二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 狛犬は空を嘲笑う 【青の祓魔師】 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/22 11:22
- 名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)
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 「わ、此処が正十字学園かあ……」
 唯は目の前に聳え立つ何処か城を思い出させる学園を見上げた。
 名を正十字学園といい、世界有数の祓魔塾を備える学園だ。
 中学時代仲良くしていた奥村燐と卒業と同時に別れ此の学園に来た。
 勿論目的は祓魔塾である。
 あれこれ考えているうちに視界にピンクめいた茶髪の男の子が入ってきた。男の子は隣の目付きが悪い男ににやにやと笑いながら話しかけている。しかし、そんなことより唯はピンクの男の子が落とした財布に釘付けであった。
 男の子は気づいていない様子なので、唯は腰を下ろしその財布を拾う。
 人見知りである唯は少し躊躇いながらも男の子に話しかけた。
 「あ、あの…!」
 「ん?」
 「財布落としましたよ」
 振り向いた男の子は唯の顔を見るなり固まってしまった。しかも心なしか顔が赤い。熱でもあるのだろうか。
 財布を受け取る気配もない。
 唯としては——先程も言ったのだが——人見知りなため早く渡してちゃっちゃと入学式に挑みたい。
 唯が困った顔をしていると見かねたのであろう目つきの悪い男が口を開いた。
 「志摩、はよ受けとらんと女の子が可哀想やろ。」
 「え?え…あ!堪忍え!」
 「いえ、次は財布落としたら駄目ですよ」
 男の子は唯から財布を半ば奪い取るようにとるとポケットに捻じ込み、にへらと笑った。
 唯も釣られて笑い、さあ入学式に臨もうと踵を返す。
 すると背の方から男の子が声をかけてきたのでまた男の子の方へ寄る。
 「おおきにな!御礼したいねんけど……名前教えてくれへん?」
 「そ、そんな!お礼なんていいですよ!」
 「そうゆうわけにはいかんのよ!俺、実は坊さんやから、お礼きちんとせんと怒られてまうから」
 「そう、なんですか?私の名前は真白唯です。」
 「唯ちゃんやな!俺は志摩廉造ゆうんや、よろしゅうな!」
 廉造の名前を聞くと、唯は今度こそ小走りで入学式の行われる講堂へ向かっていった。
 ——
 おまけ。
 「お前、坊さんてゆう事利用しよって…。別にお礼せんでも怒られやせんくせに……」
 「ほんま志摩さん一回往生したらええんちゃいますか」
 「子猫さんえげつな!」
 「てゆうか入学式始まってしまいますよ」
 「そやな、はよいかなあかんわ。ほら志摩行くえ!」
 「あっ!待ってくださいよ!」
 廉造は勝呂を小走りで追い掛けていった。
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