二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜
日時: 2012/01/05 20:29
名前: さくら (ID: bT0lLasb)

こんにちは、さくらです!
私は、聖剣の刀鍛冶大好きで、ただ今11巻まで読んでいます。
これから聖剣の刀鍛冶の小説を書いていきたいと思います。

この物語は、聖剣の刀鍛冶小説第3巻の途中あたりから始まります。

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Re: 聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜 ( No.9 )
日時: 2012/04/16 13:00
名前: さくら (ID: qRt8qnz/)

結局、セシリーは夜遅く、アリアに連れられて帰宅した。
「食欲がない」と言って夕食も食べずに就寝した。

「どうやら、仲直りできなかったようね。」
「うん、二人とも頑固だから。」
「頑固なのは別にいいけど、頑固になるところを間違えてるわ。つまらない意地張って結局傷つくのは自分たちなのに。」
「うん、そうだね。」
さくらとアリアは顔を見合わせてため息を着く。
そう、セシリーもルークもわかっていない。すれ違ったまま別れてしまうことがどんなに切なく悲しいかを。桜は今まで何度もそんな人たちを見てきた。その人たちが抱く感情は、後悔と悲しみだけなのだ。
心配に思いつつも二人も就寝した。

「私は、ルーク・エインズワースを信じる。」
セシリーは揺るぎない眼差しで男を見据えた。
すると、男はセシリーをなぎ倒し、殴る・蹴るの膀胱を繰り返し、さらには・・・。

翌朝、セシリーは酷い二日酔いをしていた。桜の言ったことを聞かなかったことを後悔した。そして、昨日のこともひきづっていた。
セシリーと出勤するアリアに、桜は耳打ちした。
「セシリーのこと、お願いね。なんだか嫌な予感がするの。絶対に目を離さないであげて。」

ルークを信じ、男に暴行されるセシリーの姿。
桜の夢に出てきたのだ。
確証はないが、桜はただの夢ではないことを知っていた。なぜなら、桜のアリスは、予知と透視能力。あのような生々しい夢は、大方が予知夢である可能性が高い。
もしや、あの男はしーグフリードだったのでは。不安が心によぎる。

Re: 聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜 ( No.10 )
日時: 2012/04/17 14:28
名前: さくら (ID: 59tDAuIV)

その日、桜は街に買い出しに出ていた。
すると、どこからかセシリーの怒った声が聞こえてきた。
桜は声のする方へと駆け出した。

「私は、ルーク・エインズワースを信じる。」
セシリーは、気然とした眼差しで目の前の男を見据えた。
「彼は、私の信頼に足る人間だ。」
すると、男は頭をかきむしり、その手でセシリーを殴り飛ばした。
畦道の納屋に突き飛ばされたセシリーは、起き上がろうとするも、追い打ちをかけるように暴行される。
殴られ、蹴られ、踏まれ。
鞘に入ったアリアを抜こうとするもシーグフリードにあざ笑われる。
「魔剣がなけりゃ何もできないのか?」と。
躊躇してしまったセシリーは、アリアを取り上げられ、再び暴行される。
そして・・・。
鎧、服、下着に至るまで、全てを剥ぎ取られ裸にされていく。

桜は、納屋の扉を空手で破ろうとしたが、誰も入れないようにされているらしく、破れない。
中を透視して見ると、
「助けて‼ルーク‼」
セシリーがルークに助けを求めている。
桜はたまらなくなって、四方を確認し、魔法を発動させた。
「レリーズ。」
鍵を杖に変花させ、まずは男を眠らせる。
「スリープ」
次に、魔法の剣で扉を破壊し、突入する。
「ソード」
剣を一振りすると、たちまち扉は割れる。
「セシリー!!」
勢い込んで桜が駆けつけると、納屋の奥に裸にされたセシリーを見つけた。あまりに酷い暴行を受けたため、セシリーは嘔吐していた。
桜はセシリーに駆け寄り、そばにあったレイピアを鞘から引き抜いた。
アリアが風をまといながら人の姿になる。彼女は泣きながらセシリーを抱きしめる。
「セシリー!!ごめん、ごめん、ごめん、ごめん・・・。」
泣きながらセシリーに謝るアリアを落ち着かせ、桜はキャンベル家に一旦戻り、セシリーの予備の制服を持ってきた。もちろん、他の誰にも見られぬように気を配って。
桜とアリアは、セシリーに服を着せ、更に、怪我が見えぬよう、その上から外套をはおらせた。
「誰か・・・、あの男を殺してくれ。」
服を着せられながら、セシリーは誰にともなく言った。




