二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ループ【日和】 ※死ネタ注意!!
日時: 2010/06/25 22:46
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)

こんにちは、ひよらーのゆんです!
今回は、天国組の話に挑戦しようと思います(・ω・)

 みなさんどうか、生暖かい目で見守ってください!

でわ、ゴー☆

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Re: ループ【日和】 ※死ネタ注意!! ( No.5 )
日時: 2010/07/09 19:09
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)

    *「永遠の想い」

 君は俺に、毎晩同じ事を言う。
 必ずかえるから待っていて___と。
目が覚めて、夢だと気づいてがっかりする。

 そんなある日、庭に小さな薄黄色の花が咲いていた。
名前は忘れたけど、見覚えのある花だった。
 鬼男くんが、大好きだと言っていた花。
何で好きなの?って聞いたら、彼はいったんだ。
「この花は・・・
          *    *    *
「おはよ」
「はよー!」
学校の校門を潜り抜け、生徒たちが挨拶を交わす。
「おっす!」
僕の前には友だち。その手には薄黄色のかわいらしい花。
「おはよ」
彼は、その花を大事そうに握り締め、にこにことしている。
「それ・・・なに?」
僕がきくと、待ってましたと言わんばかりに彼は目を輝かせた。
「これ?知りたい?いいぜ、そんなにしりたいなら・・」
「いや、そこまでは・・・」
ぼそりと呟く僕の声をフルシカトして、彼は言った。
「今朝、サキちゃんにもらったんだぜー!」
「サキちゃんって、お前が好きな・・?」
「そーそー!」
自慢げにその花を振り回す彼は、本当に嬉しそうだった。
「この花の花言葉って、『永遠の想い』っていうらしいぜ!」
「『永遠の想い』・・・・」
僕は、無意識に空を見上げた。
 そこから、あの温かい声が聞こえる気がして。

あなたは、誰だっただろう。
僕とあなたには、きっとこの花が似合う。
だって、生まれ変わった今でも、あなたを想ってる。

きっと空の向こう側にいるあなたを、想ってる。

これは消えることの無い、『永遠の想い』___。

Re: ループ【日和】 ※死ネタ注意!! ( No.6 )
日時: 2010/08/04 20:16
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)

   *河と海と

「大王は河みたいですね」
俺は、言われた意味が分からなくて。
「だって、大きくて強くて、無限の可能性があるじゃないですか」
ぽかんとする俺に、君はくすくす笑った。
 無限の可能性・・・・
 それは、君のほうがあるんじゃないかな?
急に変なことを言うから、俺も真面目に返してた。
「じゃあ、鬼男くんは海ね!」
「え、僕?」
「だって、俺より大きくて頼りがいがあって、もっともっと無限でしょ」
あのときは照れ臭くて言えなかったけど、本当はもう1つ理由があったんだよ。
 河は、大きいかもしれない。無限の可能性があるかもしれないけど、最後に河が行き着くのは・・・


           *    *   *

「おっす!」
「うわっ!」
夏休み初日。
僕らは早々と海に来ていた。
「いやー、海はいいなー!」
なんてオッサンくさいこといってる友達に、僕は何気無く聞いていた。
「どこらへんが?」
一瞬、は?って感じの顔をされたけど、友達は海を真っ直ぐに見つめた。
「大きくて広くて、そんで、河の最終地点だから!」
「最終地点?」
「そ。どんな大きな河でも、最終的には海にたどり着くだろ?どこまで行っても、結局は海にたどり着く。だから、海はすげぇなあって、さ」
海を見つめ、やわらかい笑みで彼は言った。
「海にたどり着く・・・か」
なんだろう、河と海・・・とても懐かしい響きだ。
もしかして、前世で何かそれに関係した事があったのかな。
「な、すげぇだろ?海は」
ちょっと興奮気味にまくし立てる彼に、僕は笑った。
「・・・そうだね」

Re: ループ【日和】 ※死ネタ注意!! ( No.7 )
日時: 2010/09/01 17:43
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: tXtJgBFl)

   *夢

 俺は、君に逢いたいと、ずっと思ってる。
だけど、思えば思うほど君は遠くへ行ってしまう気がして、二度と会えなくなってしまう気がして・・・怖かった。
 だから、少しでも君の事を考えないように、大嫌いな仕事にも熱心に打ち込んだ。

 仕事をしながら、俺は絶対に考えてはいけない事を考えてしまったんだ。
 君に逢いたいあまり。

 君が死んだら、もしかしてもう一度____


           *    *    *

 登校中、校門の前で
 「おーい」
遠くから呼びかける友達の声に、僕は何気無く振り返った。
・・・瞬間、ひどいめまいがした。目の前が真っ暗になる。何も聞こえない。体に力が、入らない・・・。

