二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ルーンファクトリー外伝〜兵士の志〜 <クリスマスSP>
日時: 2009/12/23 07:31
名前: サンタクロウソク (ID: 4icP.gIH)

ブルー侍氏によって描かれた『ルーンファクトリーフロンティア完結編〜光の彼女と闇の暗殺者〜』の外伝ストーリーが他の作者によって描かれる。



どこでラグナとフェラーは知り合ったのか?
フェラー・カーロイドはどうして亡くなったのか?



本編で解き明かされなかった謎が今明かされる!

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Re: ルーンファクトリー外伝〜兵士の志〜 <クリスマスSP> ( No.1 )
日時: 2009/12/23 07:33
名前: サンタクロウソク (ID: 4icP.gIH)

<作者より>
どうも毎年子どもに夢を与えるサンタクロウソクです。
今作品は12月23日、24日、25日と3日に分けてお送りします。
更新時間は夕方以降です。
少しでも楽しんでいただけたら私もうれしいです。

Re: ルーンファクトリー外伝〜兵士の志〜 <クリスマスSP> ( No.2 )
日時: 2009/12/23 15:08
名前: サンタクロウソク (ID: ScWyjXSP)

  <12月23日>

?「・・・悪い、ステラ・・・。俺はもう・・・ここに居れそうにない」

?「どこだ!?何処へ行った?」

?「まさかこんなにも早く帝国の手が伸びるとはな・・・」

?「探し出せ!まだ近くにいるはずだ!」

?「狙いは俺か・・・。・・・ステラ、またいつか会おう!」



ルーンファクトリー外伝 〜戦士の志〜



俺の名はフェラー・カーロイド。

そして、ここはノーラッド王国である。

ちなみに、天気は快晴で曇りひとつない。

フェラー「驚いたねぇ、基地に託児所なんて」

俺は今いる場所について連れ仲間のクレアにそう言った。

クレア「あら、陸軍攻撃部隊隊長が何を言っているのよ?」

フェラー「だってよ、普通子供守るのが優先だろ?子供すっぽかして国なんて守れねーだろ」

クレア「・・・それもそうね」

俺がクレアとそんな話をしていると、一個のボールが転がってきた。

?「おじさん、とってー」

そう言って、一人の幼い男の子が駆け寄ってきた。

フェラー「なっ!?お、おじさん!?」

クレア「くくく・・・お似合い・・・」

クレアが腹を抱えて笑う。

フェラー「笑うな!!・・・ほら少年、ボールだ」

?「ありがとー」

ん?俺はふと何か勘付き、ボールを持って去っていく男の子をしっかりと見つめた。

クレア「どうしたの?フェラー」

フェラー「ほーう、あの子はアースマイトだな」

クレア「そうなの?」

フェラー「分かる奴には、分かるんだよ」

俺とクレアはそんな会話のやり取りをしながら、去っていく男の子の後姿を見つめていた。






それから、何年か経った。

俺は仕事の休みに息抜きしようとノーラッド王国郊外を歩き回っていた。

すると、ふと風のわめき声が聞こえたかと思うと、俺は子供がどこかの残党兵らしき兵士達に襲われている光景を目のあたりにした。

フェラー「・・・どうやら、残業が残ってたらしいな」

俺はそう言って、目のあたりにした現場へと駆け込んだ。

Re: ルーンファクトリー外伝〜兵士の志〜 <クリスマスSP> ( No.3 )
日時: 2009/12/25 00:46
名前: サンタクロウソク (ID: kuEj07Eu)

  <12月24日>

フェラー「おい!!何をしている!?」

俺は辺りを見回して現状把握を急いだ。

フェラー「ノーラッドの兵・・・か・・・。」

となると、この子は国家において重要な存在なのだろうか?

