二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.205 )
日時: 2015/01/20 15:29
名前: リラ (ID: PMHGkQdB)

断章3—驚愕の出来事と触れ合う二人の心—

「ブリザカ…続いて、トリプルブリザカ!アイスバラージュ!」

「甘いっ!雷よ!」

存在しなかった世界の虚空の祭壇ではカヤが精霊—いや召喚獣と言うべきであろうアイシクルモードに変化しながら氷の魔法を三連発で放っていた。
しかし相手は彼の師匠であるリズ、彼女は雷の初級魔法のサンダーでそれを全て相殺してしまう。

「次はこっちから行くよ!ウィングモード…発動っ!!」

「げっ!!」

それからリズは3本の蒼い左翼を出し宙へ浮かぶと、キーブレードに雷を纏わせたので嫌な予感を覚えた彼は退避しようとするが—

「—機関でスピードの速さの上位に入る、私から逃げられるとでも?」

「ッ!!」

「終わり…ライトニングレイ」

「ぎ、ぎゃあああああああああ——————っ!!!!!」

素早い彼女は何時の間にか自分の背後に回っており、思わず息を飲んでいると雷を纏った突進攻撃がカヤに突っ込んでいった…

「いっ…うっ〜…!」

「迷いを見せるなって言ったろ…これがウラノス相手なら致命傷を負わされてたわよ」

「分かってる…すまん」

「別に責めている訳じゃ無いわ、今度気を付けてれば良いの…本番でね」

容赦の無い攻撃を喰らい相当痛みがあるのか、アイシクルモードを解除した後にカヤは座り込むと胸を押さえながら呻く。
そんな弟子にやり過ぎたかなと思いつつ、これから挑む相手が相手なので手加減は出来ないからこそあえて厳しい事を言う。
それを彼も自覚しているようで申し訳なさそうに謝る物だから、優しく微笑む事で落ち込ませないように心がけた。

—リズは別にカヤと命を懸けた戦闘をしている訳ではない、これも最後の戦いに向けて必要な一環なのだ。
データ・ファンタジアとの出会いを得て、リズ、グラッセ、ムーン、カヤ、マーベルの5人は、自分の中にあるキングダムハーツから授けられた力の存在を知った。
その力があればあの兄妹—ウラノスとガイアとも対等の力で戦える、だからこそリズたちはこう作戦を練った。
二人の捜索を機関員やダスクに任せている内に、自分たちは存在しなかった世界で特訓をする。
ちなみにその内容はウラノスたちと同じ属性であるアクセルやラクシーヌとの戦闘や、雷と炎の魔法を一通り使えるリズとムーンとの戦闘と言う物だ。
だからアクセルとムーンと戦闘しているグラッセ、ラクシーヌと戦闘しているマーベルはこの場に居ない。
サポート担当であるレイシャはデータ・ファンタジアに『ちょっと用事があるので出かけます、レイシャは…少々思い当たる事があるので…手伝ってほしいです、来て貰えますか?』と言われ不在だ。
そんな彼女にレイシャはふたつ返事で返し闇の回廊で消えたので、内心この場にアイズが居たらどうなる事やら…と思ったのは秘密だ。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.206 )
日時: 2015/01/22 17:27
名前: リラ (ID: PMHGkQdB)

「アイズ…」

上記の事を考えてカヤは何処かへ消えてしまった親友の名を、誰にも聞こえないような小声で呟きため息をはいた。
ガイアが発動させた【異世界へ送る儀式】によって居なくなった彼女は、恐らくマーベルと同じく違う世界へと飛ばされてしまったのではと彼は踏んでいた。

「(正直な所データ・ファンタジアの話を聞くまで、マーベルが異世界から来たと言う話は半信半疑だったがな…)」

今まで黙っていたがカヤはマーベルがこの世界の住人じゃない事を疑っていた、幾ら何でも話が飛び過ぎていると思っていたが…先日の事もあり信じるしか無くなった。
そして彼は気付いたのだ、もしかしてアイズはガイアが使った魔法の文字通り—もう俺たちの世界には居ないと言う事実に

「(それなら…納得が出来る)」

もしそうだとしたら全て辻褄が合う、どれだけⅩⅢ機関の情報網で探してもアイズが見つからないと言う事に
レイシャが帰って来たらこの事を教えないとなー…と、カヤは言ったらショックを受けて寝込みそうな、金髪と栗毛が混ざった少年にどう伝えようと悩んでいると—

—シュンッ

「げふっ!!?」

物思いにふけていたからかペットボトル(スポーツドリンク入り)が、顔面に向かって飛んで来て余りの痛さに呻き声を上げる。

「何時も通り受け止めると思ったんたんだけど…おーい、大丈夫か?」

「これが…大丈夫に、見えるとでも…?」

「それだけ言う気力があるなら平気そうね、まぁ…いきなり投げた私が悪かったけどさ」

リズもまさかそのままぶつかるとは思っていなかったのか、少々驚いた顔をするがすぐ元に戻り絶句している弟子に話しかける。
それに対しての答えは低い声で怒りの感情を表しているカヤ自身で、流石に申し訳ないと思った少女は憎まれ口を叩いた後に謝る。

「まっ、取りあえず腹ごしらえしましょ!どうやらダスクと私の配下たちがご飯持ってきてくれたようだし」

このままでは空気が重くなるのでリズは気配を消しているつもりであろう、配下ノーバディを呼び出し彼らが持って来たであろう昼食を食べる事を促す。
誤魔化しやがったなとカヤも睨む物の、確かに腹を減っては戦は出来ぬと言うし進められるままに食べたとか…



「—ファンタジアさん、何処まで行くんですか…?」

「もう少しで着きますよ、ここです」

そして一方の話題の人物(?)ことレイシャはと言うと、何故かデータ・ファンタジアと共にトワイライトタウンの学校—トワイライトスクールに来ていた。
未来でも過去で作られたこの学校は残っており、相も変わらずゼムナスが校長兼理事長をしているらしい。

「こんな所に、一体何を…?」

レイシャ自身学校へ通っていないために憧れはある所であるが、どうして彼女がここに来たのか分からない彼は困惑していた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.207 )
日時: 2015/01/25 15:53
名前: リラ (ID: PMHGkQdB)

「用があるのは、学校では無いです…あたしが来たかったのはこちらの…」

「…教会?学校内に協会があるって事はそう言う事に関しての勉強をするのか、ここは…?」

しかしデータ・ファンタジアは校舎に目も暮れず違う場所に進んだので、トワイライトスクールに私用があった訳では無かったようだ。
余計に目的が分からなくなったとレイシャは首を傾げるが、すぐさま彼女がとある施設を指さした事により目的地が発覚した。
それは学校の敷地内に存在する教会のようで、初めてそんな所に来た金髪と栗毛の少年はそう呟く。

「いいえ、ここはあくまで生徒たちに解放されているだけのようです、貴方達の指導者さんが所謂趣味で作ったような物らしいですよ」

「何やってるんだよ、ゼムナス…(汗」

その考えを彼女は否定しここが作られた経緯を説明したので、思わずレイシャは相も変わらず無茶苦茶な事しかしないリーダーに対して呆れながらツッコミを決める。

「それでファンタジアさん、こんな所に一体何の用が…?」

「それはこの扉を開けたら分かります…この扉の先に居る方が全てを語ってくれます?」

「(…待ち合わせでもしてたのか?)」

ゼムナスに関して私利私欲のために何でもかんでもやるなと、後で文句を言う事を決意しつつレイシャはデータ・ファンタジアに目的を問う。
それに対しての答えは微笑みながら誤魔化されるだけで、もう自分で確かめる他ないのかと少年はため息をはいてドアを開く。

—ギィィィィッ

「本当にもう、誰と会う約束をして…たん、です…か…?」

何時までも話してくれない彼女を焦れったいと思いつつ、人が居るなら待たせる訳にも行かないのでレイシャは呆れたように口を開きながら中に進み…固まる。
正しくは教会の中にある祭壇にて、祈りを捧げているのであろう人物を見て硬直したのだが

「………………」

その人物とは—長い金髪に黒い羽の髪留めを二つ付け、白いワンピースを着て首に黒のチョーカーをつけた少女…いや女性で
黒の長いヒールブーツを履き、足元には羽のような物が付いており…そんな彼女が振り向き、今まで閉じられていた瞳が開くと—それは桃色の綺麗な瞳をしていた。