それは、なんとか意識がある状態で。
 ふらつきながらもしゃがみこんだ僕を不審に思ったのか、友達は慌ててかけよってきた。
ぼやける視界の中、友達の口がもごもごと動いていたのは分かった。
 ・・・でも、聞こえない。
「おま_、ね_____か?」
微かに聞こえた、声。
でも、頭がガンガンする。辛い。
 僕は、友達に運ばれながらやっとの思いで保健室にたどり着いた。
 ベッドに横になってすぐ、僕は眠りに落ちた。

 
 もしかしたら、疲れが溜まっていたのか。
 それとも、昨日も今日も暑いから熱中症にでもなってしまったのか。

 どちらにせよ、僕はきっと今、夢のなかだ。
夢を見ているときに、それが夢だ、とはっきり分かったのは今回が初めてだった。こんな経験は、今まで一度もない。

 ここは、何処なんだろう。
雲の上に浮かぶ建物。ずらりと行列が出来ていて。
僕は行列をたどって入り口へ向かう。みんなには僕の姿が見えないのだろうか、誰も何も言わない。
 それをいい事に、僕は割り込んで建物の中に入ってみた。
「はい、あなたいい人!天国。」
「次の人ー、あ、あなたも天国だよ」
黒い服を身にまとい、大きめの帽子を被っている人が、どんと真ん中の椅子に座り、その横に、緑っぽいいろの服を着た、鬼の角を生やした青年が立っていた。


 あれは_____僕?

Re: ループ【日和】 ※死ネタ注意!! ( No.8 )
日時: 2010/09/17 20:22
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: ObYAgmLo)

   *記憶
 
なんだか、悲しかった。
嫌な予感がした。

でも、少しだけ、いや、本当は凄く、嬉しかった。
君は、そこにいるんでしょ?
 俺には分かる。

仕事をしながら、俺は鬼男くんの気配を感じた。
 そこに、いるのは鬼男くんでしょ?
気配でもいい、側にいて____。

           *    *    *

 あれは____僕?

どうしてそんなとこにいるのか、とか、なんでそんなことしてるの、とか、いろいろ気になったけど、それより気になる事があった。

 椅子にどっしりと座って、天国、地獄、と言っている男性だ。
正面から見て、右が天国。左は地獄らしい。

 僕はしばらく、繰り返される死後の世界の割り振りを見ていた。
「鬼男くん、これさぁ・・」
「それはこっちでしょ!ほんっとバカですね」
「ひどい!鬼男くん、ひどい!」

お・・にお・・?

それは、確かに聞き覚えのある、懐かしく温かい名前だった。

僕の、前世だ___。
それを理解するのに、時間はかからなかった。

僕は、こんなところでこんなことしてたんだ。
「大王、ちょっと!」
「え・・」

大王?この人・・・

不意に、自分の鼓動が大きくなったように感じた。

甦る、前世の記憶。
そうか、僕は_____

そこで、僕の意識は途切れた。

Re: ループ【日和】 ※死ネタ注意!! ( No.9 )
日時: 2010/09/28 16:35
名前: ゆん ◆dRWN/0OSEs (ID: ObYAgmLo)

   *動き出す運命

 鬼男くんの気配が消えても、俺は嬉しかった。
もうすぐ、彼に会える気がした。
 面と向かって、話をすることもできる気がする。

 あの、別れの日からどれくらいたったんだろう?
気が付けば俺は、いつも鬼男くんのことばかり考えていた。
 いつもそばにいて、うっとおしいと感じるくらいいっしょだった君は、自ら居なくなって、その存在の大切さを俺に教えてくれた。
 「鬼男くん、俺は待ってるよ」
たとえ、あと何十年、何百年と逢えなくとも。

          *    *    *

「おい、大丈夫か?」
目が覚めると、目の前には友達の顔があった。
「・・ん」
「よかったー!ちょっと先生呼んでくる」
視界に入るのは、真っ白な天井と、風でなびく薄い肌色のカーテン。
 学校の保健室・・・ではないようだ。
「病院?」

 そうだ・・・
冷静さをとりもどした僕は、今朝のことを思い出した。
 苦しくなって、倒れて、前世の夢を見て・・・。

「目が覚めたみたいだね」
そんな事を考えていたら、突然ドアの方から声がした。優しそうな、女性の声だ。
「今、学校に連絡入れるから。しばらく寝てても大丈夫よ」



 結局、なんやかんやで僕は家に着いた。
1人暮らしの僕は、先生に車で送ってきてもらった。
「はぁ、疲れた」
 
 家に着くと、物凄い疲労感が襲ってきて、すぐに眠りに付いた。
 翌朝、目が覚めて僕は嬉しかった。
いい夢を見た気がするけど、なんだかよく思い出せない。
 誰かが、僕の事を待っていてくれる夢だったような・・・。

 前世の記憶が戻ったとはいえ、それはほんの一握り。まだまだ思い出せない。

 僕が死んだら、全部思い出せるのかな?なんて思ったりもした。
 でも、そのなんとなく考えた事が本当だって、もうすぐ僕は身をもって体験する事になる。


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