二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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  酸素欠乏症  ( : 庭球/黒子α )
日時: 2012/09/05 19:24
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)





  \ attention /


 建てたはずなのにすれが見当たらない哀れな酸欠の小説置き場、
 露骨表現無しR12程度のえろぐろ含みます、御注意を!

 荒らし、乗っ取りや成りすまし行為はやめてくださいね。おーけい?

 もし同じたいとるの小説があれば報告ください、
 多分それ、消えたはずの酸欠の小説です、
 ( 上に関して:乗っ取られた可能性もあります、憶測ですが )



  \ me /


 name:酸欠 / さんけつ or 二酸化炭素 / くうき
  age:13、中一
 like:関西弁、イケメン、変態きゃら。← バスケ、野球、陸上。兎などのぬいぐるみ、


 genre:庭球/黒子/振り/稲妻/...



 \ main /

 ———→庭球
  【 リナリアと幻想を抱いて眠る 】 // >>002>>003>>004>>007


 ———→黒子
  【 其の記憶は忘却の彼方に 】 // >>005
  【 世界が崩れ落ちる三分前 】 // >>006



 \ digest / ——→ 消化したいの/御題は自作

散らばったスターチスの花弁を掬い上げて/嗚呼これが嘘の愛だとしても/振り上げたナイフで引き裂いたのは/お姫様になる夢を見ていた/泡になった人魚姫は復讐を/ごみ箱に捨てられた感情/ほしがり少女と狩人/あれもこれもそれも/制服の裾を翻して/他言無用、内密に、ね。/駄々っ子になるほど欲しいもの/正義感に溺れる⇔背徳感に埋もれる/ただひとつ欲しかったのはきみの/...!えとせとら






 \ new /

 120831 : 執筆開始、
 120831 : リナリアと幻想を抱いて眠る+1
 120901 : リナリアと幻想を抱いて眠る+2
 120902 : 其の記憶は忘却の彼方に+1
 120903 : 短編:世界が崩れ落ちる三分前up







 ( 貴方の愛で、窒息死 ) // 120831:酸欠

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   // リナリアと幻想を抱いて眠る : 庭球 . ( No.3 )
日時: 2012/09/01 20:04
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)




 あの頃のわたし達は多分凄く弱くて小さくて、だから平気で傷付け合ったんだろう。




    // リナリアと幻想を抱いて眠る :03




 ——好きです、付き合って下さい!
 まるでテンプレートみたいな告白に足が止まる。わたしに言われているわけじゃないのに、決してそうじゃないのに、どきりどきりと心臓が高鳴った。
 嗚呼、これなら大人しく帰るべきだった。屋上でごろごろとしている場合じゃなかった。聞こえてきた足音に咄嗟に身を隠したけれど、どうもわたしは居てはいけないところに居るようだ。
 それでも人間、好奇心というものは抑えられない。ちらりと物陰から顔の上部だけを覗かせて、様子をうかがう。赤い顔をしている茶髪の女子生徒の前で、困ったような顔をしている白石が見えた。
 やっぱりモテモテやんなー、と考える頭と裏腹にどきりどきりと心臓はいっそう煩くなる。わたしは告白現場に遭遇したのは初めてだから、興奮しているのかもしれない。何でわたしが、という話なのだが。


「すまんけど……今はテニスとかに集中したいんや。やから君の気持ちは受け取れへんねん。すまんな」
「っ、あ、ありがとう、話、聞いてくれて、!」


 困ったように眉を下げる彼は女子生徒の肩を軽く叩く。女子生徒はかあ、と顔を真っ赤にして、うるうると瞳に涙を溜めながら、ぺこりと頭を下げた。うわ、かわいい。
 白石は驚いたように目を瞠り、勘忍な、と言ってから駆けていく女子生徒の背を静かに見つめていた。わたしはどうしようか迷ったものの、そのまま隠れていることにした。
 白石だって部活あるんだし、その内去っていくだろう。
 しかしその予想に反して、白石はがしゃん、とフェンスに凭れ掛かった。その表情は憂いを帯び、何処か申し訳なさそうで、何処か寂しそうな顔だった。どきり。告白シーンは終わったはずなのに心臓が、うるさい。


