二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: テニスの王子様 -夢見る僕らのお姫様- ( No.11 )
- 日時: 2010/07/05 23:16
- 名前: 彩凪 (ID: o6x1qd73)
『おにーいーちゃん♪』
—そっとテニスバッグを持った少年のそばへ寄る一人の少女。どちらも聖ルドルフの制服を着ている。
「おっ、明日香(アスカ)。お前も今帰りか?」
「うん!せっかくだから一緒に帰ろうよ」
「あぁそうだな」
そんな彼の返事に満面の笑みで元気よく返事する少女—明日香。
* * * *
不二 明日香(フジ アスカ)。
今年、聖ルドルフへ入学したばかりの新入生。薄茶髪のボブにピンク色のヘアピンがあどけなさを感じる。隣にいるのは聖ルドルフのテニス部の不二 裕太。正真正銘彼女の兄である。
「そういえばさ、明日香チャットしてるんだよな?あれって面白い?」
「うん♪すごく面白いよ。知らない女の子だけど、テニスの話とか服の話とかできるから♪同年代だからすごく親しみやすい!」
「へぇ…、まぁ俺は明日香がいいならいいけど。あんま無理すんなよ」
と裕太は明日香の頭をなでた。えへへと照れながら嬉しそうに微笑む明日香。
—暖かいオレンジ色の夕日が、彼らを包みこんでいた—。
* * * *
「……ふわぁぁ………」
—河川敷を一人歩く少女、千石 琉華(センゴク ルカ)。ポチポチと携帯電話をいじりながら河川敷を歩く、パーカーの少女。傍から見るととても奇麗な顔立ちをしている。
そんな小さな影に近づく大きな影が一つ——。
「おかえり」「!」
上の方から温かみのある声が降り注ぐ。少女はびくっとし、上を見る。そこには見覚えのある顔が。その顔を見た瞬間、琉華は本当に嫌そうな顔をする。その顔を見て、相手は困ったそうに。
「やだなぁ…、迎えに来たのに。その顔はないんじゃないかな?お姫さ「ぶちのめすぞテメェ」…やだなぁそんな言葉」
アハハハと頭をかく相手、千石 清純。正真正銘彼女の兄である。
「この言葉を教えてくれたのはテメェの母親だ。言うならあいつに言いやがれ」
「……」
そう言い、千石の横を通って河川敷を再び歩き出す琉華。そんな彼女の一歩後ろを歩きながらずっと彼女の後姿を見ていた。
- Re: テニスの王子様 -夢見る僕らのお姫様- ( No.12 )
- 日時: 2010/07/06 20:27
- 名前: 彩凪 (ID: 2MYnw2hS)
—ドカッバカッ —バキバキッ
『なんで、っ、なんでアンタばっかり!!』
やだ!!やめてよお母さん痛いよ!!
『お前なんて…お前なんて……!!』
助けて。。もうやだ!あたしこのままじゃ…。
母親は、あたしの髪が大嫌いだった。
夕陽を思わせる、暖かくて寂しげな橙色。
それはあたしの父親と同じ髪色。
父親は、あたしと母親を置いて家を出た。
だから母親も私も父親を憎んでる。
だから母親は父によく似た私も憎んでる。
—だから嫌いだった。母親も、橙色も、自分自身も—
* * * * *
『お兄様!まずは私の話を聞いて下さい!』
パタパタと長い廊下を走りながら一歩前を歩いている少年に話しかける一人の少女—跡部 梨子(アトベ リコ)。少年は梨子など見ずにずっと歩き続けている、まるで梨子の話など聞いていないように。
「お兄様!!」「梨子」
すると突然少年が立ち止まった。梨子もそれに乗じて立ち止まる。少し息切れを起こしているが、ずっと少年の方を向いている。やっと少年は梨子の方を振り向く。
「…梨子、俺は言ったはずだ。外部との連絡は避けるように、と」
「ですが!」
「お前の病気は神経性のものだ、中々治らない病気なんだ。お前は大人しく屋敷で療養していればいい」
「でも!!……」
「…梨子、俺はお前を大事にしたい。頼む」
「…」
少年の熱心な瞳のせいか、今までずっと少年の方を向いていた梨子の視線が少し下がる。それを確認した少年はすっと梨子の肩に手を置き、そしてすぐさま再び長い廊下を歩いて行った…。
「………」
長い廊下の真ん中で、一人梨子は俯き続けていた——。
* * * * *
『リコさんが入室しました。』
リコ:こんにちわー。
トウマ:こんにちわリコちゃん!!
リコ:あれ?今日はトウマさんしかいないんですか。
トウマ:うん。なんか今日はお忙しいみたいよ皆(・ω・)
リコ:そうなんですかぁ…。なんだかトウマさんと二人でお話するの初めてですね。
トウマ:そいえばそうだねー。まぁこの前会ったばかりだし、しょうがないよ。
リコ:そうですよね!じゃあ……。
トウマ:…ん?どしたのリコちゃん。
リコ:……。
トウマ:ん?もしかしてあたしに言えないことカナ?
リコ:…ち、違うんです。あの…。
トウマ:言いたい事があるなら言った方がいいよ。
リコ:…。
トウマ:大丈夫。あたしはリコちゃんの味方だからさ。
「……トウマさん……。」
リコ:…私。
トウマ:ん?あたしでできる事なら、なんでも聞くよ。
リコ:お願い。
トウマ:え?
リコ:お願いします。トウマさんにお願いがあるんです。
—その時、なぜか凄く心臓がどきどきしてた。多分、あたしは…リコちゃんが言いたい事…わかっていたんだと思う。
だから、確認してみることにした。そう思って、私はキーボードに文字を打ち込んだ。
トウマ:なに?
リコ:……日本へ、帰ってきてくれませんか?
—その時、あたしの新しい始まりがスタートされた—