Re: 聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜 ( No.11 )
日時: 2012/04/20 07:32
名前: さくら (ID: /.e96SVN)

アリアと共にセシリーをキャンベル家に連れ帰った桜は、あの男がシーグフリードだったのだということを聞かされた。桜は、怪我の手当もそこそこに、おとなしく寝ているよう言った。
しかし、その時釘を刺された。
「このことは誰にも言わないでくれ。誰にも知られたくない。特に、彼には・・・。」
セシリーの言う『彼』が誰なのかは、言うまでもなく、桜には分かった。ルークのことだ。
自分が蹂躙されたことを彼に知られたくないのだろう。好きな男にこの事実を知られたくないのだ。やっぱりセシリーは女の子だから。
桜にはセシリーの気持ちがわかっていた。だから、あえて取り沙汰せずに「わかってる」と応じた。しかし、それと同時に、本当にそれでいいのだろうか?と言う気持ちも起こった。確かに、知られたくない、と言う気持ちはわかる。でも、本当にそれでいいの?彼に何も知られず、何も気づかれない。それでいいの?本当は、あなただって彼に会いたいんじゃないの?そんな気持ちが心に渦巻いていた。
未遂とはいえ、蹂躙されたセシリーがそう簡単に立ち直れるはずもなく、その次の日から無断欠勤をしていた。
心配したハンニバル団長やパティが見舞いにきたが、セシリーはアリアに頼んで追い返していた。 桜とアリアは、そのことを何度も何度も取り沙汰されたが、貝のように口を噤み、黙秘した。
しかし、そんなセシリーの様子を見るに忍びなく、ある時とうとう桜はアリアに告げた。
「私、やっぱりルークとリサにこのこと言ってくる。セシリーは『誰にも言うな』って言ってたけど、私もう限界よ!!」
「うん、そうだね。きっとセシリーだってルークに会いたいって思ってるはずだもん。」
うん、と力強く頷き、
「セシリーについててあげて」
と言い置いて、桜は工房「リーザ」へと向かった。

桜が工房に着いたのは、ちょうど朝と昼の中間あたりの頃。
恐らく、彼らは鍛治作業をしている頃合いだろう。
桜は鍛治場の扉を叩き、二人に呼びかけた。
「ルーク!!リサ!!ここ開けて‼」
「今、忙しいんだ。後にしてくれ。」
「大事な話なの!今、聞いて‼セシリーのことなの‼」
「あ?あのヘタレ騎士がどうかしたのか?どうせ、酒の飲み過ぎで二日酔いが抜けてない、とかいうだけだろ?」
桜はカッと頭に血が上るのを感じた。
「あなたに・・・、あなたに・・・、そんなことを言う資格がある?!」
「いいからここを開けなさい!!ルーク・エインズワース!!」
言うが早いか、桜は空手で扉をぶち破っていた。あまりの怒声に驚き、扉を開けようとしていたルークは、破られた扉ごと鍛治場の奥になぎ倒された。
「失礼してます‼」
ズカズカと入ってきた少女は、確かに渋谷桜だった。着ている服は、エプロンドレスではなく、半袖のTシャツ、半ズボンという組み合わせだったが。
「何、伸びてんの?」
桜はこちらに気づくとそう話しかけてきた。なぜかこの前にあった時よりもさらに目は険しくなり、その瞳には、暗い憎悪が渦巻いている。
「お前が扉を蹴破った反動で、突き飛ばされたんだ。」
「そう。」
ルークが不機嫌な顔をして桜に言うが、桜は「そう。」の一言で済ませ、ルークとリサの顔を交互に見る。どうやら、二人がセシリーの異変に気づいている節はない。桜は、なるべく語気を抑えて尋ねる。
「ねぇ、あなたたち最近セシリーと会ってる?」
「いえ、会ってませんけど・・・。セシリーさんがどうかしたんですか?」
どうかしたかですって?あんたたちを信じてあんなに酷い目にあってたのに!!どうしたかですって?!