まあいずれにせよ、先に片づけておくのはこっちではない。

フェラー「通行人を襲うとは、気味の悪い趣味を持っているようだな」

俺は子供を守るために子供の前に立った。

兵士達もこっちを向いて武器を構える。

兵士「何だ?お前は・・・死にたいのか?」

正直、襲っていた奴らは至近距離専用の武器ばかり装備している。

一方で、俺の右手には魔導書がある。

勝率は・・・考える必要もない。

フェラー「こんな郊外で死にたい奴がいたら、俺はぜひそいつに会ってみたいね。お前らこそさっさと母国に帰ったらどうなんだ?」

兵士「国へどうして帰らなければならない?奴らは俺達を捨てたんだ!」

フェラー「察したところ、ゼーグス帝国に負けたようだが?」

兵士「そうだ。それで軍事的出費に耐え切れなくなった俺達の国は兵士を戦場に置き去りににしたまま、敗戦を認めたんだ!!」

俺は正直、こいつの話をそこまで真面目に聞いてはいなかった。

それよりも気になったことがあったからだ。

・・・今喋ってるこの兵士、間違いなく半獣だ。

感覚と雰囲気で俺はすぐに分かった。

たまにいるんだ、人間とモンスターと変身することによって二つの姿を持つ奴が。

俺も詳しくは知らないが・・・・・・。

兵士「誰も助けに来ない!俺たちは今日までゼーグス帝国の残党兵狩りをビクビクしながら逃げてきたんだ。お前にこの気持ちが分かるか!?」

どうもこいつの話には腹が立った。

フェラー「・・・やつあたりじゃねーか!この馬鹿野郎!!」

俺の急な怒鳴り声に残党兵達はビクリとした。

フェラー「お前には分かるのかよ!?この護ってくれる人がいなくて一人孤独になった子供の気持ちが・・・!!」

残党兵「なっ!」

フェラー「お前のやってることはお前を捨てた国と変わらねーよ!お前も国も、自分より弱い人間を孤独に追い詰めているだけなんだよ!!」

俺は久しぶりにキレた気がした。

残党兵「・・・く・・・くそう・・・くそおおおお!!」

残党兵を銃を投げ捨てた。

残党兵「はぁ・・・はぁ・・・」

・・・他の人間のことは知らんが、この半獣には居場所を与えたほうがいいかもしれないな。

間違っても、ゼーグス帝国に拾われないうちに。

フェラー「・・・この先にノーラッド王国がある。そこに行け。フェラー・カーロイドの紹介だと言えば、そこの国王が何とかしてくれるはずだ」

俺がそう言い告げると、残党兵は武器すら拾わないまま俺が教えた方向へ走って逃げていった。

俺は残党兵も片付いたので、一人きりになった少年のほうを向いた。

フェラー「大丈夫か、少年。名前は?」

俺はそう言いながら、しゃがみ込んで少年と目を合わせた。

?「あ、おじさんだ!」

フェラー「・・・おっ!少年、あの託児所の!」

・・・驚いたもんだ。

あんな幼い子供がたった一瞬の出来事を何年も覚えているなんてな。






少年に名前を尋ねると彼は『ラグナ』と答えた。

ラグナに詳しく話を聞くと、どうも噂で聞いた生き別れた兄貴に会いたくてノーラッド城を訪れようとしたらしい。

俺はラグナを連れてノーラッド城へ向かった。

しかし、運が悪かったのか俺たちはラグナの兄貴に会うことは出来なかった。

護衛を失ったラグナを一人で帰らすわけにもいかないので、俺はやむを得ず軍の仕事を休んで彼を家まで送ってやった。

ところが、その道中で俺は急に不吉な予感がした。

・・・あの残党兵、ノーラッド城で見なかったな。

ゼーグス帝国は残党兵狩りをしているとは聞いた。

だが、あの半獣の力・・・。

もしもゼーグス軍に招き入れられてでもしてたらやっかいだな。






それからというもの、俺はラグナと関わる機会が多くなっていた。

ある時、俺は金持ちの知り合いから招待された豪華客船にクレアとラグナを誘った。

ラグナ「わー、豪華客船だ!」

海に浮かぶホテルとはよく言うものだが、まさしくそこは、豪華なホテルのようだった。

クレア「ねえ、これってデートのお誘いかしら?」

フェラー「・・・お前、そういえばまだ独身だったか?」

クレア「まだ・・・ねぇ。正直、結婚なんて諦めてるけど」

フェラー「・・・・・・」

クレア・・・お前、どうして軍隊なんかに入ったんだよ?

俺は少し気分が下がりつつあったが、その後のポーカーでテンションを上げていった。

フェラー「フォーカード!!」

ラグナ「ストレートフラッシュ!」

まあ、ルールを覚えて一時間でここまで上達されたんじゃ盛り上がるのも当然だな。

俺はクレアとラグナがポーカー勝負をしている間にお茶を入れにいった。

フェラー「ほれ、俺特製のお茶」

クレア「電気ポットの湯でインスタントの録茶の素を溶かしておいて、何が俺特製よ?」






それから、さらに長い月日が流れた。

Re: ルーンファクトリー外伝〜兵士の志〜 <クリスマスSP> ( No.4 )
日時: 2009/12/25 20:42
名前: サンタクロウソク (ID: kuEj07Eu)

