二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第十八幕 花緑青《はなろくしょう》 ( No.28 )
- 日時: 2012/07/15 22:57
- 名前: 無雲 (ID: C5xI06Y8)
- *この章は、快援隊がもっさんについていくことに決めた後です。 
 この章から快援隊は基本、黒柱隊と表記します。
 「ゆっき———!!」
 盛大な音を立てて佐柳の私室の扉が開かれた。
 弓の手入れをしていた佐柳は驚いて手を止め、部屋の入り口で息を切らせている自身の上司をキョトンとした顔で見つめた。
 「どしたんですか辰馬隊長。そんなに急いで。」
 言いつつ佐柳は弓の手入れを再開する。長年しまい込んでいた黒塗りの弓は大分傷んでおり、薄く埃が積もっていた。
 締めなおした弦の張り具合を確かめるため、佐柳の右手がそれにかかる。
 と、その腕が別の手に掴まれた。
 「真選組と一戦交えたっちゅうのは本当がか!?」
 「はぁ!?」
 佐柳は素っ頓狂な声を上げた。
 そんな彼の様子に構わず、坂本は勝手に話を進めていく。
 「どっか怪我とかしとらんか?うちの船員に手ェば出すような馬鹿はどこのどいつじゃ!女に傷つけた罪は重いぜよ!!」
 「ちょ、ちょお落ち着いてくださいよ!」
 「落ち着いてられるかよ!そのクソ野郎ここに連れて来い。真選組の秘密全部吐かせてやらぁ!!」
 部屋の中の喧騒が一瞬にしてかき消えた。
 佐柳は懐から拳銃を取り出し、安全装置を外した。ガチャリという物騒な金属音が静寂に響く。
 「何故におる。」
 「ごめんなさいすいませんほんと反省してます。だから銃下ろしてください。」
 額に銃口を突き付けられた新岡は、真っ青な顔でそう懇願した。
 ***
 そのころ、鬼兵隊艦内では隊士たちがあわただしく動き回っていた。
 この状況を第三者がみれば、『これからクーデターでも起こすのか』と震えあがることだろう。
 だが、実際はそんなことをしているのではない。
 そうこれは———
 「総督———!これどこ運びます?」
 「ちょっと誰か机の端持って!」
 「あっ、皿割れた!」
 ———引っ越しなのである。
 ***
 「……要するに、青嵐が黒柱の船に拠点移したっちゅうことか?」
 「そーなんですよ。鬼兵隊の方には月華が居候?するそうです。というかもう許して、腕痛い。」
 ずっとホールドアップしたままの新岡が苦しそうに言う。
 佐柳が拳銃を下ろすと、ホウと息をついて壁に寄り掛かった。
 「で、ゆっちゃん、本当に大丈夫だったか?」
 「?何のことな。」
 「真選組のほう。」
 佐柳は少しの間の後、ああ、と思い出したように呟いた。どうやら新岡の登場で完璧に忘れていたようだ。
 「別に殺り合うたわけじゃない。職質かけられて、めんどかったけん無視したらいきなりバズーカぶっ放されただけじゃ。」
 「マジでか!!/そうなんか!?」
 佐柳は、いきり立つ男二人をジロリと睨んで黙らせる。
 「真選組……、バズーカ……」
 ぶつぶつ言いながら、新岡が扉の方へ向かう。
 その朱色の瞳は完全に据わっていた。
 「紅、行くがか。」
 妙に真剣な声音の坂本。佐柳には何が何だか訳が分からない。
 新岡は、扉の近くで足を止め二人に背を向けたまま言った。
 「シメてきます。」
 「待たんかあぁぁぁぁあああ!!!」
 佐柳の絶叫が船内に響き渡った。
 オリキャラNO.8
 浜田朝露
 髪色・赤茶
 目色・青
 月華隊 三番隊隊長
 長髪を首の後ろで括っている。結い紐の色は紫紺。
 居合の達人で、雨だれが地に落ちるまでに四、五回は抜刀と収刀を繰り返せる。居合以外の剣術は割と普通(それでも土方くらい)。
 極度の昆虫オタクで、部屋は虫かごだらけ。昆虫が嫌いな緒方をよくからかうが後に手痛いしっぺ返しにあうことが多い。
 単純で、嘘と本当の判断がつかない。
 得物は刀一本。
 好きなものは虫ともこもこしたもの。苦手なものは緒方の薬品。
