二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA短編集! ( No.157 )
- 日時: 2010/06/17 18:08
- 名前: るりぃ (ID: Xo.SINAM)
- 『ドキドキアニマルパラダイス』 
 とあるホームセンターでテナントとして営業している小さなペットショップ。
 私はそこのスタッフとして働かせてもらっている。
 「今日も1日が終わるなぁ〜。」
 時計を確認すれば、もう夜の7時を回っていた。
 そろそろ閉店の時間だ。
 私は1日の最後の仕事、お店の犬をガラスのショーケースから寝室代わりのキャリーへ移し変え始める。
 お店の犬は全部で9頭。
 他のペットショップと比べるとちょっと少ない。
 けど、その分愛情でカバーしているせいか人懐っこい子が多いのがうちの店の自慢。
 「それにしても…店長の放任主義には驚いたよ…。」
 なんて犬に向かってぼやきながらも手は休めずに、次々と犬達を抱き上げてはキャリーへ移動させる。
 ここのお店で働き始めて早1ヵ月。
 ようやく仕事にも慣れてきた頃、店長からまさかの一言。
 『週末は出張するから、後は任せた。』
 そんなセリフを残して、店長は忙しい週末に姿を消した。
 気づけば私ともう1人新人の子、そしてトリマーさんの3人でお店を管理していた。
 しかもシフトの関係で、閉店3時間前は1人で店番をしなければならない。
 つまり今、私の他に犬達しか居ない状態だ。
 「まぁ…その代わり、こうしてキミとふれあえるんだけどね。」
 テキパキと掃除を終えて、店じまいまで少し時間が余る。
 その余った時間の中、お気に入りのチワワをだっこするのが私の日課だ。
 生まれて8ヶ月、フォーンカラーでオスのロングチワワ。
 結構かわいい顔をしていると思うんだけど、このお店で売れ残り組にあたる。
 「キミも早く新しい家族が出来るといいねぇ〜。」
 床に座り込み、キャリーからチワワを再び出してだっこする。
 そのチワワは私に相当懐いているのか、なんの躊躇いも無く私の腕の中で包まった。
 「すごい良い子なんだけどね〜。ねぇ〜チワワのチワさん。」
 ちなみにこの《チワさん》は私が勝手に付けた名前。
 ほら、チワワって呼ぶのも味気無いでしょ?
 「俺様、そんなだっさい名前じゃないんだけど。」
 「ダサくて悪かったわね!!」
 うん?
 今、話しかけられた?
 「それにしても俺様を選ぶなんて、アンタ相当変わってるね。」
 もしかしてお客さん?
 でも選ぶって、私が何を選んだろ?
 「まだ気づかないの? 見た目通り鈍いなぁ〜。」
 軽く悪口を叩かれるも、その姿が見当たらない。
 キョロキョロと辺りを見渡したけど・・・人の気配なんてしなっかった。
 私の他に居るとすれば・・・。
 「やっと気がついた?」
 それは私の両腕の中に居るチワさんで・・・。
 「ええええええぇぇぇーっっ!!?」
 「耳元で大きな声出さないでよ。」
 チワさんは確かに私を見つめながら口をパクパクと開けて。
 普通の犬の声帯では発音不可能な人間の言葉を喋って…いる!?
 「えっ!? どうして!? 何で!?」
 あまりの不可解な出来事に、私は体を動かすことが出来ないでいた。
 「俺様の名前は佐助。漸く話が出来たね。」
 そんな私の事など露知らずにか、チワさんが自己紹介を始める。
 だけど、
 「こんな事、ありえない!!」
 パニックに陥った私は、チワさんを素早くキャリーに戻しては一目散にタイムカードを切ってその場を逃げ出してしまった。
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 「ただいま〜。」
 アパートの扉を開けながら一番最初に、私は彼らに向かって帰宅の挨拶をかける。
 彼らと言っても人間ではない。
 玄関で靴を脱いで、暗闇の部屋で勘を頼りに手探りで蛍光灯のスイッチを探した。
 指先の感覚で見つけたそれをパチンと押す。
 途端、チチッと蛍光灯に電気の流れる音が耳に入ればすぐに部屋が明るくなった。
 次に窓に向かってカーテンを閉めて、私はもう一度彼らに声をかける。
 「ただいま。お留守番ありがとうね。」
 彼ら、それはケージに入っている小さな私の家族。
 私が仕事に行っている間、彼らに変化が無いか確認する為ケージに近づいた。
 「ぴーちゃん、ちゅーちゃん。」
 彼らの名前を呼んでみる。
 「ピー」
 するとすぐに返事が返ってきた。
 「ん、すぐご飯入れてあげるから待っててね、ピーちゃん。」
 今のはオカメインコのピーちゃん。
 全身はホワイトで頭の飾り毛はなぜか紫。
 私が言うと親ばかに聞こえるかもしれないけどなかなかの美人さんだ。
 「ピーちゃんは美人さんだねぇ…」
 私が声に出してそう言うと隣のチューちゃんが不満の声をあげた。
 「うんうん、チューちゃんも美人さんだよ。」
 チューちゃんとはセキセイインコ。
 両羽衣セキセイである。
 だけどこの子は頭部の羽毛が茶色で、両肩の羽毛がオレンジと黄色なのだ。
 「動物って不思議…」
 私はピーちゃんとチューちゃんををみてそう呟いた。
 すると…
 「俺ら、動物じゃないよ。」
 「慶次君、今、この状態では僕らは動物にしか見えないんじゃないかい?」
 ペットショップのチワさんみたいにピーちゃんとチューちゃんが話し始めたのだ。
 「えっ…なん…」
 あまりの出来事に私の脳みそがショートして、私はそのまま気を失った…
 あとがき
 気が乗れば続くかもしれませんね(笑)
