二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- [銀魂] |_ くるりくるり。|一旦ロック!
- 日時: 2011/10/06 16:12
- 名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: cebg9jtM)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=17149
眼を閉じれば確かに、 (貴方がいたのに)
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○●重要なお知らせ>>134
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銀魂の小説書きます、はい2作目です。一作目とちょっち繋がっております((
では以下の注意書きをよく読んで、おkな方のみスクロールしていって下さい。
△!注意!△
・荒らしは戻るボタンを全力で連打しよう
・キャラの過去は捏造滅多
・主人公は作者のオリキャラ
[一作目] *参照から飛べます
【銀魂】銀ノ鬼ハ空ヲ仰グ
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>>07 キャラ紹介
>>30 イメソン ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」
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■□本編
>>03 ハジマリノウタ
第一章 —廻る廻る、—>>104
第二章 —ふわりふわり—>>128
第三章 —綺羅り綺羅り—
>>130 はじまりの朝
>>131 それ、取り扱い注意品です
>>132 馬鹿と阿呆の二重奏
>>133 ゆらゆらゆらゆら、星海月
■□頂き物
>>14 不知火凪/緩月様
■□お客様
葵様 月兎様 瑞乃(瑞沙)様 空梨逢様 リリ様 神月+月希夜様 紫陽花様 葵様 燕様 桃花様
2010,11,13
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- Re: [銀魂] |_ くるりくるり。| 第二章完結 ( No.130 )
- 日時: 2011/07/26 10:27
- 名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: q4MzvCIN)
第十二話 はじまりの朝
目が覚めたときは布団の上だった。
凪は寝転がったまま二、三度瞬きすると、赤い瞳をきょろきょろと動かして辺りを見回した。
ここはどこだろう。
寝ぼけて靄のかかった様な頭でぼんやりと考える。そして一瞬後、物凄い勢いでがばりと起き上がった。それと同時に昨日の出来事が一気に脳裏を駆け巡る。凪はすっくと立ち上がると、白くてふかふかの布団をじっと見つめた。
寝かせて貰ったんだから、布団くらい畳まないと失礼だろう。そう思い、凪は小さな体で布団を畳み部屋の隅に置いた。その時、視界の隅に何か長いものが映り、凪はそちらに視線を移す。部屋の柱に立て掛けてあるそれは、松陽に貰った脇差。凪はとことこと近付くと、それを持って部屋を後にした。
所々破れた後のある襖を開けると、庭に面した縁側に出た。暗いところから明るいところに出た所為か霞む目で空を見上げると、既に太陽は空の高い位置にあった。
初夏の温かな日差しで、今起きたばかりだというのに欠伸が出そうになる。
縁側から見える縁側は、其れほど大きくは無いが良く手入れされていて、家主の性格が現れているようだった。庭の隅にある樹は桜だろうか。若い葉を青々と茂らせて、風にざわざわと揺れている。幹の太い立派な樹だ。その近くでは牡丹が白い花を咲かせていた。