「! ……白尾さん、やったっけ」
「え、あ、」


 慌てて彼から視線をそらすと、何故か彼はこっちを向いて、驚いたような顔をした。
 それからバツの悪そうな顔になれば、包帯を巻いた手でぽりぽりと頬を掻きながら、悪いもん見せたやろ、とか細い声で呟く。悪いものと言えば悪いものかもしれないが、わたしの好奇心がまず問題なのだから仕方ないわけで。
 あー大丈夫、と曖昧に笑えば彼はそか、と頷くだけで何も言おうとはしなかった。それっきり、どちらも喋ることはしない。けどわたしは沈黙は慣れている。
 くしゃりと前髪を掻き上げる白石は酷く寂しそうで、胸が締め付けられた。恋——にも似たものかもしれない。けど、多分これは同情だ。


「白石、好きな女の子居るんでしょ」
「っ、」


 ビンゴ。
 彼とは今日会ったばかり。けれど、彼の考えていること、というより、彼がいまどんな状態か、がわたしにはすぐに分かった。だってわたしの友人に似てるんだもの。
 白石はびくりと肩を揺らし、困ったように、わらった。凄いなあ、自分。感心しているような声に、くすくす笑う。


「似てるんだ、わたしの友人に。……東京に居たときの、ね?」
「へえ、誰なん、それ」
「今は某常勝校の部長さん、かな」


 幼馴染と言っても過言ではないが、でも、それでも、彼とわたしの関係は友人だ。弦のつくあの人だってそう。時折くる慣れてなさそうなメールには噴き出してしまう。風紀委員なんだっけ、怖そうだな。
 そんなことを考えながら言えば、白石は思い辺りがあるのか、もしかして、と言うけれど、先は言わせない。だめ、と言って人差し指を唇にくっつけて笑えば、そか、とまた短い返事が返ってきた。
 彼は益々困ったような顔をして、フェンスの音をかしゃかしゃと立てた。沈黙を拒否しているような、そんな感じ。


「わたしも居るなあ、……好きなひと」
「! おんなじ、やな」
「そうだね。……うん、そうだ」


 彼のその行動に笑って、自ら話題を振る。彼は小さく笑って、おんなじやな、と少しだけ寂しそうに呟いた。
 それを見た瞬間、わたしは理解した。彼の好きなひとはきっともう、違う男の人がいるんだって。先ほどから彼が落ち着かない様子だったのはこの所為なのかもしれない。わたしは、おんなじ立場にいたから、よく分かるきがした。


「大丈夫、きっと振り向いてくれる」


 半ば自分に言い聞かせるように言えば、彼はそやな、と笑って、改めて宜しゅう白尾さん、と綺麗に笑った。




  //




 知らなかった、知らなかったの。彼の好きなひとが、誰かなんて。彼もまた、知らなかった。わたしの好きなひとが、あの人なんだって。ねえ、わたしたち、もう此処から間違えてたんだよ、きっと。後悔してもきっともうしきれないの。ごめんね、








 ( リナリアと幻想を抱いて眠る:03 ) // 120901.

   // 其の記憶は忘却の彼方に : 黒子 . ( No.4 )
日時: 2012/09/02 18:32
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)




  黒と白は、似て非なるものだって言っただろう、と嘲笑う彼の声を思い出して、わたしは酷く狼狽した。




   //  其の記憶は忘却の彼方に




 甘ったるいハート型のチョコレイトを口に含み、わたしは屋上から空を見上げた。
 ひどく気分が悪い。これもきっと彼の所為だ。
 行き場のない苛立ちをぶつけるようにチョコレイトを口内で噛み砕く。真っ二つに割れたそれを更に砕いて飲み込み、わたしは携帯をぼんやりと眺めた。


「テツヤくん」


 わたしの、大事なひと。
 さつきちゃんの、想ってるひと。
 無表情だけど、何処か優しい瞳は隣に居るわたしを拒んでいない証拠だ。この写真を待ち受けにするのは、たぶん、すごく駄目なことだと思う。けれど黒と白は似て非なるものだという彼の言葉を思い出せば、それ以外のものを待ち受けにするのは何だかすごく嫌になった。
 わたしとテツヤくんは、ずっと隣に居た。わたしもテツヤくんも何色に染まらない。唯一お互いの色にだけ、染まってしまう。依存関係、といえば話がはやい。
 其れは多分おかしいことなんだけれど、お互いに一緒にいなければ気が済まない。お互いは"同じもの"なんだと、わたしたちは認識しているから。


