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第二章—光と闇を巡るそれぞれの想いと力—

「お前、誰だ！？」

グラッセがリズをかばうように前に出て問いただす。
こいつはさっき、確かに良いものを見つけたと言った。【純粋な光の心を持つ少女】と。

「誰でも良いだろう」

男はまるで動じず、相変わらずリズを楽しそうに見ながら歩いてくる。

「何が目的だ？」

「それ以上近づいたら容赦しない」

リズとグラッセの前に出て男の顔にヴェンとヴァニタスがキーブレードを突きつける。
目的がリズだとしたらこれ以上近づかせてはいけない。

「・・・【純粋な光と闇の心を持つ者】がこんなところで同時に見る事が出来るとはな」

そんなヴェンとヴァニタスに男は歩くのをやめ、目を見張りながらも嬉しそうに口を歪ませる。

「『』今日はコレで帰らせてもらう。ここでもめるつもりは無い」

「待てッ！あんた何者？何が目的よ！！」

何かつぶやき、闇の回廊を開いて出て行こうとする男をリズが引き止めた。

「名乗りもしない奴に言うわけないだろ。そんな事も分からないのか。ⅩⅢ機関もその程度か」

「ッ！！（怒」

「あいつの言う事を聞くな！」

男はリズをあざ笑うように言うことは明らかにリズの怒りを買うための挑発だ。だからこそムーンは忠告した。

「私の名前はリズ！リズティクスト・ブラックノーバディ！！」

「リズ！！！」

「俺はウラノス。今教えられるのはそれだけだ」

男—ウラノスの言葉に切れたリズが聞くわけも無く、見事に挑発に乗ってしまったのを見てムーンは絶叫する。
それを聞いた男は口を歪ませながらそれだけを言うと消えた。

「ウラノス・・・。あいつ、いったい何をしようとしているんだ？」

ムーンはみんなの心で渦巻いているであろう事を言うと、みんな黙り込んでしまう。

「レイシャたちを探しに行くわよ」

「でも・・・」

リズは静かに告げる。
当初の目的だし、それが一番だろう。そう思うものの、やはりさっきのウラノスのことがあるので、グラッセは戸惑う。

「ウラノスも気になるけど、最優先するべき事はレイたちの捜索でしょ」

リズは一度きると、それにと続ける。

「あいつは強い。今の私達じゃ勝てない」

「・・・そうだな。だったら、すぐに行こう」

「あぁ」

リズが悔しそうに言うのを見てマーベル、グラッセとムーンも力強く言う。

「よし、じゃぁ行くわよ！！」

「「「おう！！！」」」

「リズ！ちょっと待て！！」

リズが走り出して言うと三人も走り出した時、勢いをくじくようにヴァニタスが声をかける。コレには全員が思いっきりこけてしまった。

「いきなり何よ！！早くしてよね！！」

「うごっ・・・」

「リズ！それ以上は止めろ！！（汗」

するとリズはものすごい速さで戻ってきて、黒オーラ全開でヴァニタスの首を絞め、さすがにコレでは言いたい事も言えなくなってしまうとテラが必死に止めた。

「で、何？」

「お前やっぱ酷いな(涙。情報だよ情報」

『は？』

「どういうことだ？」

ヴァニタスが若干涙目になりながら言うと、その場に居た全員が唖然とし、マーベルが聞き返した。
あんな短時間で情報なんて入手できるのだろうか。第一、どうやって？

「あいつが言ってたんだ。『情報と違う』って」

「ちょっと待って、それって何時のこと？」

「俺たちがあいつにキーブレードを突きつけていたとき、つぶやいていたんだ」

その答えをヴェンが言い、アクアが聞き返すとヴァニタスも付け加える。

「ウラノスがそんな事を・・・」

「あいつ何か知っているみたいだ。気をつけろ」

リズは何を知っているのかと考えてつぶやき、ヴァニタスも忠告する。

「分かった、気をつけるようにする。色々とありがとな！行ってきます！！」

グラッセが頷き、別れを告げるとリズとムーン、マーベルも走り出す。

「頑張るんだぞ！」

「レイたちを必ず見つけてくれよな！！」

「気をつけてね！」

テラ、ヴェン、アクアの言葉に頷くと、リズとマーベル、グラッセとムーンでそれぞれのグミシップに乗り込み、発進させた。

「うッ・・・」

リズたちが旅立ちの地を出たころ、行方不明になっていたレイシャも目を覚ました。
あたりを見回すと、それは自分がよく使う回廊の中だった。

「ここは・・・闇の回廊？俺、なんでここにいるんだ・・・？リヴィネタウンにいたはずじゃ」

クラクラする頭を抱えながら呟くとハッとする。

「そうだ、リヴィネタウンがッ！アイズ！！カヤ！！」

そこでさっきまでのことを一気に思い出した。リヴィネタウンに出現したハートレスにアンヴァ—ス、さらに本来なら自分の仲間であるノーバディまでが暴れまわる現状。
そして、一番重要な——親友のアイズとカヤのことがわからない——こと。