「…初めましてと言うべきかしら、ファンタジアさん?まぁ…付き添いの男の子に関しては、本当に初めましてですけど」

「貴女は…まさか」

「ええ、私の名前は—テルス、テルス・オルヴィズ・レザレックションウンブラです」

この特徴からして恐らく間違いないだろう、だからこそレイシャはカヤから聞いていた話があるからこそ信じられなかった。
彼の言った事が本当ならこの人は死んでいるハズだ、なのにそんな真実を裏切るかのように彼女—テルスは悲しげな表情で名乗った。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.208 )
日時: 2015/01/27 14:24
名前: リラ (ID: PMHGkQdB)

「探すのに苦労しましたよ?テルスさん…まさかトワイライトタウンに潜んでいるなんて思いもしませんでしたから」

「ウフフ、灯台下暗しって言うことわざがあるでしょう?身近な物ほど気付きにくい物なの」

ウラノスたちの姉である—テルスの登場にレイシャは呆然としていると、データ・ファンタジアが彼女と話し出す。
この二人は初対面なハズなのに、何故こうも…まるで旧友と再会したかのように話せるのだろうと言う疑問が彼の中で浮かんだ。

「あ、あの…失礼ですけど、二人とも先らの話を聞く限り…初めて会ったんですよね?」

「ええ、そうですよ?貴女も聞いたでしょう?初めましてと言うべきかしらって」

「その割には…随分と親しい気がするのですが…?」

何故出会ったばかりこの二人がここまで会話が弾んでいるのだろうと、レイシャは口にするとテルスが肯定の答えを返す。
尚更訳が分からなくなっていると、データ・ファンタジアがクスクスと笑い出した。

「そう言えば言い忘れてましたね、確かにあたしはテルスさん自身とは初めて会いましたが…心の中で話した事があるんですよ」

「心の中って事は…精神世界でって事か!?」

「ええ、その通りです…私は前に召喚獣として覚醒し暴走したカヤと…心の中で接触した時があるんですが、その時にファンタジアさんとも出会いました」

何とデータ・ファンタジアは心の中—所謂自分たちが精神世界と称する場所で、テルスと会っていたらしくその時の詳細を彼女が教えてくれた。(詳しくは第7章参照)

「そして彼女はこう言ったんです…生きているのなら、リズやムーンやカヤとあって後悔を減らして欲しいと」

「リズ姉ちゃん…たちの、後悔?」

「ええ、あの子たちは…私を救えなかった事を未だに後悔しているのです、あの時の状況からして仕方なかった事だと言うのに…私を殺してしまったと」

「………………ッ!!」

その時にデータ・ファンタジアは、もう一度リズたちに会う事をテルスに対して願った。
ずっと彼女たちは後悔していたから、大切な友を…テルスを見殺しにしたと思い込んで
自責の念が強い姉たちなら大いにあり得ると、レイシャも息を飲むと同時に理解した。

「それを聞くまで…私はあれから闇の回廊で流れ着いた…このトワイライトタウンで隠れるように暮らしていました、約半年前に旅をしていたリズとムーンたちを見かけてからは更に」

「え…!?」

まさかあの事を背負っていたと知らなかったテルスは、フリーズシティの事件後からリズたちはきっと無事に生きてると生存を信じて過ごしたのだろう。
それなのに彼女は半年前にリズたちを見たと言う発言をし、何故話しかけなかった、出て行かなかったのだとレイシャは絶句した。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.209 )
日時: 2015/01/28 22:30
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

「貴女は…!アンタはッ、リズ姉ちゃんとムン兄に気付いていたのか!?じゃあ何でその時話しかけなかったんだよっ!!?」

「………」

「黙ってちゃ分からないだろ!二人は…アンタの事を覚えていた!そして悲しんでいた…!それなのに…!!」

テルスはリズたちの存在を既に知っていたと言う見過ごせない発言に、レイシャは感情的になりながら彼女の肩を掴み揺さ振る。
フリーズシティの事件の全貌を知ってしまった以上、余りにも彼女がした行動は姉とその友達に酷い事だと思ったのだ。

「レイシャ、落ち着いて下さい…彼女だって好きでそうしたんじゃないです!テルスさんは…リズたちの事を思って、何も無かったかのように振る舞っていたんです!!」

「…?どう言う事だ…?」

このままではテルスに殴りかかりそうな勢いのレイシャに、データ・ファンタジアも危機感を覚え止めにかかる。
そして何故彼女がそう言う態度だったのかを語り、金髪と栗毛が混ざった少年は黙っている本人に問いかける。

「………ええ、そうです…私は、リズたちに思い出して欲しくなかった、忘れて欲しかったのです…フリーズシティの恐ろしい記憶を」

「…何で?」

「…あんな辛い記憶、あるだけ苦しいだけです…だから私は、今リズ、ムーン、カヤ、ウラノス、ガイアが幸せに暮らしてるなら…それで良かった」

これはもう隠せない、誤魔化せないと判断したのか、テルスはため息を吐いた後に本心を語った。
フリーズシティの出来事は誰にとっても悲しい記憶になってしまった、あの時…襲撃されなければ今頃あの世界で皆と一緒で幸せだったと何度も考えた。
でもそれは今トワイライトタウンで生きている自分、そして…何処かの世界にいるかつての友も傷付ける考えだと思い…そう思うのを止めて皆の幸福を祈った。

「そんな時に…現れたのが、リズとムーンと…赤髪の男の子でした」

「赤髪って事は…グラ兄か」

そうして日々を過ごしていたある日—自宅に帰る途中に、彼女は大切な存在と再会する事となった。
それが半年前—世界を救う旅に出ていた、リズ、グラッセ、ムーンだった。



『久しぶりに父さまと母さまに会ったけど…元気そうで良かったわ』

フリーズシティの件からトワイライトタウンに流され、それからと言う物のテルスはとある人物に拾われ育てられた。
それが所謂養父と養母の立場の人たちで、その日彼女は仕事に就いてからと言う物の中々会えなかった二人に会いに行った帰りだった。
相も変わらず優しい両親に嬉しくて笑っていると、空き地の方面から走ってくる子供たちが居た。

『(あら…もしかして教え子の誰かかしら?)』

教師でもあるテルスは、もしかして自分が受け持っている学校の生徒ではないかと思いその方向を見て—絶句した。

『よっしゃーっ!私一番乗り〜♪』

『ゼェ…ゼェ…リズ、お前魔法使わずにその早さって…』

『もはや…チートじゃないか…!』

その場に居たのは—見覚えがある姿がそのまま成長した二人と、初めて見た赤髪の少年
前者については声と言い特定出来てしまった、金髪と栗毛が混ざった少女—リズと、紫髪の少年—ムーンだ。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.210 )
日時: 2015/01/29 14:58
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

『嘘………リズに、ムーン…なの…?』

あり得ない光景を目の当たりにしてしまったテルスは、咄嗟に姿を隠し口元を押さえながら小声で呟く。
あの姿は間違いない—二人とも顔が大人びている物の、6年前の名残が残っていた。

『あぁ…!じゃあウラノスとガイアも、生きているのね…!カヤも…!!』

—生きていた!生きていたのだ!!あの二人が無事だと言う事は、自分の弟と妹…そしてその友達も!!!
あの後何者かの手によって闇の回廊が開かれ、フリーズシティから先に逃れたテルスは皆の生存が不明だった。
だからこそあの二人に今話しかければ、他の人の事も分かると思い聞くためにも動こうとしたら

『それにしても…こうしてゆっくり出来るのは久しぶりだよな〜』

『そう言われれば…そうだな、何せ今まで散々振り回されたりと…色々とあったからな』

『そうだね…私たちよく付いて来れたと思うよ、だから…もう終わった以上、私たち3人の時間を取り戻す事を決めた!』←

『『ぶっ!!』』

恐らくリズとムーンの親友であろう赤髪の少年が何処か悲しげに話し、それに紫髪の少年が同意した事で少し空気が重くなった。
お蔭で出るに出ずらい状況になってしまい、成り行きを見守っていると笑顔の少女がいきなりそんな内容を決定してしまい二人が噴き出す。

『お前って奴は…勝手にそんな事を考えて…』

『そう言いつつ満更じゃない顔してるぜ、ムーン?俺はその提案に賛成だ』

『…誰も反対だって言ってないだろ、グラッセ…俺だって…悪くは無いと思うぞ』

自分たちが想像もしなかった事を口にする彼女に、ムーンは呆れたように苦笑する物の—その顔は穏やかな物だった。
それをグラッセと呼ばれた彼も理解しているようで、優しげに微笑むと照れたように紫髪の少年はそっぽを向いた。

