二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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目安ボックス・・いやめだか箱
日時: 2012/02/04 15:48
名前: 栖樺 啼 (ID: ZEjsU2TR)


めだかボックスでいうところの
才能、つまりは 能力 スキル の究極でも探そうとか思って、
とりあえず試してみる、ぐらいの感じで書きたいなと・・。

勝手な内容にも程があり
創作の内容すら変ですが

確かなのは
話が荒唐無稽で支離滅裂の非散惨状となっています。
話に飽きてしまえば、不都合が悪く中味も中味も変わりますが

とりあえず、見ていただければ公営、いや光栄なのです。

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最終章 第11箱ー出ておいでー ( No.70 )
日時: 2013/01/05 11:39
名前: 栖樺 啼 (ID: 16/cv9YI)


『・・・・。来ないね。』
「あぁ・・・。来ないな。」
「えっ!10時とっくに過ぎてるよ!?」
「安心院さんほどフリーダムな人外もいないでしょうね。」
球磨川禊、名瀬夭歌、古賀いたみ、追子森鵆が4人そろって廊下でお喋りの真っ最中。
いっこうに安心院なじみらが出てくる気配はないようだった。
「おい、球磨川。ホントに10時なんだろうな?
 間違ってたとか言うなよ。ホントは夜だったとかー・・。」
『んん?間違っちゃったかなぁ?おっかしいな?
 10時だと思うんだけれど、10日後とか10年後だったとか?』
「それはもう、間違いってレベルではないんじゃないの?」
古賀が呆れて突っ込む。
球磨川は少し笑ってから。
『まぁ、まぁ失敗は誰にでもあることさ。しょうがないよね。』
「お前が言うと異常に腹が立つんだが・・。癪に障るぜ。」
はたからみれば楽しそうに雑談しているようにしか見えない。
実際廊下には4人だけで教室からは何の音も聞こえない。
しびれを切らしたように名瀬か鵆に聞く。
「なぁ、お前も一応【悪平等】なんだろ?
 安心院さんと連絡とれたりしねーのかよ。」
「・・・あくまで端末の末端ですからねぇ。
 ちょっとボクにはどうにもできないですよ。せいぜい・・・。」
『まぁいいや。』
鵆の言葉を遮って球磨川禊は廊下を歩きだす。
「おい、何処いくんだよ。ここで待ち合わせ? なんだろ?」
『んー、ボクは遅れてきた人を何分も待っているのは
 どうにも好きじゃあなくってね。うん。そういうこと。
 まぁ、人を待たせるのは大好きだしたまらないんだけれど。』
「最低だね・・・。」
スタスタと廊下の角までさしかかる。
くるっと振りかえり。
『それじゃあ、みんなはココでじっくり待つといいよ。
 僕には他にもやらなくちゃいけないことがあるからね。』
誰にも突っ込める隙を与えず、球磨川禊は元に戻って歩き始める、否、歩き始めようとした。そして、

「おいおい、つれないこと言うもんじゃあないよ。
 僕は君のことなら何億年だろうと待ってやれるのにさ。ひどいな。」

『っ!・・・。なんだよ。気にしてたのかい。意外と安心院さんも普通だね。』
「ははは、おかしなことを言うね、僕には普通も何もないさ。」
平然と会話を交わす二人に三人は対応に困る。
突然現れるのはいつものこととしても、いつから会話を?
しかも、何故か袴姿でも、制服でもなく割烹着だった。
お母さんか。
「おい。安心院さんよぉ。なんでここにいるんだよ。
 待ち合わせは教室前だってオレ達は球磨川から聞いたんだけど。」
「あってるよ。合ってるさ。
 僕はただこの男が、待ち合わせに遅れた女子を待ってやれないこの男が、腹立たしいからここに来ただけさ。」
『いや、悪かったよ。ごめんごめん。』
全くここのにもない謝罪だった。
「安心院さん・・・。」
「あぁ、鵆。ご苦労様。もういいから、戻っておいで。
 君はこの先を『みてはいけないからね。』いいね?」
「はい、ではみなさん。お気をつけて。」
廊下を、何事も無く歩き去った鵆。
もちろん追う者は誰もいない。