桜は二人を引きづり問題の納屋まできた。そして、二人を納屋の中に突き落とした。
「何しやがるっ!!」
ルークは振り向き怒鳴ったが、その時、掌に砂とは違う別の感触を感じ、ふと手元を見た。砂の色は薄褐色だが、手元の砂だけ黒く染まっている。よくよくみると、ある特定の域だけが黒い砂である。全体をみると、その黒い砂はある形を描いているように見えた。
これは・・・、人型?
「まさか・・・、これは、血?!」
「そうよ。セシリーのね。」
桜は静かに答えた。
「どういうことだ?あのヘタレ騎士・・・、いや、セシリー・キャンベルに何があった!?」
「暴行されたのよ、シーグフリードにね。」
ルークは絶句した。
リサが続きを促さなければ、そのまま凍りついていたかもしれない。
「どうして、セシリーさんが・・・?」
「あんたのせいよ。あんたを信じたから、セシリーはシーグフリードに陵辱されのよ。」
それから桜はありのままに見たこと・聞いたことを二人に話した。その前日に騎士団の男連中に言われたことも含めて。まぁ、予知と透視でセシリーの危険を知ったということまでは言わなかったけど。
「あなたの言葉がセシリーを追い詰めた。それでも彼女はあなたを信じていた。あなたの言葉にあれほど心を引き裂かれてしまってもなお、『私は、ルーク・エインズワースを信じる』とね。だけど、シーグフリードに襲われたセシリーはアリアを鞘から抜くことができなかった。『魔剣がなけりゃ何もできないのか?』という言葉に躊躇してしまった。あの時、騎士団の連中やあなたの言葉がなければ、もっと違っていたのかもしれない。」
桜は淡々と話し続けた。
その後のセシリーの様子を。
「食事は喉を通らず、食べたそばから吐き出すばかり。怪我が治っても自信が戻らず、自分の殻に閉じこもったまま。セシリーは今、自分を見失ったままよ。」
ルークは何も言えず、ただ、地面を見つめていた。
『助けて!!ルーク!!』
そんな声を聞いた気がしたのだ。多分それは幻聴などではない。セシリーの心の叫びが納屋から聞こえてきたのだ。
ルークは手をつきうなだれるが、桜はかまわず続けた。己の中にある怒りと悲しみをルークに向かってぶつけた。
「セシリーはあなたを信じたから、こんな目にあったのよ!なのにあなたはどう?!あなたは、そのことに気づかず、気付こうともせずに、のうのうと日常生活を送ってるじゃない!!」
桜は泣いていた。泣きながら叫んでいた。
「あんたもよ!!」
間髪いれずにリサに向き直り、続ける。
「あんたはセシリーの友達だって聞いてたわ。だけどあんたは、セシリーの異変に気づかなかった。あれから一週間、セシリーはどこにも行かずに部屋に閉じこもったきりだったのに。一週間もあなたたちに会いにいかなかったのにもかかわらず、その事を不審に思う事もなく、平和な日常を過ごしていた‼何が友達よ?!友達だったら普通、変だって気づくでしょう?もっと心配するでしょう!それさえもあんたはしなかった!あんたなんか、セシリーの友達じゃない!!友達失格よ!!」
声に出すともう止まらない。桜は二人に向かって叫び続けた。
「私、嫌いよ!セシリーに屈辱を味わわせたシーグフリードもそのことに気づかなかった、気付こうとしなかったあんたたちも。みんなみんな大っ嫌いよ!!!」
気づけば、桜はルークとリサに飛びかかり、二人をぶったり、殴ったりしていた。
「みんなみんなあんたたちのせいよ!!!セシリーを、セシリーを、助けなさいよ!!ばかあーーーーー!!!!!ばかあーーーー!!!!!」
桜はルークとリサを叩き、殴り、泣き続けた。





Re: 聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜 ( No.12 )
日時: 2012/04/24 09:22
名前: さくら (ID: .YMuudtY)

「きゃあああああ!!!!どうしたの?二人とも?!!」
桜の帰りが遅いため、心配したアリアが「リーザ」まで迎えにきた。しかし、アリアは出迎えた二人を見て素っ頓狂な声をあげてしまった。
それも無理はないだろう。なぜなら、二人の顔には包帯が巻いてあり、ところどころ服が破けており、腕や足には青アザがあり、満身創痍の状態だったからだ。
「お前のところのメイドに殴られたんだ。」
「サクラちゃんに・・・?」

「そう、そんなことがあったの。」
話を聞いたアリアは、ルークのベッドで眠る桜を眺めながら、ため息をついた。
あの後、桜は、暴れ疲れ、泣き疲れ、眠ってしまった。ルークとリサは、そんな桜を置き去りにすることができず、工房「リーザ」に連れ帰り、ベッドに寝かしつけた。そして、傷の手当をしている途中でアリアが尋ねてきたのだ。

