二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ぬらりひょんの孫〜月下美人〜 ( No.212 )
- 日時: 2012/08/09 09:04
- 名前: このみ (ID: 3/dSGefI)
- 参照: http://yaplog.jp/momizi89/
- 第十九幕 分からない 
 それから、百年の月日が経った。
 最初は元気を無くしていたぬらりひょんも、輝夜たちが帰って来た時にこんな姿は見せられない!と言って、今ではすっかり元気を取り戻している。
 そして、ついには魑魅魍魎の主になる、という野望を抱いた。
 奴良組の妖は皆、熱い妖ばかりで、付いて行きますぜ大将!と言って自分たちの大将が天下を取る様を想像した。
 《輝夜、月夜、元気か?ワシは魑魅魍魎の主になる事にした。今の魑魅魍魎の主は京にいる羽衣狐だと言われている。
 ワシはそいつを倒して、魑魅魍魎の主になるつもりじゃ。早く良くなって、こっちに来てくれよ。天下を取って、待ってるぞ》
 ぬらりひょんは、月を見上げながら、心の中でそう呟いた。
 月を見上げることは、ぬらりひょんの日課になっていた。
 あそこにいる。手を伸ばせば届きそうなところに、二人がいる。
 「よし!こうしちゃいられねぇ!おい、お前ら!妖狩りに行くぞ!」
 今ぬらりひょんが居る場所は、京だった。
 江戸でかなり力をつけ、今は京で妖狩りをして力を付けている。
 ぬらりひょんは自分の部下たちに声をかけ、準備をした。
 「行くぜ!てめぇら!」
 「終わりの、始まり」
 『…?お母、様?どう、かいたし、……ましたか?』
 「…………輝夜」
 『は、い……?』
 「今まで言わなかったけれど————あなた達がかかっている病気の名前は、『終わりの始まり』というの。
 終わりの始まりには、段階が三つあるの。
 一段階目は、倒れたり、眩暈がしたり、吐き気がしたり……。
 二段階目は、起き上がれなくて、布団から出られない状態。寝たきり、とは少し違うけれど、まあそんな感じよ。
 三段階目は、沢山喋れなくなったり、思うように声を出せない状態。
 あなた達は今、三段階目。
 三段階目になると、もう————治らない」
 『っ———!!!!』
 「黙っててごめんなさい。いつ言えばいいのか分からなくて……」
 『……、いえ……。あり、がと……うございま、した……』
 「月夜にも、起きたら教えておくわ。もう、寝なさい」
 『はい……。で、すが、ぬら様の、様子を……、す…こし、だけ……』
 「わかったわ」
 夜瑠は違う部屋から水晶のようなものを持ってきて、輝夜に見せた。
 「ぬらりひょんは、魑魅魍魎の主になろうとしているわ」
 『主……』
 「そう。天下を取るつもりみたいね。……どうする?眠りにつく時期が早くなるかもしれないけど、下界に、行く?」
 『…………』
 「今じゃなくてもいいわ。ゆっくり考えて頂戴。おやすみ」
 『……おや…す、みなさ……い』
 ぬらりひょんと
 輝夜と
 珱姫と
 羽衣狐。
 未来は誰にも
 分からない。