それを見ながら、自分の家にも桜と牡丹の花があったと、ふと思い出す。火事で燃えてしまいはしたが、美しい花を咲かせた姿は今でも鮮明に思い出すことが出来る。
そんな事を考えている内、何時の間にか昨日教えられた居間の前に来ていた。開け放たれた襖から顔だけを覗かせて、そっと中を見てみるが、ちゃぶ台が一つあるだけで他には誰も居ない。中に入っても良いのか考えていると、
「凪?」
後ろから声を掛けられた。
驚いて振り返ってみると、そこにいたのは松陽だった。
「丁度良かった。そろそろ起こしに行こうと思っていたんですよ」
松陽はそう言って凪の頭をぽんぽんと軽く叩くと、朝餉の用意をしますからね、と言って台所へ消えた。残された凪は、小さな子供の様に扱われて(実際子供なのだが)、少しだけ頬を膨らませた。
「凪。凪は剣術に興味はありますか?」
松陽がわざわざ暖めなおしてくれたみそ汁を食べているときだった、休にそんな事を聞かれたのは。
御碗をちゃぶ台に戻してから見てみると、松陽はさも楽しそうににこにこと笑っている。凪は剣術、と呟いて考えた。
生前、凪の父は幕府の人間——いわゆる幕臣で、確か「ほくしんいっとうりゅう」だとか言う流派の「めんきょかいでん」だった。まだ両親健在の頃は何度か竹刀を持たされ、足の運び方やら竹刀の持ち方やら教えられたが、もう三、四年前の事だから覚えていない。
「実は今、道場の方で剣術の稽古をしているんです。凪もやってみませんか?」
「でも私、どうやったらいいか覚えてないよ」
正直にそう答えると、松陽は大丈夫です、と言って優しく笑った。
「全くの素人から始めた子も沢山いるんですよ。それに」
「それに?」
凪は白飯を口に運びながら松陽に訊いた。久しぶりに食べる真っ白なご飯が美味しくて、正直松陽の話よりもそちらに意識が向かってしまう。
「道場には銀時や小太郎、晋助もいます」
ぴた、と凪の箸を持つ手の動きが止まった。
心の内で銀時、晋助、小太郎と名前を繰り返す。脳裏に浮ぶのは昨晩の出来事。
「どうしますか?」
松陽がもう一度、凪に訊いた。
どうしても行きたい、わけでもなかった。どうしても行きたくない、わけでもなかった。
凪は顔を上げると、真っ直ぐ松陽を見つめる。
「行って……みる」
凪の答えを聞いてなのか、それともあの三人に接触するであろうほんの少し先の未来を見据えてなのか、松陽はにこりと笑った。
- Re: [銀魂] |_ くるりくるり。| 第三章開始 ( No.131 )
- 日時: 2011/08/07 12:57
- 名前: 李逗 ◆8JInDfkKEU (ID: r9bFnsPr)
第十三話 それ、取り扱い注意品です。
道場は松陽の私塾を伴う家と同じ敷地内にあった。
それ程大きくは無い道場の中へ松陽の後ろについて入ると、ぱっと中に居た子ども達の視線が集まり、凪は思わず背筋を伸ばしてしまう。その子ども達の中には銀時、晋助、小太郎の姿もあった。
そんな風に凪を見つめる子ども達に、松陽が「集中しなさい」と言うと、皆慌てて素振りを再会する。
「凪」
道場の隅で松陽に袴を履かせられ、どこから持ってきたのか古い胴を着けさせられた。
初めて着ける、剣道用の胴。黒光りするそれを凪はしげしげと見つめる。初めてだからというのもあるだろうが、重い。よくこんな物を着けて竹刀を振れるものだと正直に思った。
「凪、こちらへ」
松陽に呼ばれて素振りをする子ども達の隣に並ぶと、松陽は凪に竹刀の持ち方やら足の運び方やら教えてくれた。
振ってみなさい、と言われて思い切り振り下ろした竹刀の空を裂く音が、なんとも心地良い。真剣を振った時とはまた違う音だ。それに軽くて振りやすく、凪は夢中になって素振りを繰り返した。
「凪は飲み込みが早いですねぇ。上手ですよ」
私が止め、と言うまで続けてくださいと言って凪の頭を軽く叩くと、松陽は凪のもとを離れて道場内を歩き回り始めた。
凪は軽く叩かれた頭がなんだかくすぐったくて、それを気にしないためにまたびゅん、と竹刀を振った。
