二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ぽろん
日時: 2010/01/03 23:01
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

ロック!

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Re: 旅の始まりは・・ ( No.6 )
日時: 2010/01/02 22:25
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

「・・・・ん〜・・」

首元が寒い・・・
ベットの上でもぞもぞと動く。

「・・・・いっ・・・・」

い・・・・痛い・・
足首が痛いよ・・・

布団の中で痛い方の足首を近くにもってくる。

なんで痛いんだっけ・・・?
足首に触ってみると、包帯が巻かれていた。

あれ・・・?
・・・・・・・・・・あ。

昨日の事を思い出し、がばっと起き上が・・・

「・・・・〜っっ!!!」

声にならない悲鳴をあげ、足首を押さえていると、すぐに2人くらいの足音が階段を駆け上がってきた。

ダッダッダッダッダ・・

バンッ!

力いっぱいドアを開けたのはお母さんだった。

「あ、おは・・・」
「ゆうっ!」

がばっと抱きしめられ、ベットにお母さんと一緒に倒れこむ。

「え?な・・え?」

いきなり抱きつかれ混乱していると、お母さんと一緒にあがってきたお父さんが怖い顔で立っていた。

いつまで立っても抱きついて離れないお母さんを見ながらお父さんが溜め息を吐いて、口を開く。

「・・・・ゆう、昨日あったことを話しなさい。」

怒り声でそう言われ、思わずお母さんの腕の中で小さく縮こまる。

「あなた・・・ちょっとまってあげて。」

私の上から起き上がったお母さんが、ギロッとお父さんを睨み付ける。
私もすぐに起き上がり、2人を交差に見るが、最後にお母さんで止まった。

しゃがみ込んで視線を同じ高さにしながらゆっくりと喋りだす。

「昨日・・・・何があったか話してくれる?」

心配そうに、だが、昨日何があったのか絶対聞き出すまで逃がさない。という目に負け、しぶしぶ話し出す。
昨日山を1人で登っていたら野性のポケモンに会い、びっくりして山から転げ落ちた。
その時足をひねったと嘘を吐いた。

どうしても、あのウインディが気になったからだ。

「・・・・嘘は吐いてないわね?」

じっとお母さんに見つめられ、その視線から逃げるように俯き、頷く。

「・・・・・わかったわ。今日は学校休みなさい?その足じゃ、行けないでしょう?」

許してくれたのか、いつもの優しい声に戻っていた。
お父さんはまだ納得いかないのか、何か言いたげだったが、お母さんに押されるようにして部屋から出て行った。

「・・・・ばれなかった・・・。」

溜め息を吐いて、またベットに横になる。
まだ寝足り無いのか、大きなあくびをつく。
このままもう1度寝ちゃおうか・・・
まぶたをゆっくりと閉じ、寝る体制に入る。

あのウインディ・・・大丈夫かな・・

どこか、怪我・・・・してる・・・の・・・・・・か・・・・なぁ・・・。

Re: 旅の始まりは・・ ( No.7 )
日時: 2010/01/03 15:04
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

コンコン・・

「ん・・・」

浅い眠りからゆっくりと意識が戻ってくる。

「ゆう?起きてる?」
「・・・うん」

お母さんの声に反射的に返事をする。

あれ・・今何時だろう・・・

ふぁぁ〜っとあくびをし、眠い目を手で擦り起き上がる。

ガチャ・・

お母さんがドアを開け入ってきた。

「これ・・」

そういってテーブルに置いたのはシチューにパン、それにお茶だ。

「・・・美味しそう!」

くんくんと匂いを嗅ぎ、匂いに釣られるようにしてベットから這い出る。
そのまま四つん這いになり、テーブルの前まで這って行く。

「はい、これ。」

そう言ってお母さんが差し出したのはお手拭タオルだった。

「ん〜」

上機嫌でタオルを受け取り、手をぱぱっと拭いてパンを取る。

「じゃあ、お母さんは下にいるからね?後でお盆は取りにくるから。」

立ち上がり出て行くお母さんにふぁ〜いと返事をし、ぱくぱくとシチューとパンを胃に詰め込む。

・・・あっつ・・・・・けど、美味しい!

もくもくと食べ続け、あらかた食べ終わってから視線を上げ、今何時かを確認する。

時間は13時を少し過ぎていた。

私結構寝たなぁ・・・・あ!

