二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*駄作者1周年!? ( No.572 )
- 日時: 2012/04/30 18:02
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
- 第61話 ベンチにリターン!? 
 魁渡「試合、どうなってるんだ?」
 鬼道「2−0、帝国が圧倒的だ。」
 そう告げると、魁渡が驚いたのが携帯越しに伝わってくる。まあ、当然かもしれないが…。
 魁渡「キャプテンは何もしてないのか。」
 キャプテン、という魁渡の声の響きは久し振り。10年前に戻ったような感覚に陥る。
 鬼道「…だが、恐らく後半に雷門は反撃を開始するはずだ。」
 魁渡「ああ、キャプテンが簡単にやられる訳ないしな。」
 鬼道「それで、調子はどうだ?」
 魁渡はリハビリ中だ。今は休憩時間で、ふと試合の様子が気になったらしい。
 偶然ハーフタイムと重なり、俺は電話を取る事が出来た。
 魁渡「絶好調だ!あ、それで今度リハビリ専用施設に行けたら行きたいんだけど…」
 鬼道「ああ、その話なら聞いている。魁渡が希望するなら構わない。」
 サンキュー、と言う魁渡の声は本当に嬉しそうだった。早くサッカーをやりたいのだろう。
 サッカーを出来ないのは、魁渡にとって相当の苦痛だ…。
 魁渡「あ、じゃあもう戻るから!教えてくれてありがとなっ!!」
 通話を終了させると、佐久間が情報を持って来た。剣城が雷門中に戻ってきたらしい。
 剣城、か…シードの。
 後半は、荒れるな。———そう予想する事は出来た。ただ、まさか…帝国があんな事になるとは、想像する由もなかった。
 **
 天馬「剣城、今のお前はサッカーと向き合って無い!!そんなんじゃっ…」
 サッカーと、向き合って無い。
 天馬君の言葉で、剣城君の目が揺れる。真っすぐだなあ、なんて思って見ていたら天馬君がひときわ大きな声で言った。
 天馬「サッカーが、泣いてるよッ!!!」
 …泣いてる?感情があるって思ってるの?
 不思議な子…だからこそ、普通は出来ない革命を起こしかけてるんだろうけど。
 歌音「橘さんの携帯、震えてるわ。」
 橘「えっ、ほんとだ!ごめん、電話だからちょっと…」
 どうしたんだろ、これはソフィアからの通信って事。悪魔は動かないのに、何で?
 ———だけど、悪魔は突然動くみたいだ。
 橘「ど…して?」
 ソフィア『もしかして貴女、聖力使ったんじゃない?少しでも漏れてたら、居場所はすぐに分かるのよ?』
 事情を呑み込むのには時間がかかった。どうして、と聞き返すまでに何分必要だっただろう。
 だって、今までソフィアの予想が〝完全に〟外れた事は無かったんだから。
 橘「…でも、あたしの聖力なんかで!?」
 剣城君を握り締めちゃった時だ…だけどあたしの聖力は、周りの人に実力よりも弱く思えるっていう評価を貰ってる。
 そのあたしの聖力で!?
 ソフィア『…確実に芽を潰そうって事かもしれない。魔界は全力で、天界に対抗してるのね。アルモニ、頼んだわ。』
 橘「…待って、悪魔ってどんな奴か分かる?」
 何だろう…すごく、胸騒ぎがする。
 ソフィア『少し下のランクみたい。ひたすらに目的達成のため動く——だから頼むわ、アルモニ。』
 橘「…勘弁してよッ!!」
 勝手に通信を切断する。
 目的達成、ソフィアの口調からしてそれはあたしを潰す事?
