を進めていく。

「皆さんの学園ランクはなんでしょうか?わかる人ー!」

俺たちの学園ランクか。確か校長先生がちょろっとだけ話してた気がするな。ネクタイ、リボンの色が何とか...
でも詳しくは覚えてないからてをあげられなかった。

すると隣の席のラナが手を上げる。

「私たちのランクは一番下の白梅です。ランクは6段階あり、松竹梅とわかれており、上から赤松、青松、紫竹、桃竹、黄梅、白梅となっています。」

校長先生の話を完璧に覚えていたようだ。さすがラナだ。

「はい!大正解ですぅ!ローズさんが言った通り、学園には6段階の階級があります!わかりやすいようにまとめます!」

また先生が黒板にスラスラと表を書いてくる。

『赤松     C騎士級
青松      D成人級
紫竹     E学生級
桃竹      E学生級
黄梅     F学生級
白梅      F学生級』

おお、これはわかりやすい。国のランクも一緒に書いてあるし。魔法と比べたら遥かに覚えやすい。俺はスラスラとノートをとっていく。
すると

ジリジリジリジリジリ

と、早鐘が学園中に響き渡る。お、最初の授業が終わるのか。

「あ、授業が終わりました!それでは皆さん!次の授業は国、学園ランク付けですよぉ!遅れないように来るように!学園裏の森に来るように!それでは!」

先生は片手を大きく降ると教室を出ていってしまった。
次はランク付けか... 各魔素量や魔法技術、武術でランクを決めるんだっけな。

「ねぇ君」

隣の席のラナに声をかけられた。何にも興味がなさそうな彼女から声をかけられ俺はドキッとしてしまった。

「次...どこ」

次の授業が何処かを俺に問う。

「聞いてなかったのか?」

俺は少し意地悪く聞いてみる。するとラナは少しムスッとして嫌悪を明らかにしてくる。

「教える気が無いならいい。他の人に聞く。」

ラナは正しい判断をする。こんな事になるなら意地悪く言うんじゃなかったと俺は目頭がジンと熱くなる。
別に悲しくなった訳では無い。そうだ悲しくなんかない。自業自得だ。
俺はそう自分に言い聞かせラナを横目に必要教材を揃えていく。

「あの、次のテスト...」

ラナが他の人に声をかける。がしかし、皆は彼女を無視したりやんわり断ったりしている。何故だ?

「ねっ、黒髪の君っ」

すると金髪に褐色肌の少女が声をかけてくる。耳がとがってるから...エルフか。エルフに悪いことしたらいけいからな。なるべく関わらずに過ごそう。

「なんだ。俺は次の授業の準備で忙しいんだ。」

できるだけ冷たくあしらう。するとエルフの子はプクッと頬を膨らませる。可愛くないからな。

「そんなこと言わないでっ!私はカタバミ・エルフ・ガベーラ!気軽に呼んでいいよっ!君は?」

名乗られたら名乗り返さなきゃな。ついさっきラナに言われたし。

「俺は暗狼 牙だ。」

「クロか!よろしくっ!突然だけど、クロってローズさんのこと好きでしょ」

勝手に呼び捨てするなよ。それに人の恋路に突っ込んでくるなんて失礼にも程があるだろ。まあエルフだから許されるんだろうけどな。

「勝手に言うな。俺はラナと関係ない。」

「愛称で呼んでるー。本当は仲良いんでしょー?」

うるさいしウザイ。しつこい。でもそれを正直に言うとクラスから疎まれる存在になるだろう。疎まれると言えばなんでラナは周りから無視されてるんだ?

「カタバミには関係ないだろ。それより、ラナはなんで周りから無視されてるんだ?」

俺は思った疑問を手近にいたカタバミに聞いてみることにした。少し癪だかな。

「知らないの?悪魔ガーデスって」

悪魔ガーデス...?悪魔は分かるがガーデスは聞いたことないな。でも西暦はガーデスで表されてるな。ガーデス1600年とか。

「知らない」

「じゃあ私が教えてあげるねっ!ガーデスってのは今から1000年ぐらい前にいた凶悪な悪魔だよ!白銀に髪先が赤くて緋色の目をしてるの。それにローズさんがそっくりなんだよ!」