『………………』

—あんな顔も…出来るんだ、出来たんだね…ムーン
今まで楽しそうにしていても、何処か苦しそうな表情をしていた彼しか見た事の無かったテルスはそう思った。
現在の彼は心から笑っている、幸せだから…きっとそれは昔から背負っていた何かを降ろせたから

『…リズ、貴女が救ってあげたのね』

それが出来たのは彼の隣で笑っている少女の力だろう、彼女の真の強さに気付いているテルスはすぐ分かった。
あの子もあの子でまるで憑き物が落ちたかのような気がする、前までは何か隠している物の重さに押し潰されそうな気がしていた。
そんな彼女を、彼を…助けてあげられなかった自分が、何よりももどかしかった事を思い出し無意識に失笑する。

『…ごめんなさい、リズ…ムーン…せめて、今は幸せに…なって…』

二人がこの瞬間笑顔でいられるならそれでいい—テルスはそう決意し、彼らの今後に光がある事を願い…その場を離れたのだった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.211 )
日時: 2015/01/30 23:40
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

「…その後は先らも語った通りです、私は…あの子たちを不幸にしたくなかった、だから更に隠れて暮らすようにした」

「………………」

「今思えば…愚かな事なんでしょうね、その選択が更にリズたちを傷付け…挙句に自分の弟と妹を…世界を滅ぼそうとする思考を抱くまで追い詰めてしまった」

リズとムーンとの再会の話をし終えたテルスは今にも泣きそうな顔で、ウラノスとガイアが暴走しているのを知らずにのうのうと生きていた自分に後悔した。

「…私は姉として失格なだけじゃ留まらず、何も出来ませんでした」

そんな事態になるまでに大切な肉親を放置して、苦しめ、悲しませていたと言うのに—私はただ逃げていた…それでは何の解決にもならない!
余りにも重い罪だとテルスは後悔し…償うためにも、データ・ファンタジアの誘いに応じこの場に来たのだ。

「…それがアンタの後悔か、テルス・オルヴィズ・レザレックションウンブラ」

「…ええ、私のような者がでしゃばっているとは分かっています、でも私は…!!」

「—もう後悔したくない、そして…リズ姉ちゃんたちにもさせたくも無い、だろ?」

テルスの懺悔を聞いたレイシャは冷たい眼差しで見下ろし、低い声で名前を呼ぶと彼女は俯きつつも自分の気持ちを伝える。
この人が何を言いたいのかはもう分かっている彼は、先にその言葉を口にしウインクする。

「…貴方は、本当にリズに似てますね、そのウインクの仕草と言い…何だか安心します」

「そりゃあそうだろ、俺とリズ姉ちゃんはたった二人の姉弟だからな!」

この心温まる笑顔は何時も無茶ばかりするあの子にそっくりだと、テルスは微笑むとレイシャもそう言われて嬉しいのか笑う。

「さーてと!ここまで来たら俺が来た意味も納得したぜ、俺に…この記憶を、テルスさんの生き様をリズ姉ちゃんたちの頭に送ればいいんだろ?」

「はい、貴方の記憶を操る力で…今見た物、感じた物をリズたちに書き込んで下さい」

「書き込むんじゃ無い…送り届けるんだ!この大切な記憶と想いを…!!」

流石に全部知らされたら何故自分が同行を頼まれた理由も想像が付き、空中に円を描くとデータ・ファンタジアも頷く。
この際パワーアップした記憶の力を見せてやると思い、彼は銀色の鎖を出すと宙に浮かせる。

「—記憶よ、届け!大切な人の元へと!想いを伝えよ、優しき声と共に…!!」

—ジャラララッ

そしてレイシャの掛け声と共に力が解き放たれ、暖かい光が辺りを包み込むと…鎖が鳴った。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.212 )
日時: 2015/02/01 23:28
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

—私は後悔していた、セレスとソーダライトさんを身代りにしテルスと言う友人を救えずに居た事を…ずっと
だからこそ最初にカヤに再会した時は喜んだ、そして彼に生きていくための強さを伝授した。
それが私に出来る唯一の事だと思ったから、師匠(せんせい)であり友達の関係でもいられるから
次に再会したムーンとは親友になった、あの時の事を忘れていてくれて本当に良かったと思う。
そして…最後に再会したウラノスとガイアは敵となってしまった、あの時の事が原因で彼らは壊れてしまい私の沢山の…大切な人を傷付けた。

「(だからこそ…狂ったアイツらを私が止めなきゃいけない、こうなってしまったのは—私に責任があるのだから!!)」

テルスの忘れ形見とも言える二人をリズは許す事が出来なかった、それでいて彼らを消す事で全てを終わらせると決意した。
その思いは強固な力となって、先らから攻撃を仕掛けて来るカヤを無意識にボコボコにしていたのは余談である。(オイ

—俺はフリーズシティが戦火に飲まれる中、幼なじみと親父の犠牲により生き残る事が出来た。
その後の事は…本当に悲惨としか言い様がない生き方だったが、光を恨み、拒絶し、嫌い…暗闇の中に居た。
そんな中に居た俺を師匠と言える存在が救った、そいつは実は俺の友達だったと言うオチだったが俺は真実を聞くまで忘れていた。
俺は彼女の教えにより生きる事を諦めず、二人の親友を手に入れる事も出来て光をある程度認められるようにもなった。
名前はレイシャとラクアイズと言う、二人揃って頑固者であり意思が強く…時々その強情さに俺も呆れる事があるが良い奴らだ。
そいつらに囲まれて過ごした日々は、俺にとって何よりも幸せだと実感する事が出来る。
でも…俺は一つだけまだ悔やんでいる事がある、それは師匠と同じく忘れていたがテルスと言う人物を結果的に殺してしまったと言う物だ。

「(何で俺はあの人の事が記憶から抜けていたのだろう…)」

辛い記憶だけを忘れていた自分が情けない、カヤは己の不甲斐なさに正直な所頭を抱えたかった。
しかし今はそれが出来ない、何せリズが全力攻撃をしかけてくるお蔭で色んな意味で気が抜けないからだ!!
何でアイツ先らよりも力が強くなってるんだよ!?それでいて痛いわ!!と叫びたかった時—

—ジャラララッ…キーン…

「っ!これは…!!」

「記憶の…鎖?」

リズとカヤの頭上に銀色の鎖が現れたかと思えば、暖かな光がそれを包み込みゆっくりと下がって来たではないか
見覚えがあるこの力はレイシャの物だと、二人して思っていると—辺りが一面白くなった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.213 )
日時: 2015/02/03 23:28
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

—俺は何も出来なかった、大切な友が戦っていると言うのにいち早くそんな戦場から抜け出して…逃げたんだ。
そのせいで大切な友を失った—いや俺が消してしまったような物だ、これは…けして償えないことだ、償う人が居ないのだから
それだけでも罪深いと言うのに、俺はあろう事か数年後に再会した親友まで酷い目に合わせて…危うく殺してしまう所だった。
辛うじて助かった親友は気にしていない、だから何時までも気にするな—と言うが…そう思えるほど俺の心は強くない。
俺はテルスを守れなかった事、そしてカヤとセレスを忘れていた事、リズを傷付けてしまったと自責の念を抱いていたから

「(俺が…ウラノスとガイアを命を張ってでも止める事で、テルスねーちゃんに顔向け出来るよな…)」

自分が犠牲になってでも二人を止めれば、亡くなった彼女への…せめてもの出来る事であり償いだ。
より一層に特訓に集中しグラッセとアクセルに向かって、ムーンは特大級の闇の技を放とうとしていると

—ジャラララッ…キーン…

「あっ…!?」

「うおっ!!?」

「な、何だぁ!!?」

ムーンの頭上にもリズとカヤと同じように鎖が出現し、これには思わずグラッセとアクセルも動きを止める。
この3人もこの正体がレイシャの物だと分かっており、何か用でもあるのかと思っていると—こちらも光が広がった。

—私の名前は—テルス、テルス・オルヴィズ・レザレックションウンブラです

—灯台下暗しって言うことわざがあるでしょう?身近な物ほど気付きにくい物なの

—あの子たちは…私を救えなかった事を未だに後悔しているのです、あの時の状況からして仕方なかった事だと言うのに…私を殺してしまったと

—私はあれから闇の回廊で流れ着いた…このトワイライトタウンで隠れるように暮らしていました

—約半年前に旅をしていたリズとムーンたちを見かけてからは更に

「嘘…テルス…!?」

「テルスさん…!!」

「テルス…ねーちゃん」

それは恐らくレイシャが書き込み流し込んだ…いや送り届けてくれた記憶で、リズ、カヤ、ムーンは信じられないと言わんばかりにその人物の名を読んだ。
これはレイシャが実際に今正に体験した事なのだろう、近くにデータ・ファンタジアが居たからそう判断出来た。
ちなみにグラッセとアクセルはこの場に来ておらず、これを見れるのはフリーズシティ組だけだったのは余談である。(オイ

—あぁ…!じゃあウラノスとガイアも、生きているのね…!カヤも…!!