「さて、めだかちゃ〜んっ。出っておいで〜。」
『なんでそんなテンションなのさ。今日に限って。』
「疲れてるから、ちょっとおかしくなってるんだろうさ。
 人外だって、時には疲れるよ。そりゃね。」
二人の会話に入って行かず二人は時を待つ。
「ねぇ、名瀬ちゃん。私達ってどんな気持ちでその子を迎えればいいのかな?」
「その子って、恋愛達の併合体のことか?」
「うん。恋愛ちゃんと思って受け入れていいのかな。」
「・・・・。今まで通り。同じ住処に暮らす同居人でいいんじゃねぇか?きっとあいつもそう思ってるだろうしよ。」
「・・・。そうだね。きっとそうだね。」
古賀はほっとしたように教室の扉を見つめた。
ちょうど、その時に都合よく扉は開け放たれたわけで。

「安心院さん・・・・。」
死人のようになった黒神めだかがそこにいた。
もはや立ってはいれず、ほふく前進のようなありさまである。
「お、おぉ・・。思った以上に精魂つきちゃってるなぁ、こりゃ。」
さすがの安心院もドン引いていた。
「はは、なぁに。後何分かすれば元に戻るハズ・・・。」
ふと名瀬と古賀を見ためだか。
その瞬間目に見えて笑顔になった。
「おぉっ二人もいたんですねっ!くじ姉お久しぶりです!
 善吉と上手くやってますか?古賀二年生もすっかり元気になって、
 いやぁ、二人の顔みたら元気になりましたっ!」
「お、おう・・・。」
「う、うん。私も、元気だよー・・。」
さっきまで死んでいたとは思えない元気っぷり。
(さすがは、名瀬ちゃんの妹・・。)
「めだかちゃん。あの子は?」
「えぇ、いますよ。教室の中にいるから。呼べば来るでしょう。」
真面目な顔になって、めだかは言う。
安心院は安心したように。

「じゃあ、出ておいで。」

「・・・・・。」
扉から、人が出てくる。
足が出て、足をそろえて立って。
髪が黒く、毛先は若干灰色と白が混じっている。
そして、ツインテールは、していなかったが、髪の長さは十分にあった。
きょろきょろと辺りを見回して、何やら不安そうに見る。
そして、人数を確認してほっとしたように、少し笑って、
後ろを振り返り・・・。

分裂した。

「「『・・・・・・・えっ。』」」
女の子が、分裂した。
ぐにゃん、と音を立てて。
「「『きもっ!』」」
「おいおい、君達女子に向かってなんてことを言うんだよ。」
「えぇっ・・・スライムじゃねぇんだからよ!」
「ぐにょんって・・。ひどいよ。あぁ、でもちゃんと人の形になってるし・・。」
『なるほど、納得したよ。』
球磨川だけは感慨深く頷く。
そして、
『初めまして。』
『「初めまして。」』
笑って、対面した。
二人、と、1人。
兄、と、妹。
『えぇと・・名前は?』
「あぁ、僕から、説明しよう。」
安心院が少女達の前による。
「分裂した。のは、見ればわかるだろうけれど、中身も違うんだ。
 何人もの人格を詰め込むには体はひとつじゃあ、おかしくなる。」
三人はなるほど、という顔だった。
そして、そんなのありかよ。みたいな顔だった。
「こっちの、毛先が白い方が≪球磨川 禦≫−くまがわ ふさぎー
 だよ。恋愛の人格が強い。ちなみに歳は13歳にしといた。」
「禦です。よろしくお願いします。」
おじぎをした。きれいな、お辞儀をした。
そして、笑った顔は相変わらずそっくりだった。
歳と髪の色を除けば恋愛と変わらなく見える。
「こっちの、括弧をつけて喋る、髪に灰色が混じった方が
 ≪球磨川 穢≫ーくまがわ あいー けがれ、と書いて。【穢】だ。
 禊、とセットにして考えた結果だよ。歳は同じく13歳だ。」
『うん。その通り。なーさんの言うとおり。
 僕が球磨川 穢だよっ!汚れてるわけじゃあないからね。』
「よろしくな。」
「よろしくね、二人とも。」
『うん。よろしく。』
三人が手を差し出す。
ふたりは、顔を見合わせて・・・

合体、した。

ぶにょん、
にぶい音とともに、少女が、穢と禦が合体し、ひとつになった。
最初に見た姿となり・・・。
「これが、特別形態の≪球磨川 楔≫ーくまがわ くさびー
 意味は特にないよ。ただ字体が似てるから名づけてみた。
 全部を合わせた恐るべき人格だ。13歳だよ。高校生だけどね。」
「これが、新しい、僕達です。
 球磨川禊の妹です。この、全てが、僕です。」
少女は微笑んだ。
嬉しそうに微笑した。
差し出された手に抱擁で返した。
つまりは、三人に抱きついた。
「ごめんなさいっ!」