カタバミが自慢げに説明する。うん。その様子が必要以上に粘着質でウザイな。

それにしても大昔の悪魔の容姿にそっくりか。でも彼女の髪先は水色だしメガネをかけている。吸い込まれそうな美しい緋色の目をしているが、悪魔では無いだろう。
でも悪魔と思われるのも無理はない。この世界で白銀に緋色の目は珍しいからな。
髪や目はその人の適正魔法系統に影響される。例えば光系統で特に闇魔法に適性があるから黒髪に黒い目だ。先生は灯魔法を使っていたし赤髪に赤い目だったため炎系統使いだろう。ラナは氷魔法を使ってたから普通は水色の髪に碧眼のはずかんだが、彼女は白銀の髪に緋色の目だ。白銀の髪は天系統に属する髪で、緋色の目は炎系統に属する色のため、氷魔法が使えるはずが無い。確かに悪魔呼ばわりされても仕方ないかもしれないな...
珍しすぎる髪に目だし。そういえば目の前にいるカタバミは金髪ツインテールに黄色の目だ。きっと雷系統使いなんだろう。

「でも、ガーデスは世界の果てに封印されていてこんな世界の中心にある学園には居ないはずだ。」

後ろから高くもない低くもない中性的な声が聞こえる。しかしその声を聞いただけで背筋がゾッとするような... 舌でつま先から頭先まで撫でられる嫌悪感がする。その声の主は授業で、Sがサイキョーか聞いていた奴だった。赤髪に真っ赤な目歯はギザギザしていてまるで悪魔のようだ。悪魔見たことないけど。それにしても赤髪ってことは炎系統魔法使いか。

「あ、俺は赤魔セキマ コウ 悪魔じゃないぜ。普通の人間だ。」

そうだよな。悪魔はこの学園にいるわけないもんな。世界の果てに追放されてるんだし。見かけたら殺されるもんな。

「あぁ。すまない。俺は暗狼 牙」

「私はカタバミ・エルフ・ガベーラ!エルフよ!よろしくっ!」

人ということはこの学園は様々な種族の生徒が居るのか... ラナは何族なのだろうか?やはり人族の方が見た目的にしっくりくる。

「そういえば早く森に行かないと遅れるぞ。」

コウが思い出したかのように言う。そうだ。早く行かなければ遅れてしまう。そういえばラナはどうしたんだろう。教室の周りを見渡してみる。すると1人ポツンとラナが待っていた。

「...次の場所...教えて...」

ラナは無表情でありながら屈辱的な雰囲気を浮かべた。

>>5 魔法系統、国、学園ランク説明

Re: 神が導く学園生活 ( No.5 )
日時: 2022/01/09 23:50
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: hAr.TppX)

【世界の魔法と、国ランクと学園ランク、学年】

魔法

水系統(青色) 水魔法ー氷魔法ー霜魔法
炎系統(赤色) 炎魔法ー火魔法ー灯魔法
地系統(茶色) 地魔法ー土魔法
嵐系統(緑色) 嵐魔法ー風魔法ー気魔法
雷系統(黄色) 雷魔法ー電魔法ー気魔法
天系統(白色) 天魔法ー候魔法ー気魔法
光系統(黒色) 光魔法ー闇魔法

国のランク

S 伝説級レベル
A 凶悪モンスターレベル
B 偉人級レベル
C 騎士級
D 成人級
E 学生級
F 学生級
G 幼稚園級
H 老人、赤ん坊級


正道光魔法学園 学年

1 eins アインス 10歳 白
2 zwei ツヴァイ 11歳 黄
3 drei ドライ  12歳 緑
4 vier フィーア 13歳 桃
5 fünf フゥンフ 14歳 紫
6 sechs ゼクス 15歳 青

正道光魔法学園 ランク


赤松  C騎士級
青松  D成人級
紫竹  E学生級
桃竹   E学生級
黄梅   F学生級
白梅   F学生級

>>6 入学式編

Re: 神が導く学園生活 ( No.6 )
日時: 2022/01/14 21:28
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Mu5Txw/v)

俺の名前は赤魔セキマ コウ 正道光魔法学園に入学した"ただの人類"だ。炎系統魔法の使い手だ。今は入学早々変わり者に絡まれて...いや、俺から絡んだのか?
まあともかく4人組が集まった。
金髪黄色目の恐らく雷系統の使い手であろうエルフの子だ。名前はカタバミ・エルフ・ガベーラ。
黒髪黒目の恐らく光系統使い手の少年。名前は暗狼アンロウ クロ
そして問題児であり、この4人が集まるきっかけとなった人。白髪に水色の毛先。緋色の目。適正属性が分からない不気味な少女。ラナンキュー・ローズ。
このラナンキューが先生の話を聞いていなく、次の授業の場所を教えてあげている所だ。
次の授業は国、学園ランク付けで場所は学園裏の森だ。
俺達はそこへ向かっているところだったり別に4人集まる必要ないがカタバミが必要に集まりたいとか言うから集まってる状況だ。

