二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 狛犬は空を嘲笑う 【青の祓魔師】 ( No.5 )
- 日時: 2012/01/22 12:26
- 名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)
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 「新入生代表——奥村雪男」
 「はいっ」
 雪男は目を伏せながら紙を広げ口を開いた。
 唯はその姿に頬を緩ませる。
 雪男は中学時代から頭がよく、唯もよく雪男と模擬試験などで争ったものだ。
 燐によると昔はいじめられっこだったというが、今やそんな面影など全くない。
 思わず握り締めたこぶしを緩め、ふと隣をみた。
 「……!」
 「ん?……あ!ゆ、唯!?」
 其処にいたのは、燐だった。
 唯は思わず目を見開く。
 どういうことだ。燐は中卒を希望していた筈だしそもそも何故この学園にいるのかがわからない。
 唯と燐は入学式の間ずっと互いを見合っていた。
 ——
 「り、燐くん!どうして此処に?」
 「俺がサタンの落胤(こ)だっていうのは知ってるだろ?だから俺サタンをぶん殴ろうと思ってさ」
 場所は燐がフェレス郷と待ち合わせてるというところ。
 燐は少し寂しげにそういった。
 そうだ、燐は藤本神父を亡くしているから——
 唯も少し目を伏せて悲しそうに目に影を落とす。
 「じゃ、じゃあ!私もサタンを……ぶ、ぶん殴る!燐くんの力になりたいから!」
 唯は自信満々にそういいきると燐の手をとった。
 燐の頬が赤いがそんな事はどうでもよかった。
 また、燐と学校に通えるのが嬉しかったのだ。
 と、そこへ軽快な声が耳に入ってきた。
 「おやおや。青春ですねえ☆しかし唯嬢、そう長く手を取っていたら奥村くんの身が持たないですよ☆」
 「は?唯嬢?何で嬢なんだ?」
 「唯嬢は神社の跡取りですからね。それに彼女の父上は私の友人。そう呼ばして頂いているのですよ。——それより、お待たせいたしました」
 フェレス郷は星が出そうなくらいのウインクをして燐と唯がいる場所へと降り立った。
 そして軽く説明を始めるとすぐに音を立てながら姿を犬に変え塾まで案内してくれた。
 塾までの廊下は天井が高く、やはり何処かの城のようだ。
 1106号室につくと、燐は遠慮がちにドアを開ける。
 中には7人しかいなく、フェレス郷はこれでも多い方だと言い張った。
 教室に入ると、すぐにピンクが目に付いた。
 それは今朝財布を落とした男の子——志摩であった。
 志摩は唯を見るなり頬を緩ませて光の速さの如く駈け寄った。
 「唯ちゃんやないですか!唯ちゃんも祓魔塾入りはるん?いやー思ったより女の子ぎょーさんおって嬉しいわあ!」
 「え…?え、ちょ、志摩くん……」
 「志摩くんやなんて!廉造ゆうてください!」
 「じゃ、じゃあ廉造くん……」
 一気にマシンガントークを始める志摩に困惑気味に唯は返す。
 するとまたあの目付きの悪い男が近寄ってきて唯は助けて、と目で訴える。
 それだけでわかったらしく男は志摩を唯から離した。
 「坊!何しはるんですか!折角唯ちゃんとお近づきになろーとしてたんに!」
 「阿呆、やりすぎや。困ってはるやないか。……堪忍え真白とかゆうたか。俺は勝呂竜士や。」
 「志摩さんほんまナンパ癖ええ加減治さんと。煩悩もええとこやわ。……あ、僕は三輪子猫丸いいます」
 「あ、ありがとう。改めまして真白唯です」
 勝呂と三輪は、志摩を引きずって教室の奥に消えていった。
 すると燐がおずおずと唯のほうへ近づく。
 「お、おい…。今さっきのピンク頭誰だよ。どういう関係だよ」
 「え?ああ、今朝財布落としたから拾っただけだよ。今日あったばかり」
 「そ、そっか……」
 「おやおや☆男の嫉妬は見苦しいですよ☆」
 「うっせー」
 燐は心なしか安堵の表情を浮かべ前の席に座る。
 唯も燐の隣に座って、授業が始まるのを待った。
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