ちょーっとわかりづらいので、説明いたしますと。
恋愛⇒球磨川 禦
訃隙・訃音⇒球磨川 穢
全員⇒球磨川 楔 
という感じで別れています。
わかりやすいように穢は括弧をつけさせてもらいます。
戦闘能力の差は特にありませんが、楔が一番怖いでしょうね。
詳しい説明の方は、3月が過ぎてからの
≪めだか箱 第弐号≫にて行いますので、よろしくお願いします。
3月までは、ちょくちょくキャラ説明や、
ドリームマッチを書いていきたいと思います。
例えば、宗像先輩と球磨川訃音を戦わせるとか・・。
ただ、栖樺がやりたいだけですが、よろしくお願いします。
ありがとうございました。まだ終わってないですが。
最終章もあと数話で終わります。    
                    栖樺 啼

最終章 第12箱ーすげぇ気持ち悪いことー ( No.71 )
日時: 2013/01/23 17:00
名前: 栖樺 啼 (ID: jv9VjO.m)


「おいおい、ごめんなさいってことは、ねーだろ。」
「そうだよ。恋、じゃなかった。えぇと。楔ちゃん。」
名瀬と古賀が同時に言った。
楔は不安そうな顔をする。
『僕は逆に羨ましいくらいだぜ。分裂とか超やってみたよ。
 分身の術とかやりたいもん。楽したい。』
球磨川禊も場違いな雰囲気で続く。
楔は少し視線を落とす。俯いたまま黙っている。
様子から見るに、どうやら唇を噛んでいるらしかった。
「・・・・・。」
「えっと・・・。」
安心院が見かねたように言う。
「まったく、やれやれ。ようやくまともに人間になれたってのに、
 何をしんみりしてるんだか、楔ちゃん。君は言いたいことがあるだろう?」
「安心院さん、それを球磨川同級生に言わせるのはいささか情に
 欠けているのではないか?心の準備というものがあるであろう。」
めだかの言葉に楔は首を振る。
自分の口から言う、と視線で示す。
そして、顔を上げて一つ一つ、区切りをつけて、話始めた。

「まず、年齢のことですが・・、11歳では精神的にも幼すぎるため、
 人格をいくつかもっても無事なように、13歳になったんです。
「能力とかは、変わってませんよ。基本設定も変わりません。
 私、は。それに分裂するようには私から頼んだんです。
 そのほうが、私が潰れる可能性は、分散されるからです。」
一息ついて、安心院とめだかの方を向く。
名瀬、古賀、球磨川禊とは反対方向にいる。
ふたりとも頷きながら、楔の話を聞いていた。
「めだかさんと、安心院さんはココロ良く受けてくれました。
 安心院さんは、初めからそのつもりだったみたいですけど。」
「ちょっと、ストップ。」
名瀬が、手を挙げて楔の話を遮る。
楔が喋るように促すと名瀬は質問した。
「分裂、っていうけどよ。それってつまりは『分裂できる』っていう
 ≪スキル≫を身に付けたことになんのか?」
「・・・。名瀬さんの言うことはほとんど正解ですがちょっと違います
 私は確かに分裂します。分散します。拡散します。ですが。」

「それは、私、『球磨川楔』が分裂しているわけではありません。
 他の【私】が、〈出てくる〉だけです。」

「?わかんねーな。」
「名瀬ちゃん・・。私ギブアップ・・。」
「おう、休んどけ。」
古賀は座りこむ。
めだかが古賀に近づく。耳打ちしている。
わかりやすく、解説しているつもりらしい。
余計古賀は首を傾げていた。
『〈出てくる〉っていうのは?』
かまわず、球磨川が質問する。
楔は顔色を変えずに答える。
11歳の時よりもずっと大人になったように感じた。
「つまり、球磨川楔という私が分裂して、
 『球磨川 禦』や『球磨川 穢』ができているわけではなく、
 むしを逆に、二人の【私】が出てくるせいで、私自身が
 分裂しなくてはいけないのです。」
「つまり、お前の性格やらなにやらが、分離して
 その【私】ってのに分裂するとかではねーわけか。」
名瀬が頷く。
球磨川も頷く。
めだかは首を傾げる(理解していなかったらしい)。
安心院が言う。
「ようは、【悪平等】ならぬ、【全平等】さ。
 僕はたくさんの【悪平等】をこの世界に生んだわけだが、
 楔にはそこまではできないからね。いくら≪最強のスキル≫だろうと
 一京のスキルを使い分ける僕とじゃあ、使い方が違うし、
 範囲も違う。だから、バラバラに生むのではなく、わかりやすく
 僕と【悪平等】で例えるならば・・・・。」
二人が説明についてきていることを確認し、
安心院は告げる。

