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そして、春。僕らは中二になった。

「もう佳主馬もあっという間に大きくなったわね…。」
母さんが妹を抱えてつぶやく。
「…行ってくる。」
「はぁーい。」

※初めてヒロインsideになります。

…私は一人黙々と学校の用意をする。家には誰もいない。
「…行って来ます。おばあちゃん。」
視線の先には少し幼い私と栄おばあちゃんが写った写真があった。
家を出て空を見る。大好きだったおばあちゃん、私のいない間に消えてしまうなんて思ってもいなかった。親が亡くなったとき、泣くのをこらえて必死に現実を見ようとしていたときおばあちゃんはそっと抱きしめてくれた。…しまった。今日の「行って来ます。」、「逝ってきます。」にすればよかった。まあおばあちゃんに「馬鹿言うんじゃないよ！」って怒鳴られるだろうな。
おばあちゃん、またひとつ成長したような気がします。

「小夜。」
「あ、うん。行こ。」

その日は、辺りに咲く桜のピンクがまぶしかった。