そして記憶の彼女はリズたちの生存を喜んでおり、テルスがどれだけ自分たちを想っていてくれたかが…分かった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.214 )
日時: 2015/02/05 20:56
名前: リラ (ID: UumlEqfp)

—…リズ、貴女が救ってあげたのね

—…ごめんなさい、リズ…ムーン…せめて、今は幸せに…なって…

—私は…あの子たちを不幸にしたくなかった

次に流れ込んで来た記憶はリズとムーンを見つけた時の物で、テルスは二人が元気で居る事を喜び—何も出来ない事に苦しんだ。
そして悲しみながら立ち去ったのだ、全ては自分たちのために…

「…相も変わらず馬鹿な女だよ、自分の気持ちより他人優先で…!!」

「ホントだよ、何で…私たちはそんな事を気にしてないのに…」

「畜生あの時か…!あの時、気付いてやれれば良かった…!!」

その一連を見たカヤは顔を歪めながら頭を掻き、リズも口元に手を当てながら震える。
ムーンはその時の事を思い出しているのか、悔しそうな表情をし自分を責める。

—今思えば…愚かな事なんでしょうね

—その選択が更にリズたちを傷付け…挙句に自分の弟と妹を…世界を滅ぼそうとする思考を抱くまで追い詰めてしまった

そうしている内に何時の間にか教会に戻っていたようで、テルスはレイシャとデータ・ファンタジアの前で自嘲を浮かべる。
違う!とリズは叫びたくなったが、これはあくまで記憶と言う名の映像なので声が届くはずも無い。

—姉として失格なだけじゃ留まらず、何も出来ませんでした

—私のような者がでしゃばっているとは分かっています、でも私は…!!

自分の不甲斐なさを嘆き悲しむテルスは、懺悔をしながらぽつりぽつりと語る。
でもの先はレイシャが言う前に—もう後悔したくない、そして…リズたちにもさせたくも無い…と言う事が3人にはすぐ分かった。

「テルス…」

「テルスさん」

「テルスねーちゃん、アンタって人は…」

これを見てしまっては…もう何も言えなかった、唯出来る事はそれぞれ彼女の名前を呼ぶ事だけだった。

—テルスさんは…いやテルスさんも後悔しているんだよ、リズ姉ちゃん、ムン兄、カヤ

—人はそれぞれ生きていくに当たって悔いと言う感情を抱いている、でも…この人のは一人で背負うには重過ぎるし、辛い

—だから…今度は皆の番だよ、この人が幸せを願ったように…リズ姉ちゃんたちも、テルスさんに幸せを与えてあげてよ

そんな項垂れている3人を勇気づけるように、突如レイシャの声が…彼の記憶を力による想いが聞こえる。
確かに彼の言う通り彼女は一心に自分たちの幸福を祈っていた、だったら…今度は自分たちがテルスへと届ける番だ…自分たちの想いを

「—そうと決まったら、やるべき事は一つよね?」

「ああ…会いに行こう、テルスに!」

「行くぞ!トワイライトタウンの学校の教会へ!!」

トワイライトスクールにてレイシャたちと共にいる友人の元へ、3人は行くと決意すると光を纏い—この空間から消えた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.215 )
日時: 2015/02/09 14:41
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「む、ムーン!?何処行ったんだぁぁぁぁぁぁっ!!?レイシャが呼び出したんだろうけど…!!!」

そして一方リズたちがそんな決断をしている中、置いてけぼり(?)にされたグラッセはと言うと…パニック状態だった。
幾らレイシャの記憶を操る力の影響で連れ出されたとは分かっていても、いきなり居なくなられては心配以外の何でもない。

「…ムーンを呼び出したって事は、リズとカヤも呼び出しているだろう…恐らくフリーズシティに関わりがある人だけを異空間に連れ出したんだな」

それと対照的にアクセルは冷静に判断しており、フリーズシティの事件に関与している他の二人の事も考えてる始末だ。
流石はかつて暗殺者と呼ばれていただけはある男は、今はヘタレと化し某破天荒や某魔王の尻に敷かれている哀れな男だが(酷&アクセルファンの皆様、ごめんなさい by作者)

「フリーズシティ…リズ、ムーン、カヤ…それらに連なるとしたら、ウラノスかガイアしか思いつかないけど—」

そんなアクセルを見てグラッセも落ち着きを取り戻したのか、先らの大慌てから打って変わって冷静に腕を組みながら考えていると—

—シュンッ!!

「うぎゃあっ!!?」

「うおおっ!!?」

「うわぁっ!!?」

「………え?」

—グラッセの真上に目がけて、何か3つの物体が落ちて来たではないか
もちろん彼にそれを避けられる訳も無く、いきなり事もあって…言うまでも無いだろうが

—ドスンッ!!!

「ぎゃああああああああああああああああああっ!!!!!!?」

「………………」

痛々しい悲鳴と共にグラッセは押し潰され、アクセルもその状況に唖然として声すら出なかった。

「い、痛いー…!着地失敗しちゃったわね…!」

「と言うか、これ…確実にレイシャのセッテングミスだろ…!!」

「帰る時の事まで考えてなかったんだな、アイツ…」

落ちて来た人物—リズ、ムーン、カヤはそれに気が付かず、それぞれ思った事を話している。

「………あのよ、お前ら」

「うん?あら赤ウニじゃない、どうしたの?」

「誰が赤ウニだ、コラ!!いい加減グラッセから降りろ、お前らが乗ってるせいで息出来てねぇから!!」

「え?」

それを見てようやく正気に戻ったアクセルが動き、リズがもはや毎度恒例となってる呼び名を呼ぶと怒りのツッコミを決める。
グラッセと聞いてリズが自分の下に居る柔らかい何かに視線を向けると、案の定グラッセが窒息状態で目を回していた。

「キャ———っ!!グラッセ、ごめん、しっかりしてぇぇぇぇぇぇっ!!!!!?」

「す、すまん、グラッセ!大丈夫かぁ!!?」

「お、俺マーベルを呼んでくる!!」

「………ハァ」

この状態にデジャウのような物を感じるがそうも言ってられず、急いで降りたリズとムーンが焦って介抱し出す。
そしてカヤが回復魔法を扱える紫髪の少年を呼びに行き、残されたアクセルはため息を吐いたとか…

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.216 )
日時: 2015/02/11 15:33
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「………いきなり呼ばれて何かと思えば、こう言う事かよ…」

それから数分後カヤによって連れて来られた紫髪の少年は、辺りを見渡した事で瞬時に状況を理解しため息を吐いた。

「これを見ただけで何があったのかが分かったのか?」

「…伸びてるグラッセ、そして慌てているリズとムーン、そしてアクセルの様子を見て大体は分かった—原因がお前ら3人にあると言う事は」

「うっ…!!」

まだ事情を話していないと言うのにマーベルの眼差しは呆れを含んでおり、カヤが問いかけると彼はそう思った判断材料を口にする。
事実故に何も言えなかった…と言うか言い返せないし否定出来ないので、改めてグラッセに対する申し訳なさから項垂れる。

「運が無いと言うかなんというか…本当にグラッセは不憫な奴だな、癒しを!ケアルガ!!」

ここまで落ち込んでるならもうやる事も無いだろうと、マーベルもこれ以上責めるのは止めて赤髪の少年に回復魔法をかける。
こうなった元凶(レイシャ)を知らないが故に彼はため息を吐いているのだが、どちらにせよ気絶させてしまったのはリズたちなので何も言えない。