「僕を【悪平等】を一つの『安心院なじみ』という体に詰め込む。
 ということと、ほぼ等しいと言っていいだろうね。」

「っ!そいつぁ、すげぇ気持ち悪いことになるな。」
「まぁ、さすがに七億人も創ってないとはいえ、
 僕は球磨川恋愛や訃隙を含め、かなりの数の【全平等】を
 創って、ためこませていたからねぇ・・・。」
『それって、つまりは・・。』
球磨川は楔を見る。
気付けば楔のとなりには見慣れた少女がそこにいた。
ランドセルを背負って、黒い髪のツインテールを揺らしながら。
ツインテールはリボンと螺子で止めてあった。
「こういうことになります。」
楔は少女を促した。
すると、少女はおじぎをする。楔よりももっと綺麗な
見慣れてしまったおじぎと笑顔だった。

「お久しぶりです。球磨川恋愛です。お兄ちゃん。
 11歳だよ。ちょっと小さくてごめんね。」

『恋愛ちゃん・・・?』

融合されたハズの少女の1人がそこにいて、笑っていた。
変わらない、何も変わらない姿で笑っていた。
球磨川禊によく似た。凄惨な過去を持つあの少女が。
楔と比べると、前よりずっと小さく見えた。


次回、に引き続きます。
 

最終章十三箱ー中途半端ですけれどー【終】 ( No.72 )
日時: 2013/01/23 17:53
名前: 栖樺 啼 (ID: jv9VjO.m)


『恋愛ちゃん、は一つになったんじゃ・・。』
「?わかってなかったんですか。お兄ちゃん。
 楔さんが言おうとしたでしょ?ね?」
無邪気に楔をみる恋愛。
融合される前よりも幼く感じるのは楔のせいだろうか。
「はい。私は安心院さん風に言うのなら【全平等】は
 全ての【私】を出せます。恋愛だろうと訃隙だろうと、
 訃音だろうと、舞愛だろうと礫だろうと、御樺だろうと・・。」
「何人いるか、キリがないからそのへんでいいだろう。
 つまりは、分裂する僕みたいなことさ。」
安心院が楔を遮る。
楔は若干不満そうだった。
「出る、出ないは【私】の自由なんです。」
と、恋愛が言う。ツインテールを揺らす。
「はい。私は分裂するだけですから。いつでも。
 ですが、私が必要だと思えば、私から【私】を呼ぶこともできます。」
『すごい、仕掛けになったもんだぜ。僕の妹達は。』
球磨川禊は嬉しそうに言う。
妹がかなりの数に増えてご満悦である。
「妹、ですから。お兄ちゃんよりは歳上はいませんよ。」
『え、じゃあ、年下限定なの・・。そっか・・。』
残念そうだった。
楔はあわてて付け加える。
「い、いえ。創ろうとすれば、できますよ。ご希望とあれば。」
『い、いや・・。いいよ。気持ちが嬉しいよ。ありがとう。』

「兄妹の感動の再会もいいけどよぉ。
 オレとしてはもうちょい話を続けたいんだが・・。」
『あぁ、いいよ。そこまで言うのなら君に譲ってあげるよ。
 しょうがないなぁ、名瀬さんは。唯我独尊だよねぇ。ホント。』
「こいつが、四文字熟語使うといらっとくるのはオレだけか?」
そこには全員頷いた。
球磨川恋愛はそこで【私】の中に戻って行った。

「つまりは、その【全平等】なお前らは、
 『球磨川禊の妹が全員詰まってる』わけで、いいんだな?」
(改めて口にするとなんてばかばかしい連中だ・・。)
楔は頷く。
「そうですね。」
「それはそれは、すげーことだな。オレは何も関われなかったけどよぉ
 オレにだって一言くらいかけてくれてもよくねーか?」
「す、すみません。あの時は精神状態がやばかったので・・。」
取り乱していた球磨川恋愛は名瀬も他のみんなも見ていた。
あの状況を見られてからは、名瀬に他の頼みづらいものもきっとあった
と思った。
(だから、オレの妹様と安心院さんなわけか・・。)
若干の悔しさを感じながら名瀬は納得した。
「スキルでもマイナスでもなく、お前らはただの【全平等】か。」
「なんだか、中途半端ですけれどね。」
年相応の笑顔で楔は苦笑いをした。
名瀬も久々に笑った。

