二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: D.Gray-man †運命の歯車† ( No.25 )
- 日時: 2009/12/12 00:03
- 名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)
- † 第二章「操り人形」 第三夜 † 
 「あーやっと着いたか」
 大きく背伸びをしながらスペインの街並みを見回した。
 別に都心のような場所ではなく田舎の中の田舎といううような感じで、
 辺りには緑と遺跡関係の石しか見えない。
 今乗っていた汽車はフランスの方まで走っているというのに客はほとんどおらず、
 今降りた駅ではヴァルしか降りなかったようだ。
 「で、遺跡はどれなんだよ……」
 さっさと帰りたいヴァルは遺跡を探し始めた。
 任務内容は〝遺跡調査〟の一言だけ。
 どんな遺跡か、何を調査などという具体的な事は何一つ記されていない。
 教団一面倒臭がりのエクソシストには全く無縁の任務。
 _________何故、こんなにも面倒な任務が自分に回ってくるのだろう?
 とまぁ、考えていても帰れないのでそれっぽい遺跡を探し歩いてみる事にした。
 「ヴァル一族の遺跡って何書いてんだろ?というより、俺読めるのかよ?」
 〝遺跡〟というものに無縁なので文字なんて読めるわけが無い。
 それに、ヴァル一族は古くに滅んだ。多分、文字は蛇ののたくった字なのだろう。
 「あ、……これか?」
 しばらく歩いていると一際目立つ石の塊があった。
 この周辺では一番大きくて綺麗な形で残っていた。
 両端にとてつもなく大きい飾り付きの柱が何本も並び、
 地面は少しばかりか汚れているが綺麗なタイルが敷き詰められている。
 奥に進むと大きい丸い形の空間があって、
 ど真ん中に赤茶色の訳の分からない文字が並んだ丸いものが描かれている。
 この丸い空間も周りには飾りつきの大きい柱が並んでいる。
 一番奥にはこれまた訳の分からない文字の並んだ石版がある。
 所々は欠けているがちゃんと読もうと思えば読めるのだろう。
 そして、その文字の下には絵が描かれていた。
 明らかに人種が違う二人の人間の絵。
 二人が手を合わせ、光り輝く物を持っている絵。
 二人の周りに沢山の人が倒れている絵。
 その他にも沢山の繋がりも分からない絵が描かれている。
 その時、自分に影が被っている事に気づいた。
 確か最初にここに足を踏み入れた時は石版の方に太陽があって、
 少し離れた位置に立っていたヴァルの前辺りに石版の影があった。
 よって、ヴァルに影が被るという事は石版の上に何かがあるという事。
 勢いよく見上げてみると鎌を持った人物がいた。
 逆光で見にくいが、帽子を被っていて帽子から溢れるばかりに長髪が風でなびいている。
 反射的に石版から離れる。背中で背負っていたイノセンスに手をかける。
 「誰だ!!!」
 「_________答える必要は無い」
 「ただ、答えられる事はある」
 「何が言いたい」
 相手がどんな表情で話しているか分からない。
 晴天で少し暑いくらいなのに冷たい汗が頬を伝っていく。
 「お前はここでオレに葬られるって事!!!!!」
 つづく