フェラー「もう50年になるな・・・」

俺は何故かクレアと共に俺の家に帰っていた。

ラグナもまた俺の家から近いものだから遊びに来ていた。

フェラー「あいつは無事、村を作り上げたんだろうか。」

ラグナ「フェラー?」

ラグナが俺のほうをじっと見る。

フェラー「あ・・・いや、俺、実は若い時に一人の女の子、置き去りにしちまったんだ。向こうが覚えているかどうかわかんないけどさ、会いに行きたいんだ。」

クレア「ああ、それであんたずっと結婚しないのね」

クレアはやれやれと言った表情をした。

悪かったな、未練がましくて。

ラグナ「・・・フェラーなら、きっと会えるよ。」

フェラー「そうだな。軍隊やめたら、会いに行きたいな。」

ラグナ「頑張って!」

フェラー「ああ。・・・そうだ、ラグナ。お前に一つだけ教訓を教えといてやる。」

ラグナ「何?」

フェラー「・・・護りたいものを見つけろ。お前にとって支えになるもの・・・いや人を大切に・・・護っていけるような男になれ!」

ラグナ「・・・はい!」

クレア「フェラー、そういえばあんたのその『一つだけ」って本当にタダの口癖よね」

フェラー「悪かったな!」

俺たちは三人で笑いあった。

家の外の立てかけていた材木はカタカタと震えたような音をたてていた。






それから数日後、俺とクレアはノーラッド王国に侵略を企むゼーグス帝国を追い返すために進軍した。

フェラー「ゼーグス帝国を侵入させてはならん!何としても食い止めろ!!」

隊長である俺が次々に指示を出す。

クレア「フェラー・・・何か嫌な予感がするわ」

フェラー「ああ・・・分かってる」

さっきから敵の動向がやけに静かだ。

罠かもしれない・・・慎重にいかなければ・・・。

やがて、戦争も開始してから6時間が経過した。

クレア「進軍は順調ね。この調子だと今日中には片付くわよ」

フェラー「ああ・・・そうだな・・・・・・」

何かひっかかる。

嫌な予感がする。

そう思った、その時だった。

伝令「隊長!戦場が炎上!!敵は援軍を出して進撃してきます!」

クレア「なっ!?」

フェラー「部隊の状況は!?」

伝令「ほぼ壊滅です!生き残った兵士が僅かながら・・・」

フェラー「くっ・・・、多少の犠牲すら惜しまぬゼーグスの卑劣な軍略・・・」

クレア「フェラー!私たちも援軍を!!」

フェラー「・・・駄目だ。今から援軍を待っていては負けてしまう。もはや、この戦に勝ち目はない」

クレア「そんな!」

フェラー「だが、奴らを止めることが出来る。この俺、フェラー・カーロイドの剣で!!」

俺は敵本陣へ向けて走り出した。

クレア「ちょっと!単騎で突入する気なの!?」

フェラー「このままゼーグス帝国を進軍させては駄目だ!!」

クレアには悪い気もしていた。

だが、俺は決して振り返ることもなく、炎上する戦場を駆け抜けた。

立ち向かってくるゼーグス帝国の兵士たちを片っ端から倒す。

ゼーグス兵士「馬鹿な!たかが老人がこんな大群相手にたった一人で!?」

フェラー「俺はノーラッド王国攻撃部隊隊長、フェラー・カーロイドだ!死にたくなければそこをどけろぉ!!」

ゼーグス兵士「馬鹿な・・・奴は一体何者なんだ!?」

フェラー「兵士としての志、ここに示す!ノーラッドには傷一つつけさせねぇ!!」






どれくらい走っただろうか。

俺は・・・死ぬと分かってどうしてこんなに頑張ろうと思えるのだろうか?

俺の軍略ミスで死なせた兵士たちへの償いだからか?

・・・それもあるだろう。

だが、そんなことよりも、

俺はこの戦に志を示したい!







やがて、俺はゼーグス帝国本陣に突撃した。

フェラー「うおおおおお!!」

ゼーグス総大将「馬鹿な、ここまで単騎で突破してきたというのか!?」

フェラー「・・・!?お前・・・あの時の・・・!!」

ゼーグス総大将「・・・ゼーグス帝国総大将、ジョンだ。元某国の残党兵でもある!」

フェラー「・・・やっぱりゼーグス帝国に拾われたか」

ジョン「皇帝エぜルバードは俺の恩師だ。だから、俺はあの方についていく!」

フェラー「ぐぐ・・・甘い言葉に誘惑されたか!!」

俺はフェラーに向かって剣を振った。

フェラーも剣で俺に対抗する。

フェラー「うおおおおお!!」

俺はジョンと鍔迫り合いをして、バックステップでジョンとの間を置いた。

フェラー「はあ・・・はあ・・・・・・」

息も苦しく、視界がだんだん歪んできた。

そろそろ近いかな・・・・・・。

???「もうやめて!!」

後ろから声がした。

声の正体は馬に乗って後を駆けつけたクレアだった。

クレア「もう戦わないで!援軍はすぐそこにいるわ!あなたが戦う必要はない!」

・・・・・・。

フェラー「俺はたくさんの兵を軍略ミスで死なせた」

クレア「それなら私にも非があるわ!」

フェラー「・・・俺を止めてくれたのが、お前で良かった」

俺はそう言って、ジョンのほうへと歩む。

クレア「あの子は!?あなたが会いたいと思っていた女の子はどうするの!?」

フェラー「・・・」

クレア「わざわざ死ぬ必要なんてない!だから・・・!!」

フェラー「ステラには悪いことしたかもしれないな・・・。でも、50年も男を待ち続けるかよ・・・」

クレア「きっと待ってるわ!だから・・・行かないで!!」

フェラー「・・・らしくないな、クレア・・・。お前の・・・元気で真面目で優しい性格、好きだったぜ」

クレア「・・・・・・」

フェラー「・・・だからどうか、お幸せに・・・」

そう言って、俺はジョンと一騎打ちに向かった。

立っているのもやっとな姿で・・・・・・。

フェラー「ラグナ・・・。お前が生きがいを感じている姿、あの世で見てるぜ・・・」






こうして、ゼーグス帝国の侵略は阻止された。

たくさんの犠牲を残して・・・・・・。






空は青くすんでいる。

草原の上で一輪の花が風にたなびいていた。


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