二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 黒と橙のお菓子は甘く *ハロウィン! ( No.552 )
- 日時: 2010/10/31 11:02
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
- +*黒と橙のお菓子は甘く*+ 
 のんびりしているヒロト、晴矢、風介、リュウジ、茂人の五人。暇そうに誰かがあくびをし、部屋に充満した眠気でもう寝てしまうのではないかという状態の時——
 「トリック・オア・トリートーっ!」
 勢いよく開かれた扉の音と愉快そうな大声に、その眠気は一瞬で吹き飛ばされた。
 「今日はお菓子を貰う日なのっ! さっさとよこしなさい晴矢!」
 「は、はあ?」
 「杏、同年代の子から貰う日ではないように思うが……」
 黒いネコ耳と尻尾に鋭いつくりものの歯をつけた杏は、戸惑っている晴矢をびしっと指差し、得意げにネコ耳を揺らす。どうやら黒猫に仮装しているようである杏を見て、風介は苦笑いをした。
 そう、今日は十月三十一日、ハロウィン。子供達が「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」と家々を訪ねてまわるというものだが——それは小さい子供が近所の家の親にお菓子を貰う、というのが一般的であり、中学生という年齢で同年代の人にお菓子をねだるというのはあまりないだろう。
 「私達のハロウィンは貴方達から貰うの。風介、早く頂戴」
 静かな声で冷静に、しかし瞳にはいつになく(圧迫的な)期待を込めながら手をだしたクララには、大きめの体全体を包み込む黒いマントと、杏のつけているものよりも鋭く大きい犬歯。頬には赤い絵の具が塗ってあり、吸血鬼をイメージするような格好だった。
 詰め寄るクララに、参ったな、という表情をする風介を助けようと思ったのか、茂人が二人の間に入りこむが腕を華の小さい手で掴まれてしまう。
 「茂人君、お菓子欲しいよっ」
 「ちょ、華?」
 小柄な体に似合う小さい黒い羽と、ぴんと立った黒い角。可愛らしげのある悪魔の仮装をした華は、ぎゅっと茂人を引っ張る。力の差はかなりあるため華を引き離すことは簡単だが、悪い気がして抵抗できない茂人。
 違う場所では、逆にヒロトとリュウジが玲名を囲んでいた。
 「相変わらず玲名はどんな格好でも似合うねー」
 「姉さんは魔女でしょ? すっごい綺麗だよ」
 「そんなことより菓子をだせ」
 大きい帽子を深めにかぶり、黒一色の衣装を身に纏った玲名は、口々に言われる褒め言葉を遮って催促する。
 いつもはクールでもこんな子供っぽいところもあるのか、と二人は感じたが、そう言うと殺される危険性があるため裏だけで留めておくことにしたようだ。
 「で、でもそんなこと急に言われても用意してねーし……」
 「あー、今から買ってこようか?」
 まだ困惑している晴矢達の中で、茂人が追従笑いを交えながらそう提案する。だが、女子達は不満そうに口を尖らせた。
 「それじゃなんか面白くないのっ! ハロウィンだってこと忘れてたそっちがいけないのよ!」
 「だからハロウィンは私達じゃなく大人にねだるものだ」
 風介が面倒くさそうに反論をすると、途端に押し黙ってしまった杏。するとクララが何か言いたげな杏に代わって小さく呟いた。
 「……欲しいのはお菓子だけじゃないもの」
 え? と男子がクララに視線を向けると、クララは楽しそうに笑っている。しかし——それは何かを笑顔の裏に隠しているような、そんなものだった。
 一瞬妙な間が空いてから、玲名が口を開いた。
 「仕方ない、もう諦めてやろう」
 身を翻してドアへと向かう玲名達。男子がよくわからないままほっとするのも束の間、杏が幼いいたずらっ子のようににかっと笑う。
 「でもイタズラはきちんとあとでしてやるからねっ!」
 そんな言葉を残して、ささやかで不思議なヒロト達のハロウィンは幕を閉じた。
 +
 多分レアバン・クラガゼ・バラヒト・緑→ウル←ヒロのようなものでハロウィン。
 女子達はなんとなく何かを期待してたのにまったく鈍感だね! ていうお話です´・ω・`
