二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テイルズオブザワールド ( No.14 )
日時: 2011/01/18 22:33
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

「ね〜〜〜〜!!まだなの、ザーフィアスは!?」

道なき道を歩き続けるカインたち。正直言うと、今二人は道に迷っていた。
カインは地図を広げながら、ため息をついた。

この地図はトーティスを出るときに、クレスから貰ったものだった。
それによって知った事実もある。

基本、この国を三大国。『インヴェル』『デリス』『テルカ』。
この三国は大陸の周りを囲うように領土が広がっている。

そして各々、各土地土地を占領しているのだ。例えば、ユーゼントはインヴェルの占領下にあり、
トーティスはデリス、今から向かうザーフィアスはテルカの占領下にある。
・・・・・元々、三国に囲まれた土地にもそれぞれの国があった。

だが、三国の激戦に巻き込まれる形で国は崩壊。真ともに残っているところはなく、
村単位、町単位でなんとか皆生きている。今ではその三国に囲まれた中心の場所は
まとめられて『ユニゾン』と呼ばれている。

「お腹空いたよ〜〜〜!!」

「その辺の草でも食ってろ」

ルイの対応に飽き飽きしたカインがそう言った。それに対してルイは大人しくなった。
ちょっと不思議に思い、カインが後ろを振り向くと、ルイが途中で倒れて動かなくなっていた。

「おい、ルイ!」

「う・・・げ〜〜〜」

カインが抱えると、体調を悪そうな顔でルイが言った。その口元から緑色の物体が見える。

「お前、まさか本当に草食ったのか!?」

「だ・・・・だって〜〜〜。もしかしたら、すごく美味しい草があるかもしれないだし〜〜〜」

「お前はウシかよ」

「う〜〜〜。なんだと〜〜〜」

声に全く元気がない。もしかしたら相当やばい毒草を食ったかもしれない。
カインは仕方なくルイは担ぐと慎重に走り出した。無理に振動を与えて毒が回らないように。

「取りあえず、引き返すか」

来た道をそのまま戻れば、走ってもおそらく半日はかかるだろう。だが、ここがどこか分からない以上、
無暗にザーフィアスを目指すのはよろしくない。例えたどり着いても、そこにちゃんとした医者が居るかも
分からないし、いたとしても真ともに見てくれるかもわからない。
だったら、ミントに助けてもらった方が賢明だ。

カインはそう思い、さらにスピードを上げようとした。その時

「ん?」

目の前におっさんが飛び込んできた。ぶつかると思い、交わそうとしたが、それよりも早くおっさんが動いた。

「危ないじゃないのよ〜〜。そんなに急いでどうしたん?」

ひょうきんな口調で尋ねてきた。カインが取りあえずの事情を話すと、おっさんは

「オッケー。おっさんに着いてきなさいよ」

と、言って走り出した。取りあえずカインもそれに着いていく。聞くとこのおっさんは
ザーフィアスに住んでて、たまたまこの近くで自分探しをしてたらしい。

うさんくさい言葉だったが、ルイの容体が悪化して今は発熱の汗がひどい。
ああだこうだ言ってる状態ではないので、カインはこのおっさんの後をついて言った。

「おい、おっさん。後どれぐらいでつくんだ!?」

「おっさんじゃなくて、レイヴンよ、レイヴン」

と、一応名前は聞いたが、おっさんと言うのが一番しっくりくる呼び方なのでそのまま呼ぶことにした。

「どうなんだよおっさん」

「とほほ。名乗ったのに無視って、最近の若人は年寄りに対する態度が酷くて困るわ。
・・・後ちょっとだぜ。で、大丈夫か、お譲ちゃんのほう?」

「・・・・大分熱が出てる。おそらく39℃くらいは」

「そんじゃあ、急ごうか!」

Re: テイルズオブザワールド ( No.15 )
日時: 2011/01/18 22:33
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

——————————ザーフィアス——————————

なんとかザーフィアスにたどり着いたカインたちはすぐに、レイヴンの知り合いの医師と言う人に見せた。
その子は女の子で見た目はかなり若く、カインよりも年下そうだが、腕のほうには問題はなさそうだった。
その女の子の処置によってなんとか平熱に保たれたルイ。今はベットでぐっすり眠っている。

「後は安静にしていれば、明日の夕方には目覚めると思います」

「済まない、助かった。いくらだ?」

カインがそう言うと、女の子は否定するように手の前で手を振り、首を横に振った。

「い・・いいえ!そんな、お金なんていいですよ!私はこれで養っているわけではありませんので」

「そうなのか?だが、あのおっさんが医師だって言ってたんだがな」

カインが目線でレイヴンを見る。女の子は一瞬きょとっとしたが、すぐに怒り顔になった。
正直、そこまで怖くはない。迫力はあるが。

「ちょっとレイヴン!勝手に私をお医者さん扱いにしないでください!」

「おりょ?俺、そんなこと言ったっけ?」

「言ったよ」

「この町にもちゃんとしたお医者さんはいるんです。その人たちのお仕事を奪うのは、
その人の人生を奪うのと同じなんですからね」

「へいへ〜〜い」

「聞いてるんですか!?もう〜〜〜」

レイヴンの態度にやれやれと言った感じで腰に手を当てる。と、奥から人がやってきた。

「おっさんに説教垂れるだけ無駄だぞ、エステル」

「あ、ユーリ。帰ってたんですね」

現れたのは、カインよりも少しは年上であろう青年。男では珍しいロングヘアーで、
刀を引きずるように持っている。

「んあ?客人か。珍しいな」

ユーリはカインを見るとそう言った。そこで、エステルが経緯をユーリに話した。

「人が仕事してる時に何やってんだよ、おっさん」

「仕事を頑張れるのは若人の特権よ。この年になるとそりゃあもう、少し動くだけで腰が痛い、腕が痛いで大変よ。
いや〜〜〜!!若いっていいね〜〜〜!!!おっさんは森林浴してんのが一番よ」