「ランク付けとか怖い行事1人じゃ寂しいじゃん?4人いれば最強よ!」

カタバミが訳分からん理論を並べる。俺達はコイツの訳分からん理由で付き合わされてるのか...いや、絡んだのは俺からなんだけど。今更コイツらに絡んだことを後悔する。

「...」

さっき出会ったばかりの4人だ。会話が続かない...し、ラナンキューに限っては会話をしようともしない。俺達との馴れ合いはしないってか。

「あだ名決めよっ!」

沈黙に嫌気が指したのかカタバミが話題をふる。あだ名って...この後も関わり合うつもりか?なんか鬱陶しいと俺達は感じる。

「ラナはラナだよな」

否。ここに話に食いつくやつが1名。クロだ。

「ラナンキューって呼びにくいよね!ラナでいい?」

カタバミはラナンキューに同意を求める。ラナンキューは今まで我ここに在らずと言ったようにボーッと外を見ていた。名前を呼ばれラナンキューはこちらへ視線を寄越す。

「...えぇ」

俺達と余り関わりたくないのかラナンキューは嫌そうな顔をうかべる。

「いいじゃんいいじゃん!ね!ラナ!」

カタバミは勝手にラナよびを始める。ラナは心底嫌そうな顔を浮かべる。しかし、カタバミは気にした様子もなくニコニコしている。

「もう何でもいい...」

ラナンキューは諦めたのか了承を下す。カタバミはぱぁっと顔が明るくなる。しかし、それ以上にクロがキラキラと顔を輝かせる。まるで主人に褒められた犬の様だ。何気に常識人って俺だけなのか?

「で、ラナンキューはそれでいいのか?」

ラナンキューが困ってるかもしれないため一応助け舟を出してみる。

「余計なお世話。あとラナ。」

意外とラナというあだ名は気に入ってるようだ。そんな素振り見せなかったぞ?!もしかしてあれか?表情と心情が真逆のタイプなのか?
余計なお世話と言われ心に風穴が空いたように心が痛む。お節介だったか...

「ごめん。コウは、コウ?」

俺が傷心している事がラナンキュー...いや、ラナにも分かったのだろうか。ラナに気を使わせてしまった。そのせいかなんかクロに睨まれてる気がする。あと、俺の名前を呼んだのはあだ名の事だろうか。話が飛ぶやつだな。

「コウはこーくん?」

「やめてくれ」

カタバミが無邪気に俺のあだ名を考えると俺は即座に却下した。こーくんとか幼児かよ。俺はもう10だ。もうすぐ成人するんだ。そんなあだ名はいらねぇよ。

「じゃあコウはコウか。クロも、クロかな?」

「そうだな」

クロも俺と同じことを考えていたのか即座にあだ名を却下する。俺とクロの名前は2文字だからな。あだ名の付けようがない。カタバミは...

「タミ...」

ラナがボソッと呟く。タミ...あんまセンス無いな。

「タミ...いい名前だな!それがいいっ!」

クロが凄い勢いでカタバミのあだ名を決める。クロ...冷静そうな性格だがラナに関わるとバカになるな。カタバミもバカだしラナも関わろうとしないから...うん。俺だけだな。常識人。

「タミかぁ。うん!タミでいいよっ!」

カタバミ...タミは一瞬微妙な顔をするが直ぐに明るい顔になる。タミ...漢字に直すと萌、萠、芽、民...芽が1番しっくりくるな。まあ、漢字よりカタカナの方がしっくりくるな。タミとラナとクロと俺か... 人とはなるべく沢山関わりたいがこのメンツは濃すぎて疲れるな。ちょっと関わるのは控えたいところだが...これからも関わりが深くなりそうなのは気のせいか?

「着いたな」

クロが呟く。そこには木の大きなゲートがあり、そこにはアインスの生徒や先生が集まっていた。これからランク付けが始まるのか... 
俺は不安と嬉しさで複雑な気持ちと実感がない気持ちで溢れていた。

>>7

Re: 神が導く学園生活 ( No.7 )
日時: 2022/01/14 00:27
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: gfjj6X5m)

どーも!私カタバミ・エルフ・ガベーラ!エルフだよぉー!
私は今ランク付けの授業で学園裏の森で戦闘やってまーす!あ、クロとコウとラナもいるよ!