「また此処にいたんだ、白尾」
「……赤司、」


 嘲笑を含んだ声に、わたしは現実に引き戻される。
 携帯をしまおうとして慌てるけれど、声の主——赤司は素早くわたしの元に近付いて、もたもたとしているわたしの手から携帯を取り上げた。その目が待ち受けに向けられると、彼は可笑しそうにわらった。
 まだ此れなんだ。嘲るような声にわたしは狼狽するしかなかった。彼の言葉にはいちいち狼狽えるしかなくなる。彼の前で、わたしは余裕というものをなくしてしまうのだ。
 何色にも染まらない筈なのに、彼の前では、その赤色に染め上げられそうで、恐怖しか感じなくなる。


「お前の行動は全て読めるようで楽しいよ」
「……赤司の行動は全然読めない。何で此処に来たの」
「そんな嫌悪感を露にして、オレに何を求めてるんだ? この間の発言でも撤回してほしいとでも言うのか? 残念ながら其れは出来ない相談だ」


 だって君達は同じじゃないだろう? 
 そう言ってくつりくつりと笑みをこぼす赤司に嫌悪感と恐怖感が混ざり合う、負の感情が生まれた。彼はわたしの携帯を傍らに置いて、わたしの前髪を掴んだ。
 白くて細い指が、わたしの目の前で、わたしの前髪を掴み上げている。痛い、という感覚はない。左右の色が違う瞳が真っ直ぐにわたしを、殺気と狂気を孕みながら射殺すように見つめている。
 背筋を冷たい汗が伝う。ひ、と情けない悲鳴が零れた。


「お前は本当、一々オレを楽しませてくれるな。オレを苛立たせる天才のお前を称賛してやりたいくらいだ」
「、かえ、って」
「オレの言うとおりになれば楽なものを、お前は何でそう拒むんだか。……そんなに黒子が良いのか、お前は。黒子との関係がお前自身を壊すということを知りながら、お前は黒子の傍に居るのか? 下手をすれば桃井との関係も壊すことになりかねないのに」
「うるさい、!」


 ぐ、と前髪を掴まれたままの至近距離。彼の瞳はもう、同じ色しかしていない。先ほどのオッドアイはまるで幻覚だったようで、それに、優しい瞳だけがわたしを映している。
 けれどわたしには分かる。その瞳が、狂気を孕んでいることを。
 抑揚のない声で言葉を並べる彼に思わず声を上げれば、彼は更に苛立ちを覚えたのか、前髪を掴んでいた手ではない方の手をわたしの首に添えて、ぎりぎり、と爪を食い込ませた。
 息が詰まる、一瞬。


「オレはお前が大嫌いだよ、白尾紫苑」


 前髪を放し、首から手を退け、わたしの隣に有ったチョコレイトを数個掴んで彼はそう吐き捨てた。ひどく冷たい声に、わたしは涙が込み上げてきた。
 わたしは、どんな彼でも、仲間だと思ってる。大好きだと、そう思ってるのに。







 ( 其の記憶は忘却の彼方に:01 ) // 120902.

   // 世界が崩れ落ちる三分前 : 黒子 ( No.5 )
日時: 2012/09/03 19:33
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)






   //  世界が崩れ落ちる三分前




 今日は朝から夜だった。
 何処かの子供が言葉遊びらしきそれを口遊みながら、友人が待っているであろう公園へ駆けていく様子と時計を交互に見詰めて、小さく溜息を吐いた。
 あの女だろうから早く来るだろうなんて思わなければよかった。まさか遅刻なんて、ツイていない。
 苛立ちを増す頭と反して早く来いと期待している自分の感情に小さく舌打ちをして、オレは腰を掛けていたベンチから立ち上がった。
 公園の近くにある時計台の下で、12時に。そんな約束を交わしたのはつい先程のことだ。
 仮にも恋人である女の笑顔が過れば寧ろ今は苛立ちを倍増させる以外の何物でもない。最初の頃こそは早く来たものだが、今回は何故か十五分も過ぎている。
 あいつが何故かいつも持ち歩いている四角形のチョコレートを口に含み、がり、と噛み砕いた。あま。


「……ごめ、っ、事故っ、た、!」


 一瞬聞こえた爆音。その後、不意に鳴り響く着信音。ディスプレイには"紫苑"の文字。
 電話に出て、さっさと来い、と、そう言おうとした矢先、彼女は雑音の邪魔する場所で、息も絶え絶えにそう言ってきたのだ。
 何故か他人事のようにしか思えず、そうか、という冷静な声が出てしまう。けれど内心は酷く焦っていて、オレは取り敢えず状況を確認することにした。
 彼女の声は微かに震え、どうやら彼女は事故に遭ったのではなく、事故を見てしまった様子だった。


