二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ヴァンデルバスター 幻想の王 開催 ( No.5 )
- 日時: 2010/09/29 19:04
- 名前: 秋空 (ID: OK7TThtZ)
- 参照:
- ヴァンデルバスター 
 幻想の王
 第一章:桜舞う国で
 プロローグ:夜明け前に地獄を見て…
 ......嘘,お父さん?街が___
 血の海に……
 目の前の男は誰?
 知らない男!
 知らない知らない知らない知らない____
 コイツが___この男が私の世界の全てを!!?全てを___
 全てを壊した元凶!!?
 __________________
 (数時間前の話__)
 ———魔界
 その頃,人間が生活する地の上より遥か下,太陽の届かぬ擬似太陽を,
 崇める世界魔人界では,オペラが繰り広げられていた。
 そのオペラとそっくりの物語が地上の上の隔絶されたある街で行われようとしている。
 オペラホール___円状の有に三万人は収容できそうな大オペラホールでそれは行われている。
 演壇の真ん中には道化師の様な衣装に身を包まれた語り手,
 そして,左端には大きなパイプオルガンと奏者___奏者の名前はハルウェイ。
 容姿端麗・才色兼備で知られる最高のピアニストだ。
 シャギー「そうして,一夜の内に絶望の淵に追いやられた少女は復讐を誓うのです♪」
 ___でハ,語りモ終り物語を始めまショう♪
 パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!
 会場がどっと盛上る。
 「長いんだよ!」「待ちきれねぇ!!早く魅せろ!!」多くの男達の声___
 今回行われるオペラは今魔界で一番人気の復讐劇「ヨハネス」と言う作品___
 ヨハネスは主人公である少女…父,破壊の魔王というたった3人の人物劇で冒頭部分を飾る。
 その冒頭部分と彼女の人生は酷似する。
 否,その後の道程も酷似しているのだ___
 幕が閉じ少女役の女と父親役の男が演壇へと上がる。
 ピアノの音と同時に幕が開く。
 ダァン...歌い手「お父さん,貴方を私は信じるわ〜♪」
 父「そうか,お前のその言葉を聞くと私はまだまだ頑張れる〜♪」
 ________
 (数時間前の話___)
 ———人間界
 北欧の大陸,万年雪の積もるドラクライト山脈の裾にあるオーブライトと言う街。
 何の変哲も無い人の営みが其処には有るが閉鎖的な裏も有った。
 この街は護るべき至宝が有るのだ。それを護る護衛のリーダーをしているのが,
 物語のヒロインであるカタリナ・ツヴァイの父,フィリップ・ツヴァイだった。
 フィリップの家___
 護衛団のリーダーだからと格段良い所に住んでいる訳ではなく
 中心街から離れた閑散とした場所に居を構えている。
 それは彼の人となりだろう。
 何か富を得たり名声を得る為に護衛団のリーダーになっているのではなかった。
 夜......まだ,幼いマティリアの隣に父も寄り添うように寝ている。
 マティリア「お父さん,今日は凄い楽しい事を聞いたの!」
 フィリップ「ほう,何だい?」
 マティリア「あの凄く強い魔人達をたった1つの戦士団が全滅させたって話!!
 その人達は凄く若くて凄く格好良かったんだって!!本当に居たのかな?」
 フィリップ「あぁ,居たさ___ビィト戦士団,多くの7つ星を撃破し平和と希望を与えた者達!
 いつか,必ず彼等の様な者達が出てくると思う!だから,それまで俺達が護るんだ」
 マティリア「何を?」
 フィリップ「俺はその人達みたいに凄い人じゃないから欲張りは言えないな。
 そうだな___この街とマティリアの笑顔を護れれば俺は幸せだ」
 マティリア「おとうさん大好き!!僕___お父さんみたいに格好良い男に___」
 カァ〜…フィリップ「残念ながら男には成れないぞぞマティリア?」
 何時も,マティリアの言葉を真正面から受け止めてくれる父が彼女は好きだった。
 優しくて強くて正義感に溢れているとても良い父だった。
 ダダダダダダダッ___階段を誰かが駆け上がる音がした。
 バタン___執事「若様!」
 フィリップ「オルガ?どうした!?」
 執事「はぁはぁはぁはぁ___魔人です!魔人ですじゃ!!それも六つ星!!」
 執事のオルガ___マティリアが生まれる前からハイド家に従っていた好々爺だ。
 いつもはおどけてみせる彼が今回は息を切らせて深刻な顔___マティリアは不安がった。
 マティリア「おとうさん___行くの?」
 フィリップ「世界の平和のためだ」
 マティリア「死なないで!!」
 フィリップ「あぁ,お前が結婚するまでは死ねないさ」スッ___
 フィリップは心配させないように笑みを浮べそう言いながら彼女の頭を突き,
 催眠系の術を使った。そうして,門の方へと向かう。
 ダン__フィリップ「皆,遅れてすまない。」
 団員「いえ!まだ,門が破られてないんで全然OKですよ!!」
 そう団員が言った瞬間に門にヒビが入った。
 次の一撃で門が壊れる。そう誰もが予想できた。
 皆が,人間の攻撃手段である天撃の用意をする。
 ズドォン___バーチェ「よぉ,人間諸君こんばんは♪赤い絨毯でお出迎えって気はなさそうだ?」
 ダン…団員「当たり前だあぁぁぁぁ!!天撃の火柱!!」
 ボワァッ...
