二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: DQスターズ ー神と魔王と星の主ー ( No.11 )
- 日時: 2010/08/23 04:22
- 名前: L.O.B. ◆x1uH80VgBs (ID: x8gi1/u3)
- 武「う〜ん」 
 ?「聞………すか」
 武「ん、誰だ…」
 ?「聞こえますか…」
 武「聞こえてるよ。あんたは一体…
 って、此処何処だっ!?」
 おかしい。確かに俺は宿屋のベッドで寝ていたはず。
 しかし辺りは真っ暗。もしかして夢の中…? そして謎の美しい声…
 ?「はい。察しの通り、此処は貴方の夢の中です」
 武「まだ何も言ってないのに、あんたは俺の思考を読めるのか」
 ?「はい。ですが時間がありません。本題に入ります」
 武「はあ…」
 ?「実は、貴方をこちらの世界へ誘ったのは私です」
 武「へ〜。って、今何て言った!?」
 今確かに俺を導いたのは私だと言った。
 姿も見せず、ただ淡々と話し続ける謎の存在…。こいつが全ての元凶…
 ?「はい、私が全ての元凶です。そして貴方を…」
 武「俺をどうするって…!?」
 ?「私は…貴方を…」
 徐々に遠くなる声。
 武「ちょ、待て! あんたは一体!?」
 武「待てっ!」
 ナメ「さっきからずっと待ってるりゅん」
 武「あ、あれ? ナメック??」
 ダン「大丈夫? 何だか凄くうなされてたよ?」
 武「ああ、別に大丈夫…」
 そこには、2匹の俺の仲間がいた。
 やはり夢だったようだ。
 しかしあの声は一体? ナメックでもダンでも無いと思うが…
 窓の外を覗くと、外はもう夕方。
 …そもそも寝る前の時間帯を知らないので、どれだけ寝てたか分からないが。
 武「そう言えば待つってどういう事だ、ナメック?」
 ナメ「ちょっと見て欲しい物がありゅん」
 武「? まあいいや。それでそれは何だ?」
 ナメ「こっちだりゅん!」
 そう言うなり、ナメック達は宿の外に飛び出した。
 俺も急いで仕度し、後を追った。
 武「わっ、速い! もう少しペース落としてくれっ!」
 ダン「急ぎの用なの! だから急いで!」
 武「はあ!?」
 実は俺は結構太っている。そのせいか走るのが遅い。
 やがて、町の入り口で2匹の足が止まった。
 武「はあ…はあ…一体何なんだ!?」
 そこには、沢山の人と魔物が集まっていた。いわゆる野次馬か?
 ダン「ボロボロの魔物がいるの! 最初は僕達が連れて行こうと思ったけど、何だか嫌がってるみたいなんだ!」
 武「嫌がるって…」
 とにかく見てみないと話にならない。
 武「すいません、どいて下さいっ」
 野次馬の人達を掻き分け、俺は奥へと進んだ。
 …ダンやナメックの大きさでは押し出されて入れないようだ。
 そこには、酷く傷ついた1匹のスライムベスが横たわっていた。
 武「凄い怪我だ! 大丈夫か!?」
 俺が触れようとしたその時、
 スライムベス「触るなっ!!」
 俺の手は払いのけられた。
 だがそれが必死の抵抗である事は言うまでもない。
 武「はいっ!?」
 スライムベス「触るなって言ってるのよっ!」
 武「そんな、触るなって…
 この怪我だと、とにかく何処かに運ぶべきだろう!」
 スライムベス「うるさい! あんたには関係無いっ!!」
 武「関係無いって…もういい、こうなったら勝手に看病させてもらう!」
 武はホイミを唱えた! (MP13→11)
 スライムベスの傷が回復した!
 スライムベス「ちょっと、何するの! 私の事なんかほっといてよ!!」
 そういう意地はもう無視しよう。
 武「良かった。怪我治ったぞ」
 スライムベス「この馬鹿人間っ!!」
 武「馬鹿って…!」
 無視しようと思ったが、流石に段々腹が立ってきた…!
 俺はこういう決まり文句的な悪口は嫌いなんだよ!
 すると、野次馬の人達が、
 野次馬A「あーあ、助けてもらってあの態度かよ! 信じらんねえ!」
 野次馬B「あたしも助けようとしたけど激しく抵抗されたわ」
 野次馬C「あんな魔物、野垂れじねばいいのに。あの少年もつくづくお人好しなもんだぜ」
 ちょ、しねばいいって…! そりゃ言い過ぎだ!
 武「何て事言うんですか!? この世に要らない生物なんていません!」
 野次馬C「人の言葉を話す癖に俺達に従わないなんておかしいだろ」
 野次馬D「こんな魔物とっとと追い出しちまえ!」
 野次馬達「そうだそうだ!」
 この展開は不味い! 何とかしなければ…
 でもどうすれば…そうだ!