「こいつの言ったことは本当なのか?」
ルークがおもむろにアリアに尋ねた。
「全部本当のことよ。何一つ虚言なんて含んでいないわ。」
アリアは静かに答えた。
ルークは拳を握り、再び尋ねる。
「あのあと、セシリーの様子は?自分を見失ったままだって聞いたが。」
「さっき、悪魔が街で暴れててね。その悪魔を倒した時、自分を取り戻したよ。でも・・・。」
アリアは顔を伏せる。
「でも?」
ルークが促すと続きを話した。
「セシリーは、シーグフリードと決闘するって言ってる。女を捨てるんだって。」
アリアはいったん言葉を切ってリサに目線を移し、続けた。
「リサを守るために。」
「そんな・・・。」
ルークとリサは声を合わせた。
あいつは・・・、それほどまでに追い詰められていたのか・・・。
ルークは振り返って桜をみる。
『あなたに・・・、あなたに、セシリーのなにがわかる?!』
『みんなみんな、あんたたちのせいよ!!!』
全く、このガキの言う通りだ。
俺は何一つ分かっていなかった。
勝手に決めつけて、傷つけて、肝心のあいつの気持ちなんて分かろうともしていなかった。
ルークは罪悪感を感じ、桜から目を離した。
「アリア、舞踏会の期日は?」
突然発せられた問いに、3人へた、は飛び上がらんばかりに驚いた。
振り返ると、桜がこちらを眺めている。
「えっと・・・、たしか、五日後だったと思うけど。」
「わかったわ。だったら私も舞踏会に出席するわ。」
「「「えっ?!!!」」」
3人は驚いた。
「ちょっと待って、サクラちゃん!舞踏会は招待されたものしか出られないのよ。セシリーや騎士団みたいに護衛を任された人ならともかく、サクラちゃんは一般市民じゃない!?」
確かにアリアの言う通りだ。
一般市民である桜が出席できるはずもない。
打が桜は、何とでもないというように言った。
「心配ご無用。大丈夫よ。ほら、これ。」
一通の封筒をこちらに見せる。
「私も、歌姫として出席するよう言われているの。」
「「「えっーーー?!!!」」」
「どうして、どうしてお前が?!」
「さあね。そんなこと、今のあなたには関係ないじゃない。」
ルークの問いを一方的に終わらせ、リサに向かって言う。
「紙とペン、それからインクをお願い。」
「えっ?」
「いいから、早く!!」
何がなんだかわからないといった様子で、リサは桜から頼まれたものを持ってきた。
桜は紙に書き始める。

拝啓 大道寺 知世様
お元気ですか?
私は、元気・・・いえ、訳あって今、ものすごく怒っています。
さて、早速ですが、少し頼みたいことがあります。
私に、ドレスを作ってもらいたいのです。
でも、できれば動きやすい服装にしていただけたら幸いです。
これからサイズ合わせに伺いますので、訳はその時にお話します。
それでは、また。🌸

以上の文面を綴り、桜は紙を折りたたむ。書いたことが見えぬよう、髪を裏返し、ある形状に折る。三角形のような形だ。
こちらの視線に気づいたのだろうか?桜は説明した。
「紙ヒコーキっていうのよ。私の通信手段なの。」
そう言うと、窓辺に駆け寄り、何やら呪文のようなものを唱えて、紙ヒコーキを空に向かって投げた。すると、それは、落ちることなくまっすぐに飛んでいく。
街の方に向かって。
こちらが不思議に思っていることに目もくれず、
「それじゃ、アリア。私、ちょっと遅くなるから言っといて。」
「おい、待てよ。」
玄関から出て行こうとする桜をルークが呼び止める。
「お前、まさか本気で舞踏会に出るつもりなのか?」
「当たり前でしょ。だから、知世ちゃんに服を作ってくれるよう頼んだの。」
背を向けたまま答える。そして、勢い良く振り返り、言い放った。怒りと悲しみとが入り混じった声で。
「私は、あなたとは違うの。私は、あなたみたいに大切な人を見捨てたりなんかしない。自分が傷つくことを恐れて大切な人を見殺しになんかしないわ。
ほんっとあなたってバジルさんとは大違いよね。バジルさんは誰かを傷つけることなんて絶対に言わなかったし、もっとデリカシーのある人だったわ。」