そうして暫く経った頃、松陽が止め、と休憩の合図を出した。
ずっと素振りをしていたものだから、皆が皆汗だくだ。凪もその例外では無く、松陽に渡された手拭いに顔を埋めた。
「凪、楽しいですか?」
ふいに聞かれ、凪はぱっと顔を上げる。
「うん、楽しい!」
それを聞き、松陽の頬が緩み、唇が三日月形の弧を描いた。恐らく自分も笑っていた——と、思う。
「それは良かった」
凪はそれにうん、と頷くと、じっと手元の竹刀を見つめた。
これなら幾ら振り回しても誰にも何も言われないのだ。石を投げられもしないし鬼とか言われて罵られもしない。勿論追いかけられもしない。竹でできたなまくらを幾ら振り回したって(それが道場内であるならば)誰かが文句を言う権利は生まれないのだ。
その事実に気付いた凪は、にたりと頬を緩ませた。
「では、今から仕合をはじめます」
松陽の言葉に、子ども達からわぁっという歓声が上がった。
なんじゃそりゃと困惑する凪をよそに、松陽は次々と組み合わせを言っていく。その何番目かに晋助と小太郎の名前も挙がった。名前を呼ばれた二人はざっと立ち上がり、お互い近付いてメンチを切りあっている。
あの二人と銀時は実力が互角で勝ったり負けたり繰り返していると、隣にいた凪より一つ二つ年上の少年が教えてくれた。
「では銀時は——、」
「せんせー」
言いかけた松陽を遮ったのは、当の本人である銀時だった。
相も変らぬ気だるそうな死んだ魚の眼で松陽を見上げている。
「俺、あいつとやりてェ」
銀時の指先は、真っ直ぐに凪を捉えていた。そりゃもう寸分の狂いも無く。
「……は、」
驚いて素っ頓狂な声を上げた凪を見て、銀時はしたり顔でにたぁと口角を上げる。見た人をいらつかせる銀時独特の笑い方だ。
人を小馬鹿にしているようなその顔を見て、凪は眉間に皺を寄せた。なんだこいつ。
「凪、どうしますか?」
「やだ!!」
即効で拒否した凪を見て、松陽は苦笑いを浮かべる。
負けるからとかそんな事では無く、ただ面倒臭かった。勝とうが負けようがこの男、何かしら文句を言ってくるに決まってる。
やってみたらいいのに、という松陽の言葉にも頑として首を縦には振らないでいると、ふいに銀時が近付いてきた。あのしたり顔のまま。
「なぁ、お前俺に負けたら恥ずかしいからやりたくねェンだろ」
「……な」
にたにたと笑う銀時に対する苛立ちが募って、凪は思わず前に身を乗り出した。
あぁまた銀時の弄り癖が出たと呆れ顔の晋助と小太郎を尻目に、銀時はさも愉快そうに続ける。
「お前が俺に勝てるわきゃねーもんなぁ、可愛い可愛い凪ちゃんよォ」
ブツリと。
その微かな音はその場に居合わせた全員に聞こえた。
そして、
「こンの白髪ァ、私がいつお前に負けるって言ったよ。上等、その腑抜けたツラ二度と見られないようにしてやらァ」
どんと足を踏み鳴らし、下から見上げる形で凪は銀時を睨み付けた。
「やれるもんならやってみやがれ」
ばちばちと睨み合う二人を、松陽は止めようともせずに笑って見ていた。
- Re: [銀魂] |_ くるりくるり。| ( No.132 )
- 日時: 2011/08/20 14:16
- 名前: 李逗 ◆8JInDfkKEU (ID: r9bFnsPr)
第十四話 馬鹿と阿呆の二重奏
道場の中央で、凪と銀時は対峙していた。
二人を取り囲むように周りには大勢の塾生達。その中には勿論晋助や小太郎もいる。
「仕合は一本勝負。胴、小手、面のうちどれか一本取った方の勝ちです」
凪、銀時の真ん中で静かに松陽が告げ、二人はお互い頭を下げる。本当は銀時に対して頭を下げるなどくそ食らえだが、それは向こうも一緒だろう。礼をしたあと座り、剣先を近づける。
松陽の初め、の合図がかかったとたん、二人はほぼ同時に立ち上がった。
凪は立ち上がった瞬間竹刀を振り上げ、銀時の頭目掛けて振り下ろす。ところが銀時がひょいと左に避けたために、凪の竹刀は床に直撃してしまった。手に衝撃が来てびりびりする。
「うおらぁあッ!!」