「うぅ…」

「グラッセ!良かったーっ!!」

治療の効果もあってかグラッセは呻き声を上げながら起き上がったので、リズはほっとし彼に抱き付く。

「リズ?それにムーン、カヤ、アクセル…マーベルまで、何でここに?」

「…つい先ら起きた事を覚えてるか、グラッセ?」

「………あー、何となくと言うか、今思い出した、俺踏み潰されて気絶したんだな」

目を覚ましたばかりの彼は記憶が曖昧なようで、ちゃっかりとリズを抱きしめ返しながら首を傾げる。
この状態も無理も無いとムーンがさっきまでの事を聞くと、それで分かったのか少し顔を歪めながら語る。

「本当に…ごめんね、グラッセ…」

「気にしてないよ、それで…何でレイシャが異空間に連れて行ったのか、説明してくれないか?」

「そう、それだ!!それが、実は…」

機嫌が悪いと誤解したリズがしょんぼりしながら謝ると、グラッセは笑顔で首を振りつつ金髪と栗毛が混ざった少年が何をしたのかの説明を求める。
それを言われた途端にリズはハッとしながら、レイシャが見せたテルスの記憶や想いを話した—

「…なるほど、そう言う事だったのか」

「要約すると、つまり…死んだと思われたテルスさんは実は生きていて、トワイライトタウンの教会に居るから皆で会いに行こうとしたって事か?」

「ああ」

俄かに信じがたい話ではあるが…レイシャが見せた以上は真実なのだろう、彼の力を知っているグラッセはあっさりと現実を受け入れる。
仲間の能力を信じると言う意味ではマーベルも一緒で、リズから語られた内容を纏めるとカヤが嬉しそうに同意した。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.217 )
日時: 2015/02/16 15:12
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「………リズ姉ちゃんたち、遅いなぁ…何やってるんだろ?」

「恐らくですが…彼女の事ですから他の人物を巻き込んで連れて来ているのではないでしょうか」

「あー、あり得る、と言うかそれで間違いない…確実にグラ兄とマーベルも連れてくるハズだ」

リズたちが存在しなかった世界でそんなやり取りを行ってる一方、トワイライトタウンのトワイライトスクール教会ではレイシャが待ちくたびれていた。
そんな彼にデータ・ファンタジアがリズのやっていそうな事を告げると、弟である少年は即座に頷き—巻き込み癖(?)のある姉ならやると確信した。(酷

「あの…グラ兄さんとマーベルさんとは…?」

「グラ兄はアンタがリズ姉ちゃんとムン兄を目撃した時に見た、赤髪の人だよ…ついでに言うとリズ姉ちゃんの恋人」

するとテルスが今言った二人に対して疑問を持ったようで、どんな方なのでしょう言わんばかりの顔をする。
なのでレイシャはまずグラッセの事を教え、彼がリズの大切な人である事も口にする。

「まぁ!リズってば昔は恋愛に興味が無かったのに…今ではすっかりと女の子らしくなったのね…!」

「あ、あはは…女の子、らしくかー…!」

それを聞いたテルスは物凄く嬉しそうな顔をし、昔のリズと比較したのか女性らしい事をするようになったと喜ぶ。
この様子を見て今も昔と恋愛に関しては大差は殆ど無いとは言えないと思い、冷や汗を流しながら目を逸らしたのは余談である。(オイ

「次にマーベルだけど…藍髪のポニーテールが特徴の人だよ、ちなみに童顔で可愛らしい顔しているけど立派な男の人だから間違わないように」←

「レイシャ…それマーベルが聞いたら、確実に怒りますよ…?」

二人目であるマーベルの紹介は身体的な事を言い、女性と誤解すると暴れるので気を付けるように促す。
その言い方にデータ・ファンタジアが引きつった顔をすると、何故か教えられたテルスは微笑み

「ああ、それでしたら問題ありませんよ!私も弟と妹のウラノスもガイアも顔が幼いとしょっちゅう言われて…弟に至ってはよく性別を間違えられて傷付いて泣いていたので気を付けますね!」

「「(あのウラノスにそんな過去が!!?確かに顔は童顔だったけど!!?)」」

どうやら彼女も…彼女の弟と妹たちも童顔故に、昔から幼い、女の子と誤解されていたようでそんな事を口にする。
ここに本人(ウラノス)が居なくて良かったと思える暴露に、レイシャとデータ・ファンタジアは同時に内心ツッコミを決めていた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.218 )
日時: 2015/02/27 21:56
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「あの人…意外と可愛い過去があったんだな…幼いって言われて泣いてたなんて」

「そうですね…あたしも正直な所、驚きました…」

テルスがばらした本人からすれば赤っ恥とも言える内容に、レイシャとデータ・ファンタジアはコソコソと上記の会話をする。

「?どうしたんです、二人とも…」

—バタンッ!!バギィッ!!!←

まさか自分が原因で二人が微妙な顔をしているとは思いもしないテルスは、きょとんとした表情で首を傾げようとすると—教会のドアが大きな音を立てて開く。

「「「テルスッ!!!」」」

「ど、ドアが…!?(汗」

「あっ、やっと来たっぽいね」

案の定そこに居た人物たちは—リズ、ムーン、カヤの3人で、先らの反動か大きい扉は壊されている。←
一種の器物損害にデータ・ファンタジアが冷や汗を流すが、姉たちの破壊活動に慣れているレイシャは冷静に皆が来たと判断したのだった。

「リズ!ムーン!カヤ…!3人とも大きくなったわね…本当に久しぶり—」

「この…ッ、大馬鹿野郎がぁぁぁっ!!!」←

「きゃあああああああっ!!!!!?」

感動の再会に両目に涙を溜めたテルスは、友人たちに向かって駆け出す物の—リズの怒鳴り声と共に放たれた飛び蹴りにより壁に叩き付けられる。

「俺たちが!どれだけ!お前を心配したか!分かってんのか———ッ!!!」

「あ、ああうっ…!!!」

続いて追撃と言わんばかりにムーンの怒りの拳が飛んで行き、テルスは余りの痛さに悶絶して地面に這い蹲う。

「アンタを見殺しにしてしまったと…悩んでいた、俺たちの苦労を返せぇぇぇっ!!!」

「ご、ごめん…ごめんなざい…!!」

トドメと言わんばかりに魔法は使わない物のカヤの嫌味が炸裂し、流石のテルスも自分がどれだけ愚かな事をしたのだと再び自覚し土下座する勢いで謝る。

「全く、もう…!本当に昔から…変わって、無いんだから…!!」

「返す言葉も無いわ…そう言う貴女は、随分と成長したわね…リズ、私身長越されちゃったか」

今までの鬱憤を晴らすかの如くボコボコにした事によりすっきりしたのか、リズは呆れた口調で文句を言った後に仁王立ちする。
そんな少女に苦笑しながらテルスは立ち上がると、6年前のあの時より大きくなったリズの頭を背伸びしながら撫でる。

「ムーンも…随分と逞しくて落ち着きのある人に成長したわね、カヤも知性的でかっこよく育っちゃって…」

「…アンタは殆ど変ってないな、テルスねーちゃん…いや、テルス」

「あの時に貴女は既に21だったから、成長は止まってしまっていたでしょうからね」

それからムーンとカヤの方向を向き同じく頭を撫でようとすると、ムーンが腕の中にテルスを閉じ込めるように抱きしめカヤが代わりに頭を撫でる。

「もう、失礼ね二人とも…現在進行形で…成長、してる、物…!!」

「バカ、泣きながら言っても…説得力無いよ…」

男二人の言い分にテルスは拗ねたように頬を膨らませるが、反論する内にポロポロと涙を零し始める。
そんな友人にリズがツッコミを決めるが、かく言う彼女も同じなので次の瞬間—大声での泣き声が協会に木霊した…

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.219 )
日時: 2015/03/02 22:16
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「…俺たち、完全に空気だな」

「仕方ないだろ、ましてや死んだと思った存在との再会なんだ…周りを気にする余裕なんて無いだろ」

わんわんと泣いたり怒りながら涙を流す4人を余所に、一応来ていたマーベルとグラッセは苦笑しながら語る。

「そうだね…俺はリズ姉ちゃんたちのように永遠の別れを体験した事が無いから、本当の意味で気持ちは分からないけど…きっと凄い悲しい事、なんだろうな…」

「当然だろ、何当たり前の事を言ってるんだよ…レイシャ?」

「うん…ごめんね」

それを聞いたレイシャが何故か顔を歪めると同時に、悲しそうな表情で金輪際の別れについて呟く。
誰かの心の痛みに関して人一倍分かっている彼が、そんな事を言うのに不信感を覚えたグラッセが首を傾げると笑顔で誤魔化す。

