二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 夢の中の俺はモンスターハンター 20話更新 ( No.37 )
- 日時: 2010/07/22 17:35
- 名前: アビス (ID: 4K4kypxE)
- 21話 
 見える過去と繋ぐ未来
 「さてと。忘れもんはないか?暮羽、スイ」
 「うん、大丈夫」
 「は〜い」
 「じゃ、行くか」
 ——————————
 「ところで思ったんだが、スイ」
 「ん〜?な〜に?」
 「そのマント、暑くないのか?」
 スイが全身を包むように羽織ってるマントはどう見ても暑そうだった。
 でもスイは、平然としている。
 「暑くない。これ、風が通って気持ちいい!」
 「風?通気性が良さそうにも見えないけど・・・」
 竜人がスイのマントをよく見ようと、スイのマントを掴む。
 だが、直ぐに勢いよくマントを元に戻す。
 「お・・お前・・・」
 「??竜人、どうしたの?」
 暮羽が竜人の様子が可笑しいのを見て、尋ねる。竜人は依然として可笑しい。
 「お前、どうしてマントの下何も着てねーんだよ・・・」
 「ええ!!!??」
 「?????」
 つまりはそういうこと。竜人がスイのマントを掴んで見た時、
 マントの下がスイの裸体である事に気づき、すぐさま戻したという事。
 「スイ、洋服はどうしたの?」
 「あれ、体チクチクで痒くなるからやだ!」
 「そのマントは平気なのか?」
 「そう、これは全然平気。痒くもない、着心地良い!」
 ランラン♪とくるくる回りながら言うスイ。よくはしゃぐスイだが、
 マントの下が裸と知ると、見えそうで何故か冷や汗をかく。
 この後、スイを落ち着かせるのに10分はかかった。
 ——————————
 ようやく、ゲヘナの奥地に一番近い村にたどり着いた一向が目にしたのは信じられないものだった。
 「村が・・・壊滅している?」
 村の建物は全て灰となって崩れており、辺りからは人の気配が全くしなかった。
 ただ、物が焼けた臭いと飛び散る炭の臭いで満たされる空間になっていた。
 「どうなってるの?」
 焦げた村の中を歩き回りながら人はいないかと探す。よく見ると辺りには人の残骸の他に
 モンスターの死体もそこらに落ちていた。
 「モンスターが村を襲ったのかな?」
 「いや、違うな。村人はともかくモンスターも人と同じような焼かれ方で死んでいる。
 ・・・モンスターと人が何かの生物によって殺された?」
 死体となっているモンスターに竜人が触れる。すると、竜人の頭の中に何か映像が流れ込んできた。
 場所はおそらくこの町。人がまだたくさん賑わっている。そこに現れた一匹の巨龍。
 それが全てを焼いた。人を焼き、建物を焼いた。
 町が死んだ後、町に住みつたモンスターも同じ巨龍に焼かれていく。
 巨龍は全てを焼いた後、大空へと飛んで行った。そこだけなら、天空に舞う天龍にも見える神々しさだった。
 そこで映像が終わった。自分は知らず内に蹲っていたようだった。
 隣りを見ると暮羽も同じように蹲っていた。
 「暮羽、もしかしてお前も見えたのか?」
 「う・・うん。今の何かな、・・・過去?」
 すると、そこで近くにスイがいないことに気がついた。辺りを探すと、スイは空を見上げながら突っ立っていた。
 声を掛けるとこちらを向くが、その場から動かない。
 「この町からママの匂いがした。でもその匂い、ここで途切れてる」
 スイが独り言のように語る。
 「どっちの方角にお母さんの匂いがするかわかるか?」
 「あっち・・・のような気がするけど、分からない」
 スイが指さした方角は龍骨の渓谷の方角と、そして巨龍が飛んで行った方角と一致していた。
 「・・・とりあえず、この村の皆を供養させよう。そしたら、龍骨の渓谷に向かってみよう」
 3時間くらいかけて皆を一つのお墓に埋葬させた。そして十字架にはこう刻んだ。
 『偶然か必然か 邪悪なる巨龍に葬むられし人々よ せめてあの世では幸有らん人生を』