「こ、えん、の、近く、の、建設予、定ビルっのした、で、」
「公園近くの建設予定ビル——……今から向かう」
「だ、駄目っ、! い、ま、てっちゅ、落ちて、」


 公園近くの建設予定ビルと言えば、公園から歩いて百メートルほどのところにある。大きな交差点を渡り、少し進めばすぐに見える場所だ。
 鉄柱が落ちてきた、という彼女は酷く同様しており、時折嗚咽のようなものも混じっている。落ち着けと冷静なオレに反して心はぐるぐると回って、気持ちが悪い。
 先程聞こえた爆発音のようなものはどうやらそれが落ちてきた音らしく、既にパトカーやら救急車やらのサイレンが聞こえている。
 兎に角行く、と言えば彼女は鋭く叫んだ。


「駄目っ! 征十郎、死んじゃ、」


 ぷつり。
 何物かが邪魔するように彼女の携帯の電源を切る。
 誰だ、と困惑する頭はもう冷静になんて居られない。オレは彼女の身を案じて、公園から踏み出す。直後、見えるバスケットボールと、飛び出す子供。
 ——今日は本当にツイていない。おは朝の占いの運勢でも悪かったんだろうか。こんなことなら真太郎に頼むべきだったな。
 そう考える頭は何故か落ち着いていて、オレは赤信号の交差点を一歩踏み出した。子供の背を押して、ボールを弾いた瞬間——……




   //




 目を覚ました場所は、何時もと変わらない病室だった。
 征十郎、と情けない声で彼を呼ぶ。けれど、反応が返ってくるはずもないのだ。
 彼を求める身体が、はやくはやくと叫んでいる。きっとわたしにしか彼しか守れない。物語の結末を知っているのはわたしだけだもの。


「ごめんね、」


 どうやって此処から抜け出せばいいのか、わたしは知っている。ねえ征十郎、貴方が望むならわたしは実現してあげる。




  世界を、壊せばいい、それだけ。 // →投げ入れられた毒薬に酸素を求める。







 ( 世界が崩れ落ちる三分前 ) // 120903. : 陽炎日々パロ、

   // リナリアと幻想を抱いて眠る : 庭球 . ( No.6 )
日時: 2012/09/05 19:23
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)




 みんなが、しあわせになれますように。ちいさな頃の願いは、きっと一生叶うことのない、幻想なんだろう。




    // リナリアと幻想を抱いて眠る :04




 あの日——転校初日の彼との会話のお陰かしらないけれど、彼とわたしの距離は多分一気に縮まったと思う。
 素っ気ない彼の態度はわたしをミーハーだと思っていた所為だと彼は謝ったけれど、この学校での彼の人気を見ればうなずける話だ。けど彼は言う。名字に白が入ってたから少し親近感はあった、と。
 ぜんぜん気がつけなかったけれど、そう言えば確かに白が入っている。うん、全く考えてなかった。そう言えば彼はけらけらと笑って、普通はそやな、とわたしの髪をくしゃりと撫でた。


「お前等、何時の間に仲良くなったんや」
「謙也には分からないっちゅー話や」
「おま、パクんなや」


 そんなわたしたちの様子を見ていた忍足が不思議そうに言ってきた。白石が少し可笑しいことを言っていたが、どうやらそれは忍足の台詞らしい。
 忍足はびしっと突っ込んでから、わたしにひらひらと手を振った。白石が安心しとんならええ子やろ、宜しゅう。わたしはそれに笑顔でうなずいた。何だろ、白石と仲良くなったらちょっと人脈広がったかも。
 カオリはびっくりした様子で、でも、良かったなあと笑った。友達増えて嬉しいと言えば、カオリはくすくす笑って、でも紫苑はあたしたちのグループだよねと言うので頷いておく。
 男子と女子の一線。其処を飛び越えることを、わたしは拒む。


