二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 《銀魂》凛 と し て 咲 く 花 の 如 く ( No.367 )
- 日時: 2010/10/12 18:31
- 名前: 月兎 (ID: dD1ACbVH)
- 参照: はい、さぁ残り3訓で終わるのでしょーかッッ((焦
- 第二十九訓「詰め込みすぎには要注意」 
 —
 『小僧』
 「はいっ!?」
 走りながらの新八、自然に声が大きくなっている。
 雪羽氷の問いかけに反応した。
 『あ奴はなんなのじゃ…?』
 あ奴、その雪羽氷の言葉に新八も何となく予想がついていたのか口を開く。
 「神凛さん、ですよね。」
 『ああ、神凛という奴じゃ。あ奴からはワシにも分からぬ何かを感じた、そこにいるのにいないような、笑っているのに笑っていない…そんな張りぼてな存在のようだった』
 その複雑な雪羽氷の言葉に新八は少し笑ってから言う。
 「僕もよくわからないんです」
 雪羽氷が神凛に触れて感じた、何か。
 でもそれを今、彼らが知る筈もないけれど。
 「でも一つだけ分かることはあります。
 不器用だけど優しい、大切な僕たちの仲間です」
 そう、新八は答えた。
 —
 「はぁっ、はぁ、はぁ」
 激しく息を荒げて神凛はそれでもなお大人数の相手に負けをきっしず対抗していた。
 その場では高い金属音が鳴り響き、こすりあう音とともに徐々に赤い点を増やし、
 「 」
 相手のボスである、椿幸の元まで迫っていた。
 「神凛っ!」
 共に戦っていた銀時が声を上げる。
 同じく呼吸を乱しながらも椿幸の部下を蹴散らしていたが、
 突然向きを変えた為に後ろががら空きになってしまう。
 それに瞬時に反応したのは神凛、ではなくそれより一足先に椿幸の部下が刀を振りかざしていた。
 「あぶなっっ!!」
 神凛は口に一本刀を加え、右手だけで全体重を支え重力に逆らった体制を成す。
 左手にはもう一本の刀を、右足で自分が相手をしていた者を蹴りあげ、左足で。
 左足で、振りかざされた刀を止めた。
 刀が神凛の足に突き刺さり、嫌な音と、純白の包帯が紅で染まっていく。
 「なっ!?」
 その神凛の常人ではありえない行動に手を下した相手も驚いた様子だったが次の瞬間苦痛を訴え始めた。
 「うがぁぁぁ!!」
 下を見れば、不自然な左手で持った刀を使い、相手の足を刺していたのだ。
 「不合格」
 神凛はそう言い、崩れ落ちた相手を無視。
 体制を元に戻した。
 「おまっ!」
 銀時はすぐに神凛を見た。
 すると彼女は
 「テメー相手に後ろ取らせるとかどんなサービスしとるんじゃぁ!!」
 そうキレた。
 自分の二本の刀を下に捨て、足に刺さったままの三本目の刀を自ら抜いた。
 「っ」
 血があふれ出て、深くささっていたのか刀の一部が全て紅で染まる。
 「おらっ、いつまで木刀で戦っとんじゃ」
 そう言って、その刀を銀時に投げる。
 「おいっ、足お前!」
 銀時は止まることのない足の血を見て、心配そうに目を向けた。
 「余所見すんなボケ!」
 神凛はすでに刀を拾おうとしていた椿幸の部下を手のみで倒れさせると、二刀流を構え、言う。
 「銀時、もうお前ダメだわ。鈍ってんのそっちだろー、ここはまかせて手ぶらなラスボスよろしく」
 奥には少し焦ったようにした、無防備な椿幸がいた。
 所詮物が無ければ何もできないという事。
 「それはこっちのセリフじゃ、ボケェ。こんな敵の本拠地の中心に女置いてけるかよ、それにアイツなんか持ってたらどうする気だ」
 銀時は受け取った刀で敵の刀を止めながら、横目で神凛を見る。
 「でも、いつまでたっても減らないわけ、ここで一生戦いたいの?そんなわけあるかィ!どっちかがあれを倒せば終わるんだよ」
 あれ、椿幸。
 「さっさとおじゃんにして、帰ろうよ」
 神凛は、そう言った。
 すると、後ろの敵が悲鳴を上げる。
 それより先に黒煙が上がり、爆音と爆風が襲った。
 『お前らー何やってるアルかぁ!!』
 その後ろから顔を出したのは、元執事の揺義。
 『これ以上、雪羽氷様のご友人を傷つけるのは許しませんよ』
 と、取り繕った笑みと言葉で言い、ナイフを構えた。
 「おっと、いいとこに、二人とももう名コンビじゃんか」
 神凛が笑い、銀時の顔をうかがってから
 「もう安心できるかな、譲ったのに何だけど、私あいつにちょいと用事が合って、ね!」
 高く飛ぶと神凛は、隙間を降りてからすばやく移動し、敵をなぎ倒しながら敵のボスのもとに向かった。
 「おいっ!」
 銀時は予想にはしていたものの、そう叫んだ。
 向かってくる神凛に椿幸は、銀時の言っていた何か持っているかも、の品をうちはなった。
 だが、それも無駄足掻き。
 神凛は驚異的な刀さばきで銃弾を真っ二つに切りおとし、た。
 「そんな筈っ」
 「残念、てめーのことだから優秀な部下にでも言われて護身用に一つ持ってたんだろーよ。」
 銃弾はもうそれからは発射されず、ただの黒い塊と姿を変える。
 「ま、いつでも隣で守ってくれる奴がいたんだから、必要ない。使わなくても済む、そう思ってたんだろーが大外れ、その執事が裏切るなんて思ってもみなかったんだろ」
 揺義がこちらを見る。
 「ま、そんな深い考察は後から思い立ったもん。ボスが流石に何も持ってないのはおかしい、ってだけさ。」
 神凛はそう言うと、刀を何もできなくなった椿幸の喉元へ向けた。
 「おのれ、小娘がァァァ!!!」
 椿幸が、その屈辱と。
 羞恥に、吠えた。
