二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜魔光石編〜 ( No.313 )
- 日時: 2011/06/12 14:17
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
9 飛火炎愁
守と修也が来た頃には午前の練習が終わり、昼食を食べ終わった後。円堂たちはいくつかの班に分かれて町を探索していた。やはし、音無は春奈につかまり、どこかへ連れて行かれてしまった。冬花と木野は春奈と行動を共にしたが、雷門は夏未と町を探索していた。円堂たちは冬花の案内により同じく町を探索していた。城にいると言った人たちは、修也が、町を探索する人には、守が護衛としてついている。最初は冬花に城にいろ、と守はどうにか説得を試みたが、冬花が一旦涙目で頼むと何も言い返せなくなってしまい、彼女の言いなりになってしまったのだ。
「そういえば、気になったんだけど、どうして冬花はフード被ってるんだ?」
円堂は城を出る時から冬花のコソコソしている動作に気になっていた。今も冬花は白いフードをかぶり、顔を隠している。時々道行く人の視線も集まるが、誰も冬花だとは気付いなく、すぐに去ってしまう。
「だって、見つかると城に戻されるから…」
「ですから、城にいた方が「嫌だ!」……ハァ」
「大変な姫様だな…」
風丸が言うと、冬花と守にばれないように吹雪たちもコクンと頷いている。
「で、ここが武器屋です。ここの店長さんすごく面白い人なんですよ」
「ただのエロジジィだと思いますけどね」
「武器屋ってド○クエとかで、出てくる…」
「円堂、せめて別のゲームの話はやめろ」
「少しだけ中に入りますか?」
と冬花がドアノブに手をかけた瞬間
—中から何かの破壊音が響いた。
「敵!?」
吹雪や風丸たちも一瞬身構えるが、一拍が過ぎると、今度は少年の様な声がとどろく。
「このクソジジィ!!!どこ触ってんだぁあああ!!」
「炎愁ちゃんも見かけないうちにs「失せろっ!!この老いぼれがぁぁ!!!」
「おじいさん!?大丈夫ですか!?」
冬花が慌てて中に入ると、短いオレンジ色の髪に、夕日色の様な瞳で踏みつけている老人を殺気のこもった視線で睨んでいた。息も荒く、怒りで顔を真っ赤にしていた。
冬花の後ろからはだるそうに入ってくる守と、それとは裏腹に、警戒しながらも守についてきた円堂たちがいた。
「炎愁?帰ってきてたのか?」
「あぁ、守か……このクソジジィ、いきなり変なとこ触りやがって。だからここは来たくなかったんだよ!」
と言い、もう一度足に力を込めた。
「痛い!!老人になんてことを!!」
「知らねぇよ!!」
「炎愁ちゃん、やり過ぎ、落ち着いて…」
「あっ、すみません姫。今さっき国に帰還してまいりました」
冬花が言うと、炎愁というらしい人物は、下にいる老人を踏み潰しから解放した。その隙に老人は冬花に抱きつこうとするが、守が思いっきり蹴とばす。同じく殺気のこもった目線で。これが天の裁きというものだろう。老人が飛ばされぶつかった壁はヒビが入り、崩れ落ちた。しかし、老人は怪我をした様子はない。
「姫に近寄んな、クソジジィ」
「イテテテ、まったく老人の扱いがなっておらん。うん?なぜ、バンダナ小僧が二人もいるのだ?」
「小僧じゃねぇつってんだろ!!!」
円堂たちは目ぽかんと口を開けてその光景を見ていた。
「あっ、これは別の次元の守なんです」
「えっと、円堂守です…」
「フンッ、けしからん…女以外はここに入るな、ここは男子禁制だ」
「うそつけ!テメェがただ女好きなだけだろ!!」
「無駄話してぇんじゃねぇ、さっさとしろ、こっちは金払ってんだよ」
炎愁が柄の赤い刀を横長いカウンターテーブルの上に置いた。随分と立派な日本刀だ。
「タダとh「金払ってんだろうが!!」」
老人にもう一度どなりつけると、彼は日本刀を鞘から引き抜いた。鋭利な刃が電灯の明かりできれいに反射している。
老人は大きな虫眼鏡を片手に、しばらくの間、日本刀の刃とにらみ合った。
「ほほう、刃の部分がすこし傷が入ってるな…しかし、簡単な話だ。三日程度で修理は終わりだ」
「三日後、取りに来る」
「最後にm「ぶっ殺すぞ!!」」
最後に老人に向かって一喝すると、老人は部屋の奥へと日本刀を持ち入って行った。
炎愁は守と円堂の間を通り、店を出ようとする。まるで円堂が眼中に入っていないかのように。
「炎愁ちゃん、これからどうするの?」
「先に自宅で少し休憩を取ります、それからのことはまだ考えてはいませんが…」
「そうなんだ」
「姫、先にこの物騒な店から出ましょう。あのエロジジィに何されるかわかりません」
「私は別にいいけど、守が嫌なら出よっか」
本当は冬花の身のためなのだが、と心中で呟くが、あえて言わなかった。
「さっき聞いたと思うけど、この人たち、別次元の守たちなんだ」
「そうですか」
「聞いたと思うけど、俺は円堂守。お前は?」
「俺?俺は炎愁だ。よろしくな」
炎愁が素直に手を差し伸べると、円堂もその手を握り返した。炎愁の手は男性のように厚く大きかった、ゴールキーパーをやっている円堂とさほど変わらない。むしろ、少し力を入れられたら、悲鳴をあげる前に、手が潰されて、原型をとどめていなさそうだ。
「お前の手すごいな!相当なんか特訓してるのか?」