「壱・気砲!」

雷、嵐、天系統に属する気魔法。私はそれを唱えると目に見えない砲弾がモンスターに向かって、モンスターをやっつける。
気魔法は目に見えない空気を操る魔法で、エルフ一族が最も得意とする魔法なんだ!
って自慢してる場合じゃないや。この周りのモンスターを片付けないと!

ランク付けのルールは簡単。森にいるモンスターをやっつけて手に入る魔法石を持ち帰ること。グループ行動も可能。人のものを奪うのも可能。とにかく魔法石を時間内に持ち帰って、その数でランクが決まる。
私たちはグループの方が集まるからという理由でかたまりながら行動している。

「アン・ブレイズ!ブレイズ!ブレイズ!」

コウが叫びながら周囲のモンスターを焼き尽くしていく。炎魔法だ。炎系統の中で最も強い魔法で学生で使える人はまず居ない。まあ、炎系統の魔法ってほとんど焼き尽くす魔法だから威力以外の違い分からないんだけどね!でも、悪魔みたいな見た目してるけど実力はこの中で1番上かもしれない…… コウ、心の中で悪魔なんて言ってごめんね?

「……」

ラナは無言でモンスターを1匹づつ凍らせ散らす。
その塵が太陽の光を反射して綺麗だなーと眺める。

「タミ。手。止まってる。」

おっとラナに注意されちゃった。つい綺麗で見とれちゃったよ。
ラナが使ってるのは無口頭魔法の壱・氷雪。無口頭魔法は本当にその呪文を極めないと使えない難しい技術だ。でも、ほとんどの人はひとつの呪文を極めるより他の呪文を満遍なく鍛えた方が強いから余り使える人は居ないんだけどね。氷雪を無口頭で出せるってことは、ラナは氷魔法を重点的に鍛えてるのかな?まあ、ラナと氷って性格とか似てるしね。案外そういうの気にしてるのかな?
あっ、ちなみに私も無口頭魔法使えるんだよ!雷、嵐、天系統の最弱の気魔法だけどね。エルフは幼少期から気魔法を鍛えられるからほとんどのエルフは使えるんだよね。特別感ないなぁ。

「ふぅ、ここら辺はもう片付いたか。」

コウがひと息つく。はぁ、疲れたよぉ。体力も魔素もすっからかん!魔法もうだせないー。とは言えないので心の中で愚痴っとく。
てか結構なモンスターいたのに片付いちゃったんだね…まあ主にコウのおかげだけど。
炎系統は範囲攻撃が多いからなぁ。ラナも強いんだけど、氷魔法はほぼ単体攻撃しかないから、複数のモンスター狩りには向いてないから余り活躍出来てない。私の場合は雷、電魔法も使えるけど、周り巻き込んじゃう魔法だし、気魔法しか連発出来ない。うん!コウ様ありがとうございます。

「静か」

ラナがボソッとつぶやく。あー、確かに静かだねぇ周りのモンスター倒して魔法石じゃんじゃんだし。

「静か…?あっ!クロがいねぇ!」

コウが叫ぶ。私はその声に反応し周りを気で確認する。気ってそこら辺に流れてるから気配探るのにうってつけなんだよね。嵐系統使いの方が得意なんだけど……
て、クロ居ないじゃん!

「ここから半径10m以内にも居ないよ!クロ! 」

私は叫ぶ。気が使えると半径10m以内の様子は分かるんだよね。てか大丈夫なのかな?!クロ!

「単体行動に切り替えた…つってもラナ好き好き言ってたヤツが自分から単体行動に出るなんて考えられねぇし、何かあったんじゃねぇの?」

コウが言う。確かにラナの周りでキャンキャン吠えてたクロが別行動するなんてあんまり考えられないなぁ。肝心のラナは…わぁ無表情だ。何考えてるかサッパリ。でも無表情ってことは心配してないってことなのかな。じゃあ、クロははぐれただけで大丈夫かも……

その瞬間風が私たちを撫でて行った。その風から無意識に気を読み取ってしまった。その気は暴れているような、怖がっているような。とにかく嫌な予感がした!

