二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ONE PIECE】光の軌跡、双子の奇跡 @オリキャラ募集 ( No.69 )
- 日時: 2011/02/18 20:19
- 名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)
- 参照: 番外編だよ番外編。ペルリとかむちゃ気に入ったんで彼女らの短編です
 -非凡な日常、平凡な非日常-
 「……あーもう、楽しくないーッ!!」
 ペルリが急に叫んだ。
 研究所内の女部屋には数人の女が居る。 ペルリとヴォラも、その中に居た。
 仲良く談話している者も居れば、読書している者も居るし、身の回りを片付けたりしている者も居る。
 ヴォラは読書をしていたがペルリの五月蝿い声に痺れを切らし、分厚い本を閉じた。
 「五月蝿い。 俺の周りに集るな!」
 「は……蠅みたいな扱いしないでよ!! このダサ女! クール気取んないで!」
 「気取ってない! ダサくもないし、むしろお前の服色々つけすぎておかしくなってるぞ?!」
 ギャーギャーと騒がしい。
 女三人寄れば姦しいとは言うが、こいつらなら二人だけで十人分の五月蝿さだろう。
 周りの女たちは思う。
 ——今、二人は同じ事を思ってるんだろうな……
 と。 きっと二人とも“気に食わない”と思っているのだろう。
 「あれ?? ケンカ中かなー♪」
 陽気な口調で女部屋に堂々と入ってきたのはニコラルドだ。
 ペルリはしめたとばかりにニコラルドに食いかかる。
 「丁度良かった!! ねえ、ペルリ五月蝿くないよね?!」
 「え、五月蝿いでしょ♪」
 ペルリは拳を握り締め、ニコラルドに殴りかかろうとする。
 ニコラルドは軽く避けるが、バランスを崩して倒れてきたペルリには対処できず、一緒に倒れてしまった。
 ペルリがニコラルドに馬乗りをしている状態だ。
 無論言うまでもなく倒したのはヴォラだった。
 ペルリはヴォラの胸座を掴んで顔を真っ赤にしながら言う。
 「ヴォ〜ラぁ〜」
 「邪魔だったから、退けたまでだ。 ん、どうした、顔が赤いぞ??」
 ヴォラはからかうように言った。
 二人の目線の先に火花が散る。
 ニコラルドは二人を止めようともせず、ニコニコと笑ってみていた。
 「いい話があるよ♪」
 「「いい話ぃ??」」
 ニコラルドはぺけーと笑って立ち上がり、部屋から出て行く。
 「待ってて♪ 少し準備が必要なんだよ♪」
 ♪
 「なんっなのよー!!」
 ペルリの大声が部屋中に響き渡る。
 ニコラルドが出て行ったと思いきや、後ろに居た女一人がペルリの右手とヴォラの左手を手錠で繋いだのだ。
 女は少し怯えながら言う。
 「ニコラルド様がペルリさんに“もう少し学習しようよ♪”、と仰ってました」
 そう。 ヴォラは嵌められた事がないが、ペルリはしょっちゅうニコラルドに嵌められているのだ。
 このパターンも何度もやっているらしいが、ペルリは全然気付いていなかった。
 ヴォラは右の手のひらを額に当てて、呆れたように言う。
 「ふぅ……お前に“恥”というものはないのか?? ペルリ」
 「な、何なのよほんとにいいい!! ニコの作戦なんて……作戦、なん、て……」
 ヴォラは腹を抱えて笑い出す。
 ペルリはそれを見てまた顔を赤くし、目を大きく見開く。
 「たははッ! やっぱばかだな、ペルリ!! たはははッ」
 「う、五月蝿い! それとやっぱ笑い方とかダサい!」
 ヴォラは一通り笑った後、ペルリを気にせず歩き出す。
 勿論手錠で繋がれているのでペルリは地面を引きずられた。
 「ふ、ふざけてんのおおおお?! ねえ、ペルリの事見えてる?! 見えてないでしょ!」
 「ん?? ああ悪い! 面白すぎて忘れちまってた!! それにしちゃあ、ペルリ重いな!」
 ヴォラが引きずられて寝そべっているペルリの頭をポンポンと二回軽く叩く。
 ペルリは恥ずかしかったのか更に顔を赤くして、敵を焼き殺せるくらいの目線でヴォラを見る。
 「重いとか、レディーに使う言葉じゃあないでしょ!」
 「うん、多分装飾品の所為だな。 取ったらどうだ、俺はその方が好きだが」
 ペルリとヴォラは顔を見合わせて笑った。
 お互いがお互いを認めるように。 お互いがお互いを、好きあうように。
 皆が思うこの二人の関係は、きっと“相思相愛”だろう。
 恋だの愛だのではなく、友情でもなく、家族愛に近いような。
 その姿を、ニコラルドは曲がり角の脇で見ていた。
 ニコラルドの愛する少女が“お父様”と呼ぶ男と話しながら。
 “お父様”の姿は窓から差し込む月に照らされ、黒い影となって見える。
 「あの二人は何だかんだいいコンビですよね♪」
 「ああ……そうだな」
 “お父様”は満足そうに笑う。
 「あの二人も“廃棄”、なんですかねぇ……、お嬢さんが気に入ってたから、それだけは止して欲しいような♪」
 「ん、考えておこう。 他の女どもは“廃棄”決定だな。 あの二人を残すなら、仕方が無い」
 “お父様”は顔色一つ変えず、女どもの“廃棄”を決定付けた。
 お嬢さんは今、部屋で眠っている。
 ニコラルドは廊下の奥の“お嬢さん”の部屋に行こうと歩を進める。
 「じゃあ小生はお嬢さんのトコに行ってきます♪」
 「あいつも後に、だな」
 ニコラルドはバッと振り返って目を見開く。
 “お父様”は「随分とご執心だな、俺の娘に」と鼻で笑った。
 「心配すんな、“チェンジ”だ」
 “お父様”は闇の中へと消えていった。
 ニコラルドは白のベースに赤で少し装飾した壁をドン、と一突きした。
 「小生を怒らせたら、どうなるか教えてやろうか……??」
 ヴォラとペルリの仲は、これからも縮んでいくだろう。
 互いに遠慮のない仲になるだろう。
 ニコラルドと“お父様”の仲は縮まる事も広まる事もなく。
 ただの平行線だ。
 彼らと麦わらの一味がぶつかるのは、10年の歳月を経た後だ。