「難しい話終わった??」
古賀が口を開く。
めだかは解説に疲れたらしくぐったりしていた。
「あぁ、おわったよ。納得したぜ。こいつらのこと。」
「うん。私もなんとなくわかったよっ!」
めだかの苦労は報われたらしい。
「さて、しめに入ろうか。」
安心院が不敵な笑みを浮かべた。球磨川禊もそれに続く。

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「短い間だったけれど、楽しかったよな。恋愛との日常も。」
「ちょうど、良かったんじゃないかな?黒神も生徒会長をやめて、
 名瀬ちゃんが副会長になって、人吉は会長でさ。
 他の役員は部活にもどったんだっけ?」
「あぁ、そうだよな。」
名瀬と古賀が話す。二人は旧校舎へ帰るところだった。
そして、二人を追う人影がふたつ。
球磨川楔と追子森鵆だった。
「そっか。【全平等】ね。上手いこというね。僕も。」
「そうだね。鵆くん。御苦労さま。よろしくね。」
「僕はもう、学園を出るよ。〈あいつ〉も出るみたいだし。」
「〈あいつ〉?」
楔は鵆を振り返る。
首を傾げると鵆は溜息をつく。ずいぶんと表情が豊かになった。
「うん。あんた達みたいに【裏】じゃなくて、【影】を演じてた奴さ。
 黒神めだかの漆黒宴が始まるんだろ?」
「確かに、漆黒宴が始まる話は私も兎洞さんか聞いたけれど。
 でも、それに本人は参加しないでしょう?」
「いや、どうなるかわかんないよ。
 聞けばこの学園には鴎とか言う梟さんの息子がいるんだろ?」
鵆はつまらなそうにつぶやく。
楔は残念そうに続けた。
「その話に気付いてる人はあんまりいないだろうね。
 梟さんは息子のことなんて覚えていないだろうし。自分のの息子の
 ≪スタイル≫も覚えていないんでしょ、創ってあげたくせに。」
「そうかもね。でも、漆黒宴で黒神めだかはきっと学ぶよ。
 あの高すぎる学習能力で黒神家の奥深くまで根こそぎね。」
鵆の言葉に楔は俯く。
そして、悔しそうな顔で唇をかむ。
少し血が滲む。
「悔しい・・。私には手が出せないもん。」
「僕も、【悪平等】もだよ。それに不知火家が動くとすれば、
 安心院さんだって危険だろう。何せ奴がいるわけだし。」
「でも言彦と漆黒宴は関係ないでしょ。」
鵆は呆れたように言った。

「それを繋ぐのが黒神めだかなんだろうさ。」

「あ・・・。そっか。そういうことか。」
「球磨川、お前が出てきたら話がつまらなくなる。
 何せ、お前は・・・・・・・・・・・・・・からな。」
「知ってるよ・・。だから、私は表に言っちゃいけないってこと。」
鵆は言う。
「漆黒宴にはきっと安心院さんも行く。
 結果は僕がお前に伝えてやるよ。楽しみにしときな。」
「君は、鵆くんは私の前だと饒舌だね。お姉さん達にも
 そういう風に接すればいいのに。」
「お嬢様達は、お嬢様達さ。」
「そうだね。私、待ってるね。漆黒宴の結果。」

漆黒宴の終わりとともに安心院なじみという【悪平等】は消える。
あっけなくも死んでしまう。輪ゴムひとつで死んでしまう。
そのとき少女は後悔した。自分も漆黒宴に行くべきだったと。
そうすればきっと物語がつまらなくなったとしても、止められたのに。
自分の恩人外である安心院なじみを救うことができたのに。
だって自分は。
「獅子目 言彦すらにも勝てる」のだから。
自分の失敗を恥た。
自分の人生を後悔した。反転して現れた。
不知火半纏こと反転院さんに球磨川楔は言ったという。
「安心院さんは漆黒宴が終わったら不知火さんが消えることを知ってたんでしょうね。」
「そして、自分が言彦に殺されることも知っていたでしょうね。」
「だから、私をあんなタイミングで一つに融合させたんでしょうね。」
「私みたいな、二次創作小説にしか出てこなそうなキャラのために。」
半纏は黙って飲み物を飲む。
音がする。
「どうして、でしょうね。めだかさんは、梟さんのところにスタイルを
 学びに行ったって聞きましたよ。鵆君から。」
「・・・そうか。」
「はい。めだかさんに≪スタイル≫なんて、ひどいですね。」
「・・・俺もそう思うよ。」
「めだかさんにスタイルは過負荷よりも天敵でしょうに。」
「俺は止めた、でもそれで停まる奴じゃあ、ないさ。」
楔は頷いてオレンジシュースを飲み干す。
そして、静かに笑って、半纏を吹き出させる台詞を言う。