「クロ。なんかやばい事になってる。探さないと!」

私は必死にそう伝えた。必死すぎて語彙力が滅してるけどコウは理解してくれたのか「探そう」と乗り出してくれる。コウはエスパーかな?でもありがたい!ラナには伝わってなかったようだけど、何かを感じ取ったのか深刻な顔をしてる。ラナって白髪に毛先水色だからもしかしたら天系統で気を感じ取ったのかも…?いやいや、2つの光系統以外使える種族なんていないし、それは無いか。

とにかく。私たちは急いで走っていった。

>>8

Re: 神が導く学園生活 ( No.8 )
日時: 2022/01/24 11:22
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: ae8EVJ5z)

《クロ》

ヌルヌルしている。手足がツタで縛られ、このヌルヌルしている液体は消化液だと本で見た事がある。
そしてこの植物の名前は幻影草 。巨大な葉が重なり合っている植物で、全生物が食物対象。獲物をトラウマから救い出す感覚の電波を出して誘い込み、捕まえるとヌルヌルの消化液を出し獲物を溶かす。そして消化中。獲物を暴れさせないようにトラウマを見させるのだ。そのため別名トラウマ草とも呼ばれる。ちなみに雷系統の植物だ。
って、知識をひけらかしてる場合じゃない!

俺の記憶が正しければこれからトラウマを見せられるんだ!
俺はこのまま死んでしまうという漠然とした不安と底知れない恐怖が襲ってくる。
するとどんどん意識が遠くなって言って……
俺はそこで気を失った。

ーーーーーーーーー
生まれた時。俺は純血の牙狼族の母のお腹から生まれた。母は高貴な貴族に飼われている牙狼族。父親はその飼い主だ。
そのため俺は人間と牙狼族のハーフということになった。

俺にも兄弟が居た。4人ほど。しかし、4人全員異型で、目が1つだったり、立つ牙狼族だったり、魔素が暴走したり。兄弟の中で唯一人型で、知能も人並みにあり、気が抜いたら出てきてしまう耳としっぽ以外を除けば人に見える見た目だった。飼い主である俺の父は俺の事を大層気に入ったようで、他の兄弟達は殺されてしまった。そして、母親である牙狼族に乱暴し続けていた飼い主の父。ついに母はキレたのか父に襲いかかるが、母は父に殺されてしまった。能力のリミッターを外せばあんなクズ父なんて一瞬で殺せるが、それをする前に殺されてしまったのだ。
それ以来、俺に対するあたりも強くなり、毎日虐待される日々を送っていた。
ある日、噂を聞いた貴族が通報したらしく、父は逮捕された。そして俺は貴重な牙狼族のハーフであるため、国から大きな支援を貰いながら生活していくことになったのだ。

しかし今でも離れない。異型でも愛し合った兄弟達が殺されてしまう瞬間。兄弟が俺だけになっても真摯に育ててくれた母親が殺される瞬間。

許さない。許さない。許さないっ!

しかし、兄弟、母の仇である父もこの世に居ない。絶滅危惧種の生物を殺した上、子供に虐待をする。そして、牙狼族のハーフでも人権はあるらしく、俺らの兄弟を殺したことにより、殺人、虐待の罪を問われ死刑にされてしまったのだ。

あの時俺はどうしたら良かったんだ?これからどうしたらいいんだ?

なぁ。教えてくれよ母さん。皆。
俺の心が悲しみの濁流で溢れてくる。そして頭がどんどん白に覆われていき……

ー何も考えられなくなった。ー

ーーーーーーーーー
《コウ》

「くっ、何この葉っぱ!ツルツルして気で引き裂けないんだけど!」

タミが嘆きながら気魔法を連続で出している。そんなにだせる魔素はどこからきてんだ。
かく言う俺とラナは葉に相性はいいためスムーズに葉をどかしていく。

俺たちは今、クロが囚われているであろう幻影草を攻撃している。葉をどかしている途中。変なビジョンが頭に流れてくる。これは…クロの記憶?