「まぁ、小さいころから刀使ってたし…それに俺だけじゃなくて、守や修也だっても毎日修行三昧だし、でも、夏未は家事とか特訓とかしてんのに手とかすごく綺麗で憧れるんだよな」
「え?お前『男なのに』手が女みたいのがいいのか?」
円堂が呆けた顔で聞いた。後ろにいた豪炎寺たちは何かを察し2、3歩引く。炎愁の周りにどす黒い空気が取り巻く。
「え、円堂くん、それは禁句です…」
「え?」
「は…お……だ」
「あの〜炎愁さん、落ち着きましょう…ここは町中です」
守は冬花の前に立ち、必死な表情で炎愁をなだめようとするが、彼女は握りしめている拳を一層力を強く入れた、そして大声で叫んだ。
「俺は…女だああぁぁ!!」
「え?えぇ〜!?」
「円堂、今すぐ誤った方がいいぞ!!」
いつの間にか後ろに七メートルほど離れていた風丸たちが叫んだ、もちろんその中には豪炎寺や鬼道もいる、これは円堂への裏切り行為だと言ってもいいだろう。だが、そんな二人は知らんぷりをしている。まるで何も起こっていないかのように。吹雪も「キャプテン頑張って」など、円堂に応援を呼びかけているが、逃げる準備に取り掛かっている。何かあったときは、自分の命が最優先だから、キャプテンは自分で頑張ってもらわないと、と何かしら黒いことを考えている。円堂が振り返ると、血相を変えて今にでも殴りかかろうとしている炎愁とそれを必死に抑え込んでいる守がいた。
相変わらず女のくせに力が強すぎだろ、など心中で愚痴をこぼしている。
「わ、悪かった!!しょ、初対面だから、お前が女だって知らなくてぇ!!!」
「炎愁、落ち着け!!こいつも謝ってるだろ!!」
「そ、そうだよ…落ち着こ、炎愁ちゃん」
「ハァ、ハァ…今回だけだ、次、言ったら殴り飛ばすからな」
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機 〜魔光石編〜 ( No.314 )
- 日時: 2011/06/12 14:17
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
やはり、冬花が来てくれたことに守は感謝した。いなければ、どうなっていたことか、考えるだけで冷や汗が流れる。冬花の力を使うのは、あまり気持ちがいいことではないが。
「では、姫、さきに失礼します。後程、また城の方へ王に報告しに参りますので」
「う、うん。お疲れ様」
炎愁が深く頭を下げ、一礼すると、西の方角へ姿を消した。
「こ、怖いな…」
「キャプテンが怒らせること言うからだよ?」
「吹雪たちは逃げただろ!?」
「僕はもとから女の子だって気が付いてたけど…」
「明らかに嘘だろ…」
守が呟いたが、吹雪は聞こえぬふりをしている。
「炎愁ちゃんのこと男の子っていうと、ものすごく怒るんです」
「さっきみたいにな…おまけに地獄耳だ…」
「円堂、これからは気をつけろ」
「いや、だから豪炎寺が言うことじゃないだろ!!それに鬼道も!!」
「そういえば、あいつはあの家主がああなのに、どうしてわざわざ行く必要があったんだ?」
鬼道が冬花に聞いた。
確かにそうだ。変なことをされるのが嫌なら、そこに行かなければいい話だ。なのにどうしていく必要があったのだろう。
「この国で武器が壊れたりしたら、あそこしか直せる場所がないんです。魔法では治せませんし……たまに夏未や秋も行きますけど、入るのが嫌だから、春奈を使って、料金をタダとか半額にしてもらってるんです。ちなみに、おじいさんの名前はエギルさんです」
「え?なんで半額?タダ?」
「春奈があのジジィにわざと甘えんだよ、だから安くなるって言うか…なんていうか…」
「つまり、もう一人の春奈さんは悪知恵を使った、ってことだよね」
「そういうことだ」
「じゃあ、お前は?」
円堂が守の剣を見ながら言った。
「俺も春奈に任せてある」
「結局は皆、春奈さんに頼ってるのかな?」
「んなわけあるか、アイツはいつも敵が来たら「後は頼んだ!」とか言って、一番最初に逃げる役だ、姫がいたら別の話だが…」
「え?そうだったの?てっきりいつも春奈は後ろで補助していること思ってた…」
「「知らなかったのかよ…」」
「そろそろ、夕方ですね…城に戻って夕食にしましょう。木野さんたちもそろそろ戻ってると思いますから」
「早いな〜もう夕方かぁ」
「円堂にとって、一番早く時間が過ぎるときは、サッカーやってるときじゃないのか?」
「そういう豪炎寺はどうなんだよ〜」
「もう一人の守って少し呑気な人なのかもね」
ワイワイと騒いでいる円堂たちを後ろに、冬花と守は円堂のことについて話していた。
「そうですか?」
「ん、敬語」
「ハァ……俺はアイツのことあまり好きじゃないんだけどな…」
「ほえ?何で?楽しい人たちだと思うんだけどな〜」
「俺にもよく分らない、ただアイツは何か我慢しているようにも見える……」
「我慢?私にはそうには見えないけど…むしろ、楽しんでる気がする。でも、守が困ったときには言ってね、頼りにならないかもしれないけど、役に立つように頑張るから」
「冬花が笑顔でいてくれれば、それでいい」
守が冬花には聞こえないように小さく呟いた。
「?なんか言った?」
「え、いや、なんでもない…それより早く戻ろう」
守が少し歩みを早めると、円堂が「待って!」といい、追いかけて行った。