二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.27 )
- 日時: 2010/01/15 19:27
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』
- ■━━…弐弐 
 空はとても晴れ渡っていた。
 船内のとある一室に、万斉と高杉は居た。
 万斉は壁に寄りかかりながら三味線を弾き鳴らし、高杉はただ煙管を吹かしながら外の景色を見ていた。
 そんな時。
 「…欲しいものが出来たと聞いたが、晋助。如何様な物か拙者に教えてくれぬか」
 万斉が三味線をベンベンと弾きながら高杉に問うた。
 ぷかりと煙管を吹かして窓辺に腰掛ける高杉は、クククと笑うと、それに答える。
 「テメーには関係ねェよ万斉。だが、如いて言うなら大切なモンだ」
 紫の煙が、窓から空へと昇っていく。
 高杉の答えに、万斉は三味線を弾く手を止めた。
 「稜弥殿より、か?」
 静かに部屋に響いたその言葉に、高杉は「あァ?」と不機嫌そうな声を上げた。
 万斉は高杉の態度を見て、フッと笑うと、また三味線を弾き始める。
 「まったく、嘘が下手な男でござる」
 静かにそう呟く万斉。
 高杉はまた外を見る。ビルが立ち並ぶ江戸の風景に、少し嫌悪感を催した。
 船の外では、その高杉が捜してる大切なモノが静かに朽ちているとも知らず。
 そんな昼下がりである。
 ■━━…
 「りょっ、りょっ、りょりょっ、稜弥様ァァア!?」
 「その担いでるのなんですか一体!? ていうか、血まみれじゃないですか! まっかっかじゃないですか!!」
 『お前等テンション高くていいねー…』
 泉菟の血がベッシャリと着いたまま船内に上がってきた稜弥。
 もちろん血まみれの泉菟を担いで。
 いつもの様に出掛けてきた稜弥を出迎えようとした隊士達は、予想外の稜弥の姿に驚きを隠せないようだ。
 隠すどころか思いっきりオープンしてるのだが。
 とりあえず医務室ゥゥ!!とか、高杉様ァァア!!と慌てふためく隊士達の頭を2発ぐらい叩いてから、稜弥はため息をついた。
 『大丈夫だからさ、そんな大騒ぎしないでよ。ね?』
 稜弥がそう宥めて、やっと隊士達は落ち着きを取り戻す。
 そして、ずるりと担いでいた泉菟を降ろして、1人の隊士に預けた。
 『その子、医務室に連れてって、先生に診てもらって。まぁ、傷は浅くしといたから』
 そう言って、稜弥は船内の奥へと消えていく。
 残された隊士達は、わたわたと落ち着かない状態で、何とか泉菟を医務室に連れて行った。
 ■━━・・・