「え?え?クロの記憶が頭に流れてきてるんだけど!どゆこと!」

タミが魔法を辞めドタバタとしている。とりあえず魔法を続けてくれ。
それにしてもなんでこんな映像が脳内に流れてくるのか。

「幻影草は……自己防衛のため、消化を妨げるものには……トラウマを見せる。だけど、幻影草も……そんなに器用じゃない……だから消化中の人物のトラウマを見せるの。」

なんだそれ。残念な生き物図鑑に乗りそうな性質。それにしてもクロが牙狼族のハーフで、こんな壮絶な過去があったとはな。少し同情するぜ。
すると

「グァァァァァァァァッ!!」

何かの、狼の叫び声が聞こえた。なんだ?!奇襲か?!
すると、クロが閉じ込められていたであろう場所から猛スピードで葉を破りながらとっしんしてくる。俺たちはそれを辛うじてかわす。

「何何!一体なんなの!」

タミが叫んで余計混乱する。そんなん俺が聞きていわ!
目の前には、髪の毛が逆立ち、制服は所々破れ、黒髪に耳としっぽを生やした俺らの2倍ある身長の化け物がいた。
いや、化け物……じゃない?この姿には見覚えがある。もしかしてコイツ……

「「「クロ……?」」」

3人の声が重なった。そう。目の前にいる化け物はクロだった。

>>9

Re: 神が導く学園生活 ( No.9 )
日時: 2022/02/06 04:27
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: kJLdBB9S)

「くっ、クロ?クロだよね!」

タミがクロ...と思われる獣に声をかける。しかし、

「グァァッ!」

獣が黒い5本の爪を立ててタミを襲う。タミは瞬時にそれを察知し、バックステップするが、顔に傷が着いている。どれだけその爪は切れ味が良いんだよ。
それに...

「大量の魔素で溢れかえってる...」

ラナが呟く。そうなのだ。獣が高濃度の魔素で溢れかえっており、苦しく、近づけない。

「ねぇ、これってどうするの?!どうしたらいいの?!」

タミが慌てている。そうだな...

「逃げた方がいいかもしれねぇ。これは俺たちの手には負えない。」

俺はなるべく冷静に言う。逃げて先生達に抑えてもらうのが今のところ1番最善だ。

「そうね。」

ラナも賛同し、俺とラナは獣から離れる...が、ここに逃げないバカが1人。

「壱・電流っ!」

その瞬間ラナの半径3m程の範囲の魔素が複数の細長い電気になり、獣に攻撃する。

壱・電流は...雷系統の電魔法だな、やはりタミは雷系統使いだったようだ。

て、解説してる場合じゃねぇ!何やってるんだタミ!

「おい!何やってるんだ!逃げるぞ!」

俺は焦って大声でタミに忠告する。タミは俺の忠告を無視し、次は気魔法を連続で打ちまくっている。

「逃げれるわけないじゃない!友達が酷い姿になってるのに!クロが気絶するまで私はここをどかない!参・気斬!」

タミは気魔法の最上級の魔法を連続で出しながら攻撃する。しかしクロには全く効いていない。
クソ、このまま逃げたらタミが倒れちまう...
仕方がない

「ラナ!俺達も参戦しよう!」

ラナは顰めた顔をするが、

「...」

ラナが手をかざすとクロの体の所々に氷が生成され、クロにぶつかる。ドゥ・グラソンか。氷魔法の中で中ぐらいの威力の魔法だが、敵単体を攻撃するのに長けている。

よし、俺もやるか。クロを気絶させるためには高火力の魔法を出すしかないか。

「ロゥワ・ブレイズっ!」

俺は頭の中で炎がクロを包み込むイメージをして、手をかざす。しかし、その魔法は手の中でボッと小さい爆発がするだけだった。
な、何でだ?!

「空気中の魔素は魔素を貯められる器が多い生物順に取り込まれる!クロは今私たちの中で1番大きな器を持ってるから空気中の魔素がクロに取り込まれてるのよ!だから体内の魔素で何とかしなくちゃならないのよっ!」

なるほど、だからタミは今最底辺魔法の気魔法しか使えないのか。ラナも同じで、アン、ドゥ、ロゥワ魔法しか使えていない。
嘘だろ...?俺の体内には魔素が一切ない。要するに外の魔素頼りで魔法を打っているのだ。俺は体術で戦うしかないか。と言っても俺は体術なんて出来っ子しない。となれば...
俺はそこら辺の石を取って、獣の後ろに回る。そして、その石を投げる。すると獣は俺の方へ突進し、攻撃を仕掛けてくる。

魔法が、使えない。そうなるとヘイトを買ってなるべく2人の邪魔にならないようにするしかない。

俺は死ぬ気で獣の攻撃を交わしていく。大きな爪で襲ってきた時はしゃがみ、拳で上から潰してこようとする時は左右に転がり避けていく。

「気斬!気斬!気斬!気斬!」

タミが空気を操り複数の半月形の空気の攻撃を仕掛ける。ラナも同じくロゥワ・グラソンを打ちまくっている。
タミは天使の派生のエルフだから、生まれつきの体内の魔素が大量のため、いくら攻撃しても大丈夫なのは分かるが、人類(?)であるラナは大丈夫なのだろうか?天使や、エルフほどでは無いが人類も体内にある程度の魔素があるのは知ってるが本当にほんの少しだ。それが無くなると死んでしまう。
これ以上ラナが魔法を使うとラナが危ない...!