「(…何だ?この言い様の無い感じ、何だか物凄く嫌な予感が…するのだが?)」

今までの経験上—こんな笑みを浮かべた彼が、良い事をした試しなど全くと言って良い程に無い…寧ろ姉と同じく大事しか起こらなかった。(酷
同じ血を引いているとこうも似る物なのかと思いつつ、後でそれとなくカヤに話しとくかと考えていると

「…所でウラノスとガイアと最後の戦いをするんですってね、私も…行きます!!」

「…は?」

「へっ?」

「え…?」

…つい先らまで泣きじゃくっていたテルスが、同行を申し出た事により上からリズ、ムーン、カヤの順で硬直した。

「て、テルスさん…何を言ってるのか、分かってます?」

「あたしたちと来ると言う事は…実の家族と決別するとも同然の行為なんですよ!?もっと考えて言ってください!!」

しかし彼女が何を言っているのかいち早く理解した、レイシャとデータ・ファンタジアが即座に反対する。
そう、テルス本人は軽く言っている物の…ウラノスとガイアとは血の繋がった関係だ、それなのに二人と敵対関係になると言ったのだ。

「考えた結果です!私のせいでこうなってしまったのだから…身内である私がケリを付けるのが筋と言う物じゃないですか!!」

「いや、アンタは止めておいた方が良い…何時情がわいて寝返るか分からないからな」

「ッ…!!」

自分のためを思い怒鳴る二人にテルスは反論する物の、マーベルの反論出来ない痛い指摘が入り黙り込む。
確かに彼の言う通りテルスが二人を一瞬でも庇えば、戦いがどうなってしまうか分からない。

「そ、それは…」

「…否定は出来ない、家族の縁と言う物は…嫌でも千切れないからな」

だから普段なら怒るムーンもカヤも、困惑した様子でフォロー出来なかった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.220 )
日時: 2015/03/05 15:36
名前: リラ (ID: laaGvqHD)

「…どうする、リズ?決定権があるのはリーダーであるお前だぞ」

「どうするも何もダメに決まってんでしょ…って、言いたい所だけど…相手がテルスだしね」

「言って聞くような人じゃないのか?」

「うん、ウラノスとガイア以上に頑固な奴だもん」

騒ぐテルスと困惑するメンバーを見比べて、今まで黙っていたグラッセがこのままでは埒が明かないとリズを見る。
すると彼女は呆れたようにため息を吐きながら首を横に振る物の、金髪の女性が素直に頷くとも思えず頭を押さえる。
意外と強情な面がある事実に赤髪の少年は驚くと、友人としてテルスの事を良く知っている少女は何かを思い出したのか項垂れる。

「テルス、アンタ本当に分かってるの?私はウラノスとガイアを…貴女の家族を消すつもりよ、それでも来たいの?」

「………はい、あの二人を殺すと言う意味で言ってるのは分かっています、でも…だからこそ行きたいのです、最期は…せめて傍にいてあげたい」

自分はテルスの大切な人を手に掛けるのだと伝えた後に、例えそうだとしても同行を申し出るのかと真剣な眼差しで問う。
彼女もリズがそう言う覚悟をしていた事を感じ取っていたようで、一瞬顔を歪める物のそれしか無い事も分かっている故に自分の想いを語った後に頷いた。

「…リズ姉ちゃん」

「言うな…レイ、幾ら何でもテルスを連れて行っちゃいけない事なんて分かりきってる」

ここまで言うテルスにレイシャも情がわく物の、それでも同行は許可出来ないので姉に断って欲しいと言わんばかりの眼差しを向ける。
それで断れたら苦労しねぇよと思いつつ、弟の言いたい事は分かっているので口にする。

「…仕方ない、私たちと共に来ると言うなら—条件付きでどう?」

「条件?」

「それは、一体…」

テルスを説得するにも骨が折れそうなので、仲間たちも納得出来そうな制限を彼女につける事にした。
ある意味同行を許可した発言にカヤは眉間に皺を寄せ、ムーンも訝しむ表情で聞いて来る。

「…もし、貴女がウラノスたちに寝返った場合—私は容赦無く消す、それが飲めるなら良いわ」

「ッ!」

「リズ…」

テルスが敵になった時に自分が殺しても良いならと言う、過激な条件を付き付けグラッセとデータ・ファンタジアは息を飲む。
また自ら苦しみを背負うような内容を考えた彼女に、グラッセがいい加減怒鳴ろうとしたが

「…それで構いません、寧ろそれぐらいが正当であると思いますから」

「うしっ、これでもダメだとか文句言う野郎いるか?」

『無いです…』

彼が切れる前にテルスが肯定の答えを返してしまい、リズが睨みながら確認を取ったので他のメンバーは頷くしか無い事態に陥ってしまい…出来なかった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.221 )
日時: 2015/04/14 22:01
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

「話も纏まった所だし…存在しなかった世界に戻るぞ、今日は明日に備えてゆっくりと休まなきゃいけないし」

「え?何で?」

テルスの同行が決まりトワイライトタウンでの用事も終わったので、リズはグミシップを出すとそんな事を口にする。
何かやる事があっただろうかとレイシャは首を傾げると、カヤが複雑そうな笑みを浮かべながら肩を叩き

「…ウラノスとガイアの所在地が分かったんだ、アイツらは…レイディアントガーデンの—かつてソラとリクが武器を交えた場所に居る」

「ッ!!虚ろなる城か…!」

自分たちが捜索している人物たちの居場所が発覚した事を告げ、金髪と栗毛が混ざった少年は選りに選ってその場所と引き攣った顔をする。
何せあそこには良い思い出が全くと言っていい程に—無い、最近では本物のファンタジアを消滅させたのが良い例だろう。
現にそれを聞いたデータ・ファンタジアも、何処か困惑した顔をしており罪悪感丸出しの眼差しを姉に向けている。

「…そんな視線向けんな、ファンタジア」

「…向けてないです」

「嘘付け、今にも泣きそうな顔してんじゃねぇか」

「うぅ…」

もちろん変な所で鋭いリズが気付かない訳も無く、呆れたように話しかけると意地を張った彼女はそっぽを向く。
こんな所まで【ファンタジア】と同じじゃなくても良いのに…と苦笑しつつ、彼女の目に溜まっている涙を拭うと更にデータ・ファンタジアは泣き出す。

「…貴女も優しいわね、誰かのために泣けるなんて…本当に良い子ね、素晴らしい事だわ」

何だかこうしていると【ファンタジア】をあやしていた事を思い出し、悲しくも嬉しい気分になりながらリズは泣く少女の頭を撫でる。

「さー!空気が湿っぽくなる前に帰るよ!テルスも乗った乗った!!」

「え、ええ…席は大丈夫なの?」

「大丈夫!このグミシップは特注品で10人くらいなら軽く入れる!!」

それから皆の方を振り向くと同時にテルスの腕を引っ張り、真っ先に彼女と騒ぎながらグミシップの中へと入る。

「…虚ろなる城で、何かあったのか?」

「俺もその話は知らないな」

「あー、あー!二人には後からちゃんと俺が説明するから!今は黙って乗って!!」

その時期に何があったのかさえ知らないマーベルとカヤは首を傾げると、事情を知っている(と言うか、身を持って体験している)レイシャは慌てて二人を強制的に押し込む。

「………すみません、グラッセ…ムーン…後はお願いします」

自分には何も出来ないと分かっているデータ・ファンタジアは、彼女を唯一どうにか出来る親友たちに頼み自分も乗る。

「…グラッセ、俺も…出来る限りは協力する、だから…」

「分かってるよ、ムーン…これは俺がやるべき事だ」

最後に残されたムーンとグラッセは顔を見合わせた後に、自分たちがリズに出来る事をやろうと頷きあった。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.222 )
日時: 2015/03/17 18:01
名前: リラ (ID: e7NtKjBm)

ウラノスとガイアとの最後の戦いが始まろうとしていたので、明日レイディアントガーデンに乗り込むのに備えて…リズたちは休息を取る事にした。
そして—それぞれが今まで起こった事を思い出すと同時に、存在しなかった世界の至る至る所で思いを馳せていた。