「……あ」


 えー、とブーイングの声が上がり、カオリは紫苑は譲らへんと言い張り、軽い言い合いに。転校生が余程珍しいんだろう。けど、カオリも、ブーイングの声を上げた忍足も楽しそうなので黙ってそれを聞いている。
 ぼーっとしているとき、携帯がふるふると震えて、わたしは其れに目を落とした。——ユキムラくん、だった。
 メールの画面を開いて、確認する。簡潔に言葉が並んでいた。"ねえ紫苑、どこにいるの。"たったそれだけ、だった。
 よくよく考えると、彼には行先を此処2年は告げていない。小学校の卒業式以来だ。最初の頃こそメールするねと言ったのだが、わたしは彼と自然に距離を置くようになっていた。
 だって、彼、は。


「——紫苑、次の授業自習やって」
「ん? じゃ、わたしサボるね」
「えー」


 彼へ返信するべく席を立ちあがり笑えば、カオリは不満そうな顔をした後、池田に絡みに行った。
 おいコイツに構ってやれよーという池田にカオリを半ば押し付けるようにして、わたしは教室を飛び出した。彼へ返信したい、彼の声を聴きたい、けど、わたしは。
 屋上のドアを荒々しく開けて、携帯を開いた。フェンスに凭れて座り込み、小さく唸る。
 ——……さて、何て返そうか。
 決心するように息を吸って、指を動かした。"ユキムラくん、ごめんなさい。わたし、まだ、駄目。ねえユキムラくん、好き、です"その文章を綴るのは、容易いことだった。けれど、送信ボタンだけは、押せなかった。


「すき、です」


 声にするのは、文章にするのは、こんなにも簡単なことなのに。
 それを伝えることは、すごく難しい。


「友人、やなかったんやな。白尾さん」
「白石、」
「……幸村精市、やろ? 知っとるで、全国、二連覇したところやから」
「あは、バレちゃったね、」


 不意に上から声が降ってくる。慌てて顔を上げれば、白石が居た。


「詮索するつもりはあらへんし、協力も俺にはできひん。けど、確か幸村は、」
「カノジョ、居るよ。わたしの元親友だもの、」


 白石はきょとんとして、知っとったん、と笑った。
 今は親友なんて言えない。けれど、わたしは知っている。ユキムラくんから定期的に来るメールに、紫苑の親友の子と付き合ったと書いてあったから。
 幸せそうなユキムラくんの言葉が並んでいたから、わたしは知っている。けれど、わたしは駄目だった。
 ユたしが好意を寄せていると彼は知っている。それでいてこまめに連絡をくれるのは、たぶん彼の優しさだろう。白石はわたしの隣に腰を落として、ぽふりと肩を叩いた。


「なあ白尾さん、」
「ん?」
「俺の好きな人、もう此処に居らへんのや」
「……え」
「死んだとかそういう重いものじゃあらへん。けど、白尾さんはその子のことを知っている」
「、」
「……俺の好きな人な、転校したんや。立海大付属中学校、に」





「白尾さんの好きな彼の恋人、や」








 ( リナリアと幻想を抱いて眠る:04 ) // 120905.

   // 酸素欠乏症 : ねた . ( No.7 )
日時: 2012/09/08 18:30
名前:   酸欠   ◆YitN/20R3k (ID: K75.VLwZ)





 <!>庭球

( 「ぜんぶ、欲しいな。」どうしようもないくらい寂しくてつらくて悲しいと思ったおんなのこが氷帝学園で友情を知り、愛情を受け、仲間という言葉に縛られる狂気的な愛の御話 )/彼女を安心させた愛情は、彼女を壊す刃となる。:氷帝

( 偽善者はぼくだ。クラスで彼女がどんな目に遭っているか知っていたのに、ぼくは知らない振りをした。居場所が、欲しかっただけ。彼女に差し伸べた手は、冷たくて感覚がなかった。 )/正義のヒーローを気取った少年は少女の手を振り払った。:クラスメイトの男の子のはなし。




 <!>黒子

( 前世で禁断の恋に落ち、互いを愛し合った二人は呪いを掛けられた。——……再会を果たす二人の結末が"むかし"と同じように哀れなものだと知らず、やがて二人は互いを求め合う。 )/まるで呼吸をするように、愛を求めた。:黒子テツヤ




 <!>その他

( これが最後の青春だから。高校球児にとっての最後の夏は、一回戦敗退。涙を拭って立ち上がり、そして一歩前に踏み出す。彼等と過ごす最後の夏は、一生記憶に残る、大事なものだった。)/もう二度と忘れないように、鍵をかけて仕舞い込む。:桐青高校/振り





 <!>随時更新、


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