高笑いしながら言うレイヴン。それにカインがつっこんだ。

「あんたが森にいたのは自分探しとか言ってなかったか?」

「ありゃ?そうだっけ?」

「止めとけよ、カイン。おっさんの脳みそはすでに還暦を超えて細胞が動いてねーんだ。
記憶が頻繁に飛ぶのもしょうがね〜さ」

ユーリがそう言うと、レイヴンが心臓に手を当てて唸り始めた。

「い・・今のはさすがに堪えたわ〜〜〜。おっさん、悲しくて死にそう!」

「じゃあ、死ねば?」

「ぎゃふん!!」

非情な言葉と共にレイヴンを踏みつけ、堂々とそのまま進む一人の少女。
そしてその後方からもう一人の女性。その女性はレイヴンの傍でしゃがむと。

「大丈夫おじ様?」

「あ・・あなたがいるから大・・・丈夫です」

レイブンの言葉に女性はそう、と薄く笑うと、何事もなかったかのようにそのまま歩き去った。
・・・・なんというか。ここまで来ると、レイヴンの扱いが逆に凄いと思う。
レイヴンを踏みつけた少女はルイの寝てるベットまで行くと、ふ〜〜ん、と鼻を鳴らした。

「これ・・・魔草っていう草の毒にやられてるわね。一応、エステルが解毒してあるみたいだけど、
このままじゃまた侵されるわよ」

「どういうことです?リタ」

エステルが心配そうに言う。逆にリタは冷静そのもの。

「解毒と言っても、ちゃんとした抗菌薬で解毒したわけじゃないでしょ?
魔草の毒は例え体に害が及ばない量でも体に残っていると、どんどん増えてくの。
それで結局は死んじゃう厄介なものよ」

「その抗菌剤ってのは簡単に手に入るのか?」

カインの言葉にリタは肩を竦ませた。

「そんなもの、作ろうと思えば私でも作れるわよ」

「じゃあ、リタ!この人たちのためにも作ってください」

エステルがそう言うと、リタは何か困ったような、嬉しいようなそんな表情を浮かべて言った。

「まあ、いいけど。ちゃんと料金は貰うからね」

「ああ。助かる」

Re: テイルズオブザワールド ( No.16 )
日時: 2011/01/29 15:29
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

「レジスタンス?」

リタが抗菌薬を作っている間、カインはユーリたちの話を聞いていた。

「そう。ユニゾンが三大国に立ち向かうために生まれた対抗勢力。俺らはそのグループなんだよ」

ユーリたちはこの町の警備を兼ねて何でも屋をやっているらしい。

「俺の村にはそんな奴らいなかったけどな」

「レジスタンスはまだ少数で各地に配備できるほどの人数はいません。
今は強い人に、レジスタンスに協力してくれるよう勧誘を主にやっています」

エステルの言葉にカインが続けた。

「相手は三大国だ。人数集めたからって勝てるとは思えないけどな」

「それは、これの出番よ」

そう言ってレイヴンが取り出したのは、自分の武器。一見ただの普通の弓にしか見えない。
だが、カインはそれから感じる力に目を細めた。

「魔力を帯びた武器か?珍しいな」

「ノンノンノン。そんな甘いもんじゃないわよ、これは」

「どういうことだ?」

「『魔科学』って、知ってるか?」

ユーリが言葉にカインは首を振った。

「待機中に溢れるマナを科学の力でコントロールし、魔法と科学を融合させた技術の事、です」

「だ〜か〜ら〜。上等な武器と比較しても一段も二段も性能がいいってことよ〜〜」

ユーリたちの話を聞いて、カインは素直に関心した。本気で三国とやり合おうとしている彼らに。

「出来たわよ」

と、そこに現れたのはリタ。手にはフラスコがぶら下がっており、中に液体が入っている。
リタはそれを持ってルイへと近づくと、そのままルイの口の中に抗菌薬を流しこんだ。

「ちょ・・ちょっと、リタ?」

いきなりの行動にエステルがおどおどする。それでもリタは構わず続けた。
そして全ての液体がルイの体の中へと入っていく。・・・・・すると

「にっがーーーーーー!!」

ルイが突然ベットから跳び起きて、喉を押さえながら呻いている。

「み・・水・・・!!」

ルイの言葉に颯爽とエステルがコップに水を入れてルイの元へと持って行った。
ルイはそれを受け取るとごくごくと一気飲みをした。

「はぁ、はぁ・・・・」

息を整えて落ち着いた頃、ルイはようやく辺りが見えたようだ。しきりに周りをみて

「ここどこ?」

と、首を傾げる。それにカインは安堵と呆れの混じったため息をつく。

「起きて早々騒がしいな、お前は」

「あ、カイン!」

ルイはベットから起き上がると、カインの方へ向かおうとした。だが、足元が覚束ず、よろよろとなる。

「あ・・あれ?私、どうしちゃったんだろう?」

それにリタが肩を窄めて説明。

「まあ、体から毒は抜けてもすぐに動かない方がいいわね〜〜」

「毒?」

ルイは首を傾げる。どうやら自分が今まで毒で倒れていたことすら分かっていないらしい。
エステルが丁寧に自分たちの事と、ここに運び込まれた事情を話した。

「そっかぁ・・・。あれ、毒草だったんだ。ありがとうね」

「いいえ。お礼なんていいんですよ」

「ところで青年。カロル少年はどうしたの?」

カロルというのはここにはいないが、同じレジスタンスのメンバーらしい。

「ああ。カロルなら・・・・」

「た・・大変だよ皆〜〜〜〜!!」

ユーリが何か言おうとした時、大声を上げて部屋に入ってきたのは子どもだった。

「どうしたんですカロル?そんなに慌てて?」

どうやらこの子どもが、先ほど言っていたカロルらしい。

「ほら!前にヴァルサーザ洞窟に変な光が落ちたでしょ!?でね、ついさっきなんだけど、
そこにテルカ軍の一隊がそこに入っていくのを見たんだよ!!」

「・・・・何が大変なんだ?」

ユーリが尋ねると、カロルはえ?っと言って困った顔になってしまった。
どうやらただテルカ軍って事で慌ててただけで、大した理由はないのだろう。
だが、引っ込みが着かなくなったのか、カロルはなんとか口を開く。