「私、安心院さんの生まれ変わりなのかもしれませんね。」

「っっっっつつつつっつ!?」
「冗談です。でも、それだったら、私もお兄ちゃんに好きになってもらえるかも。」
「・・・案外冗談でもないかもな。」
「え?聞こえませんよ?半纏さん。」
「いや・・・。」
半纏は首を振った。
楔は傾げる。

「安心院はきっとお前を残したかったんだろうさ。自分の代わりにな。」

「・・・。そうですかね。そうならいいです。」

安心院なじみが消えるほんの少し前。
安心院なじみを謝らせた1人の【全平等】。球磨川楔。
安心院なじみが残したものは案外小さくないのかもしれない。
彼女が残したかったのは【全平等】という新しい人外ではなく。
ただの球磨川禊の妹である。
それでも、安心院なじみが残した彼女達に意味がないはずはない。
安心院なじみにも天国があるのなら、
彼女はきっとこういうだろう。

「あの子は僕が生まれてから、ボクが最も敵視していて、
 可愛がってやった。唯一、仲間と呼べる【人間】だぜ。」

「私が生まれた意味はそれでいいんです。」



                   めだかボックス二次創作
                     第一部 完。


あとがき〜
どうしても、十三箱で終わしたかったんです。
後半の話は本編につながります。
そんで、第弐弾にもつなげていきたいです。今後とも
球磨川楔と追子森鵆には協力していただき、よりいっそうの
二次創作を目指したいと思います。
では、またいつか。
                        栖樺 啼

めだかボックス特別編 全平等講座〜球磨川訃音編〜 ( No.73 )
日時: 2013/01/30 19:45
名前: 栖樺 啼 (ID: jv9VjO.m)


「悪いね。『空き教室』だなんて言って。」
『いや、別にオレは興味ねーよ。』
「後ろのロッカーに隠れてるなんてね。」
あっけらかんと言う球磨川訃音に鶴喰鳩は驚く。
その様子に訃音は笑う。あざ笑い。
『おいおい、オレはそーいうの気にするキャラでもねーから。』
「そうかな?私にはそう見えたけれどね。」
肩をすくめる鳩に訃音はまた笑い返す。
鳩も少々の溜息をつく。
「キミはもう球磨川なんとかって子達と吸収合併されたと思っていたけれどね。」
『いんや。されてたよ?なー様がオレらをわかりやすくまとめてくれるっていってたからね、それにここに来られるのは【全平等】でもオレだけだよ。唯一だぜ。』
「・・・あぁ、なるほどね。納得したよ。」
鳩は訃音の体を見て言う。
教卓に座っている少女と娘を見送り満足気な母親である女性。
二人は向かい合っているが、知り合いでもなんでもなければ顔見しりではあるものの、仲良しではなかった。
「私もできれば生きている間にキミに会っておきたかったものだよ。」
鳩がそんなことを言うと、訃音が苦笑いをした。
まるで、悪い昔話でも明かされたように。
『何言ってんだよ。あんたとなら会ったことあるだろうが。
 オレがまだ【球磨川 訃音】として生まれる前によぉ。』
「・・・・。」
『おっと、こういうことはあまり話すべきじゃあねぇのかな?
 こーいうとわかりやすいのかな?
 ≪オレが球磨川訃音として生まれる前≫に会ってるだろうよ。』
「あぁ。球磨川なんて苗字ではなかったね。しかも、私がうら若きナース時代の話だね。めだかが生まれる前の、私の。」
『はは、まぁな。オレもなー様に会う前までも人殺しだったことは
 否定できないし、むしろ、病院でよくあんたに会って言われたっけ。』
鳩が眉間にしわを寄せる。
なにしろ死ぬ前の話をされているわけであり、そして何より、
当時はこの少女は球磨川訃音という名前ではなかった少女と、
こうして話していること自体が気持ち悪くて仕方が無いのだ。
何せ、今話している時代にはこの球磨川訃音は生まれてすらいないのだ
『『私の患者さんの邪魔をしないで下さい。』だっけかなぁ。
 驚いたぜ、誰よりも患者に負荷を負わせているあんたがさ。
 おっかしな話で、面白い話だぜ。全くよぉ。』
球磨川訃音の口調は軽快であった。そして、それだけにあらず。
鳩にとっては不愉快だった。
「キミのことは知らないよ。私が知っているのは【球磨川訃音】なんて名前ではなく、ただの普通の人殺しである小学生だった。」
『小学生か。そうだな。今はもう中学生でもおかしくない年齢だぜ。
 まぁ、高校生なんだけどな。』
訃音の笑いがカンに障ったのか鳩は訃音に言いよる。
訃音にとっては不快でしかない。≪死ぬ前≫の話を。

