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「テメェ等先に行け。ここは俺が引き受ける。」
「何言ってるんですか！銀時様を置いて逃げろと！？」
天人の大群に囲まれ誰もが死を覚悟した時だった。銀時が血に濡れた刀を持ったまま静かにそう言った。
その表情は穏やかで、とても白夜叉と恐れられている男とは思えない。
「いいから行け。」
「嫌です！」
頑なに命令を拒否する隊士。
銀時は小さく溜息をつくと、そんな彼の腕を掴んで後方へと投げ飛ばした。
投げ飛ばされた隊士は別の隊士の肩に担がれる。
「朝露あさつゆ、棗なつめを頼んだ。」
「嫌だ！銀時様！離せ朝露ッ！！」
「月華隊総員に告ぐ！！」
戦場に凛とした声が響き渡る。それは火の粉の爆ぜる音や爆音を突き抜け、しっかりと隊士達の耳に届いた。
「生きろ。」
「「「「！！！」」」」
「生きて生きて生き抜け！たとえ泥水をすすり、草を食はむことになろうとも！」
血塗れの刀が天へと伸びる。それは変わらぬ魂こころの証。月華隊の絆の象徴。
「生きて・・・再び巡り合うぞ！！」
「「「「おおおぉぉぉぉおお！！！」」」」
月華隊が退却を始める。気配が、足音が、遠ざかっていく。
「銀時様ッ！！離せと言っているのが聞こえないのか！！」
「黙れ！！銀時様の魂こころを無駄にする気か！？月華隊副隊長なら銀時様を信じて生きろ！」
己を呼ぶ声とそれを叱咤する声を背後に聞きながら、銀時は天へ伸ばした刀を正面の敵へと向けた。
「月華隊隊長　白夜叉、参る。」
夜叉は月光を振りかざした。