二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.Gray-man 真赤な薔薇 ( No.93 )
- 日時: 2012/09/01 09:45
- 名前: 有栖 (ID: FIlfPBYO)
第7話 記憶の欠片
目が覚めるとどこか見知らぬ場所にいた。
どうしてここにいるのかよくわからない。
あの後、何が起きたのかもさえ分からない。
この感覚は、どこかで前に一度だけ体験した記憶がある。
初めて…教団に来た日…そうだ。その感覚。
場所はまったく違うけど。感覚は一緒だ。
「起きたのお?」
聞き覚えのある声に振りかえるとそこに、さっき出会った少女。
「お前は…。」
「あっれえ?記憶が消えたっていうのは、本当だったんだねえ」
こいつは、僕を知っている。
でも、なんとなくこいつに見覚えがある。
まったく思い出せない。思い出そうとすると、何かがうずく。
この特徴的な喋り方。額の傷痕。
「………ロー…ド」
「せいかーい」
「…僕をここに連れて来て何の用だ」
ここがどこだかわからないけど、何故か、“ここは何処だ”という言葉が出てこない。
「へぇ、体が覚えてるんだね」
「それはどうゆうことだ」
まったく意味が分からない。こいつが何をしたいのか。
だけど、イノセンスを発動する気にもなれない。
なんで。なんで。なんで。
“ロード”が不敵に笑うと空間が移動して下がとがっているろうそくが宙にたくさん浮かんでいる部屋に移る。
また、移動。
目の前に映るのは、気を失っている姉ちゃんの姿。
「姉ちゃん!!」
「へぇ、今は、この子が君の“きょうだい”なんだね」
こいつも…ロードもあいつとおんなじように分かったような口調で話す。
ライルと同じように。まるで、真実を知っているように。
「スマイル…君…」
後ろから声がして振り返るとそこに時計と一緒につかまっているミランダさん。
その後ろに無残な姿になって倒れているアレン。
「なんで…こんな…」
体が動かない。先に姉ちゃんを助けるべきなのか、2人を助けるべきなのか。
でも、あの様子だと姉ちゃんに危害をあたえる様子はない。
だったら2人を先に…
バックステップして、ロードの後ろにいるアクマ2体からの攻撃に気お付けながらミランダさんの所へ。
手に刺さっているろうそくを抜いて逃がそうとした。
「まだ、だめだよ」
それが合図だといわんばかりにロードの後ろの2体が動き出す。
ここでは、ミランダさんが危ないっ!
すぐに横に移動してアクマとの戦闘。
姉ちゃんは、気を失ってるしアレンもあれだけ傷が追われてしまっては動けない。
「くそっ!」
ここは、アレンにかけるしかないのにっ!!
「い・・いや…助けて」
ミランダさんっ!!
「よそ見しちゃいけないよ」
音波系のアクマに炎を吐くアクマに思い切り隙を狙われダメージを受ける。
「お前もそろそろ解放してやるよ」
宙に浮かんでるろうそくがミランダさんへと向かう。
「エンディ!」
アクマの攻撃をすれすれでよけながら、ミランダさんの方へ向かい、
対アクマ武器でミランダさんへ攻撃するろうそくを防ぐ。
「ぐはっ」
自分にあたったろうそくの分だけ口から血を吐き出す。
鉄の味が口全体に広がって気持ち悪い。
せめてミランダさんだけは逃がそうと手に刺さってるろうそくを思い切り抜く。
意外にも今のでかなり攻撃をくらった。
ここに来る前にあいつのファイアで火傷した所もあるし、かなりやばいかも…。
それでもなんとか立ちあがる。
「ミランダさん…・・アレンを…みてて…」
「スマイル君…!!」
- Re: D.Gray-man 真赤な薔薇 ( No.94 )
- 日時: 2012/09/02 09:56
- 名前: 有栖 (ID: FIlfPBYO)
後ろからあの炎を使うアクマがせまる。
駄目だ。振りむけないっ!
「あ、アレン君!?」
「アレン…お前、生きてたのか…」
「勝手に…殺さないで下さい」
後ろのアクマの攻撃をなんとかアレンが相殺してくれる。
ただ、それだけだ。目の前がぼやけて見える。
両者とも背中を預けてその場に座り込む。
力が入らね。いくらなんでもさっきのろうそくの量、多すぎだろ…
ミランダさん守るのに精いっぱいだっつうの。
アクマも2体ぽっちなのに張り切りやがって…。
「スマイルくん………アレンくん……?」
もはや、どこが痛いのか感覚がなくなってきた。
これ、死ぬかも。嫌だなぁ、こんな短い人生。
はやく、治療しないと…姉ちゃん……
「死な…死なないで…」
「だ…大丈夫」
何が大丈夫なもんだ。アレンだって、かなり怪我してるくせによくいうわ。
「「!?」」
「なんだ、メス」
「何やってんだ〜?」
「は…はは…ホント何やってんの私…でも…でも…」
前をみると、ミランダさんがアクマ達に向かって僕達を庇う様に手を広げていた。
怖くて、足が震えている。
——Je ne vous laisse pas tuer frere——
弟は殺らせねぇぞ
「っ!?」
今のは、何だよ。今のあの後ろ姿は…ライル…?
どうして、こんな時にっ!!
あんな奴なんかのっ!!なんで、ミランダさんとあいつが被るんだよ!
「人間が何出来るんだよ〜〜〜〜」
「でも…」
—私が駄目な理由 何やっても上手に出来ないくせにやろうとするトコロもうやらないと決めたのに 未練がましく またやろうとするところ どうせなにも出来ないなら やらなきゃいいのにね 馬鹿よね—
「イノセンス…?」
急に光りだしたと思うと急に時計を中心にドーム状の何かが出来る。
これは…一体?
まさか、この時計の力…。ミランダさんが発動したのか…?
体から出ていく時計盤。出ていくたびにどんどん傷がなくなっていく。
そうか、そうゆうことか。
ひょいっと地面から起きあがる。
それに上手く反応出来なかったアレンが、僕に背中を預けていたため後ろに倒れた。
「っでっ!スマイル!起きあがるなら言って下さい!」
「あ、ごめん」
「ス、スマイルくんも…アレンくんも…動けるの?」
「一応ね」
「そっか…やっぱり適合者だったんですね」
アレンも頭を押さえながら立ちあがり、イノセンスを発動させる。
「スマイル、リナリーの場所、分かりますか?」
「あぁーー。こっち」
「ありがとうございます」
そういって、手をこのドーム状から出して姉ちゃんを入れる。
どうやら気を失っているだけらしい。よかった、それだけで。
「アレン君…リナリーちゃんは…?」
「大丈夫です。この空間にいれば…」
「あれ…私…?」
「姉ちゃん!」
姉ちゃんが目を覚ますと、左手でずっと何か握っていたものを急に広げる。
そこからティムが飛び出てきた。
それが勢いよくアレンの顔にぶつかった。