二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ONE PIECE—裏切りの白魔導士—ワンピレストラン開店! ( No.82 )
- 日時: 2011/02/19 14:57
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
- 第十七話 スリラーバーク 
 「なるほどなぁ・・・」
 ブルックから一連の出来事を聞いたウソップは、少し混乱しながらもそう唸った。
 影は、数年前ある男に奪われた。
 よって彼は光に拒まれる存在と化し、鏡にも映らず、それどころか陽光を浴びると解けて消えるのだと言う。
 「そいつ、どこのどいつなんだ!おれたちが奪い返してやるよ!!」
 「ヨホホ・・・。ルフィさんはお優しいですね。——しかし、私のために死んでくれ、なんて言えません」
 「相手が強すぎる、って事か?」
 ルフィの切羽詰った声に、ブルックは諭すように静かに言った。
 冷静にゾロは聞く。
 「いいだろ、名前くらい。減るもんじゃあるめェし」
 「言えません。言うあても無いのです」
 少し沈んだように、ルフィは席に着いた。
 ブルックはどこからかバイオリンを取り出し、すっと構えた。
 音楽家・・・慣れた手つきで構えるブルックを見て、リィフはそのことに気づく。
 「しかし、今日の良き日の為に一曲行きましょうか。私、実は前の船では音楽家をしていましたので」
 「ホントかーー!?じゃあ音楽家二人になるじゃねェか!賑やかになるな!なぁ頼むから仲間になってくれよ〜」
 しかしルフィが言った瞬間、ブルックがある一点を見つめて甲高い叫び声を挙げた。
 一斉にその場の全員が同じ方向を振り向く。
 「ゴ・・・!ゴ・・・!ゴースト!!」
 「うわァ!?なんだァ!!?なんかいるぞ!!!?」
 チョッパーは涙目になり、ウソップが叫んだ。
 確かに船内の壁から、白い生物—生物なのかも疑わしい—がぬっと出現していた。
 間髪いれずに、何か大きなものが落ちたような物音がした。
 「なんだ、今のでけェ音は!!」
 「まさか・・・この船はもう監視下にあったのか!?」
 ブルックが誰に言うともなく、そう呟いてダイニングの扉を勢い良く開いた。
 愕然としたように、入り口でブルックは言葉を失う。
 ワケがわからないと言うように、彼の後姿を見てウソップが頭を抱えた。
 「なんだ、監視って!?」
 「皆さんは、流しダルを拾いましたか!!?」
 「それが罠なのです!!」
 「流しダル!?まさか、魚人島ルートでダルを拾ってたなんて・・・!!その時から、狙われていたんですわ!!!」
 「何ィ!!?」
 「おい、この船はずっとここにいたのに・・・!なんでそこに、島があるんだ!!?」
 紫霧の中の、暗い大きな島。
 見えるのは墓場、骸骨のある堀、そして——黒い建物。
 甲板の上に、全員が出てきて見上げると、その大きさに眉をひそめた。
 ゴーストアイランド
 「ここは・・・。霧の海を彷徨う幽霊島、スリラーバーク・・・!」
 しかしブルックはそう言うと、ダイニングの入り口から70Mはあろうかという船首に跳び乗った。
 圧倒されたように、サンジが呟く。
 「うお、なんて身の軽さ・・・」
 「そう!〝死んで骨だけ〟軽いのです!!!本当に今日はいい日でした!優しい人々に会えた、食事もさせていただいた・・・。美味しかった!!サンジさん、今日の美味しい昼食、一生忘れません!!!もう会える日は来ないでしょう、皆さんは早くここから脱出してください!絶対に海岸で碇など降ろしてはなりません!!では!」
 「おいおい、待てブルック!!お前、悪魔の実の能力者だろ!!!海に跳び込んでどうすんだよ!!」
 ルフィが言い終わるよりも先に、ブルックは海面に降りていた。
 だが彼の体は沈むまでも無く、代わりに高速で足が動いて走っていた。感嘆の声をルフィたちは一斉に上げる。
 早々にブルックの姿は島に消え、ナミは冷や汗をぬぐいながら島のほうを眺めて沈黙しているルフィの背を叩く。
 「よしっ!アイツのことは放っといて、脱出するわよ!!とにかくホントにヤバイわ、この島っ!」
 「・・・ん?なんか言ったか??」
 当然、冒険好きなルフィの頭はそれで一杯で、ナミの怯えた言葉は耳でシャッターが下ろされ、遮断される。
 その証拠に、彼の目は冒険に対する期待で満ちたり、瞳は輝いていた。
 Σ「行く気満々だーー!!;」
 「さっきのゴーストは?まだ船にいんのか!!?」
 「いや、島のほうへ飛んでった。あの島の住民かなんかなんだろう」
 ウソップのビビリ発言に、サンジが返答した。もう頼る当てがないと言う風に、後の幽霊嫌い二人がその場にうずくまる。ナミは両手で肩を抱き、チョッパーは口が半開きのまま。
 「聞いて・・・みんな。私、〝島に入ってはいけない病〟にかかったみたい|||」
 「おれも!おれもそれ!!」
 ナミとチョッパーはうずくまったまま、半泣きでそう言った。
 しかも、病と言いつつチョッパーは「オバケコワイオバケコワイ」を連発している。
 都合よくウソップの嘘病にかかるものだ。
 リィフはそう思いつつ、ゆるく結わえてあった髪の水色のリボンを面倒臭いとでも言うようにほどいた。
 しかし嘘病を持病に持つ(?)当の本人は男部屋から出てきたルフィのほうに振り向いた。
 「よし!準備できたぞ!!」
 Σ「〝冒険準備万端病〟かお前は!!!なんだその虫網とかごは!!この島をなめすぎだ!!」
 「何言ってるんだ、おれは細心の注意を払いながら・・・」
 よく〝細心の注意〟という言葉が出たわね。・・・というか、ルフィにそれができるのかしら?
 彼は目を輝かせたまま虫かごを持ち上げた。
 「さっきのゴーストを捕まえて飼うんだ+」
 Σ「ナメ過ぎだ!!!」
 ウソップは口を開け、目を飛び出させてそう叫んだ。
