二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Chapterⅱ ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.19 )
- 日時: 2010/08/30 18:58
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: 君ノ笑顔シカ、僕ニハ見エテイナイ。
- *+第三話+* 
 もう、何十分経っただろうか。
 いや、実際には、数分しか経っていない。
 だけど、周りの人間からは、そのぐらいの時間が経っているような気がしていた。
 「まだまだ!!」
 ニヤリと笑いながら、彼は打ち返す。
 二人も打ち返すが、さっきから息が合っていない。
 「……、来た」
 那紅埜は気に入らないようで、眉を寄せながら呟いた。
 「これが、僕のテニスだよ…??」
 クスッと、笑いながら。
 いつものように、柔らかい笑みで。
 彼は、突き落とすのだ。
 「3-1」
 奈落の底へと。
 「あれ、息、上がってません??」
 少しずつ。
 「うっるせー…」
 少しずつ。
 「あんま、無理すんなや。岳人」
 2人の間に、亀裂を作りながら。
 「分かってるって」
 彼は笑う。
 「何をしている」
 ドスの聞いたような声が、コートに響く。
 「榊監督」
 跡部が言うと、唖李栖が反応した。
 「わぁお、アンタ監督だったんだ」
 唖李栖が冷たく言い放つ。
 「唖李栖。暴れるな、と言ったはずだが」
 榊監督が唖李栖を見れば、彼はきょとん。
 「これぐらい構わないでしょ?? 本気すら出してないんだから」
 右手で握ってたラケットを、ぎゅっと強く握る。
 「部内を荒らしたんだ、コート内10周」
 行ってよし、と言うポーズをしながら、レギュラーも含め全員に言う監督。
 「皆さんは関係ないですよ??」
 きょとん、と首を傾げる彼。
 「思ってもないコトをよく言えるな、唖李栖」
 「あらら。榊監督ひどーい」
 彼はショックそうな顔をするが、楽しそうだ。
 「でもね、」
 ニヤリ、と彼は口角を緩める。
 「“僕の大好きな人”には、本当のコトしか言わないよ??」
 いつも通りの笑顔で言うと、先に走っていく。
 「……、どうだかな。跡部、後は頼んだぞ」
 そう言って去っていく、監督。
 「分かってます」
 跡部の視線は、唖李栖にしかなかった。
 ***
 「んー、こんなモンで、10周ですかね」
 筋を伸ばしながら、跡部に聞く唖李栖。
 「あぁ、10周程多かったがな」
 そんなコトを呟かれても、唖李栖は知らん振り。
 「さてさて、僕の紹介でもして良いですかね」
 ゴクッ、と飲み物を飲んでから、跡部に言う。
 「あぁ。集合だ!!」
 パチン、と指を鳴らしながら、跡部が集合を呼びかけた。
 直ぐにやってくる、部員たち。
 その多さを見て、少し驚く唖李栖だったが、直ぐに笑顔になる。
 「おい、紹介しろ」
 跡部の言葉に、彼はちゃんと頷く。
 「僕は暁野宮 唖李栖。三波さんとは同じクラスです。
 因みに、レギュラーにはなりませんから」
 ニコッと笑いながら、最後の言葉を部長に向かって言う。
 クスクス、と後ろやフェンスの向こうで笑い声が聞こえる。
 嗚呼、きっと馬鹿にされてるんだろうなー、と唖李栖は思う。
 「あー!!」
 向こう(ベンチ)で叫ぶのは、芥川 慈郎。
 「君、あれだよね!! ダブルスナンバーワン!!」
 その言葉で、コート内、コート外が静かになったのは、言うまでもない。
 「……、何で知ってるんですか」
 驚きつつも、普通に答える唖李栖。
 「これこれ!! 朝、買ったテニス雑誌に載ってたCー!!」
 バンバン、と叩きながら、ジローは唖李栖に雑誌を見せる。
 「……、そーいや、載せるとか言ってたっけ」
 パタン、と閉じるとジローに雑誌を返す。
 「ね、ね、俺と「嫌です」……、まだ何も言ってないCー」
 ブスッと、するジローを無視した唖李栖。
 「では、宜しくお願いしますね。先輩達」
 ニコッと、彼は笑った。
 ……、嗚呼、早く帰って輪廻に会いたいなァ。