「…いよいよ、明日で全てが終わるんですね…」

「ああ、思えば…いきなりキングダムハーツの奴に無理やり連れてこられてからと言う物の…長かったよ、ここまで来るには」

虚空の祭壇ではキングダムハーツを眺めながらそんな会話をする、データ・ファンタジアとマーベルがおり後者は今までの全てが強制だったが故にため息を吐く。
それもそのハズであろう、まさか自分が他の世界の心の集合体に選ばれ、世界の命運を背負うような戦いに身を投げるなど誰も思わないだろうから

「そう思うと…俺、よくここまで付いて来れたなって我ながら思うわ、正直な所異世界のゴタゴタに俺を巻き込むんじゃねぇって気持ちは未だにあるが」

「当然ですね、マーベルは完全に巻き込まれた形ですから」

「本当にな…来た当初は何をどうすればいいかさえも分からなくて、一刻も早く元の世界に帰りたいって…ずっと思ってた」

その経緯を思えば—よく今までこの理不尽な状況に耐えて来れたと思った。
だからこそデータ・ファンタジアに本音を語ると、彼女も分かっているのかクスクスと笑うのでもう少しだけ内心を話す。

「思っていたと言う事は…今はどうなんです?」

「…今はこの世界も悪くは無いと思っている、元の世界の連中についても心配だけど…もう少しはこの世界に滞在しても良いと思ってるぜ」

「ではこの戦いが終わっても…戻らないのですか」

「ああ、何だかんだいってリズたちとの学校生活も楽しいしな…暫くは続行だ」

過去形で話した藍髪の少年に少々意地悪に問うと、マーベルは照れたように微笑みながら—ここに居る事を語る。
無理やりな形だったが…ここでの出来事を全て否定したくは無い、楽しい事や暖かい事も沢山あったからだ。

「ウフフ、ちゃんとそれはリズたちに伝えてくださいね♪」

「…分かっている、からかわれるのが目に見えているがな」

「それは…まぁ、諦めて下さい」←

「オイ…」

そんなマーベルの心情を見透かしているのか、データ・ファンタジアは屈託の無い笑みできちんと本人たちに話す事を進める。
それに彼は頷きつつも渋い顔をしながらきっと弄られると口にすると、彼女もそうだと思ったのか少々薄情な事を言ったのでツッコミを決めた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.223 )
日時: 2015/03/20 15:16
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

「レイ、いやレイシャ…今、良いか?」

「何だよ急に改まって、別に良いよカヤ」

そして記憶の摩天楼のビルの上ではキングダムハーツを眺めているレイシャがおり、そんな少年の近くに居たカヤは何処か思い詰めた表情で話しかける。
もちろん金髪と栗毛が混ざった少年が友人の話を聞かないハズも無く、前置きなど置かなくても、親友なんだから普通に聞くのに…と思いつつ首を傾げる。

「…アイズの事なんだが、恐らくアイツは…マーベルと同じく、異世界に言ってると思うんだ」

「奇遇だね、それは俺も思ってた事だよ」

「ッ!!気付いていたのか…?」

その様子に安堵の息を吐きつつもずっと言うのを躊躇っていた内容—自分たちのもう一人の親友であるラクアイズについて語る。
もうこの世界に彼女は居ないと言う現実を受け入れられるのだろうかと、カヤは不安だったが…レイシャは既にその事実を知っていたようで対して驚かなかった。

「俺もこれでもⅩⅢ機関の一員だからね、自分で言うのもなんだろうけど…鋭い方だよ」

「そうか…」

「これだけ俺たちが探しても見つからないとなると…答えはそこにしか辿り着かなかった」

レイシャはよく機関の図書館で書物を漁る事が多い事から、頭は良い方であり世界の仕組みなどに関する物は大抵知っている。
だからこそアイズの行き先にもいち早く気付いていた、けどカヤ同様にマーベルの話が確証されるまで自信が無かったから言えなかった。

「…もうアイズには会えないんだな、アイツを一人に…してしまったんだな」

何時も明るく自分たちと共に居たピンク色の髪の少女には、二度と再会する事が出来ない現実にカヤは自嘲するかのような笑みを浮かべる。
あの時何が何でもガイアを止めていれば今頃俺たちの隣で笑っていたのだろう、今更後悔しても仕方ない事だと分かっているが…後悔せずには居られなかった。

「…俺は…アイズを一人にするつもりなんて無いよ」

「え?」

「俺はこの戦いが終わったら…アイズの元へ行くよ、一人にしてはおけないしな」

しかしそんなカヤにレイシャは苦笑しながら、アイズに会いに行く事を告げると水色の髪をした少年は顔を上げる。
一人にさせないと言うがどうやってアイツの居る異世界へ行くつもりだと、問い詰めようとすると彼は寂しそうに微笑み

「…一つだけ方法が思い浮かんだんだ、全てが終わってから…説明するよ」

今教えるつもりは無いようで、ウラノスとガイアの事を終わらせてから話すと笑いながら言った。
だがカヤにはその笑みが無理をしているように見え、その予感は…全てに決着が付いた後に的中する。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.224 )
日時: 2015/03/23 22:26
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

「大丈夫かな、アイツらー…変な所で両方初心と言うか引っ込み思案と言うか…ダメダメな奴らだし」

3組目のムーンはと言うと…狭間につながる路地にて一人でおり、アイツらこと—リズとグラッセの事を心配していた。
何せリズは持ち前の何でも一人で背負いこむクセでウラノスたちを消さなければと思い悩んでおり、グラッセはそんな彼女を心配して何とかしようと意気込んで居る物の…肝心な時に限って両者共々本音を言えない事があるからだ。

「お互い遠慮しあって何も進歩無かったってオチがありそうで嫌だな…うーん、今からでも見に行くべきか…」

「—それはいけないと思うわ、進もうとする若者たちに余計なお世話をしちゃダメ」

これでも何も進展が無かったら…何のために二人っきりにしたと思ってんだ!!と、怒りの余り叫びながら男として全力でグラッセを殴ってしまいそうな気がする。
心配するだけ野暮だとは分かっている物のどうしても気になるので、こっそりと様子を伺いに行こうとすると金髪の女性—テルスが現れる。

「何だ、テルスか…そんなの分かってるよ」

「何だとは何よ、失礼ね…分かってるなら少しは信じなさいな、あの子たちを」

突如出現したテルスに不貞腐れながら言われなくてもと言わんばかりの顔をすると、それにヤレヤレと呆れた仕草を取った後に隣に座られながらそんな事を言われる。

「…信頼はしている、やる時はやる奴らだからな…こっちとしてはじれったいがな」

「そうは言っても二人ともまだ14歳でしょ?仕方の無い事よ」

痛い所を突かれたので一瞬黙り込む物の思った事を伝えると、彼女はクスクスとまだまだ幼いのだから当然だと笑う。

「…14歳だって立派な大人だぜ、ガツンと攻める時は攻めなきゃダメだろ」

「私から見れば子供よ、確かに…ムーンの言う通りではあるのだけれども」

自分も同じ14歳なので子供扱いされた事にむっとしていると、テルスは苦笑した後に紛れも無い真実を口にし彼の言い分も強ち間違いでは無い事を認める。

「ほぅ…じゃあ攻めて良いんだな?」

「え?」

「俺が子供じゃなって事を証明しないといけないからな」

攻める時は攻める—その言い分に彼女が頷いた事に、彼はニヤッと可愛げの無い笑みを浮かべた後にテルスの顔を掴む。
それにテルスが驚く間も無く、ムーンは彼女の顔へ近づき—軽く触れた。

「………ッ!!?」

「これでもアンタは初恋の相手でな、俺だって男だから…これから覚悟決めとけよ」

「え、ちょ…ど、どう言う事よーっ!!?こ、答えなさいッ、ムーン———っ!!!」

突然の行為にテルスは顔を真っ赤にし硬直していると、ムーンは意地の悪い笑みを浮かべながら立ち去ろうとするので彼女も追った。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.225 )
日時: 2015/03/26 14:08
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

「…明日、全てが終わるんだ…短いようで、長かったわね」

最後のリズはと言うと…存在しなかった世界の城やダークシティでは無く、意外にも闇と狭間の世界の境界線に当たる闇の海岸へと来ていた。
その傍には誰も居ない事から一人でここに来た事が伺える、自分が悩んでいる情けない姿を見せたくないから誰にも告げずに来た。

「そして…その時、私は…ウラノスたちを手にかける」

皆からすれば明日はやっと戦いを終える日、だが自分からすれば…それは大切な友人を消さなければならない日
私自身がそう宣言した、だから今更発言を変える事などしない—二人のした事を思えば、私も正直な所そうするべきだと思うから

