二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【短編】君と歩いた通学路【主にIb&バカテス】 ( No.15 )
- 日時: 2012/10/13 23:48
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: iaPQLZzN)
- 参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/
(ギャリーがオネェ口調&目を隠すようになった理由)
大学一年生の頃の話かな。
*オリキャラ出ます*
〜イルヴェ二ア=マーキス〜
茶色のポニーテールで、少し赤身のかかった茶色の瞳。
さぱっりした性格で、少しおせっかい。
一人称は『アタシ』
二人称は『アンタ』
ちょっと、くせ毛なのが悩みらしい。
〜ギャリー=ルルクシル〜
ギャリーは、普通に男口調です。
一人称『俺』二人称『お前』
神級に足癖が悪い。巷で噂の不良青年だとか。
『最後の誓い』
それはそれはむかしのおはなし
あたしが、まだここにいたときのおはなし
やさしくなるまえの、かれのおはなし
それはそれは
ひあいでせつなでなげきの
あたしにとっての
らぶそんぐー…
「ああああああああああああ!!
もぉ!スランプすぎて何にも描けないわよッ!」
美術室では
一人の女性の叫び声がこだましていた。
美術室は、女性が暴れたのか
筆やらパレットやら絵具やらが散乱していた。
スランプ。
それでも、彼女は筆を持った。
筆が駄目なら、鉛筆。色鉛筆で。
それでもだめなら、クレヨンで。
全て駄目なら、もう殴り書きしかなかった。
油性の絵の具。
それを見て、少女は適当に絵を完成させようとした。
「こうなったら、私の最終兵器ってやつね。
必殺、油性アタック〜…」
筆を、振りおろそうとした時だった。
ぱしっ、
丁度いいタイミングで腕を掴まれた。
「キャンバス、よごれるぞ?」
そこにいたのは—…
先生にも『完璧』と言われていた
ギャリー=ルルクシルだった。
「ア、ンタは…ルルクシル……」
アタシが、一番嫌っている人間。
別に努力もしていない。
だけど、ちょっとずつ認められていく人間。
『憎たらしい』
それは、多分…嫉妬。
だけど、認めてないわけじゃない。
彼の作品は、確かに立派だ。
一言で言うなら
『美しい』
だけど、何か足りない。
アタシは彼の絵を見るたびに思う。
それはきっと
『優しさ』
彼は、見た目しか見ていない。
まぁ、巷で噂の不良だから仕方ないのだろうけど。
足癖が悪い。
女子には困っていない。
不良要素がたっぷりのこいつに負けるなど
簡単にいえば『人生の汚点』とも言えるわけであって。
「何しに来たの」
睨みながらそう聞くと
「こわいなー…。
叫び声が聞こえたから、来ただけ」
そう言えば、さっきアタシは盛大に叫んだ。
「用がないなら出てって。
絵を描くのに邪魔なのよ」
そう言うと、目の前の男は困ったように言った。
「ん〜。
俺も、絵を描かなきゃいけねんだよね」
先生に怒られてさ。と付けくわえて、
やはり、こいつは不良だ。期限ギリギリまで遊んでいるなんて。
『でも、ギリギリでも描くのね』
そんな感情が片隅にあった。
とちほ。
- Re: 【短編】君と歩いた通学路【主にIb&バカテス】 ( No.16 )
- 日時: 2012/10/15 00:04
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: iaPQLZzN)
- 参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/
>>15 の続き。
「で、何を描くの?
今度のテーマって、『美』でしょ?」
そう言うと、こいつは眉を寄せた。
多分、描くものがないんだと思う。
私もそうだ。
『美』って言うのは、たくさんありすぎて困る。
薔薇の花や
綺麗なドレス。
美しい女性や
羽ばたく鳥。
晴れ渡った空に
眩しく照りつける太陽。
どれも『美』だ。
「悩む…」
その時、窓際に一つの青薔薇を見つけた。
『綺麗』
素直にそう思った。
そうか。
薔薇の花束を描けばいいんだ、
色とりどりの。
水彩画の方がいいだろう。
「よしっ。アタシは決まったわ!
アンタは、どうするの?」
そう言うと、こいつは真面目そうな顔をした。
次の瞬間、アタシは目を見開くことになるのだが。
「お前、描くわ」
そう言って、顔を凝視したかと思うと
スラスラと下書きをしていった。
「なッ?!
『いいわよ』なんて一言も言ってなー…」
文句を言おうとしたら
顔を近づけられた。
顔がすぐさまうちに真っ赤になる。
そうして、にやりと笑って彼は言った。
「美しい、って言ってやってるんだよ。
それくらいいだろう?」
だけど、アタシは反抗した。
「う、うるさいっ!
『美しい』なんて思ってもないくせに!」
「思ってる思ってる。
だから、動くな。薔薇に集中しとけ」
「なんで描こうとしてるの分かったのよ!」
「分かりやすいからだろ…」
むっ、と頬を膨らませて
目の前の男を見ると
「その顔描くぞ」
と言われたので、やめた。
「青いバラに赤いバラ。
黄色のバラも、白いバラも!
黒いバラもピンクのバラも
水色のバラも緑のバラも
いっぱい描きましょっと!」
色とりどりのバラ。
水彩画なので、優しい色合い。
アイディアが出たらすぐ描ける。
「で、できたわー!」
「じっとしてくれない?
俺まだ描いてるし」
そう言われ、またむっっとなる。
「早く描いてよ〜。
変な風に書いたら承知しないんだからね」
「寧ろ、本人よりきれいかもよ?」
「失礼ねぇ!」
がたり、と勢いよく立ちあがるアタシに
目の前のこいつは「悪かったって」と言って
キャンバスに目を向けるだけ。
かれこれそうして三十分。
暇すぎて死にそうだ。
「まだぁなの?」
「煩い…。
もう少し」
こいつはきっと、集中したら周りが見えなくなるパターンね。
…あれ、アタシも人のこと言えないかも…??
その時、奴が「よし」と呟いた。
絵が出来上がったのだ。
「み、見せなさいよ!」
いち早く、誰よりも早く、
こいつの絵が見たい。そう思った。
だけど
「ん〜。
どうしようかな」
奴は性格が悪かった。
「モデルに無理矢理したんだからいいでしょう!」
そう言うと、奴は満面の笑みでこう言ってきた。
「本音、洩らしてくれればいいよ?」
「は…?」
「本音。
ただ、最初に見たいだけなんでしょ?」
そう言われて顔が真っ赤になる。
「ち、違うわよ!
べべべべつにアンタの絵を一番最初にみたいだなんて!」
目をぐるぐるさせて言うアタシに
奴は更に笑みを増した。
「お前、ホントに分かりやすいよな。
見てて楽しい。苛めがいがある」
その時だった。
何故か、アタシの胸は
「きゅっ」と縛られたように
切ない痛みを感じたのだ。
「…?」
そんな事
今のアタシは気付かないけど
『続く』