「え・・・・ええっとぉ・・・。ほ・・ほら!変な光が落ちたすぐにテルカ軍が来るなんて可笑しいでしょ?
だからきっと・・・そこに何かがあるの・・・・・かな?、なんて」

「聞かれても分かんねえって。まぁ、奴らがどうしてそこに行ったのかは気になるが、
別にいいんじゃねえか?俺らには関係なさそうだし」

「カロル。そのヴァルサーザ洞窟ってのはどこにあるんだ?」

と、そこにカインがカロルの傍まで来て尋ねた。見慣れない人物にカロルが恐縮する。

「え・・ええっと・・・・・。誰?」

「俺はカイン。こっちはルイ。訳あって俺らはその妙な光を追ってる。
ヴァルサーザ洞窟の場所を教えてくれ」

「ええっとぉ・・・」

カロルが困った表情のまま固まっている。いきなり合った人物に話していいのかどうか悩んでいるのかもしれない。

「いいんじゃねえかカロル。教えてやっても?」

「ユーリ」

カロルがユーリの方を見ると、ユーリはどうでも良さそうな顔で続けた。

「別にその光は俺らには関係ないしな。その情報を流したからって俺らに不都合はねえだろ」

「ユーリがそう言うなら。いいよ教えても。ここから南に五キロの地点に洞窟がある。
そこがヴァルサーザ洞窟だよ」

「そうか。助かる。ルイ、お前はここで休んでろ」

カインは身支度しながら、ルイにそう言った。と、ルイは首を横に振ると、ベットから起き上がった。

「ううん。私も行く!ベットでずっと眠ってるなんて嫌だもんね」

「そうか。じゃ、精々拾い食いしないようにしろよ」

「う・・・。それを今言うかなぁ?」

Re: テイルズオブザワールド ( No.17 )
日時: 2011/02/12 22:57
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

〜勝利時セリフ集〜

〜楽勝時〜
カイン「余裕だな」
   「それでよく挑んできたな」
ルイ「らっくしょう〜〜〜!!」
  「私つっよ〜〜い!!」

〜通常時〜
カイン「こんなもんか」
   「とっとと行くぞ」
ルイ「じゃんじゃん行こう!」
  「決まったね!」

〜苦戦時〜
カイン「俺もまだまだだな」
   「これじゃあ・・・・あいつらを守れない」
ルイ「うう〜〜〜〜!!油断した〜〜〜」
  「ほ・・・ほんとに、やばいかも・・・・」

〜掛け合い〜
ルイ「おりゃあ〜〜〜〜!!」
カイン「終わったぞ」
ルイ「あれ?」

ルイ「一昨日きやがれ!」
カイン「・・・・もう来たぞ」
ルイ「ええ〜〜〜〜!!」

ルイ「カイン!」(ハイタッチのポーズ)
カイン「・・・・・」(静かにその手に食べ物を渡す)
ルイ「わーーい!・・って違う!!」

カイン「・・・・・・」(何か思い詰めてるように俯いている)
ルイ「はぁ〜〜、しまった。今日、パンツ履き忘れた」(カインの心を代弁するように)
カイン「・・・・・」(ゆっくりと剣を抜き取る)
ルイ「わっ!わぁ!!冗談だよ!!!」

カイン「ふん、ちょろいな」
ルイ「甘いな!!」
カイン・ルイ「・・・・・・・・」
ルイ「・・・・・一人足りない・・・・」
カイン「何がだ?」
ルイ「最後の締めの事!」



〜ヴァルサーザ洞窟〜

カロルの言われた場所に来たカインたち。辺りは水気の多く、その水が洞窟の中へと流れている。

「ここがそうみたいだな」

「う〜〜〜。水っ気が多くて、なんだか肌寒〜〜い!」

ルイが肩を縮めて震えあがる。

「中に入ればもっと寒くなるぞ。・・・・・誰だ!」

カインは後ろの茂みを睨むと長剣を抜いた。

「わっ!待って!!僕だよ!!」

「カロル」

茂みから現れたのは、先ほどカインたちにこの場所を教えてくれたカロルとユーリ。
そしてもう一人、やけに耳が長く露出の多い服を着た女性だった。

「何でお前らがここに?」

「僕たちは町の依頼で来たんだよ。この洞窟の奥にのみ生えてる『清洋樹』。その幹の一部が必要なの」

カロルが説明を終えた後、ユーリが悪戯っぽく笑って言った。

「そーゆーこと。で、せっかくだから先に行ったあんたたちを追おうってカロル先生が言いだしてな」

「だ・・・だって!その方が楽しいし・・・・安全でしょ?」

その顔が微妙に引きつってるのを見て、それだけじゃないな、とカインは直ぐに察した。
  
「確かに沢山の方が賑やかで楽しいもんね〜〜〜!さっすがカロル!!」

ルイがそう言うとカロルは笑いながら手を頭にやった。

「へ・・・へへ。そうかな?」

「・・・・楽しいってのはこみで、本当は安全の方を言ってるんじゃないか?」

「ち・・違うよ!!」

「まーまー。そう言うことにしとこーぜ」

ユーリがそこで話を区切ると、怪訝そうな顔をしている女性の方に目をやった。

「どうしたんだ?ジュディ?」

「ジュディ?」

ルイが首を傾げるとジュディと呼ばれた女性がルイの傍まで来て、にっこり笑った。

「ジュディスよ。よろしくね」

「私はルゼス!ルイル・ルーゼ・ルゼス!よろしくね、ジュディス!」

「・・・ルイと言うのはあなたのあだ名かしら?」

「そう!カインが付けたあだ名だよ。私自身も結構気に入ってるから、ルイって呼んでもいいよ!」

ルイがそこまで話すと、カロルとユーリを交互に見ながら言った。

「案外、ユーリとカインって似てるかもね。人にあだ名勝手に付けちゃうところとか」

それにユーリはどうでも良さそうな顔をして答えた。

「そーかよ。そりゃあ、ありがとさん。で、ジュディ。どうしたんだ?」

ユーリが尋ねると、ジュディスはまた怪訝そうな顔に戻った。

「この場所。前来たときはもっと、静かだった気がするんだけど・・・・」

「んぁ??今も十分静かな気がするが・・・」

ユーリの言うと通り、辺りには水の流れる音以外はせず、静かである。
ユーリの言葉にジュディはすぐに笑みを溢した。

「そうね。私の気のせいだったみたい。・・・じゃあ、そろそろ出発しましょう。
何時までもこんなところで立ち話をしてても始まらないわ。
カロルの言ってたテルカ軍の一隊ってのも気になるし、ね?」

