二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜稲妻学園小説 ( No.17 )
- 日時: 2010/03/09 17:03
- 名前: ゆうちゃん (ID: 66DLVFTN)
- 久しぶりにキーワード検索してたらなつかしいひとコマってか、重要なシーン的なのを見つけてしまったので、UPしてみます。 
 読んだことある人は知ってるやつです。
 暇だったら読んでみてください。
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 「ん……」
 目を開けると佐久間の心配そうな顔があった。
 「風丸!」
 手だけが温かい。
 佐久間が握っていてくれたのだろう。
 「よかった……」
 佐久間の顔には涙の後があった。
 俺はゆっくり体をおこした。
 「すまなかったな、心配掛けて」
 そう言って、佐久間のほおに触れた。
 「な、なんだよ」
 佐久間が照れたように後ずさる。
 「なんでもない」
 急に触れてみたくなった。
 弟の肌に。
 昔と同じように……
 「そ、そんなことよりさ!源田がお見舞いつって、さっきバナナ持ってきたんだぜ。食うか?」
 病院にバナナ……
 「いや……、普通りんごじゃないのか」
 佐久間は食べるかと聞いておきながら、自分でバナナをむいて食べだした。
 「ふぉら、げんらっへさ。ふぁななみはいなあはまはかひゃ(ほら、源田ってさ。バナナみたいな頭だから)」
 「飲み込んでからしゃべろよ」
 笑った。
 佐久間といると、楽しい。
 「———入るよ」
 ドアのほうを見ると……
 「———ヒロト……」
 「久しぶりだね。まぁ、佐久間は練習試合で会ったか……」
 「何しにきた」
 歩み寄ってくるヒロトから、風丸をかばうように佐久間は立った。
 「心外だな。俺はただ見舞いに来ただけだよ?」
 「今すぐ帰れ」
 佐久間が言う。
 怒りがこもっていた。
 「どいてよ。用があるのは、君じゃない」
 ヒロトは佐久間をどけた。
 「……佐久間、外で待っててくれ」
 「風丸?!」
 風丸は佐久間に向き直った。
 「こいつと、話したい。二人で」
 「……いいのかよ」
 「あぁ」
 佐久間は「なら、わかった」と言って、ヒロトを一瞥すると、ドアをゆっくりとしめて出て行った。
 「……で、なんの用だ?」
 風丸は静かに切り出した。
 ヒロトは持っていたかばんの中から、りんごを出すと近くの机においた。
 「お見舞いに理由もなにもないだろう?俺は友達と話しがしたかっただけさ」
 ヒロトはにこりと、笑った。
 風丸はそれで、自分の考えが正しかったことを察した。
 「連れ戻しにきたんだろ?佐久間を」
 彼は急にまじめな顔になった。
 「ちがうよ。俺が連れ戻しに来たのは君だよ」
 「なぜ?だったらどうして、春矢と風介を送り込んだ?」
 ヒロトは驚いた。
 「バーンとガゼルがいるのか……」
 「知らないのか?」
 「……あぁ。二人の独断だろうね」
 ヒロトは驚く一方で、薄笑いを浮かべる。
 「頼みがあるんだ」
 風丸はヒロトをしっかりと見た。
 変わっていない。
 一緒にいたあのころと。
 何も……
 何も変わってない———
 「お前の言うとおり、俺を————」
 「風丸ー?」
 俺は風丸の病室に入った。
 ヒロトがいようが、いまいがもう5時を回っていた。
 早く寮に戻らないと、先生に怒られる。
 「……風丸?」
 兄の姿はなかった。
 「どこ行ったんだ?」
 窓が大きく開いていた。
 カーテンがばたばたとゆれる。
 「まさか……」
 机の上にあったりんごが、転がっておちた。
 りんごに文字が書かれていた。
 『Thank you.,,,love you.』
 ありがとう、……愛してる。
 「風丸……」
 俺は窓の外を見つめた。
 涙が零れ落ちる。
 どうして俺はいつも、取り残される?
 さみしいんだ。
 寂しかったんだ……すごく。
 「おいてかないで……」
 一人に……
 「……一人にしないでくれよ!!」
 約束……したじゃんか。
 大丈夫って。一緒にいるって……
 『ヒロト、頼みがあるんだ。お前の言うとおり、俺を…………』
 ‘宇宙学園に連れて行ってくれ‘