「気斬!...あれ?気斬!」

タミがさっきの俺と同じ魔法が使えない状態になる。多分体内の魔素を使い切ってしまったのだろう。となると...攻撃出来るのはラナだけになってしまった。

「ラナ!逃げろ!死ぬぞ!」

俺はクロの攻撃を避けながらシンプルな言葉で忠告する。しかし、ラナは動かない。
ー逃げろって言ってるだろ!
そう苛立ちを覚えてきたら...

「グァォォァァァ!」

獣の拳が俺に向かってくる。あ、これは不味い。
俺は自分が潰れてぺちゃんこになってしまうグロテスクな光景が浮かんだ。
折角...折角人間の街に来れたって言うのに...

「...やるしかない。」

すると俺の目の前にラナが立ちはだかる。
俺は驚きと同様で溢れていく。

「なっ、何やってんだラナ!人類はどうしようもないぞ!」

ラナは両手を広げ俺の方を向く。

「コウも''人類''なんでしょ?」

ラナはそう言って表情を変えない。変えてないはずだが、何故かその顔に怒りが滲み出ている気がする。
するとラナの体に変化がおこる。
肩までの髪は腰までのストレートな髪になり、髪先は青色から赤色に変わる。
白銀の髪がキラキラと、輝いてクロにまとわりついていた魔素が一気にラナへと向かっていくのが分かる。
嘘だろ?いまのラナは獣以上の器を持ってるってのか?

「...」

ラナが手をかざすと獣の地面から炎が渦巻いて天に登っていく。俺もまだ使えない炎魔法。弐・炎天だ。しかもかなり魔素が濃い魔法だ。
魔法は魔素が濃ければ濃いほど威力が上がる。
この濃さは国家のエリート魔法使いの集まり、国家宮廷魔道士程の威力がある。
それに、人類は1つの魔法系統しか使えないはずだ。なんでラナは水系統と炎系統の魔法が使えるんだ?新種の生物なのか?

俺は分からないことだらけで混乱している間に獣は倒れ、ドスン!と大きな音を立てる。
そして、シューと、魔素が獣から抜けていく音が聞こえる。そこに居たのは...
黒い耳とふさふさのしっぽが生えたクロだった。

もしかして、クロはあの絶滅危惧種の牙狼族だったのか...?

>>10

Re: 神が導く学園生活 ( No.10 )
日時: 2022/02/06 02:23
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: kJLdBB9S)

《クロ》

真っ暗な深海の中。もがいてももがいても出られない何か。それがもどかしくてイラついてしまう。
ーもう疲れた。
このまま大量の魔素に身を任してもいいのではないだろうか?
そう思った瞬間。
俺の身が炎に包まれ、絡まっていた何かが燃えて消え去っていく。そうして無防備になった俺に差し出される白くて艶やかな手。俺は無意識にその手を掴んでしまった。
すると今までの苦労はなんだったんだと笑えるほどズルズルと上へ引きづられていく。

この手は…この感触は…ラナ?

次の瞬間俺は目が覚めた。すると目の前にラナの顔がドアップで表示され、頭には柔らかい感触、額にはひんやりとした手が乗っている。
え?え?!なんだこれ?!

俺は照れと驚きですぐさまそこをどいた。
見るとラナは無表情で俺を見つめる。
ーもう少しあのままで居ても良かったかもな
と、少し後悔をする。

「アンロウさん。目が覚めましたか。」

赤髪にきっちりとしたスーツ。俺たちの担任の先生が近づいてくる。

「アンロウさん。貴方は獣化して暴れてていた所をガベーラさんとセキマさんとローズさんに助けられたんですよ。」

「助けました!」

先生が話すと後ろにいたタミが空気をぶち壊すかのように元気に返事する。タミって気魔法使いなのに空気は読めないんだな。

「まぁ…なんだ。クロ。お前も大変だったんだな。」

コウが気まづそうに俺に話しかける。なんでそんな罰の悪そうな言い方なんだ?