「それもそうだな。それじゃあ行くか」

Re: テイルズオブザワールド ( No.18 )
日時: 2011/04/11 21:58
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

〜ストーリースキット4〜
ルイ「薄暗いな〜〜〜」
カロル「まあ、洞窟の中だから仕様がないよ」
ユーリ「それにしても、テルカ軍の一隊さん。こんな辺鄙な場所になんの用なのかね〜〜」
カイル「光が落ちたすぐ後に現れたってのも、気になるよね」
カイン(・・・・テルカ軍も精霊を狙ってるのか?)
ジュディス「あら、どうしたの?」
カイン「いや、なんでもない」
ジュディス「そう?あまり一人で悩まないことね。あなたには仲間がいるんだから、ね?」
カイン「・・・・・・・」

〜雑談スキット4〜
カロル「う〜〜ん。やっぱりカインとユーリって似てるよね」
ユーリ「何だよ。まだそんな事言ってるのか?カロル先生」
カロル「何だろう?素っ気無いところかな?それとも口調があまり良くないところ?」
ユーリ「何一つ誉めてねーな。カロル」
カイン「こいつと似てると言われても、ちっとも嬉しくねーな」
ユーリ「ははぁ。奇遇だな。俺も今同じこと思ったんだよな」
カロル「・・・・・こういう言い合いの仕方もなんか似てるね。
    なんかこの二人の似てるとこって・・・良くないとこばっか・・・・・」
ジュディス「あら、そうかしら?何だかんだ言っても、他人を思いやる人情の厚いところも似てると思うけど?」
ユーリ「・・・・・・・」
カイン「・・・・・・・」

〜料理スキット1〜
カロル「この料理美味しい!!誰が作ったの!?」
カイン「俺だが」
ジュディス「不思議な味だけど、確かに美味しいわね」
ユーリ「独特な風味もするな。何か特別な調味料でも使ってるのか?」
カイン「ああ。それは・・・・」
ルイ「な・・・何だっていいじゃん!!そんなの!!美味しいんだから、それ以上知る必要はないよ!!ね!!」
カロル「え?・・・どうしたの突然?」
ルイ「え?ううん。ほら、世の中には知らない方が良い事ってあるでしょ?」
ジュディス「・・・隠し味は料理人の命・・・・って言いたいのかしら?」
ルイ「そ・・・そう言う事!!」
ユーリ「・・・・・そう言われちゃあ、これ以上聞くわけにはいかないな」
カイン「別に俺はそんな風には思ってないんだけどな。知りたいなら・・・・」
ルイ「言わなくていいの!!!」
カイン「・・・・うるせーな。分かったよ」
ルイ(ふ〜〜〜。あんなものが入ってるって知ったら、皆絶対気持ち悪くなるもんな〜〜)



〜本編スタート〜

「綺麗な水が流れてるね。これって湧水なの?」

「そうだよ。奥にはこの水が貯まった泉があってそこから他の川に流れてるんだ」

洞窟の中を進む5人。中は自然の迷路のようになっており、もしカインたちだけで入っていたら
間違いなく迷っていただろう。だが、カロルがここの地図を独自に作成していたので、
今はそれに従って進んでいる。

