二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン 異世界の危機 魔法募集中 ( No.564 )
- 日時: 2011/09/17 21:43
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 「へぇ〜カレーなんて聞いたことないや」 
 「簡単ですよ。ちょうど少しだけ食料を持ってきたバッグの中に、カレーのルーがありましたから」
 木野が取り出したのは小さな箱、その中にカレーというものを作るために、必要な調味料が入っているらしい。
 「で、ニンジンとか簡単に切っちゃえばいいのよね?」
 「はい!」
 木野たちも夏未が加わってとても楽しそうだ。
 「えぇ〜まだ作ってないのか…」
 「うん、そうらしいよ〜あの子たち、少し遊んでたから〜」
 特訓がハードだったのか、円堂たちは疲れているみたいだ。それにお腹が空いているらしく、円堂はテーブルにゴツンと額を当てた。結構大きな音が響いたことからすると、今のは痛い。
 すると、円堂がいきなり立ち上がった。
 「ど、どうした?円堂」
 隣にいた風丸が少しだけビクッとなって驚いた。いきなり立ち上がったのだから、誰でもそうなるだろう。
 「俺、ジョギングしてくる!」
 「頭までおかしくなったの?ここ頭を治すビョーインなんてないヨ」
 春奈もお腹が空いているらしく、テーブルの上でうなだれている。
 「ちょうどいいや!さっき、なっちゃんが言ってたけど、もうすぐできるから、守を呼んできてだって。多分、河川敷の方にいると思う」
 「河川敷?そこで何してるんだ?」
 「う〜ん、さぁ?」
 「とにかく呼んで来ればいいんだな、じゃあ、行ってくる!」
 「おい、円堂!!!」
 風丸が止めるよりも早く、円堂は食堂からいなくなった。
 「えっと〜河川敷にいるはずなんだけどなぁ〜」
 すでに辺りはもう真っ暗になっていた。空には綺麗に輝いている月も顔をだしている。
 一度走っていた足を止め、キョロキョロと辺りを見渡すと、ビュンと風を斬るような音が聞こえた。
 その音の方まで行くと、守が刃の鋭い刀でただひたすら素振りをしていた。まるで思考の流れを断ち切るように、激しく何度も打ち下ろす。
 ——すごい
 胸の奥でぽつりと呟いた。威圧というのか、迫力というのか、ものすごく強い力を感じ取れる。
 見惚れていたら、円堂はようやくここまで来た本当の理由を思い出す。自分はここへ守を呼びに来たのではないか、と自分に突っ込んだ。
 「……あっ、見てる場合じゃなかった。お〜い!そろそろ食事だぞ〜!」
 円堂の声に三秒ほど遅れて、守は刀をゆっくりと下ろした。彼の瞳は、またこいつか、と訴えているように、円堂を拒絶している。
 首にまで下ろしていたバンダナをあげる前に、守は額の汗を拭ってから、元の場所へと戻した。
 円堂の呼びには答えず、とぼとぼと歩いて彼がいる坂を上る。
 「そうだ、なぁ、ここで少し話さないか?」
 「ハァ…」
 守がため息をした。
 本当にこいつは諦めの悪すぎる奴だ。
 「あっ、もう逃げるなよ!」
 「逃げねぇよ…どうせ、また捕まえられるだろうし…」
 余計な話をしなければいいだろう。毎日追い掛け回されるよりはマシだ。
 しょうがなく、守はその場に座り込んだ。同時に円堂も隣に腰を下ろす。
 「それで、お前は何がしたいんだ?毎日俺を追い掛け回しやがって…」
 「だから、話がしたい、って言ってるだろ?いつも逃げるからじゃん」
 唇を尖がらせて、円堂は言ったが、その後、すぐに表情を変えて、守が一番聞かれるのを嫌っている質問を口にした。
 「これだけ、聞きたいんだ…お前はどうしてサッカーをやめたんだ?」
 「…言わなかったらどうする?」
 「大好きなものに、嘘をつく理由だけでも教えてほしい」
 「『同じ』じゃねぇか」
 「それって、サッカーが好きだってことだよな?」
 「っ…」
 図星をつかれてしまった。自分でさえも気づかなかったことに、鈍感であろう彼に気づかれた。本当にこいつは一体なんなのか。
 ——そうだ、俺はサッカーが好きだ。
 昔なら迷わず、すぐに答えただろう。しかし、今の俺にはその『資格』がない。俺がサッカーを好きになる、サッカーをやる資格などない。
 「七年前のことだ……俺はサッカーをやらなくなったのは…」
