二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第五幕 鳶《とび》 ( No.15 )
- 日時: 2012/07/08 20:53
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
- そのころ銀時は桂の拠点にやってきて用意されていた和菓子を貪っていた。 
 「この和菓子うめぇな。流石紅葉が選んだだけあるわ。」
 「・・・・・・・・・・。」
 「ヅラ?」
 「あ、ああすまぬ。聞いていなかった。なんだ?」
 桜を模った菓子を食べながら桂に話しかけるも、返ってきたのは生返事。銀時は眉根を寄せて心ここに非ずといった様子の桂に話しかけた。
 「ヅラ。」
 「なんだ。」
 「ヅラ。」
 「だからなんだ。」
 「ヅーラー。」
 「しつこいぞ!なんなのだ一体!」
 しつこく何度も呼びかけられて、桂は声を荒げる。
 「何でもねぇ。」
 「っ・・・!」
 桂は拳を握りしめて怒りをこらえる。ここで怒鳴っても無駄だということをよく分かっているのだ。
 ゆっくりと深呼吸を繰り返す。七回目くらいでやっと心が落ち着いてきた。
 「名前。」
 突然銀時が呟いた。桂は訳が分からず、その言葉の意味を銀時に尋ねる。
 「何で訂正しねーわけ?」
 いつもの桂なら、ヅラと呼ばれれば間髪入れずに名を訂正するはずだ。だが今日は何回ヅラ呼ばわりしても反応しない。
 桂は少し目を見開いたがすぐにいつもの表情に戻り、適当に言葉を濁して手にしていた書物に目を落とした。その本の頁も先程から全く進んでいない。
 いつまでたっても質問に答えてくれない桂に、銀時は話題を変えることにした。
 「さっき紅葉から聞いたんだけどさ、高杉と辰馬が来るってほんと?」
 「(新岡・・・)・・・ああ。」
 桂の脳裏に口の軽い部下のへらへら顔が浮かぶ。後で殴ると心に決めて銀時の言葉に返事を返した。
 銀時はふーんと気のない言葉を吐くと床にごろりと横になった。
 外は薄暗くなっていて昼間から降っていた雨は止んではいるものの、空は厚い雲に覆われている。
 銀時は床に転がったままその空を眺めた。
 「無理しやがって・・・。」
 部屋に響いたその呟きを、桂は聞こえなかったふりをした。
 オリキャラ№4
 坂本弥太郎(さかもと やたろう)
 髪色・黒
 目色・灰色
 黒柱隊副隊長(快援隊会計)。
 坂本の義弟。普段は陸奥並みにクールだが実はかなりの甘えん坊。自分に名と居場所を与えてくれた坂本に依存し執着している節がある。
 得物は十文字槍。体術も得意だが飛び道具は苦手。
 好きなものは坂本と黒柱隊(快援隊はどうでもいい)。嫌いなのは真撰組や見廻り組などの幕府関係者。