「う〜〜んと、次はこっち。そこを抜ければ大きな空間があって、そこで半分かな」

「・・・今までテルカ軍の一隊には出会ってないな」

カインが呟く。

「まあ、これだけ入り組んでるからね。向こうは地図なんて持ってないだろうし」

さらにしばらく進むと、カロルの言うとおり大きな空間に出た。
だが、そこには思わぬ客が待っていた。

「ああん。何だ、あいつら?」

桜色の髪に前髪が黄色の男がこちらを睨みつけてきている。

「まさかこんな所で出会うたぁ、俺らも運があんだかねえんだか・・・」

ユーリはそう言うと、鞘を器用に投げ捨て剣を構えた。それを見て男が笑いだした。

「くくっ。おめえら、強そうだな。ここから先はモンスター一匹通さねえよう言われてたんだが、
思わぬ敵が現れやがった。ひひっ。俺はついてるぜぇ」

男は興奮したように言うと、自分も武器を構えた。剣を二本、裏手持ちの構えだ。

「俺はテルカ軍第三隊副長のザギだ。覚えとけ」

「わりーが、俺らはその奥に用があんだ!邪魔するなら容赦しねーぜ!!」

「くははははは!!ここを通りたきゃ、俺を倒してからにしろ!!ユーリ・ローウェル!!!」

ザギはそう言うとユーリに向かって突っ込んできた。

「うおっと!!・・・なんでこいつ、俺の名を・・・?」

ユーリは名乗った覚えはない。それなのに、ザギはユーリの名を名乗ったのだ。

「ユーリ!!」

カロルが叫び、応援に駆け付けようとするが、手下とも思われるものに前を塞がれる。

「まずはこの人たちを倒さないとダメみたいね」

ジュディスもそう言うと槍は取りだした。カインもルイも戦闘態勢に入る。

「衝破十文字!!」

と、突然カインに二人の刺客が現れた。突然のことに対応できなかったカインは直撃を食らう。

「カイン!」

直ぐにルイが治療しようとするが、それを刺客は許さなかった。

「「エアライド!!」」

双方はじゃんぷすると、そのまま剣を銃に切り替えて二人に向かって撃った。

「・・・・水華流刃(すいかりゅうじん)」

—ザパーーン!!—

カインを中心に地面から水が噴き出した。それが盾となり、弾を防いだ。

「魔神剣・双水牙!!」

カインは剣を振り、二人に衝撃波を飛ばす。二人はそれを避けると並ぶように跳んだ。

「やはり、こうなっていたか」

「ふふん!やっぱこっちきて正解だわん!」

見ると二人は赤髪と緑髪の女の子。

「ゴーシュ。ドロワット。何でてめぇらがここにいんだ?
てめぇらはイエガーと一緒にいったんじゃね〜〜のか」

「イエガー様がお前になにかあると感じ、私たちをこちらにお送りになったのだ!」

「駆け付けてみればびっくり!!イエガー様の予想的中!」

「こいつらは俺の獲物だ。邪魔するってんなら、お前らから消すぞ!!」

「余所見してんじゃねえ!!」

ユーリがザギの隙をついて攻撃を仕掛ける。それをザギはバックステップでかわす。

「ひゃはは!!そうか、そうだよな。まずはお前からだ!ユーリーーーー!!」

再びザギはユーリと交戦を始める。カロルとジュディスは手下の数に手間取っていた。

「イエガー様のため、死んでもらうぞ!!」

ゴージュがそう言って武器を二人に向ける。水のオーラを纏っているカインは小さくため息をはくと言った。

「ったく。面倒臭えな。ルイ、とっととこいつら片づけて三人を助けに行くぞ」

「うん!!」

Re: テイルズオブザワールド ( No.19 )
日時: 2011/03/06 14:26
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

「はああぁぁあぁぁ!」

ゴージュがカインへと刃を向ける。それを受け止め、カインは上体を捻った。

「連牙蹴」

回し蹴りからの踵落とし、さらに連撃で蹴りを入れる。
全て武器で防いでもダメージが伝わったのか、一旦引くゴージュ。

「くっ!ピアスショット!!」

ゴージュの放った弾にカインは軽く避ける。だが、それにゴージュが薄く笑った。

「ふっ、避けていいのか?その後ろは・・・」

「!!」

カインは後ろを振り向く。そこにはルイがいた。助けようとするが、既に間に合う距離ではなかった。

「ルイ!」

「大丈夫!」

カインの言葉にルイは祈る様な姿のまま返事をする。と、ルイの魔力が高まった。

「リフレクター!!」

ルイの周りにバリアが張られる。弾はそのバリアに当たると、ゴージュに跳ね返った。

「続いて〜〜〜、バーンストライク!!」

ルイはそのままゴージュに火炎弾を降らした。

「隙ありピョン!!」

その隙をついて、ドロワットがルイに切りかかる。それを防いだのはカイン。

「虎牙連斬・水蓮!」

水のオーラを纏った刀でドロワットに攻撃を仕掛けるカイン。
衝撃で吹き飛ばされるドロワット。

「リフレクター。見たこともない術だな」

背をルイに預けたまま言うカイン。それにルイは嬉しそうに言った。

「まあね!凄いでしょ!?」

「お前を守る必要がないのは助かるな・・・・・!!」

—キイィイン!—

カインが咄嗟に何かを弾く。それは銃弾。だが、それはドロワットやゴージュとは違う方向から飛んできた。
そちらの方を見ると、そこには一人の男性が立っていた。

「そこまでデ〜ス!」

「イエガー様!」

ゴージュのドロワットがイエガーの元へと駆け寄る。
イエガーは周りの状況を確認しながら言った。

「まさにミーの予想は正しかったようですね」

「イエガーつったな。テルカの軍隊がこんな所に何のようなんだ?」

カインが刀を構えながらイエガーに問い詰める。イエガーはそれに嘲笑うようにして首を横に振った。

「そのクエッションにアンサーするニードゥはありませんね。
さて、ここでのビジネスはエンドしました。ザギ!ここからリバースしますよ!」

「ああん?」

今までの戦っていたザギがその手を止めてイエガーを見た。

「俺は今楽しんでんだ。邪魔する奴は容赦しねーぞ」

その言葉にイエガーはやれやれと言った感じで肩をすくめた。
と、次の瞬間、イエガーはザギの傍まで移動し、銃を鎌をように変形させザギの首に鎌をそえる。

「ワンモアチャンスよ、ザギ。ここでリバースするかデットするか、セレクトしなさい」

「・・・・・ちっ!」

ザギが舌打ちをすると武器をしまう。そしてユーリの方を睨むと

「その命、また次の機会にとっておいてやる。それまで首を洗って待ってるんだな。ユーリ・ローウェル」

「イエス、グットアンサー。では皆さん、グッバイ!」

それを合図にここにいたイエガーの部隊は引き上げて行った。

「・・・・結局、あいつらが何でここに来たのかは分からなかったね」

「別にそんなのどにだっていいじゃねえか。お前ら、無事か?」

ユーリの言葉にカロルもジュディスも問題ないと頷く。

「二人も大丈夫みたいだな。じゃあ、先に進もうぜ」

————————————————————

しばらくすると、カロルの言っていた泉にたどり着いた。

「ないな〜〜〜〜」

カロルが辺りを見渡しながら呟いた。

「カロルたちが探してる清洋樹ってやつ?」

「うん。以前はこの辺りでとれたんだけどないんだ」

「戦争の激化でこの辺りの環境も変化してしまったから、それについていけず枯れてしまったのかもね」

ジュディスの言葉にカロルが落ち込みながら言った。

「そんな〜〜〜。それじゃあ、どうするの?」

「なかったと、はっきり言うしかないわね」

「そんな〜〜〜〜」

カインがそんなやり取りを聞いていると、ルイがカインの肩を叩いた。

「何だ?」

「何か聞こえない?」

「・・・・・??」

ルイの言葉に耳を澄ます。確かに何か妙な音が聞こえる。何か、水がせり上がってくるかのような音。
ユーリも気付いているのか泉の方を警戒する。音はどんどん大きくなり、そしてそれがピークに達した時、
一瞬の静けさの後、泉の中央が盛り上がってドバーン!!と、水柱が立った。

「うわ〜〜〜〜〜〜〜!!」

カロルが驚いて大声を上げる。カインはその水柱の中に見える影に目を凝らしていた。

—また・・・・人間か—

辺りに響く声。静けな声だったが、その声からは怒りが感じられた。

—これ以上この場所を・・・・荒すな!!—

水柱が弾け、中から現れたのは言うまでもなく水の精霊。
その全身から湧き出るのはカインたち人間にたいする敵意のみだった。

Re: テイルズオブザワールド ( No.20 )
日時: 2011/03/06 18:25
名前: 獅子 (ID: 0r0WCIJk)

昔モンスターハンターの小説を執筆していた者です。

水の精霊……。なぜ敵意を持つのか気になります!

