二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ■━…紫弓 【銀魂】 ( No.107 )
- 日時: 2010/03/22 17:32
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ──瞳を閉じれば貴方が 瞼の裏にいる事で /3月9日
- ■━━…参弐 
 ガガガガガッ!! と音をたて、床に突き刺さるメスの数々。
 泉菟はそれをバク宙してかわし、扇子をブンッと扇いだ。
 床に突き刺さったメスや注射器は、藍色扇子の風で飛ぶ。
 またもや飛ばされそうになる有城だが、壁に普通の物よりやや大きめのメスを刺し、体を固定した。
 「荒々しい女だ」
 有城は余裕の表情で泉菟に言う。
 「黙れ!!」
 完全にキレた泉菟は、只今本気。
 その怒りの眼はもう、有城にしか向けられていなかった。
 ━━━
 砂埃を立てながら、ザザザッと走る銀時。
 いくら走っても、港にはなかなか辿り着かない。
 そろそろ体力も尽きてきた。
 稜弥はこの距離を、泉菟を持って走ったってのか?
 アイツは化けモンか何かかよ…
 銀時はそんな事を考えながらも、港へ向けて、一生懸命走る。
 そんな時だった。
 銀時の足元に、紫色の弓矢が刺さった。
 銀時は立ち止まり、前を見やる。
 が、前には誰も居なかった。
 「…ったく、稜弥だろ? 出て来い紫ナスビヤロー」
 紫色のこの弓矢は、正しく稜弥の物。
 銀時は面倒くさそうな声音で、そう辺りに呟いた。
 辺りに誰か居る気配も無く、静かに響く銀時の声。
 そして、銀時の声が響き終わったその瞬間である。
 ビュンッ! と紫の弓矢が、銀時の後ろから飛んできた。
 銀時はそれに逸早く気付き、木刀で飛んでくる弓矢を叩き折った。
 弓矢が打たれた方向には、稜弥の姿。
 「…オイオイ、危ねーじゃねェか。遂に頭にアイスでも湧いたか?」
 『アイスが湧くってどういう事だよ、つか湧いたら怖ェよ。俺は万々歳だけど』
 「万々歳なんだ、脳みそにアイス詰まって万々歳なんだ」
 稜弥は弓を下ろし、銀時の冗談を本気にする。
 銀時はその一瞬のスキを衝き、稜弥の目の前へと前進して、大きく木刀を振るった。
 それを稜弥は焦りながらかわす。
 『スキを衝くたァ卑怯だぜ、銀時』
 「スキを衝くのが卑怯なら後ろから命狙ってくんのは何なんだコノヤロー」
 ひゅるりと春一番が吹く。
 3秒間間が開いた後、銀時が口火を切る。
 「…もう銀さんここまで走ってきてバテバテなんだけど。今お前と戦ったら死にそうになるわ」
 稜弥はフッと笑みをこぼす。
 『あ? 銀時にしては弱気だな』
 その言葉に、銀時は「オイオイ」と付け加える。
 「お前何か勘違いしてんじゃね? 〝死にそうになる〟っつーのは、テメーをぶっ飛ばすのは骨が折れるっつー意味だよボケ」
 銀時の表情は余裕の笑みだった。
 次の瞬間、銀時と稜弥は飛び上がり、激しい攻防戦を始めるのである。
 ■━━……