「（どうしてそうなってしまったかはわからない。でも、今は二人を探さないと！）」

一人で考えながら立ち上がると、近くにあった光がレイを包み込む。


空は暗く、傍らにはギロチン、所々にはかぼちゃがおいてある。

「ここ、ハロウィンタウン・・・？」

「こんなところに一人できたら危ないよ、坊や♪」

「誰だ！？」

世界（ワールド）の名前を呟いていたレイに対して後ろからささやく声に振り返ると、楽しそうな桃色の瞳をした薄い緑の髪をサイドテールにした女がいた。

「初対面なのにそんなこと言わなくてもいいじゃない」

心が警鐘を鳴らし始めたと感じ、レイが身構えるとその女は寂しそうな顔をした。しかし、口が笑っているためにさらに激しく警鐘が鳴る。

「ごめんなさい（なんだ・・・この人？ものすごく嫌な感じがする・・・）」

—ハートレスにノーバディ、そしてアンヴァ—ス！思いっきり暴れなさい！！—

お礼と謝罪は必ずするというアクアからの教え。それはレイの身にしっかりと叩き込まれており、とっさにその女に謝ったその瞬間、どこからか声が聞こえてきた。

「あら、意外と素直なのね」

—じ…の少…リズ…グラ…ン、そ…マ…ルね—

謝ったのに少し驚いたように女が言った時、今度は映像とともにさっきの声がどこからか聞こえてきた。

「（この声・・・目の前の人の？それに、これは記憶・・・？）」

レイはナミネから力を受け継いで生まれたため、記憶を司る。
そして、今見えた映像の中で目の前の女が誰かと話していた。音はとぎれとぎれで聞こえずらいが、唯一『リズ』とだけは聞き取れる。

「（今までもこんなことあったけど、あいつは誰だ？なんで姉ちゃんたちの名前が・・・）あんた、何者？」

「それを知ってどうするの、坊や？」

「いいから答えろ」

何者なんだと聞くと、逆に知ったらどうするんだと聞き返されるとキーブレードを召喚して突きつける。さっきの映像と声が気になることからつい言い方がきつくなってしまう。

「まあ、どっちにしろ答える気はないけどねッ」

何故言わなければいけないの？というような顔をしたのを見て、レイはその女の懐に潜り込んでキーブレードを薙ぎ払う。

「何よ、やる気？」

しかし、その攻撃は紙一重でよけられてしまい、女も武器—フレイムダガーを構え、レイも元いた場所に飛びのいて体制を立て直す。

「・・・あんたは俺の仲間に何をする気だ？」

レイは右手でキーブレードを構えたまま、左手で空中に円を描く。
すると描いた所から鎖が伸び、円を描くとそのまま回り始めた。その鎖の中にさっきみた記憶が映し出された。

「・・・その力—記憶を操る力のこと聞いたことあるわ。それにさっき仲間って言ってたわね。坊や、ⅩⅢ機関のメンバーね」

「いいから答えろよ！！」

ちょっと焦りながらも、薄く笑うその女にイラついたレイは叫びながらキーブレードを投げつけるが、余裕だというかのように涼しげな顔ではじかれてしまった。
ただでさえ自分の大切な人たちがまた何か大きな事件の渦に巻き込まれているのに見ているだけなのは嫌だ。
その思いがあるからこそ、女の行動全てが気に入らない。イラつく。
—自分がどの位置にいるのかもわからないまま


「レイたちどこにいるんだろうな」

グラッセがため息を吐きながらつぶやく。
心配して三人を探して旅立ちの地を出たグラッセとムーンのペアもハロウィンタウンに来ていた。
さっき研究所の中を探索しおえて外に出て来たのだが、三人のうち一人も見つからなかった。

「とにかく、次のワールドに—」

—ドォォォン！！！

「なんだ！？」

次のワールドへ行こうと言おうとした瞬間、ものすごい爆発音が聞こえた。
それに驚いてムーンが言っているうちにグラッセは走り出した。
広場に出ると、そこではレイシャがいた。
レイシャは知らない女と対峙している。