「そうだね。生きているときの君はかわいげのない小学生で、
 安心院さんの力で生まれ変わったキミは青春謳歌な高校生だね。」

『・・・。』
初めて、訃音の顔から笑顔が消える。
そして、教卓からおりると。ポケットに手を突っ込んだ。
そして、

鶴喰鳩の体を素手でくりぬいた。

「っ・・・・。がっ・・・。は・・・。」
『・・・・死なねぇだろうが。殺したいぜ。
 死んだ時のオレを覚えてる人間なんててめぇぐらいのモノだろうな。
 逆に言えば、オレはあんたを消せば、死んだことのない人殺し。
 球磨川訃隙に置き去りにされた全平等に戻るのかな?』
「し、死人。といえ、ど。腹をくりぬかれ、て。
 痛くな、い。訳ないだろうに。え、げつないこと。するねぇ、」
『何を冗談を。鶴喰鳩。てめぇが患者にしてきたことは
 こんなことぐらいじゃあなかったハズだぜ?』
表情が、狂気に満ちていく。
笑顔が出来上がっていく。
言葉が乱暴になるのを止められない。
『まぁ、とはいえ。オレにはあんたを殺せない。何せ死んでいるからだ。それに、ここは、なー様が残して逝った教室だ。』
一度言葉を切ると球磨川訃音は笑顔のままにさらに笑う。
凄惨で、狂気に満ち、そして何より殺気にあふれた笑顔だった。
鶴喰鳩は痛がるのをやめ、扉に手をかけた。
『ここを血で汚す、なんてことをしたらなー様に顔が立たねぇよ。
 だから、早く消えてくれ。オレは球磨川楔に戻るからよ。』
鶴喰鳩は鼻で笑った。
かつての人殺し少女と比べれば、

「ずいぶんと丸くなったものだな。≪稿鷲 鳴音≫−わらわし なくねーではない。ただの球磨川訃音。見た目は大して変わっていなくて安心したよ。成長したキミを見れて嬉しかったよ。人殺し。」

今度こそ、扉から出て、見えなくなる。
鶴喰鳩は還ったのだ。
対する球磨川訃音こと旧・稿鷲 鳴音は苦い顔をする。

『そんな名前。覚えてねぇよ。オレ。』

教室には誰もいない。ここは黒神めだかの中の空間だ。
そして、ここには死んだ人間。もしくは肉体が生きていない人間。
意識が生きていない人間。安心院なじみが呼びよせる人間。
そんな人間が来られる空間。
そして、全平等でココに来られる人間は球磨川訃音ただ一人。
つまりは。

球磨川訃音はかつて、稿鷲 鳴音としての生を終えている人間だった。

全平等で唯一死んでいる人間。全平等で一番人を殺す人間。
それが、球磨川訃音だった。
彼女が生きていたのは今よりも20年以上も前だった。
そして、その人生でも人を殺していた。
これから語られるのはそういう話である。
少女は、稿鷲 鳴音はどんな少女でどんな経緯であじむに会い。
どんな経緯で球磨川訃音となったのか。
球磨川訃音すら覚えていない。そんな話をしよう。
放課後のチャイムは鳴りやまない。ここは放課後なんてない。
そんな教室で、少女は1人、思い出すのだ。
自分の罪や、自分の過去を。



あとがきコメント⇒球磨川訃隙
・まさかボクの過去である前に訃音に過去があったなんてね。
 シリアスなこの子は非常に珍しくて見ていて楽しそうだね。
 安心院さんも粋なことをしてくれるね。まったく。

球磨川訃音 その1箱 ー悔しいねー ( No.74 )
日時: 2013/02/16 00:16
名前: 栖樺 啼 (ID: jv9VjO.m)


『オレが生まれたのは、確か。30年くらい前だった。』
教室で一人、膝を抱えて床に座る。
もちろん、座っている少女は球磨川訃音である。
『オレが、人殺しになったのはいつだったかな・・・。』
思い出すのも苦しいが、どうせここにいてもすることは特にない。
かといって、この気持ちのまま球磨川楔に戻るのも不服でもある。
だから、この場で、今こそ球磨川訃音は語るのだ。