 もし帝国の選手に万能坂戦の時みたいに乗り移って、そこに聖力を発動させるあたしがいなかったら……。
 橘「あたしをあぶり出そうとするっ…」
 (力ずくでッ…。)
 「どうしたら良いんだよッ!!」
 雷門中のベンチ、そこに集まるサッカー部の皆。
 悔しそうに吐き捨てる倉間先輩を始めとして、輪が作られている。皆、表情は暗かった。
 あ…、嫌な予感が的中しそう…。
 神童「霧野、すまない…」
 霧野「お前達のせいじゃない、俺の力不足だ。」
 その輪の中心に居たのは、葵ちゃんにスプレーで応急処置をされる霧野先輩。
 あたしに気付いた天馬君の説明によれば、突然性格の変わったFWに先輩がスライディングされたらしい。
 結構危険なプレイで、先輩は前に痛めた足首をもう一度痛めてしまったんだって。
 フィールドを見ると、悪魔がいた。正確に言うと、悪魔に乗り移られたと一目で分かる人が。
 速水「あんなの、止められないですよ…」
 剣城「…ランスロットでも歯が立たない。」
 当たり前だよ。
 点数を見てみると1−3。マッハウィンドで1点を取ったのは見たから…その後悪魔が来て取り返されちゃったみたい。
 あたしのせいだ…感情に流されて聖力をうっかり使ってしまった、あたしが悪い。
 それなのに雷門の勝利が遠ざかってしまった。霧野先輩が怪我をしてしまった。
 ——せっかく雷門は11人になったのに。つきのんと剣城君のお兄さんと、皆さんの夢が叶うのに。
 三国「…月乃。アイツがいれば…」
 剣城・橘「!」
 …そうだ、つきのんは万能坂戦で雷門イレブンを救った。
 悪魔から人間を守る事が、天使の仕事!つきのんみたいには出来なくても、A級天使長として!!
 橘「あたしを…あたしを出して下さいっ!!!」
 **
 〜神童SIDE
 橘の言葉に、雷門イレブンの全員が驚いていた。霧野も顔をしかめている。
 浜野「いや…つか橘ってサッカーやんの?」
 橘「いっ、一応…」
 桃色の瞳が揺れる。自信が無いんだな…。
 するとその様子を見た倉間が、抑えた声で警告した。
 倉間「やめとけ、怪我するだけだ。」
 霧野「それに俺は大丈夫だ、応急処置してもらえば戻れる。」
 橘「嘘吐かないで下さいっ!!」
 倉間と霧野に言われ、橘は怒ったらしい。確かに、霧野は大丈夫と言い難い。それでも橘の怒り様は少しおかしい気がする。
 あそこまで、普通怒るだろうか。
 橘「あたしはこれでもっ、つ…月乃さんと一緒にサッカーしたんですからっ!!」
 神童・霧野「!」
 え…橘が、月乃と…?そんな事、月乃は一言も…
 円堂「橘、お前はどうして試合に出たいんだ。」
 橘「雷門の勝利に貢献したいからです!それに…霧野先輩に、無理はしてほしくないから。」
 サッカーが出来るのは怪我のない体だから、と声を小さくして橘は呟くように言う。
 ふと霧野を見てみると、霧野も俺の方を見ていた。
 やっぱり、さっきの〝月乃と一緒にサッカーをした〟というのが気になるのだろう。
 円堂「よし、代えのユニフォームを着て来い!」
 橘「はいっ!」
 *
 歌音「…橘さん、良かったら今度サッカーに誘ってくれる?」
 橘「うん!歌ちゃんともやってみたいなって思ってたから!」
 歌音「歌ちゃんはやめて。」
 **
 試合に出たは良いものの、練習に出ていないからか皆と息が合わない。思っていたよりも悪魔は強いし…。
 これじゃあ足を引っ張るだけと思っても、時は刻まれていくだけ…。
 だから霧野先輩の代わりとして出たあたしのポジションはDFだったけど、思い切ってFWに上げてもらった。
 言っちゃったんだよね、倉間先輩にちゃんとやれって言われた時に〝必殺シュート持ってるんだから!〟って。
 御門(?)「潰してやる、ザコ共が。」
 悪魔のマークに着くと、物騒な言葉をかけられた。
 橘「…やれるものなら、やってごらんっ!!」
 絶対に、雷門の皆は守って見せる!!