Re: テイルズオブザワールド ( No.21 )
日時: 2011/03/06 18:42
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

獅子s・・・。なんとなく覚えがあるような気がします。
敵意を持つ理由・・・・それは今後のお楽しみですねw

Re: テイルズオブザワールド ( No.22 )
日時: 2011/03/06 18:48
名前: 獅子 (ID: 0r0WCIJk)

期待してます!頑張ってください!
過去ログにまだ自分の小説があるとは思ってなかった……。懐かしいやら恥ずかしいやらでいっぱいですww

Re: テイルズオブザワールド ( No.23 )
日時: 2011/03/06 18:50
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

本当ですね。丁度自分を最後に・・・(苦笑)
はい!最近は自分で納得できる内容が上手く書けませんが、頑張りたいと思います。

Re: テイルズオブザワールド ( No.24 )
日時: 2011/03/16 12:49
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

水の精霊は泉の大量の水を蛇のように操り、カインたちに襲わせる。

「ファイアウォール!!」

ルイが目の前に炎の壁を作り、水を蒸発させる。
だが水の方が量が多く、炎が消されてしまう。

「うわわわわわ!!」

—ドバァァァン!!—

大量の水がカインたちが居た場所を飲み込む。

「・・・・・わ?」

ルイはいつの間にか自分が宙へと浮いているのに気付き、その正体を目で確認した。

「ったく、めんどくせぇ相手だな」

「カイン!ありがと!」

地面に着地しルイを降ろす。ユーリたちも無事のようで傍にいる。
カロルもルイと同じようにユーリに抱えられていた。

「し・・・死ぬかと思った〜〜!」

「しっかりしろよ。カロル先生」

ユーリがそう笑みを浮かべて言うと、水の精霊へと向き直った。

「いきなりこんな沢山の水をプレゼントたぁ、気前がいいじゃねえか!
俺ら、そんな水に困ってねぇぞ!水の精霊さん」

—黙れ人間!—

水の精霊はそう怒鳴ると、水の刃を無数に飛ばしてきた。
防ごうにも数が多すぎてダメージを食らうカインたち。

—ここは貴様ら人間が荒して良い場所ではないのだ!
だが、貴様らはつまらぬことで戦争を起こし、マナの乱れを起こしている。
それがどれほどの事か。その報いを受けるがいい—

「それなら戦争起こしてる諜報人たちに報復すりゃあいいじゃねぇか!
人が誰しも戦争を欲してるなんて、思ってねぇだろ!」

ユーリが叫ぶが水の精霊は鼻を鳴らして答えた。

—人間である限り、いずれ同じ過ちを犯す。我からすれば過ちを犯してるのは『人間』だ—

「はっ。あんたとは気が合いそうだな」

そう言ったのはカインだ。体からは僅かに炎が揺らぐ。

「人間なんて所詮、一皮剥けば私欲に向かう奴ばかりだ。
人間がいなきゃこの世界はマナが乱れることがない、素晴らしいものになっていただろうな」

—・・・話が分かろうが貴様も人間だ。そんな言葉で我が気を許すとでも思ったのか?—

水の精霊がカインに向かって水の蛇を飛ばす。

「劫火灰塵!」

カインの刀に炎が纏われる。カインはそのまま水の蛇へと跳んだ。

「飛龍翔炎斬!!」

カインが水の蛇を切り裂く。さらに炎の刃が飛び、水を切り裂き水の精霊を捉える。

—くっ!—

「俺は一度はこの世界を消そうと考えたし、正直今でも考えていなくはない。
でも最近はまだまだこの世界も満更でもないと思えてきてる。
本気でこの世界を変えようと動いている者がいることも分かったし、
何枚剥ごうがお人よしを貫く馬鹿もいるんだしな」

「ねぇねぇ。それって私の事?」

会話の途中にルイが入って来た。それにカインはため息を突いた。

「どこにお前が入ってる?それと話の腰を折るな」

「は〜〜い!」

カインの一言で簡単に引いたルイ。一体なんのために出てきたのだろう?