「クロが幻影草に捕まってる間…私達にクロのトラウマが流れ込んできた。」

ラナが淡々と告げる。あぁ。幻影草の効果なのか。ってことは、俺が牙狼族のハーフであることもバレた上に幼少期の思い出もバレたのか。なんか恥ずかしいな。それよりも…

「先生。獣化って何ですか?」

俺は今までこのように暴れることは無かった。それに暴れていたであろう記憶が曖昧だし…

「獣化というのは牙狼族特有の能力です。何らかのきっかけでリミッターが外れると外の魔素で溢れかえり、強靭な肉体を手に入れることが出来ます。しかし、獣化に慣れていないと理性が失われるんです。」

獣化…俺の牙狼族の能力なのか。俺は自分の両手を見る。
俺に入っている母さんの血。きっとその力だろう。この力は唯一母さんを感じられる力。俺は自分の手を胸に当てた。

ーーーーーーーーーーー
ー放課後ー

学園生活初めての放課後。家の学園は寮制の上に学園都市があるため教室に入り浸ってる人が多かった。
そして俺達4人は集まって居た。

「でさっ、皆のランクは?」

特に何も話さなかった俺たち4人。その中沈黙を破ったのはタミだった。

「俺はFランクの黄梅だった。」

コウが呟く。Fランクは妥当として、黄梅は凄いと思う。下から2番目のランク。基本入学したてだと白梅が多いが、その上ということはコウは優秀ということなのか。まぁ…

「俺もコウと同じ。Fランクの黄梅だ。」

俺はリミッターを外すと大量の魔素や筋力が得られるからこの高いランクになったんだな。

「私もFランクの黄梅だよっ!」

タミは大量の魔素が体内にある上に上級の雷系統魔法使えるからな。納得だ。
黄梅である俺、タミ、コウはリボンとネクタイが黄色になっている。

「私はFランクの白梅」

ラナはボソッとつぶやく。比較的一般的なランクだな。でも、納得が行かない。リミッターを外した俺を一撃で倒した筈なのになんで一般的なランクなんだ!俺よりもランクが上であるべきだろう!

「よし先生に抗議しよう。」

俺はすぐさま職員室に行こうとする。

「まてまてまてまて!何故そうなる!」

コウが俺を止める。いや、当たり前だろう。ラナのランクが白梅なんだから。

「クロ…もしかしてラナのランクのこと気にしてる?」

タミは無駄に勘が言い様で俺が思ってたことをすぐさま察する。

「いや、私は大丈夫だから。辞めて。」

「分かった。辞める。」

俺はラナのやめてという言葉にすぐさま反応しラナの隣に座る。なんかどんどん牙狼族みたいになってきてるが…いいよな!俺牙狼族のハーフだし!

「クロがなんか開き直ってる気がする…」

「タミお前本当勘いいな」

コウも俺と同じことを思ったらしい。タミはふふんと鼻を鳴らした。

「クロ。そういうのやめて」

ラナが困ったような顔をする。あぁ…困った顔も美しい。これは国が守るべきの顔じゃないのか?ラナが笑ったらどれほど美しくなるのだろう。

「なんか、私の下僕というかペットになっちゃってるから」

「俺は全然構わないのだが?」

俺はラナの問いかけに即答する。逆に下僕の方が嬉しいしラナのサンドバッグに成り下がっても良い。逆に嬉しいぐらいだ。

「ねぇねぇコウ。クロが気持ち悪いんだけど」

「タミ奇遇だな俺も思った。」

ちょ、なんだよタミ、コウ!失礼だぞ!
別に気持ち悪くないよな?ラナ?
という意を込めてラナの方を見る。

「…気持ち悪いから辞めて」

俺はその言葉に衝撃を受けた。俺が…気持ち悪い…?
嘘だろ…そんなわけない。コレが普通だろう!

「いや、あの、同じ目線でいて欲しいというか…」

「分かった。」

俺はまたもやラナの要求に即答する。ラナの要求ならなんだって叶えてやる。同じ目線でいて欲しいならそうするか。

「この中で常識人って私だけなのかも…」

タミが呟く。

「「いや、タミは変人に入るだろ」」

俺とコウの声が重なる。タミはええっ!というポーズをとり口をあんぐりと開けている。
うんそういう所だな。

「はぁ…この先の学園生活が不安。」

ラナが呟いた。俺はラナが居る学園生活なんて舞い上がりそうだけどな。
そんなオーラを3人は感じたのか苦笑いをした。
そ、そんな目で俺を見るなよ!おい!おーい!

入学式編 ~完~