二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.125 )
- 日時: 2011/02/07 23:27
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ガーベラは希望、君に希望を。チューリップは正直、君に正直に。
- *+番外編+* 
 「やぁ、輪廻」
 扉を開ければ、彼はニコッと笑う。
 「部長就任、おめでとうございます」
 輪廻の手の中にあるのは、チューリップとガーベラの小さな花束。
 「みなさんも、お祝いに来たんですか??」
 輪廻はレギュラーを見ると、ニコッと笑う。
 「いや、俺達は部の状況を知らせに来たんだ」
 柳が答えれば、そうですか、と輪廻の声。
 「え、つーか、コイツ幸村ぶちょーの知り合いっスか??」
 赤也が不思議そうに言うと、紅蓮は赤也の頭をわしゃわしゃする。
 「俺と銀花の知り合い。つか、妹みたいなもん」
 紅蓮がニコニコ笑い、銀花もコクコク頷く。
 「え、妹とかマジ勘弁。ハッキリ言って、一番私がマトモじゃん」
 輪廻が露骨に嫌な顔をすれば、クスッと幸村の笑い声。
 「変わらんじゃろ、ほとんど三人とも同じナリ」
 仁王が溜息混じりに言うと、ムスッとする銀花。
 「仁王先輩、酷いです!! 銀花はマトモです」
 ね、と銀花は柳生に助けを求める。
 「柊くんよりは、マトモだと思いますよ」
 ニコッと柳生が言うものの、不納得の銀花。
 「紅蓮はもう異常なんです!! 一緒にしちゃ、イヤですよ」
 むすー、とすれば、真田はおろおろ。
 「な、もう帰らねぇ?? 輪廻も来たし、幸村暇になんねーだろぃ」
 ぷくー、とガムを膨らませながらブン太は言う。
 だが、輪廻は慌て気味で、ブン太を見た。
 「え、いや、私すぐ帰ります。唖李栖と夕飯作る約束したし」
 「少しだけ、話そうよ。ね??」
 「えっと、じゃぁ、少しだけ」
 輪廻は少し困り顔のまま笑う。
 みんなが病室を出て行くとき、仁王は輪廻に耳打ちをした。
 「っ!! ち、違います!!」
 少し顔を赤らめて大声で言うものだから、廊下に居るレギュラーは振り向く。
 「何でもないナリ。のぅ、輪廻」
 仁王が言えば、コクコクと輪廻は凄い速さで頷いた。
 ***
 「あ、花はそこに置いといてくれれば良いよ」
 みんなが出て行った後、輪廻は幸村のベッドの横にあった椅子に座る。
 「体調はどうですか??」
 「うん、変わりないかな。輪廻は??」
 「私もです。唖李栖も凄く元気です」
 「今日は、来てないんだね」
 幸村の言葉で、少し間を空けてから輪廻は頷く。
 「用が、あったみたいで」
 「用か。……、アメリカかな??」
 輪廻は驚いた様子で彼を見る。
 「何で、知って」
 輪廻が聞けば、ふふふ、と彼は笑った。
 「蓮二達に頼んで、テニス雑誌は買ってもらっているからね」
 彼は言い終わると、彼女の買ってきた花を見る。
 「輪廻も、アメリカ行くんでしょ??」
 幸村に言われ、輪廻はぎゅっと、スカートの裾を握った。
 「優しいね。でも、行っておいで」
 そう言った瞬間、輪廻は幸村に飛びつく。
 「何で、こんな時期に、何でっ」
 よしよし、と言う風に幸村は輪廻の頭を撫でる。
 「俺は大丈夫だよ」
 大丈夫だから、と続ければ、輪廻は顔を上げた。
 「大丈夫じゃないです!! 今にも、泣きそうじゃないですか!!」
 「それは輪廻だろう」
 「違います!! こ、この意地っ張り!!」
 輪廻のあ、と声と共に、幸村はクスッと笑う。
 「へぇ…?? いい度胸じゃないか、輪廻」
 サー、っと輪廻の顔が青くなっていく。
 「ゆ、幸村さん。か、顔が、怖い、で、いえ、何でもナイデスヨ」
 輪廻は、視線をずらしながら答える。
 「でも、行っておいで。チャンスなんだから」
 「会えないなんて、嫌ですよ」
 「電話する。アイツ等も、きっと毎日メールしてくれるよ」
 「嫌です」
 ふぅ、と幸村は溜息を付く。
 彼女は頑固な所がある。
 そのため、周りの言葉を聞かないときがあるのだ。
 「唖李栖達はなんて言ってるんだい??」
 幸村が聞けば、彼女はぶすっとする。
 「行け、って。唖李栖の場合は、一緒に行こう、だけど」
 ボソボソと言えば、幸村は彼女の片割れを思い出す。
 ずっと、輪廻に引っ付いていた彼は、今、どんな思いだろう、と。
 「ねぇ、輪廻。
 もし、俺が普通にテニスしてたり、輪廻が俺と出会ってなかったら、どうする??」
 「ど、うする、って??」
 「その話を受けるか、どうかってことだよ」
 幸村の言葉を聴くと、輪廻は少し考えてから、口を開いた。
 「行ってた、と思う。何も、考えないで」
 その素直な言葉に、幸村は頬を緩ませる。
 「輪廻、あのね——————————————————————」
 ***[数年後]
 「輪廻ー!! 早く、早くー!!」
 「今行くー、っと、唖李栖も早くしなさい」
 「えー、僕、会いたくないなー。どうせ、みんな輪廻目当てじゃん」
 「もう、折角お休み取れたんだから、グズグズ言わない!!」
 「はいはい。……、じゃぁ、輪廻行こうか」
 「ん」
 ***
 “輪廻、あのね、俺、輪廻にアメリカに行ってほしい”
 “なんで??”
 “好きだから。俺が、カッコ良くなるまで、アメリカで待っててよ。ね??”
 “……、ん。せーいち”
 “え、と。何だい??”
 “りんねも大好きー!! えへへ”