 武「皆さん聞いて下さい! 実はこの魔物は俺の仲間なんです!」
 …とっさに思いついた案がこれだ。
 スライムベス「何デタラ…」
 否定されるのを防ぐため、俺はスライムベスの口を手で抑えた。
 武「今の状況分かるだろ? ここは俺が何とかするから、しばらく黙っててくれ」
 スライムベス「むごうぐぼごー!」
 暴れるスライムベスを抑えたまま、俺は口を開いた。
 …それにしてもなんてパワーだ!
 武「ホント済みませんね、俺のしつけがなってないばかりに…」
 野次馬A「全くだ! 次から気を付けろよ!」
 武「めんぼくない…」
 野次馬B「でもマスターがいるって分かって安心したわ。」
 野次馬E「ねーママ、お腹空いたよー」
 野次馬F「そうね。じゃあ帰って夕食にしましょうか」
 野次馬G「もうこんな時間か。俺もそろそろ帰ってメシにするか。
 ぼうず、命は大切にしろよ」
 命を大切に、か。俺に言ったのかベスに言ったのか分からんが。
 そして、野次馬の人達は去っていった…
 ナメ「やっと見えたりゅ。ん、武…?」
 武「ふう、何とかなったか…」
 俺はベスの口を塞いでいた手を戻した。
 スライムベス「あんた、どうしてあんな嘘ついたのよ…」
 武「さっきも言っただろ? 状況打破の為だよ」
 スライムベス「…あんな奴ら、私1匹で充分だったのよ!」
 ん? よく見ると目が潤んで今にも泣き出しそうだ。
 ホント、どこまでもツンツンしてるな、こいつは。
 でも、これはチャンスかもしれない。
 俺はベスを思い切って抱き上げて、こう言った。
 武「泣きたいときは泣けばいい。我慢しても辛いだけだ」
 スライムベス「あんたなんかに私の何が分かるのよ…」
 武「まあ今会ったばかりだし分かる方が怖いし。
 でもこれだけは言える。俺はお前の味方だ。これからもずっと…ね」
 スライムベス「ずっとって…うっ…うっ…うわああん!!」
 遂に心のダムが決壊したか。
 武「よしよし、辛かったな。好きなだけ泣けばいい」
 それから数分後…
 武「落ち着いたか? 実は頼みがあるんだけど…」
 スライムベス「頼み? まあ聞くだけ聞いてやるわ」
 もうツン復活か? 早いな…
 武「さっきとっさに仲間だと言ったけど、このまま本当に仲間にならないか?」
 スライムベス「!? 冗談は顔だけにしてよねっ!!」
 …どういう意味だそれは。
 武「ああ、嫌なら別にいいんだけど。ただ、またさっきのような状況になると思うとほっとけなくてね。
 もちろん、ついて来てくれるならお前の体は俺が補償するし…」
 スライムベス「!!?\\\」
 あ、顔が真っ赤だ。オレンジ色の体からも分かる位に。
 ナメ「武、そういう誤解を招く言い方は良くないりゅん」
 武「あれ? そんな事言ったか?」
 う〜ん、よく分からない。
 スライムベス「ま、まあ、あんたのおかげで助かったのも事実だし、そこまで言うならついて行ってあげてもいいわよ?\\\」
 まだ顔が赤い。この顔は冗談じゃなさそうだ。
 ナメ「おお、ツンデレだりゅん!」
 スライムベス「私はツンデレじゃないわよ!」
 武「ツンデレって、あのツンデレ?」
 ダン「つんでれ? 何それ??」
 スライムベス「だから違うってば! 話を聞けっ!」
 ナメ「おお、ツンデレ萌〜、だりゅん」
 武「ああ、ごめんよ、つい。
 仲間になるなら、もちろん歓迎するよ! 俺は武、よろしく!」
 ナメ「おりゅは武以上に感謝してるりゅん。
 あ、おりゅはナメックだりゅん」
 ダン「僕はスラダン。よろしくね!」
 スライムベス「私は<ベスラン>よ。その…一応…よろしくね…」
 ナメ「うーん、ツンデレはやっぱりいいりゅん!」
 ラン「だから違うって言ってるでしょ! さっきからなんなの、あんたは!?」
 ベスランが怒ってナメックを追い回している…
 ナメ「ひいっ、暴力反対だりゅん!」
 ラン「こら! 待ちなさいよ!」
 ダン「ああっ、喧嘩はよくないよ〜」
 武「やれやれ…」
 仲間が増えてまた賑やかになった。
 まさかこんなタイミングでベスを仲間に出来るとは…
 しかし、今度のは少々癖がありそうだ。
 ナメックはあんな調子だし、ダンは頼りにならないし…
 やっぱり俺がしっかりするしかないか…
 それにしても、あの夢に出てきた声は一体なんだったんだろうか…?