そして、最後に静かに言った。
「人の心は時にすれ違い、取り返しのつかない過ちを生む。あなたは、これでいいの?あなたにとって、セシリー・キャンベルは、自分たちが平和な日常を送るために、犠牲にしてもいいような、どうでもいい人間だったの?」
そして、最後に言添えた。
「最っ低ね!!」と。
バタンッ‼
乱暴に扉を閉めて、桜は出て行ってしまった。
それを見届けた後、アリアも二人に頭を下げて帰ってしまった。



Re: 聖剣の刀鍛冶 〜聖剣を打つ者と鞘を継承する者〜 ( No.13 )
日時: 2012/04/25 13:27
名前: さくら (ID: HPUPQ/yK)

その夜、二人は夜遅くに、とこについた。二人とも、聞いてしまったことに対する怒りとショックで眠れなかったのだ。

そして、罪悪感に包まれながら眠りについたルークは、夢を見た。

14歳くらいのルークがリーザと一緒に遊んでいる。しかし、突如として闇が現れ、リーザを連れ去る。
「リーザ!!」
ルークはリーザの名を呼び追いかけるが、追いつけない。
みるみるうちに闇の触手にリーザが飲まれていく。
「リーザ!!」
「リーザ!!」
「リーザー!!!」
ルークはリーザを追いかけ、叫び続ける。そのうち、ルークは自分の体が大きくなっていくのを感じる。同時に、自分の左目が消失し、隻眼になって行くのを感じた。
リーザを追いかけ見失ってしまった。

その時、一筋の光が差し込む。ブロンドの長い髪に、尖った耳を持った少女が、その光の中から現れる。
「ルーク。」
少女はルークに向かって笑いかけた。
リーザに似ている。しかし、リーザではない。なぜか自分はそれを知っていた。
リサだ。
その少女は、紛れもなく自分の唯一の弟子、リサだった。
ルークはリサに駆け寄り、抱きしめる。
「守るから。守るから。お前だけは、俺が絶対守ってやるから。」
そして、自分に向かって言い聞かせた。
「もう二度と、同じ過ちはしない。繰り返してたまるもんか。」
そう言い聞かせた時、自分の立っている場所からさほど離れていないところに、同じように光が差し込んだ。
ルークはそれに気づく。
もう一人・・・。
俺が守る者、もう一人・・・?
ルークは、リサを必ず守ると覚悟した。その覚悟と共に現れた一筋の光。つまり、自分には守るものがもう一つあるということ。
誰だ?
俺が守らなければならない相手。
もう一人・・・。
考えていると、光の中に少女が現れる。少女といっても、自分と同じくらいの年頃。16、7歳くらいだろうか?
燃えるような赤い髪、自衛騎士団の制服、胸には、騎士団員を表すペンダント。
「ルーク。」
こちらを振り返り名前を呼んだその少女は、髪と同じような燃えるような赤い瞳をしていた。
誰だ?
お前は一体誰なんだ?

ルークは、彼女が誰なのかわからなかった。
だが、知っている。俺はお前にあったことがある。
その時、頭に激痛が走った。
激痛とともに、彼女の記憶が頭に流れ込んでくる。
「私を見て欲しい!」
「頼む、力を貸してくれ。」
「ルーク・・・、また、助けてくれた・・・。」
「みっ、見ーるーなっー!!」
「私も、あなたを守る。」
「目を覚ませ、ルーク・エインズワース!!」
「彼女の愛を、リサの想いを、あなたの意志を、鞘に収めたままにするな!」
「目の前にある、大切なものを見失ってはいけない。」
思い出した・・・。
お前は、セシリーだ。
セシリー・キャンベルだ。
思い出した瞬間、激痛は嘘のように引いていた。
「セシリー!!」
ルークは、思わず呼びかけていた。
すると、眩しい光が現れ、ルークは目を閉じた。
次に目を開けると、自分は魔剣アリアと茶髪で丸メガネの女性と共にいた。
「セシリー」
女性は呼びかける。
何だ?何を言っている?
俺は、セシリー・キャンベルじゃない。ルーク・エインズワースだ。
ルークはそう思ったが、体は逆のことをしていた。
女性の方を振り向き、答える。
「何だ、パティ?」
発したその言葉で、女性の名が「パティ」だということはわかった。しかし、驚いたのは、自分がセシリー・キャンベルの声で話していたことだ。







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