凪の動きが止まった瞬間、銀時が凪の胴を狙って竹刀を振ってきた。慌てて後ろに飛びのき、銀時が竹刀を振り切った瞬間を狙って前に踏み出す。
「銀時と張ってやがる」
独り言の様に呟いた晋助の声は、勿論ふたりには聞こえない。
再び面を狙った竹刀は銀時の竹刀に塞がれ、つばぜり合いになった。歯を食い縛って押し合いをするものの、銀時は男。子供同士であってもやはり力の差があって、次第に凪が押さえ込まれる形になっていく。
その時、ふっと銀時の竹刀の力が緩まった。
そのせいで凪の腕が伸びてしまい、それを狙って銀時が胴を打ち込む。竹刀で抑える事も逃げる事も間に合わないと判断した凪は、思わずその場にしゃがみ込んだ。凪の頭上を銀時の竹刀がかすめ、今度は凪が銀時の胴を狙い竹刀を打ち込もうとした。
その瞬間。
頭に衝撃が来て、ぱぁんと言う軽い音が響いた。
直後に道場内にわぁ、と歓声が上がる。
「面あり、一本」
松陽の声が凛と響く。凪は立ち上がると中央に戻り、互いに礼をした。
「っぁぁああ゛っ!!」
頭を上げた直後凪はその場に座り込み、防具を外して叫んだ。
悔しい。
あと少しだけ早く竹刀を打ち込んでいれば、勝ったのは自分だったかもしれないのに。
今迄同い年位の子どもにも、大人にも負けた事はなかったのに。
座ったままその場を離れようとしない凪に、松陽は何も言わない。凪も何も言って欲しくなかった。
歯を食い縛っていないと涙が出そうになる。凪は生来あまり泣かない性格だった。何だかそれも腹立たしくて顔を上げられない。
「おい」
ふいに銀時が声をかけてきた。
でかい口叩いて負けてんじゃねーかとでも言うつもりなのかと、思わず睨んでしまう。
「明日もまたやろーぜ、凪」
「……ぇ」
初めて“あいつ”でも“お前”でも無く“凪”と呼ばれた。
驚く凪に、銀時はンだよ見てんじゃねーよと悪態をつく。
「おい銀時、明日は俺が凪と仕合すんだよ」
後ろから乱入してきた声の主に、凪は思わず振り返った。そこに居たのは晋助と小太郎で。まだ驚いたままの頭で、ああ次はこの二人が仕合するんだと考える。
「シャシャってんじゃねーよチビ杉」
「何だと、後少しで負けてた癖に」
銀時と晋助の間に、一触即発の険悪な雰囲気が流れる。直後、二人は互いの胸ぐらを掴んで睨みあっていた。
「凪、お主練習すれば銀時など簡単に倒せるようになるぞ!」
「……まじでか」
「今ものっそいムカつく台詞聞こえたんだけども!!」
どうしたらいいのか対応に困る塾生達を見てか、松陽はようやく四人に静止の声を掛けた。座り込んでいた凪に手を貸し立たせると、銀時と二人隅に避けるよう促す。
「凪、どうでしたか?」
ふいに訊かれて、凪は松陽を見上げる。柔らかな笑顔がそこにはあった。
「————楽しかった」
その答えを聞いて、松陽は満足したように大きく頷いた。
戻りなさい、と背中を押され、凪はそこをどく。道場の隅に戻ると、銀時が死んだ眼でこちらを見ていた。ふたつの赤い眼がかち合う。
「……次は」
凪はにたりと口の端に笑みをうかべた。
「次は、私が勝つから。——銀時」
「てめーが俺に勝とうなんざ兆年早ェんだよ」
翌日の再戦では、凪が押しはしたものの銀時が勝ったという。
- Re: [銀魂] |_ くるりくるり。| ( No.133 )
- 日時: 2011/09/25 13:23
- 名前: 李逗 ◆hrygmIH/Ao (ID: cebg9jtM)
第十五話 ゆらゆらゆらゆら、星海月
「それなに、晋助」
「……花火」
————
みーんみーんと、忙しく蝉が鳴く。どこかではヒグラシの鳴き声も聞こえてきた。季節は夏。西の空をくれないに染めながら日が落ちようとしている。
「ぎんときー、先生は?」
「何か用事があるから出かけるっつってた」
銀時の答えを聞いて、凪はそっか、と言った後に頬を膨らませた。銀時は卓袱台の上に置かれている饅頭に手を伸ばしながら、更に続ける。
「先生、帰ってくるの遅くなるぜ」
「っえーっ!!」