—貴様が・・・・言うのだな・・・・—

「??」

切られた場所を押さえながら水の精霊が言った。

—『ノヴァ』の貴様が、それを言うのだな—

「またノヴァか・・・・。あんたはそれが何か知っているのか?」

—貴様に教える義理はない—

「そうか。だが、あんたのオーブは貰うぞ。俺にはそれが必要だからな」

—それもやらん!—

水がカインに押し寄せる。カインは構えたが、それよりも先に目の前に火の壁が現れた。

「・・・・わざわざ助けなくても良かったぞ。ルイ」

「えへへ。まぁ、なんとなく。それにもう、ほら!」

ルイが指差す。その方向にはすでに水の精霊が倒れていた。
どうやら今のは鼬の最後っ屁と言う奴だったらしい。

「気絶したのか。ルイ、あいつを治してやってくれ。あのままじゃ、オーブがどこにあるか分からないからな」

「ラジャー」

————————————————————

—ん・・・—

「あ、目が覚めた?」

—・・・!!貴様!何をしている!!?—

ルイの治癒術を受けていた水の精霊が暴れだした。

「あ!もう、暴れないでよ〜〜!」

—止めろ貴様!!穢れる!!—

「大丈夫!ちゃんと手洗ったから」

そう言って手が綺麗なことを見せるルイ。それに水の精霊がさらに怒った。

—そう言うことではない!!—

「え?じゃあ、どういうこと??」

—私に触れるなと言っているんだ!!—

暫く固まったルイ。だが、何か閃いた顔をするとペタペタと、水の精霊を触った。

「ざ〜んね〜ん。もうたっくさん触れちゃったよ〜〜!」

—な・・貴様!・・・・・はぁ—

水の精霊は諦めたのか、大人しく横たわる。それを見てルイも治癒術を再開する。

—貴様、どうして私の治療をしている?こんな事してもオーブはやらんぞ—

「え〜〜〜。それは困るな〜〜」

—なら、さっさとここを去れ—

「それもやだよ〜〜〜」

ルイの態度に水の精霊はため息をつく。ルイと口でやりとりしても無駄だと感じたのだろう。
だから水の精霊は率直な質問をしてみた。

—貴様は何がしたいのだ?—

「あなたを治したいに決まってるじゃん!」

—そんなことをして何になる?オーブはやらんと言ったはずだぞ?—

「それでも!」

水の精霊がちらりとルイの顔を見る。その表情は純粋そのもの。
嘘いつわりない顔だった。それを見て水の精霊は僅かに笑った。

「精霊さん?」

ルイが尋ねると水の精霊は少し間を開けた後答えた。

—ウンディーネだ。我の名前は水の精霊・ウンディーネ—

「・・・・!!よろしくね!水の精霊・ウンディーネさん!!
・・・・でも長い名前だね。水の精霊・ウンディーネなんて」

ルイが不思議そうに顎をつまんで考えているのをみて、ウンディーネはまたため息をついた。

—・・・・・水の精霊は別に名前ではないのだがな—

Re: テイルズオブザワールド ( No.25 )
日時: 2011/03/30 20:57
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

—これがアクア・オーブだ。受け取れ—

ウンディーネはそう言い青色の結晶をカインへと明け渡す。

「急に素直になったな」

—黙れ。それとソーサラーリングはルゼスに持たせるようにしろ—

「え、私が?どうして?」

—・・・ソーサラーリングに触れてみろ—

ウンディーネに言われ、ルイがソーサラーリングに触れた。すると、

—チカッ!—

「あっ!また光った!」

ソーサラーリングがまるでルイに触れられて喜んでいるかのような反応を起こす。

—ソーサラーリングは使い手を選ぶ。
おそらくイアンもルゼスに渡すつもりで貴様に渡したのだろうな—

「なるほどな。ほら」

カインは自分の指からソーサラーリングを外すと、ルイに投げ渡した。

「っとと!・・・・・いいの?」

「お前が持ってた方が効率がいいってことだろ?だったら、お前が持ってた方がいいだろ」

「あったーーーーー!!!」

と、そこでカロルたちが戻ってきた。今までカロルたちはウンディーネの力でより奥地へと
行くこと出来るようになり、そこで清洋樹を探していたのだ。
どうやら、お目当ての物は見つかったらしい。カインたちの様子を見るなり、カロルは言った。

「そっちの用事、終わったみたいだね」

「ああ」

「そっか。それじゃあここを出ようよ」

「・・・その前にウンディーネ。お前に一つ聞きたいことがある」

—断る。自分で調べろ—

ウンディーネがカインの言葉に即答した。それにカインが冷静に言った。

「・・・・・俺が何を聞きたがってるのか分かるんだな。
ノヴァ・・・・・。ある男は俺をノヴァの生き残りだと言った。それにさっきのお前の口振りから・・・・」

—旅をしていれば、いずれ知ることになる—

ウンディーネはカインの言葉を遮る様に言い、そのまま姿を消してしまった。
カインはしばらくウンディーネがいた場所を見続けたが、顔を逸らす。

「時間を使ったな。行くぞ」

「いいの?なんなら私が説得してあげようか?」

ルイの言葉にカインは気にするなと言わんばかりに、首を横に振った。

「お前が言ったんだろう。俺は俺だ。教えてくれない奴に無理に聞くほど気にしてない」

————————————————————

洞窟からの帰り道、森の中を歩いていた一向の目の前に突然木の葉が舞い上がった。
カロルたちは驚いていたが、これにはカインとルイには見覚えがあった。

「・・・・すずか」

「はい」

木の葉から現れた小さな女の子、すず。以前からギンたちの捜索をお願いしていたのだ。

「この辺り一辺を隈なく探しましたが、カインさんが上げたような人たちは見当たりませんでした」

「そうか」

「すいません。私の力が及ばずに」

すずがしょぼくれた表情をして謝った。それを見てカインは薄く笑った。

「気にするな。そうやって、探してくれただけで結構だ。
後はもういい。旅をしながら自力で探す」

「そうですか。それではこれはお返しします」

すずはそう言ってカインに十字架を模られた小さな木彫りを渡す。
これは捜索をお願いした時に、カインがすずに渡したものだ。

「もし、そういった方々を見つけましたら必ず連絡します」

「ああ。助かる」

「では!」

すずが消えた後、カロルが木彫りを覗き込んできた。

「なに?これ?」

「家族の証しだ」

カインはそう言うと木彫りをポッケにしまう。

「すずに探して貰ってる連中とは血の繋がりがない家族なんだがな、
本当の家族みたいな繋がりが欲しいってだだこね始めた奴がいたんだ。
その結果皆でこの木彫りを作って持つことで、この木彫りが血の代わりに
俺らを繋ぐ物にしてくれるってことにしたんだ。それがこれだ」

「良いお話ね」

「そうでもない」

ジュディスの言葉にカインは興味なさそうに言った。
すると、ルイがはいは〜い!と手を上げた。

「私もその木彫り欲しい!!カインと家族!!」

ルイの言葉にジュディスが少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「あら。ルゼスならわざわざ木彫り作らなくても、もっと良い方法があるわよ」

