二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマ 【幻想で響くシャンソンは】 東方project ( No.45 )
- 日時: 2012/05/02 19:51
- 名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: uh7M8TG/)
- 『空想と、星空と、夢と、現実。』 
 「待っていてね、会いに行くから。」
 君は、何処かへ、いなくなってしまった。
 遠い、遠い場所へ旅立ってしまったの。
 だから、私はあなたを迎えに行く。
 「レミィ、本当にいくの?」
 彼女はパチェ。パチュリー・ノーレッジ。
 私の親友。
 「えぇ。
 いなくなってしまった私のメイドを、探しに行かないと。」
 「…そう。
 なら、妖精メイド…美鈴も、連れて行きなさい。」
 パチェはそういうけれど、私はそんなのは嫌だ。
 私が、連れて帰るのだ。
 ほかに、誰もいらない。
 「私一人で大丈夫よ。」
 「…けれど、レミィ。
 きっと——。」
 「大丈夫。」
 私は、冷然と言い放った。
 それから、出来る限りの笑顔を浮かべてみた。
 「私は一人で行ってくるわ。」
 「……わかったわ。
 さぁ、宇宙へ行く準備をしてきて。」
 とても大きなロケット。
 これは、三段の筒で構成されている。
 前も、このロケットで月まで言って、戦いを挑んだ。
 そんな思い出の、ロケット。
 と言っても、今回は私一人だけれど。
 私は、必要最低限な物以外はもたなかった。
 二人分の食材。
 二人分の衣服。
 二人分の飲み物。
 何故二人分か、それは他でもない、咲夜の分だ。
 咲夜と、私の物しかいらない。
 「発射するわよ、レミィ。」
 10,
 『お嬢様、食事の準備が出来ましたわ。』
 『あら、もうそんな時間?』
 9,
 『私を、誰だと思ってるのかしら?』
 『流石はお嬢様ですわ。』
 8,
 『咲夜?まだなの?』
 『はい、ただいまっ!』
 7,
 『それこそ、時を止めてでも——、』
 『やっぱり人間なんて、使えないわね。』
 6,
 『お嬢様、お遊びはほどほどにしませんと…』
 『まぁまぁ、いいじゃない。』
 5,
 『咲夜ッ———、咲夜が!』
 『お嬢様、私は大丈夫ですわ。』
 4,
 『ねぇ、咲夜。』
 『なんですの?』
 3,
 『咲夜も、吸血鬼になってみない?
 そうすれば、ずっと一緒に居られるよ。』
 2,
 『お嬢様、私は———』
 1,
 『私は、一生死ぬ人間ですよ。
 大丈夫、生きている間は一緒に居ますから。』
 もう、どれぐらいたっただろうか。
 ロケットの窓の向こうは、真っ暗な闇だ。
 星も、無限に広がっている。
 けれど———、咲夜が、いない。
 思い出す、彼女の生い立ち。
 すると、私は思い出してしまった。
 彼女の生い立ちの、すべてを。
 「あれ?何で私は、こんな所に居るんだろう……」
 そうだ、咲夜は数百年前に———
 「死んじゃってるじゃない。」
 あぁ、あぁぁ……
 私はなんて、愚かなのだろう。
 死んだ人間を探しに行くなんて…。
 「ふふ……はははっ……」
 彼女は死んだの。
 病死。
 白血病だと、竹林の医者は言っていた。
 治せるかどうか聞いたら、無理だといった。
 『もう、ここまで悪化している。
 残念だけど———。』
 私はなぜここまで来たんだ。
 宇宙の果てまで。
 私がいる必要など、ないのではないか。
 声が、聞こえた。
 『お嬢様。』
 顔を向けると、そこには——、
 「咲夜ッ——」
 手を伸ばした。
 咲夜に向かって。
 そして咲夜は、笑っていた。
 しかし、手を伸ばし切った先には、誰もいなかった。
 私の空想だった。
 けれど——、たとえ、もう存在していなくても、私は———
 「咲夜に、会いたい———。」
 気がつくと、涙を流していた。
 「咲夜ッ———、咲夜ッ!」
 返事は、聞こえない。