あからさまにがっかりした様な声を上げると、凪は不機嫌な顔をしてその場にすとんと腰を下ろした。
何故か、というと。
(今日は花火しようって言ってたのに)
それは松陽に連れられて、晋助、小太郎も共だって山一つ越えた町へ出かけたときの事。
その町はこのあたりでは一番の賑わいを見せている町で、凪たちも見たことのない様な品物も沢山並んでいた。その中で、凪達は見つけたのである。初めて見る、手持ち花火なるものを。
買ってくれと松陽に頼んだが、その日は既に用事を済ませて金も使ってしまっていたので、それは果たされなかった。
「あさっても私はこの町に来る予定があるので、その時に買ってきますね」
松陽がそう約束してくれたので、その日は泣く泣く家路に着いたのだ。
そして今日が約束の日。なのに勧進の松陽はまだ帰ってこないと言う。もうすぐ日も暮れてしまうというのに。
「晋助も小太郎ももう来るよ」
「いんじゃね別に。つかあいつら来るのやだよ俺」
気だるげな銀時の言葉に更に頬を膨らませると、それを見た銀時が行き成り吹き出した。
「お前それタコみてぇ!!」
げらげらとそう言って笑い転げる銀時。よくもまぁ飽きもせずにぎゃははと凪を指差すそいつを見て、ぶつりと凪の頭の中の何かが切れた。
—————
「貴様ら、何をしておるっ!」
ふいに聞こえた、耳慣れた声。
ぎゃあぎゃあと取っ組み合いの喧嘩をしていた二人は、お互いの顔やら髪やら腕やらを掴んでいた手を離した。顔を上げた二人の視界に映ったは、鬱陶しい長髪。
「「ヅラ」」
「ヅラじゃない桂だっ、貴様ら何を二人して暴れている。部屋がぐちゃぐちゃではないか! それに煩いぞ!」
「てめェが一番煩ェんだよヅラ」
喧嘩しているうちに縁側近くまで転がってきていたらしい二人を見下ろしていたのは、晋助と小太郎だった。夢中になっていたから気付かなかったが、すでに日は上部を残して完全に没していた。西の空は端だけまだ橙色をしている。見上げた空には星。どうやら今日は新月らしい。
「玄関から呼んでも返事がないから来てみれば……。松陽先生はどうしたのだ?」
「朝から出かけて、まだ帰ってきてない」
凪が答えると、小太郎はそうかと言ってちらりと晋助を見た。
それに釣られて見やれば、晋助の右の手には紙袋。
「それなに、晋助」
「……花火」
花火、という単語のところで、ぱっと凪と銀時の顔が輝いた。なんやかんやで——興味の無いそぶりをしていた銀時も、本当は手持ち花火をやってみたかったらしい。つくづく正直でない。
「何で花火なんかてめーが持ってんだ、高杉」
「家に来た客が持ってきた」
高杉の家はこの辺りでも有名な大地主で、所謂ボンボンである。珍しい品を手土産に持ってくる客も少なくない。
凪と銀時は縁側の下においている草履を突っ掛けて、ひょいと地面に飛び降りた。
「早くやろうよ、花火!」
凪の言葉に晋助は頷くと、花火の入っていた袋を開け、家から持ってきたらしい蝋燭に火を点けた。
一瞬の後、星空の下で子ども達の歓声が上がる。滝の流れ落ちるにも似た、花火の音と噴き出す光。
村塾脇の道を歩いて、遠くはなれた町から帰ってきていた松陽は、四人の声を聞いて少し微笑んだ。
お題提供:ひふみ。様
- Re: [銀魂] |_ くるりくるり。| ( No.134 )
- 日時: 2011/10/06 16:10
- 名前: 李逗 ◆8JInDfkKEU (ID: cebg9jtM)
- 参照: 青エクに嵌ってしまった。 あ、お久しぶりの李逗です
ええと、お話の流れがぐだぐだになってしまい、もう一度話を練り直したいので。
一旦ロックします!
それにこれからさき更新回数も減りますので、もう一個の小説を中心に進めていきたいなぁと思いまして。
受験が終わって、もう一つのものも区切りがついたら再開します。
読んで頂いた皆様、ありがとうございました。
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