それに賛同するように、ユーリも笑みを浮かべた。

「だな」

「え?なになに!?」

ルイは二人に詰め寄るが、二人は笑みを浮かべたまんま教えない。
それにルイが地団駄を踏んだ。

「も〜〜〜!!教えてくれてもいいじゃんよ〜〜〜!!
ねぇ、カロル!!教えてよ」

「え!?・・・・・ええっと。僕も分かんない」

ちょっと言葉を途切れさせて言うカロル。それにルイは目を細める。

「本当に〜〜〜!?」

「ほ・・・・ほんと・・・・・」

肩を窄めて答えるカロル。

「カ・ロ・ル」

ルイは満面の笑みを浮かべながらゆっくりカロルに近づく。
それにカロルは不吉な予感しか感じなかった。そしてカロルがとった行動は

「さいなら」

とっとと退散すること。

「あっ!こら!!逃げるな〜〜〜〜〜!!」

逃げるカロルを追いかけるルイ。それを見て、カインは一つため息を漏らす。

「あんな奴家族になってたら、五倍は五月蠅くなってたな」

Re: テイルズオブザワールド ( No.26 )
日時: 2011/04/27 13:39
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

「お帰りなさい。・・・・どうでした?」

ザーフィアスに戻ったカインたちに一番最初に声をかけたのはエステルだった。
そのエステルが少し不安気な表情で尋ねてきた。
エステルも清洋樹が環境の変化で減っているのを知っていたのだ。
それに対しジュディスが笑みを浮かべて言った。

「無事に見つけて依頼主に渡したわ」

「そうですか!良かったです〜!」

手のひらを合わせて喜ぶエステル。と、ユーリが辺りを見渡した後言った。

「おっさんはいねーのか?ちと聞きてぇことがあんだけど」

「ほいほ〜〜い。何よ?モテる秘密でも聞きたいわけ?それはな!」

「聞いてねぇっての・・・・」

今にも語り出しそうになるレイヴンを止め、ユーリが真顔で言った。

「おっさん。何か俺らの事が外に漏れてるとかって情報聞いてねぇか?
おっさん、そういうの詳しいだろ?」

ユーリの言葉にレイヴンが心外だと言いたげな顔で言った。

「どういう基準にそう決めてるのよ??
けど、う〜〜〜ん、そうだな。スパイがいるだのなんだのなんて話はよく聞くけど、
まぁあれはうそだわね。で、何でそんな事聞いたわけ?」

「あ〜〜〜〜、いや。向こうのザギって野郎が俺の名前知ってやがったのが、
妙に気になってな」

知らねえならいいわ。と、ユーリは頭を掻きながら話を終わらす。

「そういや、まだカインたちの目的聞いてなかったな。
洞窟に行ったのは精霊に会うためだよな?どうしてなんだ?」

カインは別にユーリたちには話しても大丈夫だと思い、旅の目的を話した。
一通り話し終えたところでカロルが口を開いた。

「じゃあ、その精霊のオーブを集めれば戦争を止めることが出来るの?」

「イアンの言う通りならな」

「・・・・・僕たちが頑張る必要、ないんじゃない?」

カロルが少し呆けた声で言うと、ユーリが笑顔で言った。

「なに言ってんだよ。人間が起こした事だ。それで戦争を止められたって
結局はまた繰り返しちまうだろうよ」

「そうね。それに私たちにもやれることはあると思うわ」

「・・・・うん!そうだね!!」

よーーーーし!!と、カロルが元気一杯に腕を振り回す。
それを見てカインが口を開いた。

「今レジスタンスは仲間を集めてるって言ったてな?
トーティスの村に行って見ろ。仲間になってくれるかは分かんないが、
腕の立つ人間が何人かいる。声を掛けてみたらどうだ?」

「本当ですか!?わざわざ有難うございます!!」

エステルがお辞儀する。カインたちはそれに軽く応えて、部屋を出て行った。
部屋を出て外へと出たカインがさて、と言う。

「次の精霊の居場所を見つけないとな。ルイ」

「ほいさ!」

ルイがソーサラーリングを前へと翳す。すると、眩い光が放たれ南西の方へと向かった。
それを見てカインが地図を広げる。

「・・・・ここから南西となると、ユニゾンを抜けてテルカだな」

「テルカか〜〜。初めてだな〜〜」

「・・・・・そう言えばルイ。お前、俺と遭うまでどこにいたんだ?」

ふと気になってカインが尋ねると、ルイは分からないと答えた。

「行く場所も決めずにふらりふらりと旅してたからね。
でも、上の方からずず〜〜っと来たのはなんとなく分かる」

ルイが地図に指差し、上の方からなぞっていく。その上の方にある国はインヴェルだ。

「じゃあお前、インヴェル出身なのか?」

カインが尋ねるとルイは少し困ったような表情をした。

「う〜〜〜ん。分かんない!!」

カインは取りあえずルイの事は置いといて、出発することにした。
必要な物の買い出しも済ませ、ザーフォアスを後にした。

——————————アルテマ渓谷——————————

「落ちんなよ、ルイ」

「私そんなドジじゃないよーー!」

ユニゾンからテルカに行くにはこの渓谷を抜ける必要がある。
カインたちは今、狭く危険な路を進んでいた。真横は壁、真下は激流の川。

—ガラッ!!—

「・・・・!!!」

その上足場も悪く、今にも崩れてしまいそうだった。

「静かだな」

不意にカインが呟いた。

「そりゃあ、こんなとこじゃはしゃげないよ〜〜」

「お前のことじゃない。この渓谷がだ。モンスターの数が少なすぎる。
ここなら鳥類系のモンスターには絶好の場所のはずだ。現に巣はあちらこちらに見かける。
なのに・・・・」

辺りには風の吹く音と川の音。それぐらいしか聞こえない。

「何かあったのか?」

「でもそのお陰で通りやすくて、楽ちんだね〜」

その後も二人が歩き続けているとカインは立ち止まり耳を澄ました。
ルイも見習って耳を澄ませる。と、遠くから声が聞こえてきていた。

「・・・・・・ぁぁぁああ」

声はどんどん大きくなっていく。かなりのスピードで移動しているようだ。
声の主を探して辺りを見渡すと、ルイが上を指差して叫んだ。

「あ!あれ見て」

カインが上を見ると、小さな点が見えた。手をかざして見るとそれは

「ぁぁぁああああああああ!!!」

人が空から降ってきていた。しかもどう見ても落ちてきている。

「た・・・・助けてくれ〜〜〜〜〜〜!!!!」