二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【テニスの王子様】偽りの桜~第三話更新 ( No.12 )
- 日時: 2011/12/22 22:44
- 名前: 花暦桜花 (ID: lUcqHz23)
- 4、新たな出会い〜後篇〜 
 _____________龍が死んだ!跡取りはどうする?!
 龍が亡くなってすぐ、父様が発した言葉はそれだった。
 龍の死を世間にさらしたくない父様は必死に考え、考え抜いた答えは残酷なものだった。
 _________そうだ、薄だ。
 ____________薄を死んだことにすればいいんだ。
 僕の、私の目には龍と同じ翡翠のカラーコンタクトが入れられ、長く伸びた髪も切られて。
 葬式の時も、龍の葬式ではなく、私の葬式だった。
 そしてすぐに、「お前は今日から龍だ。」と言われた。
 それからの一年は_________________
 「…、…う、…ゅう、…りゅう、…龍!!」
 誰かが僕を呼んでいる。開けた視界に映るのは____
 「…金ちゃん…?」
 目に映ったのは、半分呆れた表情の金ちゃんだった。
 「おどろかせんといてや〜。死んだかと思ったやん。」
 勝手に人を殺すな。
 気が付けば、夕方。太陽が西に傾き始めていた。
 どうやら僕は居眠りをしていたらしい。
 「…てことは、今のは夢か。」
 「夢?どんな夢見とったん?!」
 興味津津で詰め寄る金ちゃん。
 「昔の記憶だよ。」
 そんな金ちゃんを僕は冷たい一言で突き放す。すると金ちゃんは「ちぇ〜。」と、ふてくされた表情になった。
 …過去の記憶。しかも龍が死んですぐの記憶。
 _______どうして今更。
 なんて、考えていた時だった。
 「ほな、行くで?」
 「…え?」
 行くってどこに?
 「はよいかな、みんな帰ってまう!」
 私の手首をつかんで金ちゃんは走り出した。
 …ものすごい速さで。
 * * *
 あれよあれよという間にテニス部部室前。
 …行くって、テニス部の部室のこと?
 「なぁ、金ちゃん、なんd「白石〜!連れてきたで〜!!」…ちょっとは聞け。」
 僕はもう軽く自暴自棄になっていた。
 あぁ、もぅ。どうにでもなれ。
 「悪いな、金ちゃん。」
 「何言うてんねん!ワイと龍は友達やさかい、連れてくることなんて、どうってことないんや!」
 な、と同意を求める金ちゃん。
 …僕、金ちゃんに拉致されてきたんですけど。
 なんて言えるわけもなく。
 ため息をひとつついた。その時。饒舌で…聞きたくもないものが聞こえてきた。
 「桜ノ宮龍。生年月日は7月6日のかに座。身長156センチ、体重40キロ。桜ノ宮財閥の御曹司。もともと双子の妹、薄がいたが飛行機事故で死亡、現在一人っ子。________」
 「ッ…。」
 _________違う。
 僕は…。僕は…。
 "薄、ずっと一緒にいようね。"
 "お前はいらない。ゴミだ。失せろ"
 "薄。俺、薄が好きだ。だから_____"
 僕は龍じゃない。
 薄だ。
 なのに…。
 「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
 「龍?どないしたん?!龍?!」
 僕はただ
 認めてほしかった。
 愛してほしかった。
 でも愛してくれたのは
 龍と彼だけ。
 名誉なんていらない。
 お金なんていらない。
 権力なんていらない。
 ただ僕は
 "私"として、薄として
 認めてほしかった______。