 ドドドドドドドド…バーチェ「俺はあんた等の命を狩る積りは無いんだ…」
 団員「魔人の戯言を耳にするな!!」
 バーチェ「俺は唯,あんた等の護る至宝……銀翼のティアラが欲しいだけ...」
 スチャッ_____
 フィリップ「悪いが___それは俺達全員を殺すまで手に入らないだろうな」
 バーチェ「命より大事なのか___」
 フィリップ「人間の命など紙ほどにも思っていない奴が言うな!!!」
 怒りの滲んだ声でフィリップは怒号した。
 対してオールバックの赤の瞳を持った長身痩躯の魔人バーチェは
 血を求める手を握りつぶしながら人間を殺すまいと耐え忍ぶ。
 彼は新しい魔人と人間のあり方を説く一派に所属している。
 故に,なるべく人を殺さずに武功を手に入れる方法を模索して此処まで来た。
 是からは人間と同棲する術を模索しようと考えていた所なのだ。
 そんなバーチェの思いを砕こうとフィリップは才牙を開放する。
 <大河の牙よ飲み込め...アンデスローン>
 ゴバァ...バーチェ「!!!」
 ズバァ…フィリップ「戯言を言い続けて死ね」
 ガシィ…バーチェ「もう,我慢できねぇ…殺す…殺す!!」
 グシャァ…フィリップ「馬鹿な...俺の才牙を容易く?」
 ビチャチャチャチャ…団員「団長の援護をするんだあぁぁぁぁぁ」
 スパパパパ…バーチェ「不可能だ」
 フィリップの水の薙刀…バスター達の切り札,才牙の力により大きな傷を追うバーチェ。
 自分が死んでまで貫く意志でもないと彼はフィリップの才牙を砕いた。
 それを見た団員達は団長フィリップの援護をとバーチェに向かうが直ぐに殺されてしまった。
 バーチェ「………是が力の差だ」
 ドドドドドドドドドドドドド___まるデ鬼ノ様な姿だっタ___
 フィリップ「矢張り,貴様は悪だ!」
 ダン…バーチェ「まだ,向かってくるか?」
 フィリップ「当然だ…我等は戦士!戦の中で死ぬ!!」
 カッ___<すまないマティリア......引くと言う言葉を知らない馬鹿な男は此処で死ぬらしい>
 ポタタ___
 砕かれた才牙を再生させて切りかかっていって十数合打ち合った後だった。
 フィリップの腹をバーチェの手刀が貫いたのは___
 貫通している。出血の量も半端ではない。
 加えてバスターの心の姿でもある才牙が砕けたりすればその分の損傷がバスターにも現れる。
 全てを加味してフィリップの体力は限界を迎えていた。
 ズルッ…フィリップ「もっと…もっと,強く成れたら良かったなぁ」
 涙ながらの最後の言葉___バーチェの脳の奥底に聞こえていた。
 その後もバーチェは村中を荒しまわった。男も女も子供も老人も構わず,
 引き千切り首を飛ばし腸を引き出し焼き尽くした。
 しかし,フィリップの家の少女には手を出さなかった。
 理由は2つ有る。
 1つは父の術のお陰で騒動に気付かず眠って居た為家の外に出ず
 バーチェの怒りが冷めるまで見付からずにすんだ事。
 そして,バーチェが彼女の父を良く覚えていた事。
 全てが___全ての設定が「ヨハネス」と同じだった。
 ___________
 マティリア「貴方が?貴方が父を___村を?」
 バーチェ「そうだ。全て俺がやった。」
 マティリア「何で私は殺さなかった?」
 バーチェ「唯一印象に残っている男が居た。そいつがお前の父親だと知った___」
 マティリアは真実を知り目の前の男に怒りと憎しみをぶつけた。
 男は微動だにしない。父の術により眠らされていた少女は生延びれた。
 怒りと悲しみとで胸が痛い。魔人にとっては何の痛みも感じないだろう。
 しかし,それでも目の前の男をその小さな掌でか細い腕で殴った。
 バチィン…マティリア「殺してやる!!あんたなんて殺してやる!!!」
 バーチェ「無理だな。今のお前じゃ永遠に俺を殺せない」
 マティリア「あああああああああああぁぁああぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁアアァァァァァアァ」
 惨劇の夜明けに少女の声が木霊する。
 あたり一面は血の絨毯......ことの首謀者は目の前に居る。
 それなのに何も出来ない自分の無力___子供と言う弱さ………
 少女は何よりも力なき自分を呪った……
 バーチェ「復讐したいなら力を付けろ。俺は行くぜ?」
 マティリア「見逃した事後悔しろ!」
 ポタポタ___
 唇から血が出るほどに唇を噛み締め掌から血が出るほどに爪を食い込ませ,
 殺意に満ちた瞳で魔人を見送ったあの朝___
 それがもう,数年前の事だ……
 少女は立派な戦士となっていた___
 ∞END∞
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