「・・・・ウインディ!」

すっかり忘れていた。

少し様子がおかしいウインディの姿を思い出し、立ち上がろうと足に力を入れるが・・

・・・・・っ!
だめだ・・足が・・・・

昨日の今日でまだ足が痛み、立つのも難しかった。

どうしよう・・・

暫し迷った後、足首が痛まないように、膝立ち移動で本棚の前に移動し、ポケモン関連の本を取り出す。

ウインディ・・ウインディ・・・・

ウインディのページを開いてみるが、なぜ苦しそうなのか、わからなかった。

なんで・・・?
ポケモンだけを倒し、人間には手を出さなかった。
洞窟で蹲ったまま動かない・・・・

昨日の事を出来るだけ思い出し、何が原因か必死に考える。

そのまま山道を帰って、途中カゴの木が・・・・カゴの木!

直ぐに木の実の本を取り出しカゴの実のページを探す。

カゴの実は確か・・・・睡眠だったはず。

ポケモンを持ってないから、その分ポケモンの事を調べ、色々勉強した。
木の実もほぼ全種類覚えた。

「・・・カゴの実カゴの実・・・あった!」

上のほうが青色で、下のほうがピンク色のカゴの実の写真。

これだ・・・!

眠ってしまったポケモンを目覚めさせることが出来る木の実。
渋くてとても硬いが、全部食べることが出来る。

でも・・・・

「・・・なんでカゴの実?」

疑問だった。
あのカゴの木は見方によっては、食いちぎったようにも見える。

だが、あのウインディは起きていた。
なのに、なぜ寝てしまったときに使うカゴの木の花や実をあんなに食べたんだろう?

「・・・そもそも、食べたとは決まってないか・・」

どういう事だろう・・・
兎に角、まずしなくちゃいけないことは・・・

「おかああさあああん!」

パタンと本を閉じ、大声でお母さんを呼ぶ。

「どうしたのー?今行くねー?」

少し驚いたような声で返事をしながら階段を上がってくる足音が聞こえる。

お母さんが来るまでに本を全部しまい終え、来た時と同じように這いながらテーブルの前に移動する。

ガチャ。っとあけて顔を覗かせたお母さんに、先に声をかける。

「あのね、足治したいの!」
「・・・え?」

ポカーンとするお母さんに、さらに言葉を続ける。

「どうしても足を治したいの!」

お願ーい。っと言い、甘えるときに使うちょっと上目使いをしてみせる。

「数日もすれば治るでしょ?急がなく・・・」
「早く治したいの!」

お母さんの言葉を遮り、四つん這いになりながらお母さんの足元まで近付く。
視線を合わせるようにしゃがみ込んでくれるお母さんに、抱きつくようにしてお願いをする。

「・・・なんで、早く治したいの?」

真っ直ぐに目を見られながらお母さんにそう聞かれる。

朝、嘘を吐いたばかりだ。
これ以上嘘を言いたくない・・・

「・・・・お願い・・・」

理由は聞かないで・・・・足を治したい。

ぐっと原に力を込め、お母さんを見つめ返す。
そらしそうになる視線を真っ向から受け止める。

「・・・・。」
「・・・。」

Re: 旅の始まりは・・ ( No.8 )
日時: 2010/01/03 16:10
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

暫し見つめあいながら無言が続き、しょうがない・・という感じでお母さんが溜め息をついた。

「・・・お父さんには内緒だからね?」

いたずらっ子のように片目でウインクして立ち上がるお母さん。

「うんっ!」

やったあ!と声を出しながら喜び、お母さんに・・・正しくは足に抱きつく。

「で・も!」

顔をずいっと近付け、人差し指を立てる。

「・・・・日が沈む前には、帰ってくるのよ・・・?」

本当は、行かせたくない。
だがこの子は行ってしまう。

それがわかってるのか、お母さんは言葉にはせず、夕方までに戻ってくるのを私に約束させた。

「うん。必ず戻ってくる。」

ちゃんと目を見て約束する。
納得したのか、部屋にいなさい。と言い残し、お母さんは下に行ってしまった。

膝立ちのままクローゼットの前に移動し、着替えるための服を出す。

またあの洞窟に行くから、動きやすく、暖かい服装をしなくてはいけない。
それに・・・・

ウインディの苦しそうな姿を思い出し、拳に力を入れる。

服を着替え、靴下を履こうとした時、階段を上がってきたお母さんが顔を出した。

「今から、保健室の先生が来てくれるわよ。」

きょとん。と首をかしげる。

なんで保健室の先生が来るの?