「レイシャ！？」

「誰だ？あの女」

グラッセが名前を呼び、ムーンは燻がるが、明らかに敵のようなので加勢しようとキーブレードを召喚する。


「いい加減にしな、坊やじゃ勝てないよ」

女はレイの懐に飛び込みんで攻撃する。攻撃がよけられなかったレイのみぞおちにフレイムタガーがヒットしてしまい、息ができなくなってしまった。

「ぐッ・・・ごほッ」

「もう、手こずらせないでよね。『必要なもの』なんだから」

息ができずに咳き込んでいるレイに肩で息をしながら歩み寄り、フレイムタガーを振り下ろす。

「「レイシャ！！」」

しかし、それは声とともに黒いキーブレード——ダークブレスメモリーに阻まれた。
そのままキーブレードを薙ぎ払うと女は飛びのく。

「さっき言っていた仲間の登場ね」

グラッセがレイシャにケアルをかけ、ムーンが女と対峙していると、突然女は闇の回廊を開いて入ろうとする。

「待て！！」

それを見たレイは起き上がる。
どうしても聞きたいことがあった。もしこれが自分の考えていたことであったら・・・

「なに？部も悪いしもう帰るわよ」

「リヴィネタウンが闇に飲まれた原因はあんたか！？」

面倒くさそうにため息を吐きながら女は振り返る。
もう女の行動にイラつくどころではないレイは単刀直入に叫ぶ。

「・・・そうよ、坊や♪」

『なッ！！？』

笑いながら言った女の言葉にその場にいる全員が目を見張る。
するとレイは一気に立ち上がってキーブレードを構えた。

「（こいつがリヴィネタウンを・・・アイズを、カヤを・・・）」

普段は絶対に憎しみなんて持たないレイが憎しみを込めた闇をまとわせる。
それを見たグラッセとムーンはこんなにレイが怒りをあらわにしたことに驚いた。

「それだけ？じゃあね、坊や」

「待てッ！オレの名前はレイシャ・ブラックノーバディ！！お前等、カヤとアイズをどこにした！！？」

闇の回廊の中に消えていく女の言葉に切れたレイは先の戦いのダメージで、ありったけの声で叫ぶことしかできなかった。

「（ウラノスもそうだけど、あいつなんだったんだ？）」

それを見てあの女はなんだったのだろうとムーンは考える。
そこでふと、レイの言葉に違和感を感じた。

「大丈夫か？」

「あぁ。ありがとうグラ兄、ムン兄」

グラッセはもう一度レイにケアルをかけ、大丈夫かと聞く。そしてレイがお礼を言ったその横で難しそうな顔をして考え込んでいるムーンのことがグラッセは気になって声をかける。

「ん？どうした？ムーン」

「レイ。『お前等』ってどういうことだ？」

すると、ムーンはレイに難しい顔をしてお前等とは誰のことかと質問した。
違和感の正体はそれだった。さっきいたのは女一人、ほかには人がいなかったはずなのだから。
それを聞いたレイは戸惑いながら右手で空中に円を描く。
そして、そこに映し出された映像は、さっき見た言葉がうまく聞こえないあの記憶。

「知らない誰かと話しているんだ。たぶんそいつがあいつの仲間だと思う」

そう言ってレイが指差したところに映っていたのは、緑色の短髪に黄色い瞳。
まぎれもない、ウラノスだった。

第二章終了

やっと第二章終わりました！

レイ「時間かかりすぎだ」

アイズ「それより、結局あの女の人誰だったわけ？」

それは次の章で明かされるかと。
にしても、会話文が多すぎるよ。自分で書いてて、文才のなさに泣ける（涙

カヤ「今さらだろ（酷ッ！！」

まぁ、とりあえずちゃんと終えられたからいいとするか（汗
お願いだからそのキーブレードをしまってよ、レイシャ君・・・？

レイ「だって、どんだけ姉ちゃんたちを苦しめれば気が済むんだ（黒笑？」

え、いやさ。その・・・

レイ「というわけで、俺の気が済むまで殴らせろ☆（超絶黒笑」

んなこと許すわけないだろーーーーー！！！（滝汗＆逃亡

レイ「待ちやがれ！！」

アイズ「あ〜あ、追いかけて行っちゃった」

カヤ「次はリラさんにバトンタッチしての第三章です」

では、失礼しますぅ！！！

カヤ「わざわざ戻ってきたのか」

アイズ「またどっかに走り去ったけどね」