「な、なく・・・ね・・ちゃん・・・?」
ーオレが最初に殺したのはばあちゃんだった気がする。
 といっても、最初とは言っても、だ。
 オレが最初というのは、物心をついてから、だ。
 だから、物心つく前にも誰かを殺していたのかもしれねぇ。
実際、彼女には父親がいなかった。父の他にも父方の祖父、祖母。
母方の祖父も死んでいた。理由は不明。
というよりも、訃音にはー、鳴音には知らされることがなかった。
『どうしたばあちゃん。・・・あぁ、いてぇのか。』
ー当時はたぶん三歳くらいだったと思う。
 黒なんとかほどじゃあないけど、オレは成長が早い方で、
 三歳とときにはもう、今と同じぐらいの話術があった。
 バカだったから、難しい漢字は知らなかったけど。
『ばあちゃんがびょうきがくるしくて、いたくて、
 もうしにたいって言ってるってお母さんが言ってたから。」
「だ、だからって・・・ね・・・。」
ー歳の割にばあちゃんはしぶとかった。
 オレを睨みながらも、口では子供に諭すような口調だった。
 それがオレを刺激したんだろう。オレは言ってやった。
『くるしいんだろ?死ねよ。ばあちゃん。』
ぐっさり。
どさ。
ー居間にばあちゃんの死体が出来上がった。
 お母さんはそれを見て絶叫してたな。そして泣いてた。
 オレを抱きながら泣いてたよ。「ひとりになっちゃう。」って。
 オレは平常心で本読んでいたけどね。絵本をね。
 そして、そのときオレは思ったね。

ーいつか、オレはこのオレを抱いてくれる人まで殺すだろう。


ー時は流れてオレは6歳になって、家を出た。
 それ以上いたらオレはお母さんを殺しそうだったからだ。
 お母さんは「置いていかないで!!」とか「ひとりはいや!!」とか
 「怖い、怖いよぉっ!!」って泣いて、喚いてた。
『お母さん。オレはあんたに感謝してるから、
 あんたを殺さない、でもあんたが死のうと関係ない。』
ーオレはそう言って、お母さんを置いて行った。
 そのあとお母さんがどうなったかは、オレの知ったことじゃない。
 今もし生きていても、60くらいだろうから、オレを娘とは思えないだろう。


ーさらに4年後、オレは10歳になった。
 オレは殺し屋的な職についていた頃だった。
 そして、気まぐれで殺し損ねた奴のとどめを刺しにいった。
 そこで、オレは鶴喰鳩に出会った。かなりの深夜だった。
『・・・・・・・。ここか。』
オレは堂々と部屋に入った。
確かそいつはオレから殺されかけて、あわてて階段から転げ落ちた。
それで骨折して、偶然巡回していた、警察に病院に連れて行かれた。
オレは、すぐさま逃げたし、顔も見られてなかったから、
後日あらためることとして、オレはそこに来たわけだった。
『失礼しやーす。』
オレはそっと、ドアを開けた、そしてそこには。

患者が寝ているベッドに思いっきり足を振りあげているナースがいた。
そして、その足を寝ている患者のベッドに落とした。
見事に、ヒットしたらしく、患者は跳んだ。

『・・・・・。』
ドアを閉めたくなった。
なんてやつだ、と素直に思った。
オレよりひどいじゃあねーか。しかも、ナースだったぞ。あいつ。
「おい。」
『!』
「見てたのか?あぁ、面会か?」
そのナースー鶴喰鳩ーはそう言って、オレの腕をつかんだ。
そして、患者のもとに連れて行った。
『いや、あの。オレは・・。』
「まだ、小学生じゃないか。親御さんは?はぐれたか?」
まさか、そいつを殺しに来ました。
というわけにもいかないことぐらいオレでもわかったので、
笑顔で誤魔化そうと、こう言った。
『また、会いにくるから、いいよ。ひとりで帰れるから。』
「あぁ、そうか。気をつけろよ。」
『・・・・はいよ。』
ナースは手を振ってきたが、無視した。
ナースがそのあとその患者の足をどうしたかは知らない。
なぜなら、

オレは、そのナースのせいで初めて人を殺せなかった。

悔しかったぜ。
大っきらいな人を殺せないなんてな。
オレは宗像形とはマギャクの人殺しだ。
だって、奴は人が大好きらしいが、オレは人間が大嫌いだった。



・あとがき⇒球磨川恋愛
壮絶ですねー。暗い始まり方ですし。
軽く殺す殺すいわないでほしいです。
みんなの印象が悪くなるじゃあないですか。まったく、もう。


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