二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 時間 【鋼の錬金術師】 ( No.39 )
- 日時: 2010/07/05 17:02
- 名前: 魁菜 (ID: dfKYMG8n)
- *° 第11話 ブローチ *° 
 家に帰るその前に、墓地に寄った。1つのお墓……トゥローのお墓の前に立ち止まった
 そして髪をほどく。トゥローは髪をおろしている方が似合っていると言ってくれたからだ
 「トゥロー。明日から南部の町に行ってくるよ。町の名前は『ヴェルゼラ』。もし人を殺める事になっても……いや、ないよね。私の錬金術は、再構築形式錬金術だから……。あ、そうだ!」
 持って来た『それ』を墓の上に置く。いつかは鳥が奪って行くだろうけど……
 「町に売っていたんだ。作る時間はないから……。でもまた持ってくる。どうせばれないだろうしね。今日ね、トゥローそっくりの子と会ったんだよ。本当にそっくり。……本当に」
 風がふく。髪がなびく。もううっとうしくなったので、ヘアゴムで髪をくくった。そして立ちあがる。……意を決して
 「それじゃあね、トゥロー」
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 家に帰って、とっととシャワーを浴びた。軽く食事をすまして、ごろんとソファに寝転んだ
 ヴェルゼラの町に行く準備はしたから、後は明日になるのを待つだけだ
 「あ……軍服干しとかなきゃ」
 風呂場に置きっぱなしだった軍服をハンガーに掛けると、しわがないようにしっかりと伸ばした。
 まだ乾ききっていなくてべたつく長い赤髪をかきあげて、棚の整理でもしようと決める
 「……あ」
 整理そうそう、懐かしい物が出てきた
 「これ……」
 出てきたのは、私が国家錬金術師に認定されたときに託された二つ名が描かれた物。懐かしい
 さらにゴソゴソしていると、奥からトゥローのくれた指輪が出てきた。金色に輝くリングに、青い宝石がついた指輪
 「……トゥロー……」
 振り払ってなんとか整理を終えると立ちあがった。
 だが、その時、コロンと何かが落ちた。その方に目を向ける
 「これは……」
 これもトゥローがくれた物。ブローチだ。開く様になっていて……その中には、私とトゥローとの写真が入っている。
 このころは……私は素直に笑えて、今よりも女らしさがあったと……思います
 「……」
 何も言わずにソファに戻って、机の上の銀時計の隣に置いておいた。これできっと、持っていくのを忘れないだろう
 「……さてと」
 棚の整理の間に髪が乾いたので、私はゆっくりとベッドに向かう
 「おやすみ、トゥロー……」
 そう言って電気を消した。
 墓に置いてきたクッキーも、もう小鳥に食べられていることだろう