そんな私を見てくすくす笑いながらお母さんが続ける。

「保健室の先生はラッキーを持っているでしょう?タマゴ生みをしてもらうの。」

あぁ!納得。

「うん、わかった!」

タマゴ生みはポケモンにも、人にも使える技だ。
病気は無理だけど、傷を癒すことが出来る。

「・・・・・・あ・・」

部屋を出ようとしてたお母さんが私の声に反応し振り返った。

「どうしたの?」

はっとして首を横に振る。

「ううん!なんでもないの!」

そう?と言いながら下の部屋に行くお母さんの足音を聞きながら、ぼんやりと窓から外を見る。
どんよりと、今の私のような今にも雨が降りそうな空だった。

そう、気付いたんだ。
もしかして、あのウインディは怪我ではなく、病気だったら・・・・。

それに気付くまでは、クラボやモモン、チーゴやオボンの実を摘んで、ウインディがいるあの洞窟に行こうとしていた。
怪我なら、治っただろう。
けど、怪我じゃなくて、病気だったらどうする・・・・?

履きかけの靴下を放り出し、本棚の前に移動し、ポケモンがなる病気の本を取り出す。
ポケモンはまだわからないことが多すぎて、見つかってない病気や、治し方のわからない病気が多い。
人より病気にかかりにくいが、病気になってしまった場合は、治し方がわからなく、大抵死んでしまう。
それは、子供の私でも知っている。
言葉という壁は、それほどまでに高く、乗り越えるのが困難なのだ。

・・・・もしかしたら、あのウインディはもうあそこにいないかもしれない。

ふっと浮かんだ考え。

・・・・もしいたとしても、また私を見逃してくれるとは考えにくい。

醜い、逃げようとする頭が考える。

・・・・足も痛いし、治ってからでも問題ないよね・・?

ウインディが気になるのは事実。
だけど、昨日のような怖い思いをするのは体が・・・・私自身が嫌。

・・・・・うん。





———行くの、止めよう・・・。

Re: 旅の始まりは・・ ( No.11 )
日時: 2010/01/03 19:32
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

小川が流れているところまで走って降りてきた。
さっきっから雷の音が聞こえる。
雲行きが怪しい。

だけど、ちょっと休憩するくらいの時間はあるよね・・。

近くを流れる小川に近付き、手に持ってる袋を放り投げ、両手を小川に突っ込んで水をすくう。

そのまま口まで持って行き、一気に飲む。

「っぷはぁ!」

山の上流の水はとても美味しいが、とても冷たい。
ぴっぴっと水を弾き、袋を掴んでふと思う。

あのウインディのど乾かないのかな・・・

降りてきた山道を見上げ、じっと動かない姿を思い出し

水だけ持ってってさっさと帰ろう・・・。

ビニール袋に水をいれ、大きめの石を2つ持つ。
袋の両端で石を包むようにすれば、中身の水がこぼれず、水だけ飲めるように出来る。

せっせと下ってきた山道を登り、洞窟を目指す。

途中、転びそうになり水を少し零してしまったが、まだまだ水はある。

木の実より重い水と石を持っているため、息が上がるのが早い。

洞窟が見える頃にはすっかり息が上がって、肩でぜえぜえいっていた。

ウインディを見ると、さっきとほぼ変らない場所で蹲っていた。

木の実食べてくれなかったのかな・・・。

しょんぼりしたままゆっくりウインディに近付く。
けど、木の実のときと違って、足場と水を気にしなくちゃいけなく、前を向かないで下を向いて近付いた。

よたよた重い水と石を持って歩いていたら、いきなり視界が暗くなった。

びっくりして地面と水を見ていた視線を前にあげると、洞窟の入り口まで近くに来ていた。

「・・・っ!?!?」

蹲ったまま動かないウインディにもびっくりし、こんなに近くまで寄ってたのに気付かない自分にもびっくりした。

びっくりして固まってしまったが、直ぐに我に返って洞窟の入り口の端っこに水を置いてやる。

洞窟の中は案外石が落ちていて、綺麗な円を作るような感じで水を置けた。

必死に水場を作っていて全く気付かなかったが、いつの間にか後ろにウインディが来ていた。

「出来たっ!」

誰の為にそれを作ったのかすっかり忘れてた私は、ただ単に綺麗に出来たことに喜び、ふっと視線を上げてまたまた固まった。

2mも離れない場所にウインディが来ていたのだ。

食べられちゃう・・・!!
逃げなきゃ!