「(情に絆されるな、情をかけるだけ無駄だ)」

かつてレイシャが暴走した時に攻撃の手を止めなかった私を、止めようとしたムーンに言った時の台詞を思い出し心の中で繰り返した。(詳しくはメモリーチルドレン第三章参照)

「はぁ…こんな姿、グラッセに見られたら心配されちゃうわね」

「—俺が何だって?」

「うぎゃ——————っ!!!!!?」

取りあえずある程度考えが纏まったので息を吐きつつ、最愛の人を思い浮かべながら苦笑していると
まさかの張本人が前から話しかけて来て、リズは驚きの余り悲鳴を上げた後に後退する。

「な、なな、何でグラッセが居るのよ!!?それ以前に私ここに居るなんて、他の人にも…!」

「だろうな、お前の行き先を知ってる奴なんて誰も居なかったし」

「じ、じゃあ…何で闇の海岸に居るって分かったの…?」

いきなりの事でどもりつつも何故ここに居るのだと問い詰めると、グラッセは右手で魔法を唱える時の仕草をし

「—テレポの応用魔法でお前の所まで瞬間移動した、キングダムハーツの力を授けられたマーベルほど上手くはいかんが」←

「十分上手いと思いますけどぉ!!?」

何とあろう事か…コイツ瞬間移動の魔法までマスターしてやがった、しかも特定の人物の所まで指定出来るほどに
本人曰く某藍髪の少年並みに出来ないと言うが、これだけ出来れば問題ないからとツッコミを決める。

「アホ、魔法はそれで十分だと思い込んだら終わりだ、つねに向上心を持って発動しないと—」

「分かった、分かった…私が悪かったから」

するとその発言にグラッセは顔を歪めた後に、何時もの説教に入ったので即座にリズは止めて謝罪する。

「それで?要件は何?」

「お前に話が合って来た」

「そりゃあそうでしょうね、それが何なのかって聞いて居るんだけど」

そして岩の所に座りなおしながらここまで来た理由を聞くと、彼も同じく座りながら用事を口にしたのでそれを話せと促す。

「…お前が無理してるんじゃないかと思ってな、本音を聞きに来た」

「…そうだろうとは、思ったよ」

彼の本題はリズの本心を聞きだす事だったらしく、誤魔化す事も出来なそうな眼差しに少女はため息を吐いた。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.226 )
日時: 2015/04/02 13:07
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

「…正直な所ね、分からないよ…無理している事さえもさ」

「それは…どう言う意味だ?」

「文字通り、分かんないの」

グラッセの問い掛けにリズは薄笑いした後に、自分の状態が理解出来ない事を告げる。
自分の感情がはっきりしていないと言う事実に、赤髪の少年は首を傾げていると少女は更に口を開く。

「今の状況が辛いとは思えないんだ、ウラノスたちがやった事はけして許されない…だから戦う事に迷いは感じていない」

「………」

「でもね…心の中では何かが違うと叫んでいるの、この状況がとても苦しいと訴えて…いる、んだ」

このままで来て心苦しいと言った感情は無い、寧ろ彼らと全面的に戦闘する事が当然とさえ思っている。
だが本当は…本心を偽れずにいる、何処か心が軋む、苦しいと言う本音を言うと…何故か涙がポロポロと零れ出す。

「ご、ごめん!泣くつもりは無いんだ…今すぐ止める…!!」

「—いや、もう良い…お前は泣いても良いんだ、泣いて当然の事なんだよ」

彼の目の前で涙を流すとは情けないとリズは何とか堪えようとする物の、かえって瞳からは水が出る一方で両手で擦る。
その行為を見てグラッセは溜まらなくなり、少女を覆い隠すように抱き込みながら頭を撫でる。

「…悲しいよな、本当は戦いたく無いんだよな?」

「………」

「お前はそう思っていても…自分の本心を押し殺すバカだから…!」

どう足掻いても本音を出せない彼女の想いを代弁しながら、グラッセも涙を流すとリズが苦笑する。

「ったく…ファンタジアと言い、アンタと言い…何で私のために泣いてくれるかな」

「大切な人、なんだから…当たり前だろ…」

「全く…ここでかっこよく決めれば良いのに、相変わらずヘタレだなー」

「うるさい」

何で私の友人は自分のためにここまで泣いてくれるんだと呆れつつも、とても嬉しいのでそれを気取られないようにからかう。
すると図星だったのかグラッセは照れ隠しのように、リズの顔に近付き数秒間…影を重ねる。

「………」

「………」

それからは少しの間だけお互いが無言になる、二人の顔が何処か赤くなっているのはこの暗い場所でも確認し合えた。

「…ありがとう、グラッセ」

「え?」

「これで…もう迷いを断ち切れた、これで…戦えるよ、明日」

そして最初に沈黙を破ったリズは幸せそうに微笑みながらお礼を言うと、グラッセは当たり前の事しただけなのできょとんとする。
そんな事気にしなくても良いのにと思っていると、リズは何時もの強い意思が現れた鋭い青い瞳をしながら語る。

「私は…後悔したくない、だからこそコイツを持つ」

今まで心を占めていた後悔、遺憾と言った感情を振り払うために、リズはキーブレードを出すと…強く握りしめた。

断章3終了

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.227 )
日時: 2015/04/02 13:27
名前: リラ (ID: sEySjxoq)

断章3終了です、これにてようやく長かった断章シリーズが終わり、次はついに最終章に移る事が出来ます…!!
いやー、待ちに待ったシーンを掛けて個人的には楽しかった&満足です(笑

レイシャ「てめぇ…!!あのシーンはどう言う事じゃあああ…!!(闇のオーラ全開」

ムーン「俺もある意味以下同文だ…!!(黒笑」

テルス「洗いざらい話して貰いますよ…!!(真っ赤」

あー…出たかシスコンに恐らく文句言ってくるであろう連中…

テルス「当たり前です!私とムーンのあれは…!!」

えー、あれって何かな?(ニヤニヤ

ムーン「とぼけんなぁ!!俺のあの強引さはどう言う事だ!!滅茶苦茶恥ずかしいわ!!」

あ、恥ずかしいと言う感情あったの?(失礼

レイシャ「行くぞ、ムン兄!テルス!殲滅だぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

って、やっぱりそう来るか!逃げろ———っ!!!

—見苦しい光景が続きます、暫くお待ち下さい byカヤ—

ふー…やっと追っ払えましたか…(疲

グラッセ「おっ、珍しく逃げ切れたのか」

流石に学習しますって…こう何度もやられてたら(遠目

リズ「…意外ね、てっきり学習能力は無いと思っていたのだけれども」

マーベル「同感だな、同じ事ばっかり繰り返して何時も俺たちにボコボコにされているし」

…そこ、痛い言葉おやめなさい

カヤ「自覚あるならやらなきゃ良いだけの話だったろ…(呆」

やかましい!あーもー!最後までこんな感じでグタグタな次回予告かい!!

リズ「仕方ないじゃん、これでこそ私たちなんだから」

へー…そう言う貴方たちだって、最後の最後に—

—ドガァ!!

リズ「…何か、言ったか?(笑顔」

グラッセ「言い分があるなら、聞くぞ?(同じく」

すいませんっ!!(土下座

マーベル「良い性格してるよな、アンタ…」

お褒めの言葉として受け取っておきますよ、マーベル君(笑
ついに進歩があったんだから良いじゃないですか!唯でさえ付き合ってからもイチャイチャイベントとか全く無いコンビなんですから!

グラッセ「そうしたのはお前だろうがぁ!!」

リズ「…と言うか少なくていい、私の心が持たない…///」

カヤ「…こりゃあ中々進歩しない訳だよ、リズが変な所でウブなんだから」

マーベル「いや、グラッセも良い勝負だと思うぞ…」

はいはい、そこまで!!
それでは次回予告しますよ!!

リズ「分かった分かった、ついに次回はリグレットストーリーの最終章だ!」

グラッセ「俺たちはレイディアントガーデンへと乗り込み、ウラノスとガイアと対峙する!」

マーベル「そこで待ち受けている物は?そしてリズたちがこの戦いで得る物と失う物は一体…?」

カヤ「最終章『光と闇の後悔の終焉、大いなる心と世界へ謳え』をお楽しみに!」

更新遅くなるけどね♪

4人「「「「駄目じゃん、オイっ!!?」」」」