ゆっくり、ウインディを刺激しないように後退し、立ち上がろうとして・・・・・目を見開く。
目の前の光景が信じられず、ただ呆然と見つめる。

今しがた私が作った水場の水を、ウインディが飲んでいたのだ。

ピチャピチャ・・と水を飲む音が洞窟内に響く。

ゴロゴロゴロゴロゴロ・・

「・・・あ!」

ウインディをずっと見ていたが、雷の音で我に返り、空を見上げる。
ぱらぱらと雨が振り出した空。

帰らなきゃ・・・!

がばっと立ち上がる。
今はもう、ウインディを怖いとは思わない。
水を飲むのを止め、顔をあげているウインディにばいばいっと手を振り声をかけ、そのまま洞窟を飛び出す。

山の斜面をすべる様にして駆け下り、近道とばかりに木々の中を走り抜ける。

Re: 旅の始まりは・・ ( No.12 )
日時: 2010/01/03 21:08
名前: 〜 空 〜 (ID: xBFeLqnd)

そのまま村の入り口が見えるまで走り抜けた。
肩で息をしなが直ぐに後ろを振り返り、ふと先ほどの事を思い出す。

水、飲んでくれた。
あんなに近くにいるのに、襲われなかった・・・

ザーザー振る雨によって服は濡れ、顔に髪の毛が張り付いてるのも気にせず、じっと山を見上げる。

木の実・・・食べてくれたかな・・

ピカーっと辺りが光、はっとして駆け出す。
ウインディを見て怖かったはずだった。
体中震えて、食べられると思った。
だけど、今はウインディを見ても、きっと怖いとは思わない。

疲れて、くたくただったはずだった。
寒くて凍えるかと思ったくらい手足ががちがちだったはずだった。
だが、今は何も感じない。
水を飲んでくれた、あんなに近くに寄れた。
そう思うと、なぜか疲れなんて吹っ飛んでいた。
長いはずの家までの道のりが、短く感じ、あっという間に家の玄関が見えてきた。

「ただいまぁぁぁあああ!」

ガチャっと勢いよく玄関のドアを開け、滑り込むように中に入る。

「お帰り〜!・・・っとに・・お風呂に入っちゃいなさい。」
「はーい!」

体中泥らだけにして帰ってきた私を怒らないで、バスタオルを用意して待っていてくれたお母さん。

ぱたぱたとお風呂場に走っていく後姿に、照れくさいからぽつりとお礼を言う。

「・・・ありがとう。」
「・・・・・え?」

首をかしげながら振り返るお母さんに、なんでもないよ!と笑い、泥だらけの格好のままどたどたとお風呂場に向かう。

「あ、こら!靴脱ぎなさい!」

靴も靴下もどろだらけだもん!とよくわからないことを言いながらお風呂場に駆け込み、お母さんにお湯を頭からかけてもらい、泥だらけの服や靴を脱ぎ、湯船にダイブする。

「ふぁ〜、気持ちぃ〜!」

手や足の指をグーパーグーパーしながらウインディの事を考える。

よく、山の水を素手で触ったなぁ・・・
それに、あんなに近くに行ったし、水飲んでくれた!
木の実は・・・・食べてくれたかな・・

水を持っていくときは零さないようにするのに精一杯で、帰ってくるときは約束のことしか頭に無くて、木の実まで頭が回らなかった。

「・・・・お腹、空いてるだろうな・・」

あの巨体のウインディにオボンの実5〜6個でお腹いっぱいになるはずがない。

あまり隙間が無い、お風呂場の窓から外の音に耳を澄ましてみる。
風が強いのか、木々の葉が擦れ合う音や、雨の音、風が森をかき回す音、雷の音・・・・

パチャン——・・
湯船のお湯を手で叩いてみる。

雨・・・雨宿りちゃんとしてるかな?
夜、1人で寂しくないかな・・?


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